チチコグサ(父子草)とは?特徴・ハハコグサとの違い・見分け方・駆除方法
チチコグサとは?特徴・名前の由来・ハハコグサとの違い・駆除方法を解説
チチコグサは、道端や草地、芝生などに生えるキク科の多年草です。地面に細い葉を広げ、春から秋にかけて茎の先端に褐色の小さな花を咲かせます。
名前はよく知られているハハコグサに対してつけられましたが、花が小さく目立たないため、見過ごされることも少なくありません。また、チチコグサモドキやウラジロチチコグサなど、似た外来植物が多いことも特徴です。
この記事では、チチコグサの特徴や名前の由来、よく似た植物との見分け方、庭や芝生で増えた場合の管理方法について詳しく解説します。
チチコグサとは
チチコグサは、日本各地の日当たりのよい草地に自生するキク科の多年草です。日本を含む東アジアに分布する在来植物で、地面をはう茎を伸ばしながら小さな群落をつくります。
基本情報は次のとおりです。
和名:チチコグサ
漢字表記:父子草
学名:Gamochaeta japonica
旧学名:Gnaphalium japonicum
科名:キク科
属名:チチコグサモドキ属などに分類
分類:多年草
分布:日本、朝鮮半島、中国など
草丈:約10~30cm
開花時期:5~10月ごろ
花色:褐色、赤褐色、淡い黄褐色
主な繁殖方法:種子とほふく枝
植物の分類体系によって、学名や属名の扱いが異なることがあります。
チチコグサの名前の由来
チチコグサという名前は、同じキク科のハハコグサに対してつけられたとされています。
ハハコグサが黄色く目立つ花を咲かせるのに対し、チチコグサの花は褐色で小さく、あまり目立ちません。その控えめな姿から「父子草」という名前になったともいわれますが、名前の詳しい由来については明確でない部分もあります。
「父と子が寄り添って生えるから」という説明が紹介されることもありますが、植物学的に確立した由来とは限りません。
チチコグサの特徴
葉の特徴
チチコグサは、地際に細長い葉を放射状に広げます。この根生葉は、花が咲く時期にも残るのが特徴です。
葉は細長い線形からへら形
葉先はややとがる
葉の表面は緑色に見える
葉の裏面には白い綿毛が密生する
葉の縁はほぼ滑らか
地際の葉がロゼット状に広がる
葉の表面にも毛がありますが、裏面より少ないため、上から見ると比較的緑色が濃く見えます。
茎の特徴
春になると、地際の葉の中心から細い花茎を伸ばします。
花茎は細く直立する
草丈は10~30cmほど
茎には白い毛が生える
茎につく葉は少ない
茎の先端に花が集まる
開花後に地面をはう枝を伸ばす
ほふく枝の先端に新しい葉をつけ、親株の周囲へ広がります。
花の特徴
チチコグサの花は非常に小さく、遠くから見ると褐色の塊のように見えます。
褐色から赤褐色の頭花をつける
頭花は茎の先端にまとまる
頭花の周囲に細長い葉状の苞がつく
苞は放射状に広がる
花弁が大きく開くような咲き方はしない
花の直径は数ミリ程度
茎の先端に小さな花が密集し、その下から細い葉状の苞が星形に広がっているように見えるのが識別のポイントです。
種子の特徴
花が終わると、小さな果実に白い冠毛がつきます。熟した種子は冠毛とともに風で飛ばされます。
種子は非常に小さい
白い毛がついている
風によって運ばれる
裸地や芝生の隙間で発芽する
開花期間が長く、繰り返し種子をつける
庭で増やしたくない場合は、冠毛が開く前に花茎を取り除きます。
チチコグサが生える場所
チチコグサは、日当たりがよく、草丈の低い植物が多い場所で見つかります。
主な生育場所は次のとおりです。
道端
野原
草地
河川敷
土手
空き地
公園
芝生
校庭
庭の隅
石垣や舗装の隙間
背の高い植物が密生する場所よりも、定期的に草刈りされる場所や、地表に空間がある場所で生育しやすい植物です。
チチコグサの生育サイクル
チチコグサは多年草のため、根や地際の芽が残っていれば翌年も生育します。
一般的な生育サイクルは次のとおりです。
春:地際の葉が成長する
春から初夏:花茎を伸ばす
初夏から秋:褐色の小さな花を咲かせる
開花後:冠毛のついた種子を飛ばす
夏から秋:ほふく枝を伸ばして新しい株をつくる
冬:地際の葉を残して越冬する
地域の気温や草刈りの時期によって、開花期間は変化します。
チチコグサとハハコグサの違い
チチコグサとハハコグサは名前が似ていますが、花色や生活サイクル、株姿が異なります。
チチコグサ
多年草
花は褐色から赤褐色
頭花は茎の先端にまとまる
根生葉は開花時にも残る
細長い葉の裏側が白い
ほふく枝を伸ばして広がる
春の七草には含まれない
ハハコグサ
主に越年草
花は鮮やかな黄色
茎の上部に多数の頭花をつける
茎や葉の全体が白い綿毛に覆われる
株全体が白緑色に見える
春の七草では「ゴギョウ」と呼ばれる
ほふく枝では増えない
花が黄色ければハハコグサ、褐色で地味な花が茎の先端に集まっていればチチコグサと考えるのが基本です。
チチコグサとチチコグサモドキの違い
チチコグサモドキは北アメリカ原産の外来植物です。都市部では、在来のチチコグサよりも多く見られることがあります。
チチコグサ
日本在来の多年草
葉は細く、先端がとがる
根生葉が開花期にも残る
花は茎の先端に密集する
花の下に細い葉状の苞が広がる
地面をはう枝を伸ばす
チチコグサモドキ
北アメリカ原産の外来植物
一年草または越年草として生育する
葉はへら形で、先端に丸みがある
頭花は茎の先端だけでなく葉の付け根にもつく
花の集まりが茎の途中に段状に並ぶ
株全体がチチコグサより柔らかく見える
最も分かりやすい違いは花の位置です。チチコグサは茎の先端に花が集中しますが、チチコグサモドキは茎上部の葉の付け根にも花をつけます。
チチコグサとウラジロチチコグサの違い
ウラジロチチコグサは南アメリカ原産の外来植物で、公園や芝生、道路沿いなどに広がっています。
チチコグサ
葉が細い
葉先がとがる
葉の表面は緑色
花は茎の先端に集まる
草丈は比較的低い
ほふく枝を伸ばす
ウラジロチチコグサ
葉が幅広いへら形
葉の縁が波打つ
葉の裏側が目立って白い
根生葉が大きく広がる
頭花が茎の上部に多数つく
草丈が50cmほどになる場合がある
葉を裏返したときに白い綿毛が目立つ点は共通しています。葉の幅、縁の波打ち方、花の位置まで確認しましょう。
チチコグサとタチチチコグサの違い
タチチチコグサもアメリカ大陸原産の外来植物です。名前のとおり、茎が立ち上がる姿が特徴です。
チチコグサ
花は茎の頂上にまとまる
根生葉が開花時にも残る
地面をはう枝を出す
草丈は比較的低い
タチチチコグサ
茎が直立する
茎の上半分に花が並ぶ
穂のような細長い花序に見える
株全体に白い毛が多い
チチコグサより縦長の姿になる
チチコグサの仲間はよく似ているため、一つの特徴だけでなく、根生葉、茎、花の位置を総合して判断します。
チチコグサは春の七草?
チチコグサは春の七草ではありません。
春の七草で「ゴギョウ」と呼ばれるのは、黄色い花を咲かせるハハコグサです。名前が対になっているため混同されやすいものの、チチコグサとは別の植物です。
春の七草は次の7種類です。
セリ
ナズナ
ゴギョウ
ハコベラ
ホトケノザ
スズナ
スズシロ
野外で七草を採取するときは、似た植物の混入に注意しましょう。
チチコグサは食べられる?
チチコグサは、一般的な食用野草として利用される植物ではありません。ハハコグサが春の七草に含まれるからといって、チチコグサも同じように食べられると判断するのは避けましょう。
食用におすすめできない理由は次のとおりです。
食用植物として一般的ではない
近縁種との識別が難しい
道路沿いでは排気ガスなどが付着する可能性がある
公園や芝生では農薬が使用されることがある
動物の排せつ物が付着している場合がある
食品としての安全性や適切な利用量が明確でない
名前や見た目が似ているという理由だけで、野生植物を食べないようにしてください。
チチコグサは雑草なのか
チチコグサは日本在来の野草です。自然の草地では、ほかの低い植物とともに身近な植生を構成しています。
一方、芝生や花壇では、目的とする植物の間から生えるため雑草として扱われることがあります。
チチコグサが生えることで起きる主な問題は次のとおりです。
芝生の見た目が不均一になる
ほふく枝によって周囲へ広がる
花壇の小さな植物と競合する
種子が風で飛んで発生場所が増える
根生葉が地表を覆う
強い有害植物ではないため、庭の目的に支障がなければ必ずしも除去する必要はありません。
チチコグサを駆除する方法
チチコグサは大型の地下茎を持つ難防除雑草ではないため、発生が少ないうちなら手作業で管理できます。
根ごと抜き取る
小さな株は、土が湿っている日に抜き取ります。
株元を指でしっかり持つ
根を切らないようゆっくり引き抜く
ほふく枝の先にある子株も確認する
花が咲いている株は種子が飛ぶ前に回収する
数週間後に新しい株が出ていないか確認する
根生葉だけをちぎると株元が残るため、除草フォークなどを使って根を持ち上げると効率的です。
花が咲く前に刈る
広い芝生では、種子が熟す前の刈り込みが拡大防止につながります。
花茎が伸び始めたら刈る
冠毛が開く前に作業する
刈り草を芝生の上に放置しない
刈り高を極端に低くしない
発生株は可能な範囲で根から抜く
チチコグサは地面近くに葉を広げるため、高い位置での芝刈りだけでは株が残ることがあります。
芝生を健全に育てる
芝生の密度が低下して地面が露出すると、チチコグサの種子が発芽しやすくなります。
芝生に合った高さで刈る
裸地へ芝を補植する
過度な踏みつけを減らす
土壌の水はけを整える
芝の種類に応じて適切に施肥する
刈り込みすぎて芝を弱らせない
芝生を密に維持することは、チチコグサだけでなく、ほかの雑草の侵入防止にも役立ちます。
除草剤を使用する
多数発生して手作業が難しい場合は、除草剤を検討することがあります。
使用場所に登録された製品を選ぶ
芝生で使う場合は芝の種類への適用を確認する
対象雑草にチチコグサ類が含まれるか確認する
花壇の植物や樹木へ薬液をかけない
製品ラベルの使用量と回数を守る
強風や雨の前後には散布しない
芝生用と非農耕地用の除草剤は用途が異なります。使用場所に適さない製品を散布すると、芝や園芸植物まで枯れることがあります。
チチコグサを増やさないための予防方法
チチコグサは冠毛のついた種子を風で飛ばすため、周辺から庭へ入ってくることがあります。
予防方法は次のとおりです。
小さなロゼットを見つけたら早めに抜く
花や綿毛ができる前に除去する
裸地を放置しない
芝生やグラウンドカバーを密に育てる
花壇へ適切にマルチングする
購入した苗の鉢土に雑草がないか確認する
抜いた開花株をその場に放置しない
花が小さく目立たないため、種子ができるまで気づかないことがあります。春から秋にかけて、芝生や花壇を定期的に確認しましょう。
チチコグサに関するよくある質問
チチコグサは外来種ですか?
チチコグサは日本在来の植物です。一方、チチコグサモドキ、ウラジロチチコグサ、タチチチコグサなど、よく似た仲間には外来植物が含まれます。
チチコグサの花は何色ですか?
褐色、赤褐色、淡い黄褐色などです。花が非常に小さいため、遠くからは枯れた部分のように見えることがあります。
チチコグサは多年草ですか?
多年草です。地際の株が残って越冬し、春になると再び花茎やほふく枝を伸ばします。
ハハコグサと同じ植物ですか?
別の植物です。ハハコグサは黄色い花を咲かせ、春の七草ではゴギョウと呼ばれます。チチコグサは褐色の花を咲かせ、春の七草には含まれません。
チチコグサは食べられますか?
一般的な食用植物ではありません。ハハコグサと名前が似ていますが、同じように食用にできるとは判断せず、野生株を自己判断で食べることは避けましょう。
芝生に生えたチチコグサは抜くべきですか?
芝生の景観や生育に支障がある場合は、種子ができる前に根から抜きます。気にならず、芝生への影響も少ない場合は、必ずしも除去する必要はありません。
チチコグサモドキとの簡単な見分け方は?
チチコグサは花が茎の先端に集まり、その下に細い葉状の苞が広がります。チチコグサモドキは、茎上部の葉の付け根にも花が段状につきます。
チチコグサは毒草ですか?
一般的に強い毒を持つ植物としては扱われていません。ただし、一般的な食用植物でもないため、安全性が確認できない野生株を食べたり、薬として利用したりすることは避けてください。
まとめ
チチコグサは、日本各地の道端や草地、芝生などに生えるキク科の多年草です。地際に細長い葉を広げ、春から秋にかけて褐色の小さな花を咲かせます。
覚えておきたいポイントは次のとおりです。
日本に自生する在来植物
草丈は約10~30cm
葉の裏側に白い綿毛が密生する
根生葉は開花期にも残る
花は茎の先端にまとまってつく
ほふく枝と種子で増える
ハハコグサとは別の植物
春の七草には含まれない
よく似た外来植物が複数ある
庭では種子ができる前の抜き取りが有効
チチコグサは身近な在来植物ですが、チチコグサモドキなどとの識別は簡単ではありません。葉の形だけで判断せず、花の位置、根生葉の有無、ほふく枝の伸び方まで観察すると見分けやすくなります。