チガヤ(茅)とは?特徴・名前の由来・ススキとの違い・駆除方法
チガヤとは?特徴・名前の由来・ススキとの違い・庭での駆除方法を解説
チガヤは、春から初夏にかけて銀白色の穂をつけるイネ科の多年草です。河川敷や土手、空き地、田畑のあぜなど、日当たりのよい場所に群生します。
風に揺れる白い穂は美しい一方、地下茎を広範囲に伸ばして増えるため、庭や畑では取り除きにくい雑草になることがあります。
この記事では、チガヤの特徴や名前の由来、開花時期、ススキやオギとの見分け方、庭で増えた場合の駆除方法について詳しく解説します。
チガヤとは
チガヤは、日本各地に自生するイネ科チガヤ属の多年草です。日本では古くから見られる在来植物で、北海道から沖縄まで広く分布しています。
基本情報は次のとおりです。
和名:チガヤ
漢字表記:茅、白茅
学名:Imperata cylindrica
科名:イネ科
属名:チガヤ属
分類:多年草
分布:北海道から沖縄
草丈:約30~80cm
開花時期:4~6月ごろ
穂の色:赤紫色から銀白色
主な繁殖方法:地下茎と種子
別名:ツバナ、チバナなど
生育環境によっては、草丈が1mを超えることもあります。
チガヤの名前の由来
チガヤの「チ」は、「千」や「たくさん」という意味に由来するといわれています。多数の株が群がって生える姿から、「千のカヤ」という意味でチガヤと呼ばれるようになったという説です。
「カヤ」は、屋根をふく材料などに利用されたイネ科植物の総称です。ススキ、オギ、ヨシなども広い意味でカヤと呼ばれることがあります。
若い穂は「ツバナ」または「チバナ」と呼ばれ、古い文学にも登場します。
チガヤの特徴
葉の特徴
葉は細長い線形で、地際から立ち上がるように伸びます。
葉の長さは約20~50cm
葉の幅は約7~12mm
葉先は細くとがる
葉の中央に白っぽい主脈が見える
葉の縁には細かなギザギザがある
葉色が赤紫色を帯びることがある
秋から冬に赤褐色へ変化する場合がある
葉の縁はざらつきがあり、手を強く滑らせると切れることがあります。作業するときは手袋を着用しましょう。
茎の特徴
花をつける茎は細く、まっすぐに立ち上がります。草丈は通常30~80cmほどです。
花茎以外の茎は地上で目立ちにくく、地際から葉だけが束になって出ているように見えます。
種類や個体によっては、花茎の節に毛があります。節の毛の有無や開花時期などに違いがある複数の型が知られています。
穂の特徴
チガヤを見分けるうえで最も分かりやすい特徴は、円柱状の白い穂です。
穂の長さは約10~20cm
細長い円柱状になる
開花前は赤紫色を帯びる
開花後は白い毛が目立つ
果実期には銀白色の綿毛状になる
穂全体が一方向へやや傾くことがある
白く見える部分は花弁ではなく、小穂の基部から伸びた長い毛です。果実が熟すと、毛のついた種子が風によって運ばれます。
地下茎の特徴
チガヤが広がりやすく、駆除しにくい最大の理由は地下茎にあります。
白色から黄白色の地下茎を伸ばす
地表付近から深さ30cm前後まで広がる
地下茎の先端が鋭くとがる
節ごとに新芽を出す
切れた地下茎の断片からも再生する
地下茎に養分を蓄えて越冬する
地上の葉を一度刈っただけでは、地下茎に蓄えられた養分を使って短期間で再生します。
チガヤの開花時期
チガヤの主な開花時期は4~6月ごろです。地域や系統によっては3月ごろから穂を出すこともあります。
穂の変化は次のように進みます。
穂が葉の間から伸び始める
開花期には赤紫色や褐色に見える
花が終わると白い毛が長くなる
果実期には銀白色の穂になる
種子が熟すと綿毛とともに飛散する
草刈りなどで地上部が切られた場合、通常とは異なる時期に穂を出すこともあります。
チガヤが生える場所
チガヤは日当たりのよい開けた土地を好みます。地下茎を伸ばせる環境では、地表を覆うような群落をつくります。
主な生育場所は次のとおりです。
河川敷
河川堤防
土手
原野
草地
空き地
道路沿い
鉄道沿線
水田のあぜ
放棄された農地
海岸近くの草地
日当たりのよい庭
刈り取りに強いため、年に何度か草刈りが行われる場所でも残りやすい植物です。
チガヤの生育サイクル
チガヤは地下茎で冬を越し、春になると新しい葉を伸ばします。
一般的な生育サイクルは次のとおりです。
春:地下茎から新芽を出す
春から初夏:花茎を伸ばして開花する
初夏:白い綿毛のついた種子を飛ばす
夏:葉と地下茎を盛んに伸ばす
秋:地下茎に養分を蓄える
晩秋から冬:地上部が枯れるか、葉が赤褐色になる
冬:地下茎の状態で越冬する
暖かい地域では、冬でも葉の一部が緑色のまま残ることがあります。
チガヤが増える理由
チガヤは、種子と地下茎の両方で増えます。庭や畑で急速に広がる場合は、地下茎による繁殖が中心です。
増えやすい理由には、次のようなものがあります。
地下茎を四方へ長く伸ばす
地下茎の節から新芽を出す
小さな地下茎の断片から再生できる
地上部を刈られても素早く葉を伸ばす
綿毛のついた種子を風で飛ばす
日当たりのよい裸地へ定着しやすい
乾燥や踏みつけに比較的強い
地下部に多くの養分を蓄える
耕運機やスコップで地下茎を細かく切ると、回収できなかった断片から芽が出て、発生範囲が広がることがあります。
チガヤとススキの違い
チガヤとススキは、どちらも日当たりのよい草地に生えるイネ科の多年草です。しかし、草丈や穂の時期、株の広がり方が異なります。
チガヤ
草丈は通常30~80cmほど
主な出穂時期は春から初夏
穂は細長い円柱状
果実期の穂は銀白色になる
地下茎を伸ばして面的に広がる
葉は主に地際から立ち上がる
比較的低い群落をつくる
ススキ
草丈は約1~2m
主な出穂時期は夏の終わりから秋
穂は枝分かれして大きく広がる
一か所に茎が集まる株立ちになる
-葉の中央に白い主脈が目立つチガヤより大型になる
春に細い銀白色の円柱状の穂が出ていれば、チガヤである可能性が高いでしょう。
チガヤとオギの違い
オギも銀白色の穂をつけるイネ科の多年草ですが、チガヤより大型で、主な出穂時期も異なります。
チガヤ
草丈は30~80cmほど
春から初夏に穂を出す
穂は長さ10~20cmほど
日当たりのよい土手や草地に多い
地際から細い葉が立ち上がる
オギ
草丈は1~2.5mほど
秋に大きな穂を出す
穂は枝分かれしてふんわり広がる
河川敷や湿った場所に多い
地下茎を伸ばして広い群落をつくる
植物全体の高さと穂が出る季節を確認すると、比較的簡単に見分けられます。
チガヤは雑草なのか
チガヤは日本在来の植物であり、生えているだけで有害な外来植物というわけではありません。
自然環境では、次のような役割があります。
草原を構成する植物になる
昆虫の生息場所になる
地下茎が土をつかみ、土壌流出を抑える
河川堤防や斜面の地表を覆う
日本の里地や草地の景観をつくる
定期的に刈られる環境でも植生を維持する
一方、花壇や畑、芝生へ入り込むと、園芸植物や作物の間に地下茎を広げるため、難防除雑草として扱われます。
生育場所と管理目的によって、残すか取り除くかを判断することが大切です。
チガヤは食べられる?
若い花穂は「ツバナ」と呼ばれ、かつては穂が開く前の柔らかい部分を噛み、ほのかな甘味を楽しむことがありました。地下茎にも糖類が含まれています。
ただし、現在では一般的な食用植物ではありません。野生株には、農薬、除草剤、排気ガス、動物の排せつ物などが付着している可能性があります。
次のような利用は避けるのが安全です。
種類が不明な野草を食べる
道路沿いの株を採取する
管理状況が分からない土地の株を食べる
地下茎を自己判断で薬として使用する
大量に食べる
アレルギー症状があるのに触り続ける
薬用として利用されてきた歴史はありますが、自己判断で煎じたり、病気の治療に使ったりすることはおすすめできません。
チガヤと花粉症の関係
チガヤは風によって花粉を運ぶ風媒花です。そのため、イネ科植物の花粉に反応する人では、開花期に症状が出る可能性があります。
花粉への接触を減らす方法は次のとおりです。
開花期の群落へ近づかない
穂が出る前に庭の株を刈る
草刈り時にマスクや眼鏡を着用する
作業後は衣服についた花粉を落とす
帰宅後に手や顔を洗う
症状が続く場合は医療機関へ相談する
草刈りによって花粉や細かな植物片が舞うことがあるため、アレルギーがある人は無理に作業しないようにしましょう。
チガヤを駆除する方法
チガヤを庭からなくすには、地上部だけでなく地下茎への対策が必要です。発生面積が小さいうちに取り除くと、作業量を抑えられます。
地下茎ごと掘り取る
庭や花壇の小さな群落では、掘り取りが基本です。
雨の後など、土が柔らかい日に作業する
株の周囲を広めに掘る
深さ30cm前後まで地下茎を確認する
白い地下茎を途中で切らないように取り出す
園芸植物の根に絡んだ地下茎も除去する
数週間後に再発生を確認する
地下茎は鋭く、手に刺さる場合があります。厚手の手袋を着用してください。
地下茎を細かく切らない
耕運機や除草用の回転刃で地下茎を細かくすると、断片が土の中へ広がる場合があります。
掘り返す場合は、地下茎を切断するだけで終わらせず、できる限り回収します。土を移動するときも、地下茎が混ざっていないか確認しましょう。
繰り返し刈り取る
刈り取りだけで短期間に根絶することは難しいものの、草丈を抑え、種子の形成を防ぐ方法として役立ちます。
穂が出る前に刈る
再生した葉を繰り返し刈る
地際に近い位置で刈る
刈り草をその場に厚く積まない
数年間にわたって管理する
チガヤは刈り取りへの耐性が強く、短期間で葉を再生します。年に一度だけの草刈りでは、群落が残る可能性が高いでしょう。
斜面や堤防では、地下茎が土壌を保持している場合があります。根ごと除去すると土が流出する可能性があるため、土地の管理者へ確認してください。
防草シートを使用する
掘り取り後の再発防止には、遮光性と耐貫通性の高い防草シートを使用します。
地上部と地下茎を可能な範囲で除去する
地面を平らに整える
シートの継ぎ目を十分に重ねる
端部をしっかり固定する
配管や支柱周辺に隙間をつくらない
定期的に破れや持ち上がりを確認する
チガヤの新芽は先端が鋭く、薄いシートや織り目の粗いシートを突き抜けることがあります。シートを敷くだけで完全に防げるとは限りません。
除草剤を使用する
広範囲に地下茎が広がっている場合は、除草剤を検討することがあります。
使用場所に登録された製品を選ぶ
多年生イネ科雑草への適用を確認する
製品ラベルの用量と使用方法を守る
園芸植物や作物への飛散を防ぐ
雨や強風の日には使用しない
河川、水路、池の周辺では安易に使用しない
公共用地では管理者の許可を得る
地上部だけに作用する製品では、地下茎が残ることがあります。商品名だけで選ばず、適用雑草、使用場所、作用方法を確認しましょう。
除去したチガヤの処分方法
掘り取った地下茎を生きたまま土へ戻すと、再び発根することがあります。
地下茎についた土を落とす
地面へ直接置かず、袋やシートの上に集める
完全に乾燥させる
自家製堆肥へそのまま入れない
別の場所へ土ごと運ばない
自治体の分別方法に従って処分する
穂がすでに白くなっている場合は、種子を飛ばさないよう袋をかぶせてから切り取ります。
チガヤを庭で増やさないための対策
チガヤは地下茎が花壇の縁やフェンスの下を越えて侵入することがあります。
予防方法は次のとおりです。
発生した若い芽をすぐに掘り取る
花穂が出る前に刈る
裸地を長期間放置しない
芝生やグラウンドカバーを健全に育てる
花壇の周囲へ根止め材を設置する
外部から持ち込む土に地下茎がないか確認する
隣接地との境界を定期的に点検する
刈り草や掘った土を安易に移動させない
根止め材は、地表近くに浅く入れただけでは地下茎が下を通る可能性があります。設置場所の土質や地下茎の深さを確認しましょう。
チガヤを庭に植える場合の注意点
銀白色の穂や紅葉を楽しむため、チガヤや葉が赤くなる園芸品種が植栽されることがあります。
栽培する場合は、地下茎が広がらないよう管理が必要です。
地植えより鉢植えで管理する
底穴から地下茎が出ていないか確認する
穂を切り、種子の飛散を防ぐ
周囲へ地下茎が伸びていないか点検する
不要になった株を野外へ捨てない
植え替え時に地下茎の断片を残さない
地植えにすると、数年後に広い範囲へ広がる可能性があります。
チガヤに関するよくある質問
チガヤは外来種ですか?
日本では北海道から沖縄まで自然分布する在来植物です。ただし、海外の一部地域では持ち込まれたチガヤが増え、侵入植物として問題になっています。
チガヤは一度抜けば生えてきませんか?
地下茎が少しでも残っていると再生することがあります。一度の作業で終わらせず、新芽が出るたびに掘り取る必要があります。
草刈りだけで根絶できますか?
チガヤは刈り取りに強いため、短期間での根絶は困難です。刈り取りは草丈と種子形成を抑える管理方法と考え、掘り取りなどの地下茎対策と組み合わせます。
チガヤの白い部分は花ですか?
白く見える部分の多くは、小穂の基部から伸びた毛です。開花後に毛が長くなり、種子を風で運ぶ役割を果たします。
チガヤとススキを簡単に見分ける方法は?
チガヤは春から初夏に細長い銀白色の穂を出し、草丈は通常80cm以下です。ススキは夏の終わりから秋に大きく枝分かれした穂を出し、1~2mほどになります。
チガヤには毒がありますか?
一般的に強い有毒植物としては扱われていません。ただし、現在では一般的な食用植物ではなく、野生株には汚染や薬剤付着の可能性があります。自己判断で食用や薬用にすることは避けましょう。
チガヤは花粉症の原因になりますか?
チガヤは風媒花であり、イネ科花粉に反応する人では症状が出る可能性があります。開花期の草刈りでは、マスクや眼鏡などで花粉への接触を減らしてください。
土手のチガヤを根から抜いてもよいですか?
土手や斜面では、地下茎が土壌を保持している場合があります。根ごと除去すると斜面が崩れやすくなる可能性があるため、土地の所有者や管理者に確認しましょう。
まとめ
チガヤは、日本各地の日当たりのよい草地や土手、河川敷などに生えるイネ科の多年草です。春から初夏に銀白色の円柱状の穂をつけます。
覚えておきたいポイントは次のとおりです。
日本に古くから自生する在来植物
草丈は通常30~80cmほど
春から初夏に白い穂を出す
地下茎と種子の両方で増える
地下茎の断片から再生する
ススキやオギより小型で、早い時期に穂を出す
刈り取りに強く、一度刈っただけでは枯れない
庭での根絶には地下茎の掘り取りが必要
土手では土壌保持の役割もある
場所によって残すか除去するかを判断する
庭や花壇で見つけた場合は、発生範囲が小さいうちに地下茎ごと取り除きましょう。すでに広く群生している場合は、掘り取り、刈り取り、防草対策などを組み合わせ、継続して管理することが大切です。