セリ(芹)とは?特徴・旬・育て方・食べ方・ドクゼリとの見分け方
セリとは?特徴・旬・育て方・食べ方・ドクゼリとの見分け方を解説
セリは、清らかな水辺や湿地に生えるセリ科の多年草です。さわやかな香りと歯触りが特徴で、春の七草の一つとして古くから親しまれてきました。
七草粥だけでなく、おひたし、鍋物、汁物、天ぷらなど、幅広い料理に利用できます。根まで味わう「根セリ」も人気があります。
一方、野生のセリは猛毒を持つドクゼリと同じような場所に生えるため、採取には重大な危険が伴います。この記事では、セリの特徴や旬、栽培方法、収穫、食べ方、ドクゼリとの違いについて詳しく解説します。
セリとは
セリは、日本各地の湿地や水田、水路の周辺などに自生する多年草です。食用野菜としても栽培され、水田を利用した栽培のほか、水耕栽培による周年生産も行われています。
基本情報は次のとおりです。
和名:セリ
漢字表記:芹
学名:Oenanthe javanica
科名:セリ科
属名:セリ属
分類:多年草
分布:日本を含む東アジアなど
草丈:約20~60cm
開花時期:5~8月ごろ
花色:白色
主な食用部位:若い茎、葉、栽培品の根
主な繁殖方法:種子、ほふく茎
栽培環境や開花時期によっては、草丈が60cm以上になることもあります。
セリの名前の由来
セリという名前は、茎や葉が一か所から競り合うように密集して伸びる姿に由来するといわれています。
漢字では「芹」と書きます。古くから食用とされてきた植物で、日本の食文化と深い関わりがあります。
地域によっては、次のような名前で呼ばれることもあります。
タゼリ
ミズゼリ
ノゼリ
根セリ
葉セリ
ただし、地域名や呼び名だけでは植物を正確に判別できません。野生株を食用にする場合、呼び名だけで判断するのは危険です。
セリの特徴
茎の特徴
セリの茎は柔らかく、地面や水辺を横に伸びるほふく茎を出します。ほふく茎の節から根と芽を出し、周囲へ広がります。
茎は柔らかく、やや角張る
地際から複数の葉柄を伸ばす
ほふく茎が地表や泥の中を横に伸びる
節から発根して新しい株になる
生育環境によって茎の基部が紫褐色になることがある
ほふく茎は切れた断片から再生することがあるため、水田では雑草として増える場合もあります。
葉の特徴
葉は複数の小葉に分かれています。小葉は卵形から披針形で、縁に鋸歯があります。
葉は羽状に分かれる
小葉の縁に切れ込みや鋸歯がある
若葉は柔らかく、鮮やかな緑色
葉柄は比較的短い
揉むとセリ特有のさわやかな香りがする
香りはセリを見分ける手掛かりになりますが、香りだけで食用かどうかを判断してはいけません。
花の特徴
初夏から夏になると茎を伸ばし、先端に白い小花を咲かせます。
白い小花がまとまって咲く
花序は傘を広げたような形になる
一つの花には5枚の花弁がある
開花後に小さな果実をつける
花茎が伸びると株全体が硬くなる
花が咲く前の若い茎葉は柔らかく、香りも楽しみやすい状態です。
根の特徴
セリの根は細く、白いひげ根が多数出ます。宮城県などで生産される根セリは、茎葉だけでなく、よく洗った白い根も食用にします。
ただし、野生株の根を見ただけで安全性を判断するのは危険です。ドクゼリの地下茎を誤食すると、命に関わる中毒を起こす可能性があります。
セリの自生地
セリは乾燥した場所よりも、土が常に湿っている場所を好みます。
主な自生地は次のとおりです。
湿地
水田
休耕田
小川の周辺
用水路
池や沼の縁
湧き水のある場所
湿ったあぜ道
日当たりのよい場所から半日陰まで生育できますが、強い乾燥には弱い植物です。
自生地では、ドクゼリやタガラシなどの有毒植物が一緒に生えていることがあります。
セリの旬はいつ?
一般的にセリの旬は冬から春です。特に若い茎葉が伸びる1~4月ごろは、柔らかな食感と豊かな香りを楽しめます。
根セリの旬:秋の終わりから冬
葉セリの旬:冬から春
春の七草としての需要期:1月上旬
露地栽培品の主な収穫期:10月ごろから翌年4月ごろ
水耕栽培品:一年を通して流通することがある
花茎が伸びると茎葉が硬くなり、香りや食感も変化します。
セリは春の七草の一つ
セリは春の七草の最初に挙げられる植物です。
春の七草は次の7種類です。
セリ
ナズナ
ゴギョウ
ハコベラ
ホトケノザ
スズナ
スズシロ
一般的には1月7日に七草粥として食べられます。
春の七草に含まれる「ホトケノザ」は、現在一般的にホトケノザと呼ばれるシソ科の植物ではなく、コオニタビラコを指します。野外で七草を集める場合は、植物の取り違えに注意が必要です。
セリに含まれる主な栄養成分
生のセリは低エネルギーで、緑黄色野菜として利用できます。可食部100g当たりには、β-カロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、カリウム、食物繊維などが含まれます。
主な栄養成分は次のとおりです。
β-カロテン
ビタミンK
葉酸
ビタミンC
カリウム
鉄
マンガン
食物繊維
これらの成分は通常の食事の一部として摂取するものであり、セリだけを大量に食べても特定の病気が治るわけではありません。
ビタミンKの摂取量について指示を受けている人や、抗凝固薬を使用している人は、食べる量を自己判断で大きく変えず、医師や薬剤師の指示に従ってください。
セリとドクゼリの違い
ドクゼリはセリと同じセリ科の多年草です。湿地や水辺に生え、若い葉がセリに似ています。
ドクゼリは全草に強い毒を持ち、誤食すると死亡する危険があります。特に芽が出たばかりの時期は判別が難しいため、少しでも不明な点があれば採取してはいけません。
セリの特徴
春先の株は比較的小さい
葉柄は比較的短い
草丈は通常20~60cmほど
白く細いひげ根を出す
地面をはうようなほふく茎がある
葉を揉むと特有の香りがする
ドクゼリの特徴
春の芽出し時から大型になりやすい
葉柄が長い
草丈は60~100cmほどになる
根元に太い地下茎がある
地下茎はタケノコのような節状になる
地下茎の内部に空洞がある
セリとは異なる香りがする
茎、葉、花、地下部のすべてに強い毒がある
外見や香りは生育段階によって変化します。「背が低いからセリ」「よい香りがするから安全」といった一つの特徴だけでは判断できません。
ドクゼリを食べるとどうなる?
ドクゼリにはシクトキシンという強い毒性成分が含まれています。誤食すると、次のような症状が現れることがあります。
めまい
吐き気
嘔吐
下痢
大量の唾液
頻脈
けいれん
意識障害
呼吸困難
死亡する危険もあるため、加熱すれば食べられる植物ではありません。根、地下茎、茎、葉、花のすべてを食べてはいけません。
誤って食べた可能性がある場合は、症状がなくても速やかに医療機関や救急相談窓口へ連絡してください。無理に吐かせたり、自己判断で様子を見たりしないことが重要です。残っている植物や料理があれば、種類を確認する資料として保管します。
野生のセリを採取するときの注意点
確実に判断できない野草は、採らない、食べない、人に譲らないことが原則です。
野生のセリには、植物の取り違え以外にも次のような危険があります。
ドクゼリが混生している
タガラシなどの有毒植物が混入する
動物の排せつ物が付着している
農薬や除草剤が散布されている
生活排水で汚染されている
寄生虫や細菌が付着している
採取禁止区域である
私有地に無断で立ち入ることになる
食用には、流通している栽培品や、正しく入手した苗を自宅で育てたものを利用するのが安全です。
セリの育て方
セリは水を好むため、庭植えよりも、水分を管理しやすいプランターや容器栽培に向いています。
栽培に適した環境
セリの栽培環境は、次の条件を目安にします。
春と秋は日当たりのよい場所
夏は明るい半日陰
水もちのよい土
常に湿り気を保てる場所
真夏の強い西日を避けられる場所
風通しのよい場所
生育に適した温度はおおむね15~23℃です。高温と乾燥が続くと葉が硬くなり、生育が衰えます。
苗の選び方
家庭では種から育てるよりも、園芸店などで食用のセリ苗を購入する方法が簡単です。
苗を選ぶ際は、次の点を確認します。
葉が鮮やかな緑色をしている
茎が間延びしていない
葉に斑点や変色がない
株元が腐っていない
害虫がついていない
食用として販売されている
野外から採取した株を苗として持ち帰るのは、ドクゼリなどを取り違える危険があるため避けましょう。
植え付け時期
家庭栽培の植え付け適期は、主に春と秋です。
春植え:3~4月
秋植え:9~10月
地域の気温によって適期は前後します。暑さが厳しい時期や土が凍る時期の植え付けは避けます。
プランターへの植え付け方
底に穴があるプランターを使う場合は、深めの受け皿を組み合わせると水分を保ちやすくなります。
植え付け手順は次のとおりです。
水もちのよい培養土を容器に入れる
株間を10~15cmほど空ける
根を広げて浅めに植える
株元へ土を寄せる
植え付け後にたっぷり水を与える
受け皿に浅く水をためて乾燥を防ぐ
水をためる場合は、異臭や腐敗、害虫の発生を防ぐため、汚れた水を定期的に交換します。
水やり
セリ栽培では、水切れを防ぐことが最も重要です。
土の表面が乾く前に水を与える
夏は朝夕に状態を確認する
受け皿の水が腐らないよう交換する
極端に水温が上がる場所を避ける
葉ではなく株元へ水を与える
一般的な野菜のように土を乾かしてから水やりをする方法は、セリには向きません。
肥料の与え方
植え付け時に、野菜用培養土または少量の緩効性肥料を使用します。生育中は、葉色や伸び方を見ながら薄い液体肥料を与えます。
肥料が多すぎると、茎葉が柔らかくなりすぎたり、病害虫が発生しやすくなったりします。製品に記載された使用量を守りましょう。
夏越しと冬越し
セリは多年草ですが、真夏の高温と乾燥を苦手とします。
夏越しのポイントは次のとおりです。
午後の強い日差しを避ける
明るい半日陰へ移動する
水切れさせない
蒸れないよう傷んだ葉を取り除く
水温が上がりすぎないようにする
耐寒性は比較的あります。冬は地上部の成長が緩やかになりますが、地下部が生きていれば春に再び芽を出します。寒冷地では容器の凍結を避けて管理します。
セリの増やし方
セリは、ほふく茎を利用すると簡単に増やせます。
根が出ている節を含めて茎を切る
湿らせた土へ節を浅く植える
根づくまでは明るい日陰で管理する
水切れを防ぐ
新芽が伸び始めたら通常管理に戻す
根つきで販売されている食用セリから再生できる場合もあります。ただし、必ず生育するとは限らず、食用として再収穫する場合は清潔な容器と水を使用してください。
セリの収穫方法
草丈が10~20cmほどになり、茎葉が柔らかいうちが収穫の目安です。
株元から数cmを残して切る
外側の大きな茎から収穫する
一度にすべて刈り取らない
黄色くなった葉は取り除く
花茎が伸びる前に収穫する
株元と根を残しておけば、新芽が伸びて再び収穫できます。ただし、繰り返し収穫すると株が弱るため、肥料を少量補いながら休ませる期間も設けましょう。
セリの食べ方
セリの魅力は、独特の香りとシャキシャキした食感です。加熱しすぎると香りや歯触りが失われるため、短時間で火を通します。
代表的な食べ方は次のとおりです。
七草粥
セリ鍋
きりたんぽ鍋
おひたし
ごまあえ
白あえ
みそ汁
吸い物
天ぷら
卵とじ
炊き込みご飯
サラダ
生食する場合は、生食向けとして販売されている栽培品を使用し、流水で丁寧に洗います。野生のセリを生で食べることは避けましょう。
根セリの下処理
根セリは根の香りと歯触りも楽しめますが、泥が残りやすいため入念に洗います。
根元を水につけて泥を緩める
流水を当てながら根を広げる
根の間を指や柔らかいブラシで洗う
変色した部分や傷んだ根を取り除く
汚れがなくなるまで水を替える
商品に根も食用と表示されている栽培品を使用してください。
セリの保存方法
乾燥すると葉がしおれ、香りも失われやすくなります。購入後は早めに使用しましょう。
冷蔵保存の方法は次のとおりです。
湿らせたキッチンペーパーで包む
保存袋へ入れる
冷蔵庫の野菜室へ立てて保存する
数日以内を目安に食べ切る
長く保存したい場合は、短時間ゆでて水気を絞り、小分けにして冷凍できます。ただし、生の状態より食感は柔らかくなります。
セリに発生しやすい病害虫
湿度が高く、茎葉が混み合うと病気が発生しやすくなります。
注意したい病害虫は次のとおりです。
アブラムシ
ヨトウムシなどの食害性害虫
ハダニ
べと病
斑点病
軟腐病
菌核病
対策として、傷んだ葉を早めに取り除き、株を密集させすぎないようにします。食用部分へ農薬を使用する場合は、セリと使用場所に登録された製品を選び、使用時期、回数、濃度を必ず守ってください。
セリに関するよくある質問
セリは毎年育ちますか?
セリは多年草です。根やほふく茎が残っていれば、翌年も新芽を出します。ただし、容器内で根が混み合うと生育が悪くなるため、春または秋に株分けするとよいでしょう。
セリは日陰でも育ちますか?
明るい半日陰でも育ちます。春や秋は日当たりがよい場所、夏は強い日差しを避けた半日陰が適しています。
セリは水だけで育てられますか?
根つきの株を水に挿すと新芽が伸びることがあります。ただし、水だけでは長期的に必要な養分が不足します。繰り返し収穫する場合は、土や適切な水耕栽培用の培養液で管理します。
スーパーの根つきセリを植えられますか?
根元が健康なものなら再生する可能性があります。清潔な水で管理し、根が伸びたら湿った土へ植え付けます。ただし、商品や保存状態によっては根づきません。
セリの花が咲いても食べられますか?
花が咲いた株でも直ちに有毒になるわけではありませんが、茎葉が硬くなり、食感が落ちます。柔らかな葉を楽しむ場合は、花茎が伸びる前に収穫します。
野生のセリは食べられますか?
食用のセリであることを確実に確認できれば食用になりますが、ドクゼリなどの有毒植物と間違える事故があります。判別に少しでも不安がある場合は採取せず、市販の栽培品を利用してください。
ドクゼリは加熱すれば食べられますか?
食べられません。ドクゼリは全草に強い毒があり、加熱しても安全な食材にはなりません。
まとめ
セリは湿地や水辺を好むセリ科の多年草で、春の七草の一つです。独特の香りと歯触りがあり、七草粥、鍋物、おひたし、汁物などに利用できます。
覚えておきたいポイントは次のとおりです。
冬から春に旬を迎える
土が常に湿った環境を好む
ほふく茎を伸ばして増える
プランターや水耕栽培でも育てられる
若い茎葉は香りがよく、柔らかい
根セリは、栽培品の根まで食べる
ドクゼリと同じような場所に生える
ドクゼリは全草に猛毒を持つ
香りや葉だけで食用かどうかを判断しない
不明な野生植物は採取しない
家庭で楽しむ場合は、食用として販売されている苗や根つきの栽培品から育てると安心です。水切れを防ぎながら若い茎葉を収穫すれば、セリ特有のさわやかな香りを長く楽しめます。