ザーサイ(搾菜)の育て方|種まきから茎の肥大、収穫・食べ方まで解説
ザーサイの育て方|種まきから茎の肥大、収穫・食べ方まで解説
ザーサイは、こぶ状に太った茎を食べるアブラナ科の野菜です。中華料理の漬物としてよく知られていますが、収穫した生の茎は、炒め物やスープ、浅漬けなどにも利用できます。
家庭菜園で育てるときは、種まきの時期が重要です。気温や日長が生育に影響するため、早くまけば大きなこぶができるとは限りません。地域と品種に合った時期に育て、硬くなる前に収穫することが大切です。
この記事では、ザーサイの特徴と代表品種、種まきや植え付け、茎が太らない原因、収穫後の楽しみ方を紹介します。
ザーサイの基本情報
和名:ザーサイ(搾菜)
学名:Brassica juncea var. tumida
科名:アブラナ科
属名:アブラナ属
分類:カラシナの一変種
主な利用部位:肥大した茎、葉
原産地:中国
主な種まき時期:秋。地域や品種によって異なる
主な収穫時期:晩秋〜冬
好む環境:日当たりと水はけがよく、適度な水分のある場所
増やし方:種まき
ザーサイという名前は、野菜そのものと、それを加工した漬物の両方に使われます。家庭で収穫した茎には、市販の味付きザーサイのような塩味や香辛料の風味はついていません。
ザーサイの特徴と魅力
食べるこぶは根ではなく茎
ザーサイの特徴であるこぶ状の部分は、株元の茎が太ったものです。ダイコンやカブのように、土の中の根を太らせる野菜とは育ち方が異なります。
生育が進むと、葉の付け根が集まる部分がふくらみ、独特の形になります。こぶの形や大きさには品種差があり、必ずしも丸く育つとは限りません。
生の茎は歯ごたえを楽しめる
新鮮な茎は、コリコリとした食感とカラシナの仲間らしい風味があります。外側が硬い場合は皮や筋を取り除き、薄切りや細切りにして使います。
市販の漬物とは違う、収穫したての食感を楽しめることが家庭栽培の魅力です。
葉も料理に利用できる
葉も食用になり、炒め物や漬物などに使えます。若い葉は比較的やわらかく、大きく育った葉や葉柄は硬さを確認して調理しましょう。
ただし、茎の収穫を目指す栽培では、成長途中の葉を大量に摘まないことが大切です。葉がつくる養分が、茎の肥大を支えます。
ザーサイの代表的な品種
国内で扱われる品種は、一般的な葉物野菜ほど多くありません。種や苗の入手先によって名称や栽培案内が異なるため、購入時の説明も確認しましょう。
四川搾菜(筍タカナ)
大きな葉を広げ、株元の茎がこぶ状に太るタイプです。茎には特有の辛みと歯ごたえがあり、漬物や炒め物などに利用できます。生育条件によっては縦長になるため、地域に合った種まき時期を守ることが大切です。
力こぶザーサイ
比較的生育の早い早生タイプで、肥大した茎を浅漬けや炒め物などに利用できます。立性の草姿で、大きな緑の葉をつけます。大きくしすぎると内部の空洞化などが起こる場合があるため、適期収穫を心がけましょう。
貴州搾菜
肥大した茎を利用するザーサイで、神奈川県の栽培試験では「四川搾菜」よりやや扁平な形になる特徴が確認されています。形を比べて育てる楽しみもありますが、種の入手性と地域に合う栽培時期を確認して選びましょう。
ザーサイの栽培時期と環境
秋まきを基本に考える
ザーサイは、涼しくなる時期に葉と茎を育てる秋まきが基本です。ただし、適期には地域差と品種差があります。
例えば神奈川県の栽培試験では、9月中旬〜10月上旬の種まきが適期とされ、12月中旬〜2月上旬に収穫されています。この時期を全国共通の暦とせず、地域の気候に合わせて判断しましょう。
早まきと遅まきの両方に注意する
早くまきすぎると、条件によっては花茎が伸びる「とう立ち」が起こったり、茎が棒状に伸びたりします。
一方、遅すぎる種まきでは、株が十分に育つ前に寒くなり、茎が小さいままになることがあります。初めて育てる場合は、種袋や販売元の適期を優先してください。
日当たりと風通しを確保する
日照が不足すると、葉の生育や茎の肥大が悪くなります。大きな葉を広げる野菜なので、隣の株やほかの作物に覆われないように植えましょう。
株間を確保すると、葉が乾きやすくなり、病害虫の観察もしやすくなります。
強い凍結を避ける
秋冬に育てる野菜ですが、強い凍結に繰り返しさらす栽培は避けます。寒冷地では、秋冬の露地栽培が難しい場合もあります。
必要に応じて不織布などを利用し、食べごろに達した株は厳しい寒さの前に収穫しましょう。
ザーサイの土づくり
水もちと水はけを整える
ザーサイには、適度に水分を保ちながら、余分な水が抜ける土が適しています。
植え付け前に土を耕し、完熟堆肥を均一に混ぜます。雨のあとに水が長くたまる畑では、高畝にして排水を改善しましょう。
元肥は土全体に混ぜる
元肥は使用する肥料の表示量を基準にし、植え付け前に土へ混ぜ込みます。種や苗の根に肥料が集中して触れないようにします。
土の酸度調整が必要な場合は、事前に石灰を施します。市販の野菜用培養土を使う場合は、通常、最初から石灰を追加する必要はありません。
アブラナ科野菜の連作を避ける
キャベツ、ハクサイ、カラシナなどを続けて育てた場所では、共通する病害虫が問題になる場合があります。
可能であれば2〜3年程度間隔をあけ、ほかの科の野菜と組み合わせて輪作しましょう。病気が出た土では、さらに慎重に栽培場所を選びます。
ザーサイの種まきと育苗
直まきと移植栽培ができる
ザーサイは、収穫まで育てる場所に直接まく方法と、苗を育てて植え付ける方法の両方が使えます。
直まき:植え替え作業を減らせる
育苗:苗の管理をまとめて行いやすく、畑の準備と並行できる
どちらも、適期にまいて健全な株を育てることが基本です。
種には薄く土をかける
小さな種なので、深く埋めすぎないようにします。
種まき用土や畑の表面を細かく整える
土を適度に湿らせる
種を重ならないようにまく
種が隠れる程度に薄く土をかける
細かな水流でやさしく水を与える
コート種子など、特別な処理がされた種は、種袋の水やり方法や覆土の案内に従いましょう。
発芽後は混み合う苗を間引く
直まきでは、生育に合わせて段階的に間引き、最終的に一か所一株にします。
葉が重なったままでは光や養分を取り合います。生育がそろい、葉や茎に傷みのない株を残してください。
本葉4〜5枚ごろに植え付ける
育苗した場合は、本葉4〜5枚程度を一つの目安に植え付けます。育苗日数は気温や容器によって変わるため、日数だけで判断しないようにしましょう。
根鉢を崩さず、株元を深く埋めすぎないように植えます。株間は35〜45cm程度を目安に、品種に合わせて調整します。
ザーサイの水やりと追肥
極端な乾燥と過湿を避ける
植え付け後は、苗が根づくまで乾燥させすぎないようにします。活着後も、晴天が続いて土が強く乾く場合は水を補いましょう。
容器栽培では土量が限られるため、表面だけでなく少し下の湿り具合も確認します。水を与えるときは十分に与え、受け皿にはため続けないようにします。
生育を見ながら追肥する
株が育ってきたら、葉色や生育速度を確認して追肥します。肥料は株元から少し離して施し、表土へ浅くなじませます。
肥料不足は生育を妨げますが、急に大量の肥料を与えてもよく育つとは限りません。適量を守り、安定して育てることを目指しましょう。
健康な葉を残す
茎を太らせたい場合は、健康な葉を必要以上に取り除かないようにします。
傷んだ葉や地面に接して腐りかけた葉は整理しますが、葉を減らして茎へ養分を集めようとする強い摘葉は避けましょう。
ザーサイのプランター栽培
大きな株を支える容器を選ぶ
ザーサイは茎だけでなく葉も大きく育つため、葉物用の浅い容器より、土量に余裕のあるものが適しています。
容器:深さ25〜30cm程度以上の大型鉢やプランター
株数:一株の葉が広がる余裕を確保する
用土:水はけと保水性を備えた野菜用培養土
置き場所:日当たりがよく、強風を避けられる場所
排水:底穴を確保し、過湿を防ぐ
小さな容器に何株も植えると、茎が太りにくくなります。初めてなら、大きめの鉢で一株から育てると管理しやすくなります。
茎を太らせるための深い土寄せは不要
ザーサイのこぶは、株元の茎が肥大したものです。サトイモのように、いもの育つ空間を増やす目的で土寄せを繰り返す必要はありません。
株がぐらつく場合は根元を軽く支えますが、肥大する部分を深く埋め込まないようにしましょう。
ザーサイの病害虫と生育トラブル
苗の時期から防虫する
アブラナ科の野菜には、アオムシ、コナガ、アブラムシなどがつきやすくなります。苗のうちから防虫ネットを使うと、被害を抑えやすくなります。
ネットをかけたあとも葉裏を観察し、内部に害虫が入っていないか確認しましょう。
株元を切る害虫にも注意する
植え付け後の苗が地際で切れている場合は、ネキリムシ類などによる被害が考えられます。
被害株の周囲の土を確認し、原因を見つけて対処します。薬剤を使う場合は、ザーサイに適用する作物区分と使用条件を確認してください。
茎が太らない原因
こぶができない、または棒状のまま伸びる場合は、次の点を確認します。
種まき時期が地域や品種に合っているか
とう立ちが始まっていないか
日照が不足していないか
株間が狭すぎないか
水分や養分が不足していないか
まだ肥大が進む時期に達していないか
茎の形には品種差もあります。丸いこぶにならないという理由だけで、栽培に失敗したと判断する必要はありません。
空洞や筋が出る前に収穫する
収穫を遅らせて大きくしすぎると、茎の内部に空洞や褐変が生じたり、外側の筋が硬くなったりすることがあります。
大きさだけを目標にせず、品種の収穫目安と食感を重視しましょう。
ザーサイの収穫時期と方法
品種ごとの収穫サイズを確認する
茎の収穫目安は、品種や栽培条件によって異なります。販売元によって200〜500g程度など幅があるため、一律の重さを基準にしないようにします。
複数株を育てている場合は、一株を早めに収穫し、茎のやわらかさや内部の状態を確認すると、その後の収穫時期を判断しやすくなります。
肥大した茎の下で切り取る
収穫するときは、肥大部を傷つけないよう、その下で切り取るか、株ごと抜き取って根を整理します。
使いやすいように葉を分け、茎に残る葉柄や硬い部分を取り除きます。収穫した茎は、強くぶつけたり乾燥させすぎたりしないように扱いましょう。
とう立ち前に食べごろを見極める
花茎が伸び始めると、茎の食感が悪くなりやすくなります。小さめでも十分に利用できるため、とう立ちや品質低下が進む前に収穫しましょう。
ザーサイの保存方法と食べ方
生の茎は冷蔵して早めに使う
収穫後は葉と茎を分け、表面の水分を拭いて袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
切り口のあるものや皮をむいたものは傷みやすいため、優先して使いましょう。
硬い皮や筋を取り除く
茎の表面を洗い、包丁などで硬い皮と筋を取り除きます。特に根元側や葉柄の付け根は、硬さを確認してください。
皮の厚さは株ごとに異なるため、一定の厚さでむくより、食べたときに筋が残らないように調整します。
炒め物やスープで歯ごたえを楽しむ
炒め物:薄切りにして豚肉やきのこなどと炒める
スープ:細切りにして卵や豆腐と合わせる
浅漬け:薄切りにし、塩や好みの調味料で味をつける
あえ物:さっとゆで、ごま油やしょうゆなどであえる
葉の料理:やわらかい部分を炒め物や漬物に使う
生のザーサイには市販品のような塩味がないため、料理に合わせて調味します。
家庭では少量の浅漬けから楽しむ
市販のザーサイ漬けには、塩漬けや脱水、熟成などの工程を経たものがあります。
家庭で短時間漬けた浅漬けは、生鮮野菜と同じように冷蔵し、早めに食べ切りましょう。長期保存用の漬物を作る場合は、塩分や工程が明確な作り方に従います。
まとめ
ザーサイは、こぶ状に太った茎と独特の歯ごたえを楽しめる野菜です。栽培では、地域と品種に合った種まき時期を選ぶことが大切になります。
秋まきを基本に、地域に合った適期を確認する
大きな葉が広がる株間を確保する
乾燥と過湿を避け、安定して育てる
健康な葉を残して茎の肥大を支える
茎が硬くなる前に収穫する
生の茎や葉を、炒め物や浅漬けなどに利用する
漬物として知られるザーサイも、自分で育てると生鮮野菜としての魅力に出会えます。まずは少数株から始め、茎がふくらむ様子と採れたての食感を楽しみましょう。