スズメノカタビラとは?特徴や似た雑草との違い、芝生での駆除方法を解説
スズメノカタビラとは?特徴や似た雑草との違い、芝生での駆除方法を解説
秋から春にかけて、芝生や庭に明るい黄緑色の草がまとまって生えることがあります。小さな株から白緑色の穂を次々に出していれば、「スズメノカタビラ」かもしれません。
スズメノカタビラは、全国の畑や道端、芝生などに生えるイネ科の一年草または越年草です。小さいうちから種子をつけ、低く刈られても穂を出せるため、芝生では特に防除が難しい雑草とされています。
この記事では、スズメノカタビラの特徴や名前の由来、スズメノテッポウなどとの見分け方、庭・芝生・畑での駆除方法を解説します。
スズメノカタビラとは
スズメノカタビラは、イネ科イチゴツナギ属に分類される一年草または越年草です。
基本情報は次のとおりです。
和名:スズメノカタビラ(雀の帷子)
学名:Poa annua
科名:イネ科
属名:イチゴツナギ属
分類:一年草または越年草
草丈:約5~30cm
主な出穂時期:春
分布:北海道から沖縄
生育場所:庭、芝生、畑、水田周辺、道端、空き地など
一般的には秋に発芽し、小さな株で冬を越した後、春に穂を出します。ただし、気温や水分などの条件が整えば、ほかの季節にも発芽や出穂が見られます。
スズメノカタビラの名前の由来
「帷子」とは、裏地のない一重の着物のことです。
スズメノカタビラという名前は、小さな小穂の形や、薄い部分が重なった様子を、スズメが着る小さな帷子に見立てたものとされています。
名前を分けると、次のような意味になります。
スズメ:小さいことを表す
カタビラ:裏地のない一重の着物
名前にスズメがついていますが、スズメだけが利用する植物という意味ではありません。
スズメノカタビラの特徴
葉は明るい黄緑色
スズメノカタビラの葉は、芝草より明るい黄緑色に見えることがあります。
葉の特徴は次のとおりです。
長さは数cmから10cm程度
幅は約2~4mm
柔らかく毛がない
中央で二つ折りになる
断面がV字形に見える
葉先が舟のへさきのような形になる
表面に細い溝がある
葉の付け根に白い葉舌がある
葉先は鋭くとがらず、先端が少しくぼんだ舟形になります。これはイチゴツナギ属の植物を見分ける重要な特徴です。
株元から多数の茎を出す
スズメノカタビラは株元で枝分かれし、まとまった株になります。
茎の特徴は次のとおりです。
地際から多数に分げつする
根元付近が扁平
茎や葉が柔らかい
低く刈られても小さな穂を出す
湿った場所では株が大きくなりやすい
踏みつけのある場所にも生育する
芝生では一株が横へ広がり、周囲の芝草を押しのけることがあります。
円錐状の穂をつける
茎の先には、枝がまばらに広がる円錐状の花序をつけます。
穂の特徴は次のとおりです。
長さは約3~8cm
全体は三角形や卵形に見える
細い枝が横へ広がる
下側の枝が垂れることがある
枝先に小さな小穂をつける
小穂は緑白色
成熟すると紫色を帯びる場合がある
小さな株でも穂を出す
花びらのある目立つ花ではありません。穂から雄しべが出ると、白色や淡黄色の点がついたように見えます。
根は浅く、細いひげ根が多い
地下部には細いひげ根があり、比較的浅い場所へ広がります。
根の特徴は次のとおりです。
太い直根を持たない
地表近くへ細い根を張る
湿った土では抜きやすい
乾燥して硬い土では根が切れやすい
一般的な一年型は種子で増える
通常は根から大きく再生する植物ではありません。ただし、芝地などには節から発根する多年生型が見られることもあります。
スズメノカタビラの生育サイクル
一般的なスズメノカタビラは、秋に発芽して春に種子をつける越年型の生育をします。
生育の流れは次のとおりです。
秋に種子が発芽する
株元から葉を増やす
小さな株で冬を越す
春に多数の穂を出す
短期間で種子をつくる
初夏の高温や乾燥で枯れる
土に残った種子が次の発芽時期を待つ
涼しく湿った環境では、春以外にも発芽や出穂を繰り返す場合があります。年間を通して水分が供給される芝生では、夏にも残ることがあります。
スズメノカタビラが増えやすい場所
スズメノカタビラは、日当たりがよく、適度に湿った場所を好みます。
特に増えやすい環境は次のとおりです。
水はけの悪い芝生
頻繁に散水される場所
土が踏み固められた場所
芝が薄くなった裸地
肥料が多い場所
畑や庭の耕した直後
植物がなく地面へ光が当たる場所
芝を極端に短く刈っている場所
耕起や除草によって裸地ができると、土の浅い位置にある種子が発芽しやすくなります。
スズメノカタビラとスズメノテッポウの違い
スズメノテッポウは、春の水田や湿った畑などに生えるイネ科の越年草です。
最もわかりやすい違いは、穂の形です。
スズメノカタビラの特徴
穂が円錐状に広がる
穂の枝がまばら
葉先が舟形
株元が扁平
庭、芝生、道端など幅広い場所に生える
草丈は約5~30cm
スズメノテッポウの特徴
穂が細い円柱形
小穂が密集している
鉄砲のような形に見える
水田や湿った畑に多い
茎がまっすぐ立つ
草丈は約20~40cm
穂が三角形にふんわり広がっていればスズメノカタビラ、細長く詰まっていればスズメノテッポウの可能性があります。
スズメノカタビラとイヌムギの違い
イヌムギも、秋から春に目立つイネ科植物です。
イヌムギの特徴は次のとおりです。
草丈が50cm以上になる
葉の幅が広い
穂が大きく垂れ下がる
平たい小穂が多数つく
道端や堤防、荒れ地に多い
一年草または多年草
スズメノカタビラは草丈30cm以下の小型株が多く、穂も細かく小さいため、成長した状態なら見分けやすいでしょう。
スズメノカタビラと芝生の違い
芝生に生えたスズメノカタビラは、葉だけでは見分けにくいことがあります。
見つけるポイントは次のとおりです。
周囲の芝より黄緑色に見える
株状にまとまって生える
葉が柔らかい
葉先が舟形
春に白っぽい小さな穂が多数出る
短く刈ってもすぐに穂を出す
夏に枯れて茶色い穴ができることがある
日本芝は冬に休眠して褐色になりますが、スズメノカタビラは冬も緑色を保つことがあります。そのため、冬の芝生に現れる鮮やかな緑色の株はよく目立ちます。
西洋芝にはスズメノカタビラと同じイチゴツナギ属の種類もあるため、葉だけでの識別が難しい場合があります。
スズメノカタビラは外来種?
スズメノカタビラは世界の温帯から暖帯に広く分布しています。日本には古い時代から定着しており、麦などの栽培とともに入った史前帰化植物とする見解があります。
また、日本で見られるスズメノカタビラには複数の系統が含まれ、在来系統と外来系統の関係について研究が続けられています。
現在は北海道から沖縄まで分布し、身近なイネ科植物の一つになっています。
スズメノカタビラは食べられる?
スズメノカタビラは、一般的な食用植物ではありません。
野外の株を食べることは、次の理由からおすすめできません。
食用として栽培、管理されていない
ほかのイネ科植物と間違える可能性がある
除草剤や農薬が付着している場合がある
動物の排せつ物などで汚染されている可能性がある
葉や穂が口内を刺激することがある
イネ科花粉に反応する人がいる
犬や猫が少量の葉をかじることがありますが、積極的に食べさせる植物ではありません。食後に嘔吐などの異変が見られる場合は、動物病院へ相談してください。
庭に生えたスズメノカタビラの駆除方法
スズメノカタビラは、小さいうちに根から抜くのが基本です。種子をつける前に取り除けば、翌年以降の発生を減らせます。
秋から早春に抜き取る
秋に発芽した株は、春になる前であればまだ小さく、穂もついていません。
作業のポイントは次のとおりです。
雨の翌日など、土が湿った日に抜く
葉ではなく株元を持つ
根を残さないよう真上へ引く
大株には除草フォークを使う
抜いた株を土の上へ放置しない
数週間後に新しい株を確認する
根は比較的浅いため、湿った土なら手で抜き取れることが多いでしょう。
穂が出る前に除草する
スズメノカタビラは、草丈が低い状態でも穂を出します。
白緑色の穂が見えたら、すでに種子をつくり始めている可能性があります。穂だけを切るのではなく、株ごと抜き取りましょう。
すでに成熟した穂がある場合は、次のように扱います。
穂を揺らさない
株全体へ袋をかぶせる
根元から静かに抜く
穂と株を袋へ入れる
地域の分別方法に従って処分する
土の排水性を改善する
スズメノカタビラは、湿った場所で増えやすい傾向があります。
排水を改善する方法は次のとおりです。
水たまりができる場所を補修する
硬く締まった土を適切にほぐす
芝生にエアレーションを行う
排水路を確保する
過剰な水やりを避ける
自動散水の時間と範囲を見直す
ただし、土をほぐすと埋まっていた種子が表面に出る場合があります。作業後は新しい発芽がないか確認しましょう。
裸地を減らす
スズメノカタビラは、ほかの植物が少なく、地面へ光が当たる場所で発芽しやすくなります。
予防方法は次のとおりです。
花壇をマルチングする
防草シートを利用する
芝生の薄い部分を補修する
適切な密度で地被植物を育てる
通路の土を裸のままにしない
防草シートの穴や継ぎ目をふさぐ
芝生に生えたスズメノカタビラの駆除方法
スズメノカタビラは芝生と同じイネ科なので、芝を残しながら除草するのが難しい植物です。
小さな株を手で抜く
発生数が少ない場合は、手作業が確実です。
株元を確認する
除草フォークを差し込む
根鉢ごと持ち上げる
穂がある株は袋へ入れる
抜いた穴へ目土を入れる
周囲の芝を補修する
種子を落とす前に抜くことが重要です。
芝を適切な高さで刈る
スズメノカタビラは低刈りに適応し、低い位置でも穂を出します。芝を必要以上に短く刈ると地面へ光が届き、発芽しやすくなる場合があります。
芝の種類に合った高さを保ち、一度に葉を刈りすぎないようにしましょう。
水や肥料を与えすぎない
頻繁な浅い水やりや過剰な施肥は、スズメノカタビラを増やす原因になることがあります。
管理のポイントは次のとおりです。
芝の種類に合った頻度で水を与える
毎日少量ずつ水をまく管理を見直す
土壌の乾き具合を確認する
肥料を表示量以上に与えない
涼しい時期の過剰な窒素肥料を避ける
水はけの悪い場所を改善する
芝生用除草剤を使用する
発生数が多い場合は、芝生の種類とスズメノカタビラの両方に適合する除草剤を検討します。
除草剤には、大きく分けて次のタイプがあります。
発芽前に土へ処理するタイプ
発芽直後の小さな株へ使用するタイプ
生育中の株へ使用するタイプ
使用時の注意点は次のとおりです。
日本芝と西洋芝を区別する
スズメノカタビラへの適用を確認する
芝の品種ごとの使用条件を確認する
種まきやオーバーシードとの間隔を確認する
ラベルに記載された使用量と回数を守る
高温時や芝が弱っているときの使用を避ける
子どもやペットを近づけない
適用のない製品を使うと、スズメノカタビラだけでなく芝も枯れる可能性があります。
畑のスズメノカタビラ対策
畑では、秋に発芽した株を春までに取り除きます。
対策のポイントは次のとおりです。
作物を植える前に発生株を除去する
小さいうちに中耕する
穂が出る前に抜き取る
畝の間や通路も管理する
種子をつけた株を畑へ放置しない
使用する農機具から土や種子を落とす
作物に登録のある除草剤だけを使用する
収穫後の裸地を長期間放置しない
成熟した株を耕すと、種子を畑全体へ広げる可能性があります。穂をつけた株は、耕起前に回収しましょう。
スズメノカタビラを増やさないための予防法
スズメノカタビラの種子は、土の中で数年間生き残ることがあります。そのため、継続的な管理が必要です。
予防のポイントは次のとおりです。
秋から庭や芝生を定期的に確認する
黄緑色の小さな株を早めに抜く
穂が出る前に除草する
種子をつけた株を放置しない
水はけを改善する
過剰な散水や施肥を避ける
芝生を適切な高さと密度で維持する
花壇や裸地をマルチングする
数年間継続して発生を確認する
一度の除草で見えなくなっても、土の中には種子が残っている可能性があります。新しい株を見つけるたびに取り除きましょう。
スズメノカタビラを庭で育ててもよい?
スズメノカタビラは身近な野草ですが、一般的な観賞植物ではありません。
積極的な栽培に向かない理由は次のとおりです。
小さいうちから多数の種子をつける
庭や芝生へ広がりやすい
季節によって枯れて斑点状の裸地を残す
ほかの芝草と競合する
一度広がると防除に時間がかかる
観察する場合は生えている場所で確認し、成熟した穂や種子を別の場所へ運ばないようにしましょう。
スズメノカタビラに関するよくある質問
スズメノカタビラは一年草ですか?
一般的には一年草または越年草です。秋に発芽し、春に種子をつけて枯れる株が多く見られます。
ただし、芝地などには多年生型が見られる場合もあります。
スズメノカタビラはいつ生えますか?
主に秋に発芽します。涼しく湿った条件では、秋以外にも発芽することがあります。
スズメノカタビラの穂はいつ出ますか?
春に出ることが多いものの、温暖な地域や管理された芝生では、ほかの季節にも穂をつける場合があります。
スズメノカタビラはなぜ芝生に増えるのですか?
低い刈り込み、頻繁な散水、土の締まり、水はけの悪さ、芝の密度低下などに適応できるためです。
スズメノカタビラは芝刈りで駆除できますか?
芝刈りだけでの駆除は困難です。低い状態でも穂を出すため、株元から抜き取るか、芝生に適用のある除草剤を使用します。
スズメノカタビラは食べられますか?
一般的な食用植物ではありません。野外の株を食べることは避けてください。
スズメノカタビラは抜いてもまた生えますか?
抜いた後に新しい株が生えるのは、土の中に残っていた種子が発芽した可能性があります。数年間、種子をつけさせない管理を続けましょう。
冬の芝生にある緑色の株はスズメノカタビラですか?
その可能性はあります。日本芝が褐色になる冬に、明るい緑色の株として目立ちます。ただし、ほかの冬雑草もあるため、舟形の葉先や穂を確認してください。
まとめ
スズメノカタビラは、日本全国の庭、芝生、畑、道端などに生えるイネ科の一年草または越年草です。
主な特徴は次のとおりです。
草丈は約5~30cm
葉は明るい黄緑色
葉が中央で二つ折りになる
葉先が舟のへさき状になる
株元から多数の茎を出す
円錐状に広がる白緑色の穂をつける
秋に発芽して春に出穂する株が多い
小さな株でも種子をつくる
低い刈り込みに適応できる
芝生では防除が難しい
駆除の基本は、秋から早春の小さな株を、穂が出る前に根から抜くことです。
芝生では、適切な刈り込み、水やり、施肥によって芝の密度を保ち、水はけや土の締まりも改善します。種子は土の中で数年間残ることがあるため、発生するたびに早めの除草を続けましょう。