コマツヨイグサとは?花や葉の特徴、マツヨイグサとの違い、駆除方法を解説
コマツヨイグサとは?花や葉の特徴、マツヨイグサとの違い、駆除方法を解説
夕方になると黄色い花を開き、翌朝にはしぼむ「コマツヨイグサ」。海岸や河原、道端などの乾いた場所で、地面をはうように生える植物です。
小さくかわいらしい花を咲かせますが、北アメリカを原産とする外来植物です。砂丘などでは在来植物と競合する可能性があるため、種子を周囲へ広げないよう注意する必要があります。
この記事では、コマツヨイグサの特徴や名前の由来、マツヨイグサ類との見分け方、外来種としての性質、庭や芝生での駆除方法を解説します。
コマツヨイグサとは
コマツヨイグサは、アカバナ科マツヨイグサ属に分類される一年草または越年草です。
基本情報は次のとおりです。
和名:コマツヨイグサ(小待宵草)
別名:キレハマツヨイグサ
学名:Oenothera laciniata
科名:アカバナ科
属名:マツヨイグサ属
分類:一年草または越年草
草丈:約20~60cm
開花時期:主に4~11月
花色:淡黄色
原産地:北アメリカ
分布:日本各地
生育場所:海岸、砂丘、河原、道端、空き地、畑など
生育環境によって草姿が変わります。地面をはうように広がることが多い一方、周囲に植物が多い場所では、茎を斜め上へ伸ばすこともあります。
コマツヨイグサの名前の由来
マツヨイグサの仲間は、夕方から夜にかけて花を開きます。宵を待って咲くように見えることから、「待宵草」と名づけられました。
コマツヨイグサは、ほかのマツヨイグサ類より花や草姿が小さいことから「小待宵草」と呼ばれます。
名前を分けると、次のような意味になります。
コ:花や草姿が小さい
マツ:待つ
ヨイ:夕方から夜にかけての時間
グサ:草
葉に大きな切れ込みがあるため、「キレハマツヨイグサ」と呼ばれることもあります。
コマツヨイグサの特徴
地面をはうように茎を広げる
コマツヨイグサの茎は、根元から枝分かれして地面をはうように伸びます。
茎の特徴は次のとおりです。
根元から複数に枝分かれする
地面をはうか斜め上に伸びる
長さは約20~60cm
表面に粗い毛がある
日当たりのよい場所で横に広がる
砂に埋もれながら成長できる
草刈りを受ける場所では、地面へ張りつくような低い姿になりやすく、刈り取りを逃れて花や種子をつけることがあります。
葉に深い切れ込みがある
葉は細長く、羽状に深く切れ込むものが多く見られます。
葉の特徴は次のとおりです。
長さは約2~10cm
茎に互い違いにつく
細長い倒披針形から長楕円形
羽状に深く裂ける
縁が波打つだけの葉もある
表面に毛がある
若い株ではロゼット状になる
葉の形には大きな個体差があります。切れ込みの深い葉だけでなく、縁に浅い鋸歯がある程度の葉も見られます。
夕方に淡黄色の花を咲かせる
コマツヨイグサは、葉の付け根に直径約1~3cmの花をつけます。
花の特徴は次のとおりです。
花びらは4枚
花色は淡い黄色
花びらの先端が少しくぼむ
夕方から夜に開く
翌朝にはしぼむ
しぼんだ花が黄赤色や朱色を帯びる
雄しべは8本
雌しべの先端は4つに分かれる
基本的には一日花です。気温が低い日や曇りの日には、朝になっても開いた花が残ることがあります。
細長い果実をつける
花の後には、細長い円柱形の果実ができます。
果実の特徴は次のとおりです。
長さは約2~3cm
円柱形
表面に浅い4本の溝がある
上向きの短い毛がある
成熟すると茶褐色になる
内部に多数の種子が入る
熟すと先端から裂けて種子を落とす
果実を放置すると、周囲へ多くの種子が落ちます。庭で増やしたくない場合は、花が終わる前後に株を取り除きましょう。
太い直根を伸ばす
コマツヨイグサは、ゴボウのように地中へ伸びる直根を持ちます。
根の特徴は次のとおりです。
主根が地中へまっすぐ伸びる
乾燥した砂地に適応している
成長した株は抜きにくい
根を傷つけると移植後の生育が悪くなる
地下茎や塊茎はつくらない
種子ができる前に根から抜けば、その株から翌年再生することは基本的にありません。
コマツヨイグサの生育サイクル
コマツヨイグサは、生育条件によって一年草または越年草になります。
一般的な生育の流れは次のとおりです。
春または秋に発芽する
秋に発芽した株はロゼット状で冬を越す
春に茎を伸ばす
春から秋に花を咲かせる
花の後に細長い果実をつける
成熟した種子を周囲へ落とす
結実後に株が枯れる
地面に残った種子が翌年以降に発芽する
暖かい地域では開花期間が長く、春から晩秋まで花が見られることがあります。
コマツヨイグサは外来種?
コマツヨイグサは、北アメリカを原産とする外来植物です。日本では明治時代末期から大正時代ごろに確認され、その後各地へ広がりました。
侵入しやすい場所は次のとおりです。
海岸の砂丘
河原の砂地
造成地
空き地
道路の法面
耕作放棄地
果樹園
庭や芝生の裸地
特に、土壌がかく乱され、ほかの植物が少ない場所へ入り込みやすい性質があります。
砂丘では在来の海浜植物と生育場所を奪い合う可能性があります。自然の海岸で見つけても、種子や株を別の場所へ持ち帰らないようにしましょう。
コマツヨイグサとマツヨイグサの違い
コマツヨイグサとマツヨイグサは、どちらも夕方に黄色い花を開きます。
見分けるときは、茎の伸び方、葉の切れ込み、花の大きさを確認します。
コマツヨイグサの特徴
茎が地面をはうか斜め上に伸びる
草丈は約20~60cm
葉が羽状に深く裂ける
花の直径は約1~3cm
花は淡黄色
しぼむと黄赤色や朱色を帯びる
海岸や河原の砂地に多い
マツヨイグサの特徴
茎が直立する
草丈は約30~100cm
葉は細長く、深く裂けない
花の直径は約3~5cm
花は黄色
しぼむと赤みを帯びる
道端や荒れ地などに生える
地面をはう草姿と、深く切れ込んだ葉がそろっていれば、コマツヨイグサの可能性が高いでしょう。
コマツヨイグサとメマツヨイグサの違い
メマツヨイグサは、道端や荒れ地でよく見られる大型の外来植物です。
メマツヨイグサの特徴は次のとおりです。
茎が直立する
草丈が50cmから1.5mほどになる
葉は長楕円形
葉は羽状に深く裂けない
花の直径は約2~5cm
しぼんだ花は強く赤変しない
茎の上部へ多数の花をつける
コマツヨイグサは地面をはうか斜めに伸び、葉に大きな切れ込みがあります。人の腰ほどまで高く直立している場合は、メマツヨイグサの可能性があります。
コマツヨイグサとオオマツヨイグサの違い
オオマツヨイグサは、マツヨイグサ類の中でも特に大きな花を咲かせます。
オオマツヨイグサの特徴は次のとおりです。
草丈が1m前後になる
茎が直立する
花の直径が約6~8cm
鮮やかな黄色い花を咲かせる
しぼんでも強く赤変しない
葉に深い切れ込みがない
花が大きく、茎が高く直立するため、小型で地面をはうコマツヨイグサとは比較的見分けやすいでしょう。
コマツヨイグサとツキミソウの違い
コマツヨイグサを含むマツヨイグサ属の植物が、まとめて「月見草」と呼ばれることがあります。しかし、本来のツキミソウは白い花を咲かせる別種です。
本来のツキミソウの特徴は次のとおりです。
花は咲き始めが白色
時間がたつと淡紅色になる
花の直径は約4~5cm
茎は低く広がる
観賞用として栽培される
野外で見かける機会は少ない
黄色い花を咲かせるコマツヨイグサは、本来のツキミソウとは異なります。
コマツヨイグサはなぜ夜に咲く?
コマツヨイグサは、夕方から夜に活動する昆虫に花粉を運んでもらう性質を持っています。
夜に咲く花には、次のような特徴があります。
暗い場所でも目立つ淡黄色の花
夕方に花を開く
香りによって昆虫を引き寄せる
夜行性のガなどが訪れる
翌朝には花を閉じる
昆虫が訪れない場合でも、コマツヨイグサは自家受粉によって種子をつくることがあります。
コマツヨイグサは食べられる?
コマツヨイグサは、一般的な食用植物ではありません。
マツヨイグサ属には、根や種子油などが利用される種類もありますが、野外に生えているコマツヨイグサを自己判断で食用にすることはおすすめできません。
主な理由は次のとおりです。
食用として栽培、管理されていない
マツヨイグサ属には似た種類が多い
農薬や除草剤が付着している場合がある
海岸や道路沿いでは汚染の可能性がある
食用利用される種類と同じ品質ではない
外来植物の種子を運ぶ原因になる
観察や撮影にとどめ、株や種子を持ち帰らないようにしましょう。
コマツヨイグサを庭で育ててもよい?
黄色い花には観賞価値がありますが、コマツヨイグサを積極的に栽培することはおすすめできません。
主な理由は次のとおりです。
外来植物である
多数の種子をつくる
庭の外へ広がる可能性がある
海岸の在来植物と競合するおそれがある
地面をはって芝生や花壇へ入り込む
一度種子が落ちると翌年以降も発芽する
すでに庭に生えている株を一時的に観察する場合も、果実が成熟する前に取り除きましょう。
庭に生えたコマツヨイグサの駆除方法
コマツヨイグサは一年草または越年草なので、種子ができる前に根から抜くことが基本です。
ロゼットの時期に抜く
秋から早春の株は、葉を地面へ広げたロゼット状になっています。
この時期に除草するメリットは次のとおりです。
株が小さく扱いやすい
花や種子がまだできていない
周囲の植物が少なく見つけやすい
茎が広がる前に取り除ける
種子の拡散を防げる
土が湿っている日に、除草フォークや移植ごてで根元を掘り取ります。
太い直根まで掘り取る
成長した株は直根を深く伸ばしているため、茎を引っ張るだけでは途中で切れることがあります。
作業のポイントは次のとおりです。
園芸用手袋を着用する
株の中心を確認する
根元の周囲へ道具を差し込む
土を深めにほぐす
直根を途中で切らないように抜く
抜いた株を地面へ放置しない
根が途中で切れても、地下茎のように広範囲から再生する植物ではありません。ただし、株元が残っていると再び葉を伸ばす場合があります。
花や果実がある株を先に回収する
花が咲いている株には、すでに果実ができている場合があります。
種子を落とさないため、次の手順で作業します。
株全体へ袋をかぶせる
果実を揺らさない
根元から静かに抜く
花や果実を袋へ入れる
地域の分別方法に従って処分する
成熟した果実をつけた株を、そのまま堆肥へ混ぜるのは避けましょう。
草刈りを繰り返す
広い範囲に群生している場合は、花や果実ができる前に刈り取ります。
ただし、コマツヨイグサは地面をはうため、高い位置での草刈りでは茎が残ります。
草刈りでは次の点を意識しましょう。
できるだけ地面に近い位置で刈る
開花前に作業する
刈り草を回収する
数週間後に再生を確認する
再び伸びた株を繰り返し刈る
最後は株元と根を掘り取る
マルチングで発芽を抑える
花壇や家庭菜園では、土の表面を覆うことで発芽を抑えられます。
利用できる方法は次のとおりです。
家庭菜園用マルチを張る
防草シートを敷く
バークチップを十分な厚さで敷く
砂利の下に防草シートを施工する
シートの端や継ぎ目をふさぐ
コマツヨイグサは裸地へ侵入しやすいため、土が露出する範囲を減らすことが予防につながります。
除草剤を使用する
広範囲に発生している場合は、一年生または越年生の広葉雑草に対応し、使用場所に適合する除草剤を検討します。
使用時の注意点は次のとおりです。
対象雑草と使用場所を確認する
農耕地用と非農耕地用を区別する
作物ごとの使用条件を守る
ラベルに記載された使用量を守る
周囲の植物へ薬液をかけない
強風や雨の日を避ける
子どもやペットを近づけない
自然の海岸、河原、砂丘では、個人の判断で除草剤を使用してはいけません。土地の管理者へ相談してください。
芝生に生えたコマツヨイグサの駆除方法
芝生では、地面をはう茎が芝の間へ入り込みます。高い位置で芝刈りをしても、株元が残りやすい植物です。
対策の手順は次のとおりです。
深く切れ込んだ葉を探す
茎をたどって株の中心を見つける
除草フォークで直根を持ち上げる
花や果実ができる前に抜く
抜いた場所へ目土を入れる
芝が薄い部分を補修する
芝生に使用できる除草剤だけを選ぶ
芝が薄く土の見えている場所では発芽しやすくなります。芝を健全に育て、裸地を減らすことも重要です。
コマツヨイグサを増やさないための予防法
コマツヨイグサを減らすには、種子を新たに落とさせないことが最も重要です。
予防のポイントは次のとおりです。
秋から春にロゼットを探す
小さな株のうちに抜く
黄色い花を見つけたら早めに除草する
細長い果実をつけた株を放置しない
花壇や家庭菜園をマルチングする
芝生の裸地を補修する
造成後の裸地を長期間放置しない
抜いた株や種子を別の場所へ運ばない
数年間継続して発生を確認する
土の中に種子が残っていると、除草後も新しい株が生えてきます。一度の作業で終わらせず、発生するたびに取り除きましょう。
コマツヨイグサに関するよくある質問
コマツヨイグサはいつ咲きますか?
主に春から秋に咲きます。暖かい地域では4~11月ごろまで花が見られることがあります。
コマツヨイグサは何時ごろ咲きますか?
夕方から夜にかけて花を開き、翌朝にはしぼむのが一般的です。曇天や気温の低い日には、朝でも開いた花が残る場合があります。
コマツヨイグサは多年草ですか?
一般的には一年草または越年草です。結実後に株は枯れますが、落ちた種子から翌年以降も発芽します。
コマツヨイグサは外来種ですか?
北アメリカを原産とする外来植物です。現在は日本各地の海岸、河原、道端などに定着しています。
コマツヨイグサと月見草は同じですか?
本来のツキミソウとは別の植物です。コマツヨイグサは淡黄色の花を咲かせますが、本来のツキミソウは白い花を咲かせ、しだいに淡紅色へ変化します。
コマツヨイグサは食べられますか?
一般的な食用植物ではありません。野外の株を自己判断で食べることは避けてください。
コマツヨイグサは抜いてもまた生えますか?
根から抜いた同じ株が大きく再生することは多くありません。後から生えてくるのは、土に残っていた種子が発芽した可能性があります。
自然の海岸で抜いてもよいですか?
個人の判断では抜かないでください。海岸や砂丘には希少な植物が生育していることがあり、土地の管理や保全計画に基づいた作業が必要です。
まとめ
コマツヨイグサは、夕方に淡黄色の花を開くアカバナ科の一年草または越年草です。北アメリカを原産とし、日本各地の海岸、河原、道端などに定着しています。
主な特徴は次のとおりです。
茎が地面をはうか斜め上へ伸びる
草丈は約20~60cm
葉が羽状に深く切れ込む
花びらは4枚
花の直径は約1~3cm
夕方に咲き、翌朝しぼむ
しぼんだ花が黄赤色や朱色になる
細長い円柱形の果実をつける
太い直根を持つ
北アメリカ原産の外来植物
庭や芝生での駆除は、ロゼット状の小さな株を見つけ、花や種子ができる前に直根から抜くのが基本です。
自然の砂丘では在来植物と競合する可能性があります。株や種子を別の場所へ持ち帰らず、自然環境での除去は土地の管理者や保全団体の方針に従いましょう。