カヤツリグサとは?特徴や名前の由来、似た雑草との違い、駆除方法を解説
カヤツリグサとは?特徴や名前の由来、似た雑草との違い、駆除方法を解説
夏になると、庭や畑に細長い葉を伸ばし、茎の先へ黄褐色の穂を広げる植物が生えてくることがあります。この植物が「カヤツリグサ」です。
カヤツリグサは、畑や道端などに生えるカヤツリグサ科の一年草です。イネ科植物に似ていますが、茎の断面が三角形になるという特徴があります。多数の種子をつくるため、庭や畑で増やしたくない場合は穂が出る前の除草が大切です。
この記事では、カヤツリグサの特徴や名前の由来、イネ科植物やハマスゲとの見分け方、庭・芝生・畑での駆除方法を解説します。
カヤツリグサとは
カヤツリグサは、カヤツリグサ科カヤツリグサ属に分類される一年草です。日当たりのよい畑や庭、道端などに生育します。
基本情報は次のとおりです。
和名:カヤツリグサ(蚊帳吊草)
学名:Cyperus microiria
科名:カヤツリグサ科
属名:カヤツリグサ属
分類:一年草
草丈:約20~50cm
開花時期:主に7~10月
穂の色:黄褐色
分布:日本各地
生育場所:畑、庭、道端、空き地、河川敷など
カヤツリグサ科には非常に多くの種類があります。「カヤツリグサ」という言葉が、特定の植物ではなく、カヤツリグサ科やカヤツリグサ属の植物全体を指して使われることもあります。
カヤツリグサの名前の由来
カヤツリグサという名前は、茎を使った昔の草遊びに由来します。
三角形の茎を両端から向きを変えて裂くと、中央に四角形ができます。その形が、蚊帳を吊った姿に見えることから「蚊帳吊草」と呼ばれるようになったとされています。
名前を分けると、次のような意味になります。
カヤ:蚊を避けるために寝床へ吊るす蚊帳
ツリ:蚊帳を吊ったような形
グサ:草
茎を裂くときは指を傷つけないよう注意し、採取が禁止されている場所では植物を傷つけないようにしましょう。
カヤツリグサの特徴
茎の断面が三角形
カヤツリグサの最もわかりやすい特徴は、茎の断面が三角形になることです。
茎には次のような特徴があります。
細長く直立する
断面が三角形
中が詰まっている
表面は比較的なめらか
途中に目立つ節がない
茎の先端に花序をつける
指先で茎を軽く転がすと、三つの角を感じられます。ただし、似た特徴を持つカヤツリグサ科植物は多いため、三角形の茎だけで種類までは確定できません。
葉は細長く、株元から伸びる
葉は細長い線形で、主に株元から伸びます。
葉の特徴は次のとおりです。
細長く先端がとがる
やや柔らかい
茎と同じ程度か、それより短い
株元で茎を包む
葉鞘に白色や紫色の筋が見られる
平行な葉脈が走る
外見はイネ科植物に似ていますが、茎の形や節の有無を確認すると見分けやすくなります。
茎の先に黄褐色の穂を広げる
夏から秋になると、茎の先端に複数の枝を広げ、その先へ細長い小穂をつけます。
花序の特徴は次のとおりです。
茎の先端から複数の枝を出す
枝は傘の骨のように広がる
枝先に多数の小穂をつける
小穂は細長い
小穂の色は黄褐色
鱗片が2列に並ぶ
花びらは目立たない
穂の下には、葉のような長い苞が数枚つきます。この苞が花序より長く伸びることもあります。
地下に塊茎をつくらない
カヤツリグサの地下部には、細いひげ根があります。ハマスゲのような地下茎や塊茎は基本的につくりません。
地下部の特徴は次のとおりです。
細いひげ根がある
地下茎を長く伸ばさない
塊茎をつくらない
株元から茎を立ち上げる
主に種子で増える
カヤツリグサが抜いた後に再び生える場合、地下の塊茎が原因ではなく、土に残っていた種子が新たに発芽している可能性があります。
カヤツリグサの生育サイクル
カヤツリグサは一年草です。春から夏に発芽し、秋までに種子をつくります。
一般的な生育の流れは次のとおりです。
春から初夏に発芽する
夏に葉と茎を伸ばす
7~10月ごろに穂をつける
小穂の中に種子をつくる
成熟した種子を地面へ落とす
秋から冬に地上部が枯れる
土に残った種子が翌年以降に発芽する
一つの株から多くの種子ができるため、穂を放置すると翌年の発生数が増えることがあります。
カヤツリグサ科とイネ科の違い
カヤツリグサ科植物は、細長い葉を持つためイネ科植物とよく似ています。見分けるときは茎を確認します。
カヤツリグサ科の特徴
茎の断面が三角形になる種類が多い
茎の中が詰まっている
茎の途中に目立つ節がない
葉が3方向につく傾向がある
花は小穂にまとまる
湿った場所を好む種類が多い
イネ科の特徴
茎の断面が円形になる種類が多い
茎の中が空洞になるものが多い
茎の途中に明確な節がある
葉が2方向へつく
葉鞘が茎を包む
穂の形は種類によって大きく異なる
「カヤツリグサ科は三角、イネ科は丸」と覚えると便利ですが、すべての種類に完全に当てはまるわけではありません。花序や葉も合わせて判断しましょう。
カヤツリグサとハマスゲの違い
ハマスゲは、カヤツリグサとよく似たカヤツリグサ科の多年草です。駆除方法が大きく異なるため、区別することが重要です。
カヤツリグサの特徴
一年草
草丈は約20~50cm
小穂は黄褐色
花序が細かく枝分かれする
地下に塊茎をつくらない
細いひげ根がある
主に種子で増える
ハマスゲの特徴
多年草
株元から細い葉を束状に出す
小穂は赤褐色
地下茎を伸ばす
地下に硬い塊茎をつくる
塊茎から何度でも再生する
抜いても再発しやすい
葉を抜いても同じ場所から繰り返し生え、地下に黒褐色の硬い塊がある場合は、ハマスゲの可能性があります。
カヤツリグサとコゴメガヤツリの違い
コゴメガヤツリも、畑や道端に生える一年草です。カヤツリグサと非常によく似ています。
コゴメガヤツリの特徴は次のとおりです。
全体的に黄緑色に見える
花序がややまばら
小穂が細かく集まる
日当たりのよい農地周辺に多い
水田周辺でも見られる
カヤツリグサ属には似た種類が多く、花序の枝や小穂、鱗片、種子まで確認しなければ正確に識別できない場合があります。
種類を断定できなくても、一年生のカヤツリグサ類として早めに抜き取れば、基本的な庭の管理は可能です。
カヤツリグサとシュロガヤツリの違い
シュロガヤツリは、鉢植えや水辺の観賞植物として栽培されるカヤツリグサ属の多年草です。「カヤツリグサ」や「パピルス」という名前で販売されることがあります。
シュロガヤツリの特徴は次のとおりです。
草丈が1m前後になる
茎の先に細長い葉状の苞を傘のようにつける
水辺や湿地を好む
地下茎で広がる
冬も地下部が残る
観賞用として栽培される
一般的なカヤツリグサは草丈20~50cmほどの一年草で、先端には黄褐色の小穂を多数つけます。
カヤツリグサは雑草なの?
カヤツリグサは自然に生育する植物ですが、庭や畑では雑草として扱われます。
雑草になりやすい理由は次のとおりです。
一株から多数の種子をつくる
暖かい時期に次々と発芽する
畑の土に適応しやすい
作物の近くでも育つ
小さな株でも穂をつける
土の中に種子が残る
似た種類が多く、防除対象を間違えやすい
畑では作物と水分や養分を奪い合います。穂が出る前に除草し、土へ新しい種子を増やさないことが大切です。
カヤツリグサに毒はある?
一般的なカヤツリグサは、強い毒を持つ有毒植物としては扱われていません。
ただし、食用として一般的に利用される植物でもありません。野外の株を食べることは避けましょう。
主な理由は次のとおりです。
似た種類が非常に多い
正確な識別が難しい
農薬や除草剤が付着している場合がある
道路沿いでは汚染の可能性がある
動物の排せつ物などが付着していることがある
食用として栽培、管理されていない
カヤツリグサ科には、地下部を利用する種類もありますが、すべての仲間が同じように利用できるわけではありません。
庭に生えたカヤツリグサの駆除方法
カヤツリグサは一年草なので、種子ができる前に根から抜けば、その株からの再発生を抑えられます。
小さいうちに根から抜く
発芽して間もない株は、ひげ根が浅く、比較的簡単に抜き取れます。
作業のポイントは次のとおりです。
雨の翌日など土が湿った日に抜く
茎ではなく株元を持つ
真上へゆっくり引き抜く
根が残っていないか確認する
穂が出る前に作業する
抜いた株を土の上に放置しない
乾いた土では根が切れやすいため、移植ごてや除草フォークで周囲の土をほぐすと作業しやすくなります。
穂が出る前に刈り取る
広い範囲に生えている場合は、穂が出る前に草刈りを行います。
草刈りのポイントは次のとおりです。
小穂ができる前に刈る
地面に近い位置で刈る
刈り草を回収する
数週間後に再生を確認する
新しく発芽した株も取り除く
カヤツリグサは一年草なので、種子をつくらせなければ翌年以降の発生を減らせます。
マルチングで発芽を抑える
花壇や家庭菜園では、土の表面を覆うことで発芽を抑えられます。
利用できる方法は次のとおりです。
家庭菜園用マルチを張る
防草シートを敷く
バークチップを厚めに敷く
砂利の下に防草シートを施工する
シートの穴や継ぎ目をふさぐ
カヤツリグサの種子は、マルチの穴やシートのすき間でも発芽します。施工後も定期的に確認しましょう。
水やりの範囲を見直す
カヤツリグサ科には湿った土を好む種類が多くあります。庭や鉢の周囲を常に湿らせていると、発生しやすくなる場合があります。
水やりでは次の点を意識しましょう。
必要な植物の株元へ水を与える
通路まで広く水をまかない
水はけの悪い場所を改善する
鉢皿へ水をため続けない
自動散水の範囲を見直す
ただし、カヤツリグサは畑などでも育つため、乾燥させるだけで完全に防げるわけではありません。
除草剤を使用する
広範囲に発生している場合は、カヤツリグサ科雑草に対応し、使用場所に適合する除草剤を検討します。
使用時の注意点は次のとおりです。
カヤツリグサ科雑草への適用を確認する
一年生雑草に対応した製品を選ぶ
農耕地用と非農耕地用を区別する
作物ごとの使用条件を確認する
ラベルに記載された使用量を守る
周囲の植物へ薬液をかけない
強風や雨の日を避ける
子どもやペットを近づけない
カヤツリグサとハマスゲでは、適切な防除方法が異なります。地下に塊茎がある場合は、ハマスゲなどの多年生雑草を疑いましょう。
芝生に生えたカヤツリグサの駆除方法
芝生に生えたカヤツリグサは、細長い葉が芝と紛れるため、穂が出るまで気づかないことがあります。
対策は次の順序で行います。
草丈や葉色の違う株を探す
茎を触って三角形か確認する
小さな株を根から抜く
穂が出た株は早急に除去する
抜いた部分へ目土を入れる
芝が薄い部分を補修する
芝生に適用のある除草剤だけを使用する
芝生も単子葉植物なので、除草剤によっては芝まで傷める可能性があります。芝の種類と対象雑草の両方に適合する製品を選んでください。
畑のカヤツリグサ対策
畑では、種子を土へ増やさない管理が重要です。
対策のポイントは次のとおりです。
作物を植える前に発生株を除去する
株が小さいうちに中耕する
穂が出る前に抜き取る
抜いた株を畝の上へ放置しない
マルチの穴から出た株を早めに抜く
畑の周囲や通路も除草する
使用する農機具へ種子や土を付着させたまま移動しない
作物に登録のある除草剤だけを使用する
成熟した穂をつけた株を耕すと、種子を畑全体へ広げる可能性があります。先に株や穂を回収してから耕しましょう。
カヤツリグサを増やさないための予防法
カヤツリグサの予防では、種子をつくらせないことが最も重要です。
予防のポイントは次のとおりです。
春から庭や畑を定期的に確認する
若い株を見つけたらすぐに抜く
黄褐色の穂をつける前に除草する
穂のついた株を地面へ放置しない
花壇や家庭菜園をマルチングする
芝生の裸地を補修する
防草シートのすき間を点検する
過剰な水やりを避ける
数年間継続して管理する
土の中に過去の種子が残っていると、除草後も新しい株が発芽します。一度の作業で終わらせず、発生するたびに取り除きましょう。
カヤツリグサを庭で育ててもよい?
カヤツリグサは、茎の形や名前の由来を観察できる身近な野草です。自然観察を目的として残すこともできますが、一般的な観賞植物として積極的に栽培する種類ではありません。
残す場合は次の点に注意してください。
家庭菜園から離れた場所にする
穂が熟す前に切り取る
種子を周囲へ落とさない
観察する株数を限定する
増えた株は早めに抜く
鉢植えで管理する
水辺の雰囲気を楽しむ目的であれば、観賞用として流通するシュロガヤツリなどを選ぶ方法もあります。ただし、観賞種にも地下茎で広がるものがあるため、性質を確認してから植えましょう。
カヤツリグサに関するよくある質問
カヤツリグサは一年草ですか?
一般にカヤツリグサと呼ばれるCyperus microiriaは一年草です。春から夏に発芽し、秋までに種子をつけた後、冬には枯れます。
ただし、カヤツリグサ科にはハマスゲやシュロガヤツリなどの多年草もあります。
カヤツリグサの茎はなぜ三角形なのですか?
カヤツリグサ科植物には、三角柱状の茎を持つものが多くあります。内部が詰まり、三つの稜があることがイネ科植物との識別点になります。
カヤツリグサはどこに生えますか?
畑、庭、道端、空き地、河川敷などに生えます。日当たりがよく、やや湿り気のある土でよく見られます。
カヤツリグサとハマスゲは同じですか?
別の植物です。カヤツリグサは種子で増える一年草ですが、ハマスゲは地下茎と塊茎で増える多年草です。
カヤツリグサは抜いてもまた生えますか?
根から抜いた同じ株が再生することは多くありません。抜いた後に生えてくるのは、土に残った種子が新たに発芽したものである可能性が高いでしょう。
カヤツリグサには毒がありますか?
一般的に強い毒草としては扱われていません。ただし、食用植物ではなく、似た種類も多いため、野外の株を食べることは避けてください。
カヤツリグサは外来種ですか?
カヤツリグサは日本を含むアジアに広く分布する植物です。カヤツリグサ科には、国内へ持ち込まれて定着した外来種も多数あります。
カヤツリグサを確実に駆除するには?
穂が出る前の小さな株を根から抜き、種子を新たに落とさせないことが基本です。マルチングや防草シートも併用し、数年間継続して発生を確認しましょう。
まとめ
カヤツリグサは、畑や庭、道端などに生えるカヤツリグサ科の一年草です。茎の断面が三角形で、夏から秋に黄褐色の小穂をつけます。
主な特徴は次のとおりです。
草丈は約20~50cm
茎の断面が三角形
茎の中が詰まっている
葉は細長く、主に株元から伸びる
茎の先に黄褐色の花序を広げる
地下に塊茎をつくらない
主に種子で増える
一年草なので冬には枯れる
ハマスゲとは生育年数と地下部が異なる
イネ科植物とは茎の形で見分けやすい
駆除の基本は、穂が出る前に根から抜くことです。すでに穂がある株は、種子をこぼさないよう回収して処分します。
抜いた後に新しい株が生えても、地下茎から再生しているとは限りません。土に残った種子が発芽している可能性があるため、数年間継続して早期除草を行いましょう。