宿根草とは?多年草との違いや一年草との使い分け、育て方を解説
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宿根草は、一度植えると、適した環境では何年も育ち、季節ごとの花や葉を楽しめる植物です。毎年植え替える手間を抑えながら、年月とともに充実していく庭づくりに取り入れられます。
ただし、「植えっぱなしで何もしなくてよい植物」という意味ではありません。長く楽しむには、植物に合った場所を選び、水やりや切り戻し、株分けなどを行うことが大切です。
この記事では、宿根草の意味、多年草や一年草との違い、庭への取り入れ方、基本的な育て方について解説します。
宿根草とは?
根や株が生き残り、翌年も生育する草花
宿根草とは、根や地下茎、株元の芽などが生き残り、翌年以降も生育を繰り返す草本植物を指す園芸用語です。
冬などの休眠期に地上部が枯れ、春になると再び芽を出すものが代表的です。秋に葉や茎がなくなっても、地下の部分が生きていれば、翌年また成長します。
一方、園芸では、冬も葉を残す常緑性の多年草を宿根草に含めて紹介する場合もあります。
すべての宿根草が冬に休むわけではない
宿根草には、冬に休眠するものだけでなく、夏に地上部を枯らして休むものもあります。
例えば、暑い季節を休眠状態で過ごし、涼しくなると生育を再開する植物もあります。地上部がなくなる時期は植物によって異なるため、その植物本来の生育サイクルを知ることが大切です。
毎年必ず花が咲くとは限らない
宿根草であっても、日照不足、株の未成熟、根詰まり、暑さによる衰弱などで花が咲かない年があります。
また、何十年も同じ場所で育つものがある一方、数年で株が弱りやすいものもあります。「宿根草」という分類だけでは、寿命や育てやすさまでは判断できません。
宿根草と多年草の違い
多年草は、複数年にわたって生きる草本植物の総称
多年草は、複数年にわたって生きる草本植物を広く指す言葉です。宿根草は、その多年草に含まれます。
整理すると、次のようになります。
園芸店や書籍によって用語の使い方には幅があります。「宿根草」と「多年草」を、完全に別の植物群として考える必要はありません。
「宿根草は落葉、多年草は常緑」とは限らない
宿根草と多年草の違いを、冬に葉があるかどうかだけで説明するのは正確ではありません。
多年草には、冬に地上部が枯れるものも、葉を残すものも含まれます。苗を選ぶ際は、名称だけでなく、落葉性か常緑性か、いつ休眠するのかを確認しましょう。
宿根草と一年草・二年草の違い
一年草は一度の生育サイクルで一生を終える
一年草は、発芽して成長し、花を咲かせて種子をつけた後に枯れる植物です。
春に芽生えて秋に枯れるものもあれば、秋に芽生えて翌春に咲くものもあります。暦の年をまたぐからといって、二年草になるわけではありません。
一年草は、短期間で花壇を華やかにしたり、季節ごとに配色を変えたりする用途に向いています。
二年草は開花までに二つの生育期を必要とする
二年草は、最初の生育期に主に葉や根を育て、次の生育期に開花・結実して一生を終える植物です。
ただし、植物によっては栽培条件や品種で開花までの期間が変わります。
こぼれ種で毎年生える植物は宿根草とは限らない
毎年同じ場所に花が咲いていても、前年と同じ株が生きているとは限りません。
一年草が種子を落とし、その種子から新しい株が育っている場合があります。宿根草は株が生き残るのに対し、こぼれ種では次の世代へ入れ替わっています。
宿根草を庭に植えるメリット
毎年の植え替えを減らせる
場所に適した宿根草が根付けば、花が終わるたびに抜いて植え替える必要はありません。
一年草だけで構成した花壇に比べて、苗の購入や植え付けの作業を減らせる場合があります。
株が育つ変化を楽しめる
植え付けた年は小さな株でも、翌年以降に枝葉や花数が増え、見応えが出てくるものがあります。
庭の環境になじみながら育つ姿や、毎年決まった季節に芽吹く様子を楽しめることも魅力です。
花だけでなく葉や草姿を楽しめる
宿根草には、花だけでなく葉色や葉形が美しい植物もあります。
例えば、ギボウシは大きな葉、ヒューケラは多彩な葉色を楽しめます。開花期の異なる植物や、葉を観賞する植物を組み合わせると、花の少ない時期にも変化をつけられます。
宿根草を植える前に知っておきたい注意点
花が咲かない時期もある
宿根草は、種類ごとに開花時期が決まっているものが多く、一株が一年中咲き続けるわけではありません。
春、夏、秋に咲く植物を組み合わせると、花壇全体として花を楽しめる期間が長くなります。
休眠期には地面が見えることがある
冬に地上部が枯れる宿根草だけで植栽すると、冬の花壇が寂しく見える場合があります。
常緑の植物や低木を組み合わせ、冬にも葉や枝の姿が残るようにすると、季節を通じて見どころをつくれます。
広がりすぎる種類もある
地下茎やほふく茎を伸ばし、周囲へ広がる宿根草もあります。成長が旺盛な植物は、隣の植物を覆ったり、植えた範囲を越えたりすることがあります。
植え付け前に、株立ち状に育つのか、地下茎で広がるのかを確認しましょう。広がりを抑えたい場合は、鉢植えにする方法もあります。
庭に合う宿根草の選び方
日当たりに合わせる
宿根草には、日なたを好むものと、半日陰に適したものがあります。
ただし、同じ植物でも地域や品種によって適した条件は変わります。半日陰向きの植物でも、一日中暗い場所では花つきが悪くなることがあります。
夏の暑さと冬の寒さを確認する
宿根草を選ぶうえで、耐寒性と同じくらい重要なのが、夏の暑さや蒸れへの強さです。
寒さに強い植物でも、暖地の高温多湿で弱る場合があります。反対に、本来は多年草でも、日本の冬を屋外で越せず、一年草として扱われる植物もあります。
「宿根草だからこの地域でも毎年育つ」とは考えず、地域の気候に合うか確認しましょう。
成長後の草丈と株幅を調べる
苗のときは小さくても、数年後には大きな株になる植物があります。
花壇の手前には低いもの、奥には高いものを配置するほか、横への広がりも考えて間隔を取ります。植え付け直後の見栄えだけを優先して密植すると、後から蒸れや生育不良につながることがあります。
宿根草の基本的な育て方
植え付けは生育に適した時期に行う
春や秋が植え付けに適するものが多いですが、すべての宿根草に共通するわけではありません。
寒さに弱い植物は春、夏の暑さが苦手な植物は涼しくなってからなど、種類と地域に合わせて判断します。真夏の植え付けや、根が張る前に土が凍るような時期は避けましょう。
土づくりは水はけと保水性の両方を考える
多くの宿根草では、適度に水を保ちつつ、余分な水が抜ける土が基本になります。
ただし、乾燥気味を好む種類も、湿り気を好む種類もあります。同じ花壇に植える場合は、水分の好みが近い植物を組み合わせると管理しやすくなります。
根付くまでは水切れに注意する
植え付け直後は、まだ根が周囲の土へ広がっていません。地植えでも根鉢周辺の乾燥を確認し、必要に応じて水を与えます。
根付いた後の水やりは、植物の性質と天候に合わせて調整します。鉢植えは地植えより乾きやすいため、土の状態をこまめに確認しましょう。
肥料は植物ごとの性質に合わせる
花を多くつける種類では、生育期の追肥が役立つ場合があります。一方、多肥で茎が伸びすぎたり、倒れやすくなったりする植物もあります。
生育が悪いからとすぐ肥料を加えず、日照、乾燥、過湿、根詰まりなどを確認することが大切です。
花後の手入れと切り戻し
花がら摘みは目的に合わせて行う
咲き終わった花を取り除くと、見た目を整え、種子形成に使われる養分を抑えられます。種類によっては、次の花を咲かせやすくなることもあります。
ただし、すべての宿根草が花がら摘みで再開花するわけではありません。種子を採りたい場合や、枯れた花序を景観として楽しむ場合は、残す管理もできます。
切り戻しの強さは種類ごとに変える
花後に切り戻すことで、株姿が整い、再び花が咲く植物があります。
一方、強く切ると回復しにくいものや、翌年の芽を傷めるものもあります。すべてを同じ高さで刈りそろえず、生育する芽の位置を確認しましょう。
緑の葉は早く切りすぎない
花が終わっても、緑の葉は光合成をして根や株へ養分を蓄えています。
休眠に向かう植物を見た目だけで早く刈り取ると、翌年の生育に影響することがあります。病害などの理由がなければ、葉が自然に枯れるまで残すことを基本に、植物ごとに判断します。
株分けはなぜ必要?
混み合った株を更新するため
宿根草を長年育てると、芽が密集したり、株の中心が弱ったりすることがあります。花数が減る、中心が抜ける、周囲の植物を圧迫するといった変化は、株分けを検討する目安です。
株分けによって、生育する空間を確保し、若い芽を持つ部分を植え直せます。
すべての宿根草を同じ間隔で分けない
毎年のように増える植物もあれば、長く植えたまま育てられる植物もあります。根を傷められることや移植を嫌う種類もあります。
「宿根草は必ず数年ごとに株分けする」と決めず、種類と株の状態に合わせましょう。
株分けの時期も植物によって異なる
春や秋に行うものが多いものの、適期は開花時期や生育サイクルによって変わります。
分ける際は、芽と根が十分に残る大きさにし、細かく分けすぎないことが大切です。作業後は根がなじむまで乾燥に注意します。
宿根草の庭づくりを成功させるコツ
一年草や低木と組み合わせる
宿根草を花壇の基本にし、季節の一年草で花の少ない時期を補うと、変化をつけやすくなります。
低木を組み合わせれば、宿根草が休眠する時期も庭の骨格が残ります。すべてを宿根草でそろえる必要はありません。
休眠する植物には目印をつける
地上部がなくなると、植えた場所がわからなくなることがあります。
ラベルや植栽図を残しておくと、除草や植え付けの際に、地下の芽や根を傷めにくくなります。
最初の配置を完成形と考えない
実際に育てると、予想より大きくなったり、日当たりが合わなかったりすることがあります。
開花時期、株幅、蒸れやすさを観察し、適期に配置を調整していくと、その庭に合った植栽になります。
まとめ
宿根草は、根や株が生き残り、翌年以降も生育を繰り返す草花です。多年草の一部として扱われ、冬に地上部が枯れるものだけでなく、園芸では常緑性のものを含めて紹介されることもあります。
長く楽しむには、日当たりや土の湿り気、夏の暑さ、冬の寒さに合う植物を選ぶことが重要です。花後の手入れや株分けも、種類と株の状態に合わせて行いましょう。
一年草や低木と組み合わせることで、植え替えの手間を抑えながら、季節の変化を楽しめる庭をつくれます。