動物の名前がついた植物|猫・狐・鳥・蛇などにたとえられた植物を紹介
動物の名前がついた植物|猫・犬・狐・鳥・蛇などにたとえられた植物たち
植物の名前には、動物の名前が入っているものがたくさんあります。ネコノヒゲ、キツネノカミソリ、カラスウリ、ヘビイチゴ、ウサギゴケなど、名前を聞くだけで姿を想像したくなる植物も多いでしょう。
動物の名前がついた植物は、花や葉、実、茎、根、全体の姿が動物に似ていることから名付けられたものが多くあります。なかには、動物そのものに似ているわけではなく、色、雰囲気、伝承、暮らしとの関わりから名前がついたものもあります。
植物名は、ただの呼び名ではありません。昔の人が植物をどのように見ていたのか、どの部分に面白さを感じたのかが表れています。動物の名前が入った植物を知ると、植物観察がぐっと楽しくなります。
この記事では、動物の名前がついた植物について、名前の由来や代表的な種類をわかりやすく紹介します。
動物の名前がついた植物とは?
動物の名前がついた植物とは、植物名の中に動物を表す言葉が入っている植物のことです。
たとえば、次のような植物があります。
ネコノヒゲ
キツネノカミソリ
カラスウリ
ヘビイチゴ
ウサギゴケ
イヌツゲ
イヌマキ
トラノオ
サギソウ
ホトトギス
猫、狐、烏、蛇、兎、犬、虎、鷺、鳥など、さまざまな動物の名前が植物名に使われています。
動物名が入っているからといって、その植物が動物に食べられる、動物を呼び寄せる、動物と深い関係があるとは限りません。多くの場合は、見た目や雰囲気を人間が動物にたとえて名付けたものです。
なぜ植物に動物の名前がつくのか
植物に動物の名前がつく理由はいくつかあります。
代表的な理由は、植物の形が動物の体の一部に似ていることです。ネコノヒゲは、花から長く伸びる雄しべが猫のひげのように見えます。ウサギゴケは、小さな花がうさぎの姿に似ていることから名付けられました。
動物の名前がつく理由には、次のようなものがあります。
花の形が動物に似ている
葉の形が動物の体の一部に似ている
実の形や色が動物を連想させる
茎や花穂の形が動物の尾やひげに似ている
植物の雰囲気が動物を思わせる
ほかの植物に似ているが劣るものとして「犬」が付いた
毒や不気味さから蛇や狐の名前が付いた
地域の伝承や昔の呼び名が残った
植物名には、観察する人の感性が色濃く表れています。同じ植物を見ても、動物に見立てることで覚えやすい名前になります。
「猫」がつく植物
猫の名前が入る植物には、しなやかさ、ひげ、尾、足などを連想させるものがあります。かわいらしい名前が多く、園芸植物としても親しみやすい印象があります。
ネコノヒゲ
ネコノヒゲは、白い花から長く伸びる雄しべが猫のひげのように見える植物です。
シソ科の多年草で、夏から秋にかけて白や淡紫色の花を咲かせます。英名でも「キャッツウィスカー」と呼ばれ、和名と同じように猫のひげを連想させます。
花姿がとても個性的で、鉢植えや夏の花壇に向いています。暑さに強い一方で寒さには弱いため、冬越しには注意が必要です。
ネコジャラシ
ネコジャラシは、エノコログサの別名です。
細長い花穂が猫をじゃらす道具のように見えることから、ネコジャラシと呼ばれます。道端や空き地でよく見られる身近な雑草です。
正式な和名はエノコログサで、「犬の子草」が変化した名前ともいわれます。猫にも犬にも関わる名前を持つ、面白い植物です。
キャットミント
キャットミントは、猫が好む香りを持つハーブとして知られています。
青紫色の花を咲かせ、ナチュラルガーデンやハーブガーデンに向いています。葉に香りがあり、乾燥にも比較的強いため、庭でも育てやすい植物です。
「犬」がつく植物
植物名に「犬」がつく場合、昔の名前では「似ているが本物ではない」「役に立ちにくい」「劣るもの」といった意味で使われることがあります。現代の感覚では少し厳しい表現に感じられますが、植物名としてはよく見られる使い方です。
イヌツゲ
イヌツゲは、モチノキ科の常緑低木です。
ツゲに似ていますが、ツゲとは別の植物です。刈り込みに強く、生垣や玉仕立て、庭木としてよく利用されます。庭師の現場でもよく扱われる身近な常緑樹です。
「イヌ」がつくことで、ツゲに似ている別の木という意味合いがあります。
イヌマキ
イヌマキは、マキ科の常緑高木です。
庭木、生垣、防風樹として利用されることが多く、関東以西の暖地でよく見られます。葉は細長く、剪定にも比較的強い樹木です。
「マキ」に似た木としてイヌマキと呼ばれますが、庭木としての価値は高く、和風庭園にもよく合います。
イヌホオズキ
イヌホオズキは、ナス科の一年草です。
黒い実をつけますが、食用のホオズキとは異なります。道端や畑の周辺で見られることがあります。実や全草に毒性があるため、食べないように注意が必要です。
「狐」がつく植物
狐の名前がつく植物には、少し不思議な雰囲気や、野山にひっそり咲く印象を持つものがあります。狐は昔話や民間伝承にもよく登場する動物で、植物名にも独特の印象を与えています。
キツネノカミソリ
キツネノカミソリは、夏にオレンジ色の花を咲かせるヒガンバナ科の球根植物です。
春に細長い葉を出し、初夏に葉が枯れた後、夏に花茎を伸ばして花を咲かせます。葉の形をカミソリに見立てたことが名前の由来とされています。
花と葉が同時に見られにくい性質があり、突然花が咲いたように見える不思議な植物です。
キツネノボタン
キツネノボタンは、キンポウゲ科の多年草です。
湿った場所や田んぼの周辺で見られることがあります。黄色い花を咲かせますが、キンポウゲ科らしく毒性を持つため、触ったり食べたりしないよう注意が必要です。
キツネアザミ
キツネアザミは、アザミに似た花を咲かせる植物です。
名前にアザミと入りますが、一般的なアザミとは分類が異なります。春から初夏にかけて淡い紫色の花を咲かせます。
「烏・鳥」がつく植物
鳥の名前がついた植物には、実の色や形、花の姿、鳴き声の季節感などが関係しているものがあります。烏、鷺、杜鵑など、鳥の名前を持つ植物は印象的なものが多いです。
カラスウリ
カラスウリは、夏の夜に白いレース状の花を咲かせるつる植物です。
秋には赤く色づく実をつけます。名前に「カラス」と入りますが、実際に烏だけが食べるという意味ではありません。暗い場所や野山に見られる雰囲気、実の印象などから名付けられたと考えられます。
夜に咲く花は繊細で美しく、植物観察の対象としても人気があります。
サギソウ
サギソウは、白い花が翼を広げた鷺のように見えるラン科の植物です。
花姿が非常に美しく、日本の湿地に自生します。園芸植物としても人気がありますが、自生地の減少により貴重な植物として扱われることがあります。
名前と花姿がとてもよく一致している代表的な植物です。
ホトトギス
ホトトギスは、秋に斑点模様のある花を咲かせる多年草です。
花びらの斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから名付けられたといわれます。半日陰に強く、和風の庭や山野草の庭に向いています。
トキワツユクサ
トキワツユクサの「トキワ」は常緑を意味し、動物名ではありませんが、鳥の「トキ」と混同されやすい名前です。
植物名には音だけではわかりにくいものもあります。漢字や由来を調べると、意味がはっきりします。
「蛇」がつく植物
蛇の名前がつく植物には、つる性、細長い形、不気味な印象、毒性のイメージなどが関係していることがあります。名前に蛇が入ると、少し近寄りがたい雰囲気を持つこともあります。
ヘビイチゴ
ヘビイチゴは、黄色い花と赤い実をつけるバラ科の植物です。
地面を這うように広がり、赤い実をつけます。名前にイチゴと入りますが、一般的な食用イチゴとは異なります。毒があると誤解されることもありますが、食味がよくないため食用には向きません。
「蛇が食べるイチゴ」「蛇がいそうな場所に生えるイチゴ」といったイメージから名付けられたと考えられています。
ヘビノネゴザ
ヘビノネゴザは、シダ植物の一種です。
名前の印象は強いですが、細かな葉の姿や生える場所から名付けられたと考えられます。シダ植物には、昔から独特な名前が付けられているものが多くあります。
マムシグサ
マムシグサは、サトイモ科の多年草です。
茎の模様がマムシの模様に似ていることから名付けられたといわれます。仏炎苞と呼ばれる独特の花姿を持ち、山地の林内などで見られます。
全草に毒性があるため、観察する植物として扱い、食用にはしないようにしましょう。
「兎」がつく植物
兎の名前がついた植物には、小さくかわいらしい姿や、耳のような形を連想させるものがあります。園芸植物では、見た目の愛らしさから人気があるものもあります。
ウサギゴケ
ウサギゴケは、花がうさぎのように見える小さな食虫植物です。
白い花の形が、耳を立てたうさぎの姿に似ています。見た目はかわいらしいですが、食虫植物の仲間で、湿り気のある環境を好みます。
鉢植えで育てられることが多く、植物好きに人気のあるユニークな植物です。
ツキトジ
ツキトジ(月兎耳)は、カランコエの仲間の多肉植物です。
葉がふわふわした毛に覆われ、うさぎの耳のように見えることから名付けられました。多肉植物らしく乾燥に強く、鉢植えで育てやすい植物です。
漢字では「月兎耳」と書き、名前の美しさも魅力です。
「虎」がつく植物
虎の名前がつく植物には、縞模様、力強い姿、細長い花穂などを連想させるものがあります。
トラノオ
トラノオは、細長い花穂を虎の尾に見立てた名前です。
「トラノオ」と呼ばれる植物はいくつかあり、オカトラノオ、ハナトラノオ、イブキトラノオなどがあります。いずれも細長い花穂が特徴的です。
オカトラノオ
オカトラノオは、白い小花が片側に偏って咲く多年草です。
花穂がゆるやかに曲がり、虎の尾のように見えることから名付けられました。初夏の野山や草地で見られ、自然風の庭にもよく合います。
ハナトラノオ
ハナトラノオは、ピンク色の花を穂状に咲かせる多年草です。
丈夫で育てやすく、庭植えでもよく増えます。花が美しいトラノオという意味で、花壇やナチュラルガーデンに利用されます。
「馬・牛・鹿」がつく植物
大型の動物名がついた植物には、姿の大きさ、力強さ、葉の形、利用方法などが関係していることがあります。
ウマノアシガタ
ウマノアシガタは、キンポウゲ科の多年草です。
黄色い光沢のある花を咲かせます。名前は葉の形を馬の足形に見立てたものとされています。
キンポウゲ科の植物には有毒なものが多いため、観賞用として楽しみます。
ウシハコベ
ウシハコベは、ハコベの仲間で、通常のハコベより大きめの姿をしています。
植物名で「牛」がつく場合、大きいもの、力強いものを表すことがあります。ウシハコベも大きめのハコベという意味合いがあります。
シカクマメ
シカクマメは、断面が四角いさやを持つマメ科の植物です。
この名前の「シカク」は動物の鹿ではなく、「四角」を意味します。植物名では、音だけでは動物名に見えても、意味が異なるものがあります。
「猿」がつく植物
猿の名前がつく植物には、見た目の面白さや、猿に関連するイメージが反映されていることがあります。
サルスベリ
サルスベリは、夏に長く花を咲かせる落葉樹です。
幹の表面がなめらかで、猿も滑りそうだという意味から「猿滑り」と呼ばれます。実際に猿が滑るかどうかではなく、幹の質感を面白く表した名前です。
花期が長いことから「百日紅」とも書きます。ひとつの植物に、姿に由来する名前と花期に由来する漢字表記がある例です。
サルノコシカケ
サルノコシカケは、木に生える硬いキノコの仲間です。
猿が腰かけられそうな形に見えることから、この名前がついたといわれます。植物ではなく菌類ですが、動物名がついた自然物としてよく知られています。
「蛍・蝶・蜂」など虫の名前がつく植物
動物という広い意味では、昆虫の名前がついた植物も多くあります。花の形、花に集まる虫、色や模様などが名前の由来になります。
ホタルブクロ
ホタルブクロは、釣鐘形の花を咲かせる多年草です。
花の中に蛍を入れて遊んだことが名前の由来とされます。初夏に咲き、山野草や和風の庭に合う植物です。
チョウマメ
チョウマメは、蝶のような形の青い花を咲かせるマメ科の植物です。
バタフライピーとも呼ばれ、鮮やかな青い花が特徴です。ハーブティーなどに利用されることもあります。
ハチジョウキブシ
ハチジョウキブシの「ハチジョウ」は八丈島に由来する地名で、蜂ではありません。
植物名では、音だけで動物名に見えるものもあります。漢字表記や由来を確認すると、正しい意味がわかります。
動物名がついた植物を一覧で紹介
動物の名前がついた植物には、庭木、草花、山野草、雑草、多肉植物、食虫植物など、さまざまな種類があります。
代表的な植物を紹介します。
ネコノヒゲ
ネコジャラシ
キャットミント
イヌツゲ
イヌマキ
イヌホオズキ
キツネノカミソリ
キツネノボタン
キツネアザミ
カラスウリ
サギソウ
ホトトギス
ヘビイチゴ
マムシグサ
ウサギゴケ
ツキトジ(月兎耳)
オカトラノオ
ハナトラノオ
ウマノアシガタ
ウシハコベ
サルスベリ
ホタルブクロ
チョウマメ
フウセンカズラ
トックリラン
このように並べてみると、植物名には動物や身近なものにたとえる表現が多く使われていることがわかります。
動物名がついた植物を庭に取り入れる楽しみ
動物の名前がついた植物は、名前の面白さも魅力です。
庭に植えるときは、花色や草丈だけでなく、名前の由来を意識して選ぶと楽しみが増えます。ネコノヒゲなら花の雄しべ、キツネノカミソリなら葉の形、ホトトギスなら花の斑点模様、サルスベリなら幹のなめらかさを観察できます。
子どもと一緒に植物観察をする場合にも、動物名がついた植物は親しみやすい題材になります。「なぜ猫のひげなのか」「どこが狐のカミソリなのか」と考えることで、自然を見る目が育ちます。
庭づくりでは、次のような組み合わせも楽しめます。
ネコノヒゲを夏の鉢植えに使う
キツネノカミソリを半日陰の庭に植える
ホトトギスを秋の山野草として楽しむ
サルスベリを夏のシンボルツリーにする
オカトラノオを自然風の庭に取り入れる
ウサギゴケを小さな鉢で楽しむ
名前の由来を知って植えると、花が咲いたときや実がなったときの発見が増えます。
動物名がついた植物を観察するときの注意点
動物名がついた植物の中には、毒性を持つものもあります。
キツネノカミソリ、マムシグサ、キツネノボタン、イヌホオズキなどは、食用には向きません。名前がかわいらしくても、安全とは限らない点に注意しましょう。
観察するときは、次の点を意識すると安心です。
むやみに食べない
名前だけで食用と判断しない
毒性のある植物に注意する
子どもやペットの誤食に注意する
山野草は自生地から採取しない
似た植物との違いを確認する
育てる場所に合った植物を選ぶ
特に山野草や野草は、見た目が似ている植物が多くあります。名前の面白さだけでなく、安全性や環境への配慮も大切です。
名前から植物を覚えると観察が楽しくなる
植物の名前は、特徴を覚えるための大切な手がかりです。
動物の名前がついた植物は、形や色をイメージしやすいため、初心者でも覚えやすいものが多くあります。
たとえば、次のように名前と特徴を結びつけると覚えやすくなります。
ネコノヒゲ:雄しべが猫のひげのように長い
キツネノカミソリ:葉がカミソリのように細い
カラスウリ:赤い実と夜に咲く白い花が特徴
ヘビイチゴ:地面を這って赤い実をつける
サギソウ:白い花が鷺の姿に似る
ホトトギス:花の斑点が鳥の模様に似る
サルスベリ:幹がなめらかで猿も滑りそう
トラノオ:花穂が虎の尾のように見える
名前の由来を知ると、植物を見るときの視点が変わります。花だけでなく、葉、茎、実、幹、咲く季節にも注目できるようになります。
まとめ|動物の名前がついた植物には観察の楽しさが詰まっている
動物の名前がついた植物は、花や葉、実、茎、幹の特徴を動物にたとえて名付けられたものが多くあります。ネコノヒゲ、キツネノカミソリ、カラスウリ、ヘビイチゴ、ウサギゴケ、サギソウ、ホトトギスなど、名前を聞くだけで姿を想像したくなる植物がたくさんあります。
名前の由来には、昔の人の観察力や感性が表れています。猫のひげ、狐のカミソリ、虎の尾、鷺の姿、猿が滑りそうな幹など、植物の特徴を身近な動物にたとえることで、覚えやすく親しみやすい名前になっています。
一方で、動物名がついた植物の中には毒性を持つものもあります。かわいらしい名前だから安全とは限りません。観賞用として楽しむ植物、食用にできる植物、触れる際に注意したい植物を区別することが大切です。
動物の名前がついた植物を知ると、庭や道端、山野草を見る楽しみが増えます。名前の意味を考えながら観察すると、植物の形や季節の変化に気づきやすくなります。植物名は、自然をより深く楽しむための入り口でもあります。