オカヒジキの育て方|種まき・収穫のコツとシャキシャキ食感を楽しむ食べ方
オカヒジキは、細い葉とシャキシャキした歯ごたえが特徴の葉物野菜です。海藻のヒジキに似た姿から名づけられましたが、海藻ではなく、海岸の砂地などに生える一年草です。
若い茎葉はクセが少なく、おひたしやからし和え、サラダなどに利用できます。家庭菜園では、やわらかな先端を摘み取りながら収穫する楽しみがあります。
この記事では、オカヒジキの特徴から、種まき、水やり、収穫、食べ方までを解説します。
オカヒジキの基本情報
植物名:オカヒジキ
漢字名:陸鹿尾菜、陸羊栖菜
学名:Salsola komarovii
科名:ヒユ科
属名:オカヒジキ属
原産・分布:日本、中国、朝鮮半島などの東アジア
園芸分類:葉物野菜
生活型:一年草
主な利用部分:若い茎と葉
種まき時期:温暖地・中間地の露地では4月ごろからが目安
発芽適温:20〜25℃程度が目安
収穫時期:春〜夏を中心に、播種時期や地域によって異なる
従来はアカザ科に分類されていたため、種袋や古い図鑑にはアカザ科と記載されていることがあります。
オカヒジキの特徴
海藻に似ているが、陸上で育つ植物
オカヒジキは、細く多肉質の葉をつけ、枝分かれしながら育ちます。鮮やかな緑色と、こんもりと茂る姿が特徴です。
海岸の砂地などに自生し、塩分への耐性があります。ただし、家庭菜園で塩を加える必要はありません。一般的な野菜用の土と真水で栽培できます。
若い茎葉の歯ごたえを楽しむ野菜
若い部分はやわらかく、短時間ゆでると心地よい歯ごたえを楽しめます。味に強いクセがないため、さまざまな調味料と合わせやすい野菜です。
一方、収穫が遅れると茎葉が硬くなり、葉先もとがってきます。大きく育てることより、食べ頃を逃さず摘み取ることが大切です。
山形県で受け継がれてきた伝統野菜
山形県では、庄内の海岸に自生していたオカヒジキの種が、最上川を通じて現在の南陽市周辺へ伝わり、栽培が始まったといわれています。
現在も地域の伝統野菜として親しまれ、からし和えなどの郷土料理に使われています。
オカヒジキの育て方
日当たり・栽培場所
日当たりと風通しのよい場所で育てます。日照が不足すると、茎が細く間延びし、株が弱々しくなりやすくなります。
畑だけでなく、プランターでも栽培できます。小さな容器では乾燥しやすいため、ある程度の土量を確保できるものを選びましょう。
用土・土づくり
水はけがよく、適度に水分を保てる土が適しています。
プランターでは、市販の野菜用培養土が使いやすいでしょう。畑では、完熟堆肥などを混ぜて耕し、雨のあとに水がたまる場所では畝を高くします。
酸性が強い土では必要に応じて石灰資材で調整しますが、毎回決まった量を加えるのではなく、土の状態や資材の表示を確認してください。
種まきの時期
露地栽培では、温暖地・中間地なら4月ごろ、冷涼地なら5月ごろからが目安です。早春にもまけますが、地温が低いと発芽しにくくなるため、保温が必要になる場合があります。
種まきの適期は地域や種子商品によって異なるので、種袋の表示を優先しましょう。
長く収穫したい場合は、適期の範囲内で少しずつ時期をずらしてまくと、若い株を順に収穫できます。
種まきの方法
基本は、育てる場所へ直接まく方法です。
用土を湿らせ、表面を平らにする
深さ約1cmを目安に浅い溝をつくる
種が重なりすぎないように、すじまきする
薄く土をかぶせ、軽く押さえる
種が流れないよう、やさしく水を与える
発芽を促すため、播種前に種を1〜2日ほど水に浸す方法もあります。ただし、処理済み種子などは扱いが異なるため、種袋の指示を確認してください。
発芽するまでは、土の表面を極端に乾かさないように管理します。
間引き
芽が出て混み合ってきたら、弱い苗や密集した部分を間引きます。最終的には、株間10cm程度を一つの目安にします。
繰り返し摘み取って枝分かれさせる場合は、株が混み合わないように様子を見て調整しましょう。隣の株の根を傷めそうなときは、不要な苗を地際で切り取ります。
水やり|畑
発芽直後から根づくまでは、乾燥に注意します。根づいたあとは降雨も利用できますが、雨が少なく土が乾く場合は水を補います。
乾燥に耐える性質はあるものの、食用としてやわらかな茎葉を育てるには、極端な水切れを避けることが大切です。
水やり|プランター
表土が乾き始めたら、鉢底から水が流れるまで与えます。
夏は朝に土の状態を確認し、夕方にも強く乾いていれば水を補いましょう。受け皿の水はため続けず、過湿による根傷みも防ぎます。
肥料・追肥
元肥入り培養土を使用する場合は、最初から肥料を追加しすぎないようにします。
生育が進んだら、葉色や伸び方を見ながら少量ずつ追肥します。繰り返し収穫する株では、新しい枝葉を育てる養分を補うことが大切です。
ただし、水切れや根傷みによる生育不良を、肥料不足と取り違えないようにしてください。施用量や間隔は製品表示に従います。
オカヒジキの収穫方法
若くやわらかなうちに摘み取る
草丈10〜15cmほどになり、やわらかな茎葉が伸びたら収穫を始められます。
家庭菜園では、株を抜き取らず、下の葉を残して先端を摘み取る方法がおすすめです。収穫後に伸びた脇芽も、やわらかいうちに摘み取れます。
茎の硬い部分を残し、やわらかな先端を収穫する
葉をすべて取り除かない
株が小さいうちは、一度に多く摘みすぎない
清潔なハサミを使う
花がつく前が食べ頃
生育が進んで花がつくようになると、茎葉が硬くなりやすくなります。
花を咲かせるために育てる野菜ではないので、食用分は若いうちからこまめに収穫します。硬くなった古い茎が、肥料や水やりだけで元のやわらかさに戻るわけではありません。
品種・種選びについて
一般的に流通する「おかひじき」
家庭菜園向けには、特別な品種名をつけず「おかひじき」の名前で販売される種が多く見られます。若い茎葉を収穫するタイプで、メーカーごとの播種適期や発芽率を確認すると選びやすくなります。
山形で受け継がれる在来系統
山形県では、地域で受け継がれてきたオカヒジキが伝統野菜として栽培されています。ただし、「山形産」や「伝統野菜」という表示が、一つの品種名を意味するとは限りません。種を購入する場合は、系統や由来の説明も確認しましょう。
病害虫と栽培中のトラブル
発芽しない・発芽がそろわない
地温不足、乾燥、覆土の厚さ、種子の状態などが原因になります。
種袋に書かれた発芽適温を確認する
土の表面を乾かしすぎない
種を深く埋めすぎない
有効期限や保存状態を確認する
気温だけでなく、土が十分に暖まっているかも大切です。
茎葉が硬くなる
収穫の遅れや開花、強い乾燥などで硬くなります。若い部分をこまめに収穫し、水切れを繰り返さないようにしましょう。
株全体が古くなった場合は、適期内なら新たに種をまき、若い株へ更新する方法もあります。
葉が食べられる・株が傷む
比較的育てやすい野菜ですが、害虫がつかないわけではありません。若い茎葉の食害や、アブラムシなどに注意します。
葉の異常や食べ跡を見つけたら、株元や葉の間を確認してください。薬剤を使用する場合は、オカヒジキへの適用と収穫前日数などの条件を必ず守ります。
また、密植や水のたまりやすい土では、蒸れや根傷みが起こりやすくなります。
オカヒジキの食べ方
さっとゆでて食感を残す
収穫したオカヒジキはよく洗い、硬い茎を取り除きます。沸騰した湯で1〜2分程度を目安にゆで、太さや好みに合わせて調整しましょう。
ゆですぎると持ち味の歯ごたえが弱くなるため、少量を取り出して状態を確かめると仕上げやすくなります。
冷水に取って冷まし、水気を切って使います。
おすすめの料理
からし和え:からしじょうゆで和え、風味と食感を楽しむ
おひたし:だしとしょうゆで、あっさり仕上げる
ごま和え:すりごまの香ばしさを合わせる
酢みそ和え:さっぱりした味つけにする
サラダ:ゆでてから、ツナやトマトなどと合わせる
炒め物:短時間で火を通し、食感を残す
クセが少ないため、副菜だけでなく、肉料理や魚料理の付け合わせにも利用できます。
保存方法
生の状態では乾燥を防ぐように包み、袋や容器に入れて冷蔵し、早めに使います。
長く保存したい場合は、さっとゆでて水気を切り、小分けにして冷凍できます。ただし、冷凍・解凍によって食感は変わるため、歯ごたえを楽しみたいときは収穫後早めに調理しましょう。
まとめ
オカヒジキは、海藻のような姿とシャキシャキした食感を楽しめる葉物野菜です。日当たりと水はけのよい場所で育て、極端な乾燥を避けることが栽培の基本です。
おいしく収穫するポイントは、大きくなりすぎる前に、やわらかな先端をこまめに摘むこと。下葉を残せば脇芽の収穫も楽しめます。
プランターでも育てられるので、いつもの葉物野菜とは少し違う食感を、家庭菜園で味わってみてください。