ジャガイモ(馬鈴薯)の育て方|種いもの植え付けから芽かき・土寄せ、収穫まで解説
ジャガイモの育て方|種いもの植え付けから芽かき・土寄せ、収穫まで解説
ジャガイモは、ほくほくした食感や、なめらかな口当たりを楽しめる身近な野菜です。品種によって煮崩れのしやすさが異なり、カレー、ポテトサラダ、コロッケなど、料理に合わせて選べます。
家庭菜園では種いもを植えて育てます。栽培のポイントは、健全な種いもを使うこと、芽の数を整えること、土寄せで新しくできるいもを光から守ることです。
この記事では、代表品種の特徴や春植え・秋植えの違い、植え付けから収穫、保存までの管理方法を紹介します。
ジャガイモの基本情報
和名:ジャガイモ
別名:バレイショ(馬鈴薯)
学名:Solanum tuberosum
科名:ナス科
属名:ナス属
原産地:南米アンデス地域
主な利用部位:地下茎の先端が肥大した塊茎
主な植え付け時期:春、暖地では夏の終わりにも植え付け可能
主な収穫時期:初夏〜夏、秋植えでは晩秋〜初冬
好む環境:日当たりと水はけのよい場所
主な増やし方:種いもの植え付け
植え付け時期は地域によって大きく異なります。寒冷地では春植えを基本に、暖地では秋作に適した品種も選べます。
ジャガイモの特徴と魅力
食べるいもは茎が太ったもの
ジャガイモは、地下に伸びる茎の先端が肥大したものです。根が太るサツマイモとは、いものでき方が異なります。
新しいいもは種いもより上の位置を中心につくため、栽培途中の土寄せが重要になります。
品種で食感と料理への向きが変わる
ジャガイモは、粉質でほくほくしたタイプと、粘質で煮崩れしにくいタイプに大きく分けられます。
粉質タイプ:コロッケ、マッシュポテト、粉ふきいもなどに向く
粘質タイプ:カレー、シチュー、煮物などに使いやすい
中間的なタイプ:幅広い料理に利用できる
食感は品種だけでなく、栽培条件や保存状態、加熱方法によっても変わります。
春作と秋作で品種を選び分ける
春作は、多くの地域で取り組める一般的な作型です。秋作は、夏の終わりに植え、厳しい寒さが来る前に収穫するため、暖かい地域に向いています。
ジャガイモには、収穫後しばらく芽が出にくい「休眠」があります。秋植えには休眠の短い品種が適しており、春向けの品種をそのまま使ってもうまく芽が出ない場合があります。
ジャガイモの代表的な品種
男爵薯
丸みのある形で、ほくほくした粉質の食感が特徴です。コロッケやポテトサラダ、粉ふきいもなどに向いています。煮崩れしやすいため、形を残したい料理では加熱しすぎないようにします。春植えの定番品種です。
メークイン
細長い形で、なめらかな食感と煮崩れのしにくさが特徴です。カレーやシチュー、煮物など、いもの形を残したい料理に向いています。春植えで親しまれ、家庭で煮込み料理によく使う場合に選びやすい品種です。
キタアカリ
黄色い果肉と、ほくほくした食感が特徴の早生品種です。じゃがバターやサラダ、コロッケなどに利用できます。煮崩れしやすいため、長時間の煮込みには加熱を調整しましょう。春植えで早めの収穫を楽しめます。
とうや
黄色い果肉となめらかな口当たりが特徴の早生品種です。比較的煮崩れしにくく、煮物やサラダなどに使えます。いもは丸みがあり、目が浅く皮をむきやすい点も魅力です。日常の料理に幅広く使いたい場合に向きます。
秋植えを行う場合は、これらの品種を一律に使うのではなく、デジマやニシユタカなど、秋作向けとして販売される種いもから選びましょう。
ジャガイモの栽培時期と環境
地域に合った植え付け時期を守る
露地栽培の大まかな目安は次のとおりです。
暖地・中間地の春植え:2〜4月ごろ
寒冷地の春植え:4〜5月ごろ
暖地・中間地の秋植え:8月下旬〜9月ごろ
同じ地域でも標高やその年の気候で適期が変わります。春は出芽後の遅霜、秋は植え付け時の高温と収穫前の霜に注意しましょう。
日当たりと排水を確保する
日照が不足すると茎葉が弱く育ち、いもの肥大にも影響します。よく日の当たる場所を選びましょう。
過湿は種いもの腐敗や根傷みにつながります。雨のあとに水がたまる畑では、畝を高くするなど排水を改善します。
ジャガイモの土づくり
ナス科野菜の連作を避ける
ジャガイモだけでなく、トマト、ナス、ピーマンなどのナス科野菜を続けて育てることも避けます。
畑では数年単位の輪作を考え、病気の発生した場所を繰り返し使わないようにしましょう。
石灰を入れすぎない
ジャガイモは比較的酸性寄りの土でも育ちます。土の酸度を確認せず、多量の石灰を施すことは避けましょう。
土がアルカリ性に傾くと、いもの表面にかさぶた状の症状が出る、そうか病が発生しやすくなる場合があります。
元肥は種いもに直接触れさせない
完熟堆肥と元肥を適量施し、土とよく混ぜます。植え溝に肥料を置く方法では、種いもへ直接触れない配置にしてください。
窒素肥料が多すぎると、茎葉が茂りすぎて成熟が遅れる場合があります。肥料の表示量と畑の状態をもとに調整します。
ジャガイモの種いもの準備
栽培用の健全な種いもを使う
食用として売られているいもより、検査を受けた栽培用の種いもを利用しましょう。病気の持ち込みを減らし、品種に合った栽培を始めやすくなります。
腐れ、異臭、大きな傷のあるものは使いません。
春植えでは大きな種いもを切り分けられる
小さな種いもは丸ごと、大きなものは芽が各片に残るように切り分けて使えます。一片40〜60g程度を一つの目安に、種いもの案内に従いましょう。
切り分ける場合は清潔な刃物を使い、切り口を乾かしてから植え付けます。小さく切りすぎると、初期生育に使える養分が不足しやすくなります。
秋植えは小さな種いもを丸ごと使う
秋植えの時期は地温が高く、切り口から腐りやすくなります。そのため、小ぶりな種いもを切らずに植える方法が基本です。
春作と同じ感覚で分割せず、秋植え向け種いもの説明を確認してください。
ジャガイモの植え付け
株間を取り、適度に覆土する
一般的な露地栽培では、株間30cm程度、畝間60〜70cm程度が一つの目安です。
種いもを置き、上に5〜6cm程度の土をかぶせます。マルチ栽培などでは植え付け方法が異なるため、その方法に合った深さにしてください。
植え付け後の過湿を避ける
種いもには水分が蓄えられています。地植えでは、湿り気のある土に植えたあと、毎日水を与える必要は通常ありません。
乾燥が強い場合は土の状態を見て補いますが、種いもがぬれ続ける環境を避けましょう。
ジャガイモの芽かき
丈夫な芽を二〜三本残す
草丈が10〜15cm程度になったころを目安に、勢いのよい芽を二〜三本残して整理します。
芽を多く残すと、いもの数が増える一方で小さくなりやすいため、家庭菜園では使いやすい大きさを目指して調整します。
株元を押さえて不要な芽を取る
芽かきでは、種いもや残す芽を動かさないよう、株元の土を押さえて作業します。
無理に引き抜いて株全体が持ち上がる場合は、不要な芽を地際で切る方法もあります。品種や栽培方法によっては芽かきを省く場合もあるため、購入時の案内を参考にしましょう。
ジャガイモの追肥と土寄せ
芽かき後に追肥と土寄せを行う
芽かきのころに、生育を確認して追肥します。肥料を株元から少し離して施し、周囲の土と浅く混ぜてから株元へ寄せます。
元肥が十分で葉色もよい場合は、追肥量を控えるなど調整しましょう。
新しいいもを光から守る
土寄せには、いもが育つ空間を確保し、日光が当たることを防ぐ役割があります。
生育に合わせて数回に分けて行い、雨で土が流れたり、いもが露出したりした場合は覆い直します。深く埋めればよいわけではなく、根や茎を傷めない範囲で行いましょう。
花の有無だけで収穫時期を決めない
ジャガイモは、品種や環境によって花が少なかったり、咲かなかったりします。花が咲かなくても、いもは育ちます。
花が終わった日だけを基準にせず、栽培日数や茎葉の状態を見て収穫時期を判断します。
ジャガイモの水やり
地植えは降雨を基本に管理する
根づいたあとは降雨を基本にし、晴天が長く続いて土が強く乾く場合に水を補います。
いもが太る時期の極端な乾燥は避けますが、過湿にも注意しましょう。
容器栽培は乾き具合を確認する
プランターや栽培袋では、表土が乾いたら内部の湿り具合も確認し、必要なときに十分に水を与えます。
毎日同じ量を与えるのではなく、気温と株の大きさ、土の状態に合わせて調整してください。
ジャガイモのプランター・袋栽培
深さと土量に余裕を持たせる
容器:深さ30cm程度以上の大型プランターや丈夫な栽培袋
土量:一株あたり15〜20L程度以上を一つの目安にする
株数:容器の幅と土量に合わせて控えめにする
用土:排水のよい野菜用培養土
排水:底穴を確保する
置き場所:日当たりがよく、容器が安定する場所
土が少ないと、いもの肥大や水分管理が難しくなります。
増し土できる余裕を残す
植え付け時に容器いっぱいまで土を入れず、あとから土を足す余裕を残します。
袋の素材が薄い場合は、内部に光が入らないかも確認しましょう。増し土の際は、肥料入り培養土の養分も考慮します。
ジャガイモの病害虫と生育トラブル
葉の病斑や急な枯れ込みを観察する
葉に褐色の病斑が広がる、茎が急にしおれるなどの症状がある場合は、病気の可能性があります。
風通しと排水を確保し、病気が疑われる株を次作の種いも用に残さないようにします。
アブラムシや葉を食べる害虫に注意する
葉裏や新芽を定期的に確認し、害虫を早めに見つけましょう。
薬剤を使う場合は、ジャガイモと対象病害虫への適用、使用時期や回数を確認してください。
いもが小さい原因を見直す
芽や茎を多く残しすぎている
日照が不足している
いもの肥大期に水分が不足している
病害虫で葉が減っている
栽培期間が短い
容器の土量が不足している
肥料だけで解決しようとせず、栽培全体を振り返ることが大切です。
ジャガイモの収穫時期と方法
茎葉が黄変してきたら試し掘りする
植え付けから収穫までは、おおむね3〜4か月が目安ですが、地域や品種で変わります。
保存用は茎葉が黄変し、成熟が進んだころに収穫します。新じゃがとして早めに収穫する場合は、皮が薄く保存性が低いため、早く使い切りましょう。
土が乾いた日に掘る
雨の直後を避け、土が適度に乾いた日に作業します。
株から少し離れた場所に道具を入れ、周囲をゆるめてから掘り上げます。いもを傷つけないよう、位置を確認しながら進めましょう。
掘り上げたら日光にさらし続けない
収穫後は、日陰で表面を乾かします。畑の上や窓辺など、明るい場所へ長く置かないようにしてください。
傷のあるいも、腐敗したいも、健全ないもを分け、保存前に状態を確認します。
ジャガイモの保存と食べるときの注意点
光を避け、涼しく風通しのよい場所へ
保存用は洗わず、土を軽く落とし、紙袋や段ボールなどを利用して遮光します。密閉して蒸らさないようにしましょう。
保存中も芽や腐敗がないか確認し、傷のあるものや新じゃがは早めに使います。
芽と緑色の部分を取り除く
ジャガイモの芽や緑色になった部分には、天然毒素のソラニンやチャコニンが多く含まれることがあります。
芽は周囲も含めて取り除き、緑色の部分は厚めにむきます。広く緑化したものや、苦み・えぐみを感じるものは食べないでください。通常の加熱で十分に取り除けるものではありません。
家庭菜園でできた未熟で極端に小さいいもも、食用にしないようにしましょう。
ジャガイモのおいしい食べ方
ポテトサラダ:粉質品種をつぶし、好みの具材と合わせる
コロッケ:ほくほくした食感を生かす
カレー・シチュー:煮崩れしにくい品種を使う
じゃがバター:蒸したいもにバターを添える
粉ふきいも:ゆでたあと水分を飛ばして仕上げる
グラタン:薄切りや下ゆでしたいもを使う
品種ごとに同じ料理を作ると、食感や口当たりの違いを比べて楽しめます。
まとめ
ジャガイモは、健全な種いもと基本的な管理で、家庭でも収穫を楽しめる野菜です。
地域と春作・秋作に合った品種を選ぶ
栽培用の健全な種いもを使う
石灰や窒素肥料を与えすぎない
芽かきで茎の数を整える
土寄せでいもを光から守る
土が乾いた日に収穫し、日陰で扱う
保存時も遮光し、芽や緑化に注意する
大型プランターや栽培袋でも育てられます。好きな料理に合う品種を選び、掘りたての味わいを楽しみましょう。