ブタクサとは?特徴・ヨモギとの見分け方・花粉の時期や駆除方法を解説
ブタクサとは?特徴やヨモギとの見分け方、花粉の時期と駆除方法を解説
ブタクサは、夏から秋にかけて道端や河川敷、空き地などに生えるキク科の一年草です。北アメリカを原産とする帰化植物で、日本では秋の花粉症を引き起こす代表的な植物として知られています。
花は黄色から黄緑色で小さく、穂のようにまとまって咲くため、セイタカアワダチソウのような華やかさはありません。葉は細かく切れ込み、ヨモギに似ていますが、葉の裏側や香り、生育の仕方を確認すれば見分けられます。
この記事では、ブタクサの特徴や名前の由来、花粉の飛散時期、ヨモギやオオブタクサとの違い、生育場所、増え方、庭や畑での駆除方法について詳しく解説します。
ブタクサの基本情報
ブタクサの基本的な情報は、次のとおりです。
和名:ブタクサ
学名:Ambrosia artemisiifolia
科名:キク科
属名:ブタクサ属
分類:一年草
原産地:北アメリカ
草丈:およそ30~150cm
開花時期:7~10月
花の色:黄緑色、淡黄色
主な生育場所:道端、空き地、河川敷、畑、芝地、荒れ地、林縁
主な繁殖方法:種子
花粉の飛散時期:主に8~10月
受粉方法:風媒
日本には明治時代の初めごろまでに入ったと考えられ、その後、ほぼ全国へ分布を広げました。輸入された穀物や飼料などに種子が混入し、意図せず持ち込まれた可能性があります。
ブタクサの名前の由来
ブタクサという名前は、英語名のひとつである「hogweed」を訳したものとされています。「hog」は豚、「weed」は雑草を意味します。
学名に使われている「Ambrosia」は、ギリシャ神話に登場する神々の食べ物や香りを意味する言葉に由来します。しかし、実際のブタクサは食用植物として一般的に利用されるものではありません。
ブタクサには複数の英名があり、一般には「common ragweed」や「annual ragweed」と呼ばれています。
ブタクサの特徴
葉の特徴
ブタクサの葉は、ヨモギやニンジンの葉のように細かく切れ込みます。
主な特徴は次のとおりです。
葉は深く羽状に裂ける
裂片は細長い
下部の葉は向かい合ってつくことが多い
上部の葉は互い違いにつく
葉の両面は緑色
表面や葉柄に細かな毛がある
葉を裏返しても白く見えない
ヨモギほど強い香りがない
発芽直後の葉は切れ込みが浅く、成長するにつれてブタクサらしい細かな形になります。若い株はほかのキク科植物と似るため、複数の葉が展開してから確認すると見分けやすくなります。
茎の特徴
ブタクサの茎は直立し、生育条件がよいと1mを超えることがあります。
茎の特徴は次のとおりです。
緑色
縦方向に筋がある
細かな毛が生える
上部で枝分かれする
成長すると硬くなる
根元から複数の茎を出す場合がある
草刈り後に根元が残っていると、脇芽を伸ばして再び花をつけることがあります。そのため、一度刈り取った後も継続した確認が必要です。
花の特徴
ブタクサは雌雄同株で、同じ株に雄花と雌花をつけます。
雄花の特徴は次のとおりです。
茎や枝の先端に穂状につく
小さな花が下向きに並ぶ
黄緑色から淡黄色
花粉を大量につくる
風によって花粉を飛ばす
雌花の特徴は次のとおりです。
雄花序の下部につく
葉の付け根に少数つく
非常に小さく目立たない
受粉後に果実を形成する
目立つ花びらはなく、開花していても花だと気づきにくい植物です。先端に細長い黄緑色の穂が出ていたら、花粉を飛ばす時期に入っている可能性があります。
果実と種子の特徴
受粉後には、硬い総苞に包まれた果実をつくります。
果実の特徴は次のとおりです。
長さは数mm程度
中央に突起がある
周囲にも小さな突起がある
褐色に成熟する
内部に種子を含む
土の中で発芽の機会を待つ
一つの株が多数の種子をつくることがあり、種子は雨水、土砂、人、動物、農機具などによって運ばれます。
ブタクサの一年の変化
春
気温が上がると種子から発芽します。発芽直後は小さな楕円形の葉を出し、その後、細かく切れ込んだ本葉を展開します。
春のうちは草丈が低く、ほかの雑草に隠れて見つけにくいことがあります。
初夏
茎を直立させ、葉を増やしながら急速に成長します。日当たりと養分に恵まれた場所では枝数が増え、大きな株になります。
花粉の飛散を防ぐには、花穂が形成される前のこの時期に除去するのが効果的です。
夏から秋
茎や枝の先に雄花序をつけ、風に乗せて花粉を飛ばします。主な開花時期は7~10月で、花粉は8~10月ごろに多く飛散する傾向があります。
開花後は雌花が受粉し、種子を形成します。
晩秋から冬
種子を落とした後、株全体が枯れます。ブタクサは一年草なので、基本的に同じ株が地下部で冬を越すことはありません。
ただし、地面に落ちた種子が土中に残り、翌春以降に発芽します。枯れた株を取り除くだけでは、翌年の発生を完全には防げません。
ブタクサの生育環境
ブタクサは、日当たりのよい開けた場所を好みます。
よく見られる場所は次のとおりです。
河川敷
堤防
道端
空き地
畑
牧草地
果樹園
芝生
公園
駐車場周辺
工事後の裸地
資材置き場
林縁
耕作放棄地
土壌への適応力が高く、多少乾燥した場所から湿り気のある場所まで生育します。特に、窒素分が多く、地面がかく乱された場所で大きく育つことがあります。
周囲に背の高い植物が少なく、十分な日光が当たる場所では群生しやすくなります。
ブタクサとヨモギの見分け方
ブタクサとヨモギは、どちらも葉に深い切れ込みがあるため、花がない時期にはよく似ています。
葉の裏側で見分ける
葉を裏返して色を確認します。
ブタクサ:葉の裏側も緑色
ヨモギ:葉の裏側が白っぽい
ヨモギの葉裏には白い毛が密に生えているため、表側よりも明らかに白く見えます。ブタクサにも毛はありますが、ヨモギのような白さは目立ちません。
葉の切れ込みで見分ける
葉の形にも違いがあります。
ブタクサ:細かく深く裂け、全体に繊細
ヨモギ:大きめの裂片に分かれ、先がとがる
ブタクサの葉は、ニンジンやシダの葉に似た細かな印象があります。ヨモギの葉は裂片の一つひとつがやや幅広く見えます。
香りで見分ける
葉を軽くこすったときの香りも手掛かりになります。
ブタクサ:強い芳香は少ない
ヨモギ:独特の強い香りがある
ただし、花粉症や植物による刺激が気になる場合は、顔を近づけたり、素手で葉をこすったりしないでください。
生活サイクルで見分ける
ブタクサ:一年草
ヨモギ:多年草
ヨモギは地下茎を伸ばし、同じ場所に繰り返し生えます。ブタクサは種子から発芽し、種子をつけた後に株が枯れます。
花で見分ける
ブタクサは枝の先に黄緑色の雄花を穂状につけます。ヨモギの花も目立ちませんが、小さな頭花が円すい状に多数つき、全体に褐色や淡い赤褐色を帯びることがあります。
ブタクサとオオブタクサの見分け方
オオブタクサはブタクサと同じ北アメリカ原産の帰化植物で、どちらも秋の花粉症の原因になります。
草丈の違い
ブタクサ:およそ30~150cm
オオブタクサ:1~3m以上になることがある
オオブタクサは人の背丈を大きく超えることがあり、河川敷などで密集すると大規模な群落になります。
葉の形の違い
ブタクサ:葉が羽状に細かく裂ける
オオブタクサ:葉が手のひら状に3~5裂する
オオブタクサの葉は大きく、カエデの葉を巨大にしたような形です。切れ込みが細かいブタクサとは、葉を見れば比較的容易に区別できます。
茎の違い
オオブタクサの茎は太く、粗い毛が目立ちます。ブタクサの茎はそれより細く、株全体も小型です。
共通点
両者に共通する特徴は次のとおりです。
キク科ブタクサ属
北アメリカ原産
一年草
風媒花
夏から秋に開花する
花粉症の原因になる
河川敷や空き地に生える
多数の種子をつくる
ブタクサとセイタカアワダチソウの違い
秋の花粉症に関連して、ブタクサとセイタカアワダチソウが混同されることがあります。しかし、両者は花の形や受粉方法が異なります。
主な違いは次のとおりです。
ブタクサの花は黄緑色で目立たない
セイタカアワダチソウの花は鮮やかな黄色
ブタクサは風によって花粉を運ぶ
セイタカアワダチソウは主に昆虫によって花粉を運ぶ
ブタクサの葉は細かく切れ込む
セイタカアワダチソウの葉は細長く、切れ込みがない
ブタクサは一年草
セイタカアワダチソウは多年草
黄色い花を大きく広げるセイタカアワダチソウよりも、目立たない花をつけるブタクサのほうが、風で花粉を飛散させます。
ブタクサ花粉の飛散時期
ブタクサの花粉は、主に8~10月ごろに飛散します。ただし、地域、気温、天候によって時期は前後します。
花粉が飛びやすい条件は次のとおりです。
晴れている
空気が乾燥している
風がある
雨が降った翌日に晴れる
気温が高い
ブタクサの群生地が近くにある
ブタクサは樹木より草丈が低いため、花粉の影響は群生地の周辺で強くなりやすい傾向があります。ただし、風の条件によっては離れた場所まで運ばれることもあります。
ブタクサ花粉症の主な症状
ブタクサ花粉によるアレルギーでは、次のような症状が現れることがあります。
くしゃみ
透明な鼻水
鼻づまり
目のかゆみ
目の充血
涙が出る
喉の違和感
咳
皮膚のかゆみ
集中力の低下
睡眠への影響
症状の種類や強さには個人差があります。咳や息苦しさが強い場合、症状が長引く場合、日常生活に支障がある場合は、自己判断だけで済ませず医療機関へ相談してください。
ブタクサ花粉への対策
ブタクサが多い場所へ出かける場合は、花粉との接触を減らす工夫が役立ちます。
主な対策は次のとおりです。
群生している場所へ近づかない
開花中の河川敷や空き地を避ける
マスクを着用する
花粉対策用の眼鏡を使う
表面が滑らかな衣服を選ぶ
帰宅前に衣服の花粉を払う
帰宅後に手や顔を洗う
うがいをする
洗濯物を取り込む際に花粉を払う
室内を適切に清掃する
アレルギー症状がある人は、開花中のブタクサを自分で刈り取る作業を避けるか、別の人へ依頼することも検討してください。
ブタクサが増える仕組み
多数の種子をつくる
ブタクサは一株から多くの種子をつくることがあります。生育条件のよい大きな株ほど枝数と花数が増え、翌年以降の発生源になりやすくなります。
種子がさまざまな方法で運ばれる
種子は風で遠くへ飛ぶ綿毛をもちませんが、次のような方法で移動します。
雨水
河川の流れ
土砂の移動
鳥や動物
人の靴
車両
草刈り機
農業機械
園芸用土や資材
河川敷で広がりやすいのは、水や土砂によって種子が移動することも関係しています。
土中に種子が残る
地面に落ちた種子は、その年にすべて発芽するわけではありません。土の中で休眠し、地面が耕されたり裸地になったりしたときに発芽するものがあります。
一度ブタクサが大量に発生した場所では、成株を取り除いた後も数年間は新しい株を確認する必要があります。
庭や畑に生えたブタクサの駆除方法
花が咲く前に抜き取る
ブタクサは一年草なので、種子をつける前に株を除去することが基本です。
抜き取りの適期は、春から初夏の株が小さい時期です。
作業のポイントは次のとおりです。
雨の後など土が湿っている日に作業する
株元を持ってゆっくり抜く
根をできるだけ残さない
大きな株は移植ごてを使う
周囲の小さな株も取り除く
抜いた株を地面に放置しない
作業後に手や顔を洗う
開花前なら花粉の飛散を防げるだけでなく、種子が地面に落ちることも防げます。
開花中の株を処理する
すでに花穂が出ている場合は、花粉を飛ばさないよう慎重に作業します。
注意点は次のとおりです。
風の強い日を避ける
マスク、眼鏡、手袋を着用する
花穂を激しく揺らさない
花穂を先に袋へ入れる
株を静かに抜き取る
袋の口をしっかり閉じる
作業着を室内へ持ち込む前に花粉を落とす
作業後は洗顔や着替えを行う
花粉症の症状がある人は、開花中の除去作業を無理に行わないでください。
刈り取りを行う
発生範囲が広く、すべての株を抜き取れない場合は、花穂が形成される前に刈り取ります。
一度刈るだけでは、根元から脇芽を伸ばして再生することがあります。再び花をつける前に、繰り返し刈り取ることが重要です。
草刈りのポイントは次のとおりです。
初夏までに一度刈る
再生した株を定期的に確認する
花穂が出る前に再び刈る
刈草をその場に放置しない
種子がある株を機械で細断しない
作業後に機械や衣服を清掃する
除草剤を使用する場合
広範囲に発生し、抜き取りや刈り取りだけでは管理できない場合は、使用場所とブタクサへの適用が確認できる除草剤を検討します。
使用時の注意点は次のとおりです。
対象雑草にブタクサが含まれるか確認する
畑、芝生、樹木周辺など使用場所を確認する
作物への使用可否を確認する
希釈倍率と使用量を守る
使用時期と使用回数を守る
風の強い日を避ける
河川や水路へ流入させない
周囲の植物に薬液を付着させない
製品ラベルの記載を優先する
特定の除草成分が効きにくい個体群も知られています。効果が不十分でも、自己判断で濃度や散布回数を増やさないでください。
ブタクサの侵入を予防する方法
ブタクサは種子によって増えるため、種子を形成させないことが最も重要です。
予防のポイントは次のとおりです。
春から初夏に幼株を探す
花穂が出る前に除去する
抜き取り後の裸地を放置しない
芝生の薄い部分を補修する
花壇にマルチを敷く
発生地の土を別の場所へ移さない
草刈り機や農機具の土を落とす
種子のついた刈草を適切に処分する
数年間は同じ場所を継続して確認する
周辺に群生地がある場合は、敷地内へ種子が運ばれてくる可能性があります。毎年早い時期に確認し、小さいうちに抜くと管理しやすくなります。
ブタクサは食べられる?
ブタクサは一般的な食用植物ではありません。花粉症の原因植物でもあるため、自己判断で葉、茎、花、種子を食べることは避けてください。
食用に向かない主な理由は次のとおりです。
食材としての安全な利用方法が確立されていない
花粉によるアレルギー反応のおそれがある
類似する植物と誤認する可能性がある
道端の株には汚染物質が付着している場合がある
除草剤や農薬が使用されている可能性がある
体質や摂取量によって影響が異なる
誤って食べた後に異常が現れた場合は、植物の写真や残っている部分を保管し、速やかに医療機関へ相談してください。
ブタクサに関するよくある質問
ブタクサは外来植物ですか?
ブタクサは北アメリカ原産の帰化植物です。日本には明治時代の初めごろまでに入り、現在ではほぼ全国で確認されています。
ブタクサは何月に花粉を飛ばしますか?
主に8~10月ごろに花粉を飛ばします。地域やその年の気温によって、7月ごろから開花したり、10月以降まで花粉が残ったりする場合があります。
ブタクサの花は黄色ですか?
雄花は黄緑色から淡黄色です。セイタカアワダチソウのような鮮やかな黄色い花ではなく、細長い穂につく小さく目立たない花です。
ブタクサとヨモギは同じ植物ですか?
別の植物です。ブタクサの葉裏は緑色で、ヨモギの葉裏は白い毛によって白っぽく見えます。ヨモギには強い芳香があります。
ブタクサとオオブタクサは同じですか?
同じブタクサ属ですが、別種です。ブタクサの葉は細かく羽状に裂け、オオブタクサの葉は手のひら状に大きく裂けます。
ブタクサはセイタカアワダチソウですか?
別の植物です。ブタクサは目立たない雄花から風で花粉を飛ばします。セイタカアワダチソウは鮮やかな黄色い花を咲かせ、主に昆虫によって受粉します。
ブタクサは抜けば翌年生えませんか?
種子をつける前に抜けば、その株から新しい種子が落ちるのを防げます。ただし、土中に過去の種子が残っていたり、周囲から種子が運ばれたりすると翌年も発生します。
ブタクサを駆除する時期はいつですか?
春から初夏の開花前が適しています。株が小さく抜き取りやすいうえ、花粉の飛散と種子の形成を同時に防げます。
枯れたブタクサからも花粉は出ますか?
すでに放出された花粉が株や周囲に付着している可能性があります。また、種子が成熟した枯れ株を動かすと種子が落ちる場合があります。処理するときは静かに袋へ入れましょう。
ブタクサのまとめ
ブタクサは、北アメリカ原産のキク科ブタクサ属の一年草です。夏から秋に目立たない黄緑色の花をつけ、風によって花粉を飛ばします。
ブタクサについて押さえておきたいポイントは次のとおりです。
草丈はおよそ30~150cm
葉は羽状に細かく切れ込む
葉の裏側は緑色
ヨモギのような強い香りはない
7~10月ごろに開花する
花粉は主に8~10月ごろに飛散する
秋の花粉症の原因植物として知られる
オオブタクサより小型で葉の形が異なる
一年草で、主に種子によって増える
開花前に根ごと抜くと防除しやすい
開花中の除去では花粉を飛ばさないよう注意する
翌年以降も幼株の発生を確認する
庭や畑で見つけた場合は、花穂が形成される前に抜き取りましょう。すでに開花している株を処理する場合は、風の弱い日にマスクや手袋を着用し、花穂を揺らさず袋へ入れることが大切です。