アーモンド(扁桃)の育て方|春の淡桃色の花と香ばしい実を楽しむ方法
アーモンドの育て方|春の美しい花と香ばしい実を楽しむ植え付け・受粉方法
アーモンドは、春に淡い桃色や白色の花を咲かせ、秋に硬い殻に包まれた種子を実らせる落葉果樹です。桜やモモに似た花を咲かせるため、果実だけでなく花木としても楽しめます。
食用にする部分は果肉ではなく、果実の中にある硬い殻を割った内側の種子です。収穫後に乾燥させ、加熱して利用します。
乾燥した温暖な気候を好み、雨が多く湿度の高い環境では病気が発生しやすくなります。多くの品種は一株だけでは実がつきにくいため、開花時期の合う異なる品種を受粉樹として近くへ植えることが大切です。
この記事では、アーモンドの特徴、種類、植え付け、水やり、肥料、受粉、摘果、剪定、収穫、実がならない原因、鉢植え管理、病害虫、増やし方まで詳しく解説します。
アーモンドの基本情報
和名:アーモンド(扁桃・巴旦杏)
学名:Prunus dulcis
科名:バラ科
属名:スモモ属
分類:落葉小高木、果樹
原産地:西アジアから中央アジア周辺
樹高:3m〜8m程度
開花期:2月〜4月頃
花色:白色、淡い桃色、桃色
収穫期:8月〜10月頃
果実の色:緑色から黄褐色
植え付け時期:11月〜3月頃
植え替え時期:11月〜3月頃
剪定時期:12月〜2月頃、収穫後
成長速度:普通〜やや早い
耐寒性:普通〜強い
耐暑性:強い
栽培難易度:中級者向き。受粉樹、雨対策、剪定、病害虫対策がポイント
アーモンドとは?
アーモンドは、バラ科スモモ属に分類される落葉果樹です。
モモやスモモに近い仲間で、春に葉が出る前後に白色や淡い桃色の花を咲かせます。花姿は桜やモモに似ており、観賞価値の高い果樹です。
受粉後は緑色の果実ができ、夏から秋にかけて成熟します。果実の外側には薄い果肉があり、その内側に硬い殻があります。
食用にするアーモンドは、硬い殻の中にある種子です。収穫後に外果皮と殻を取り除き、乾燥、加熱して利用します。
アーモンドには甘味種と苦味種があります。食用として流通するのは、一般的に甘味種です。苦味種には有害成分を含むものがあるため、家庭で採取した実を利用する場合は、品種を必ず確認しましょう。
アーモンドの特徴
春に桜やモモに似た花を咲かせる
アーモンドは、2月〜4月頃に花を咲かせます。
地域によっては桜より早く開花し、まだ花の少ない時期の庭を明るく彩ります。
花色は白色から淡い桃色で、枝いっぱいに咲く姿が美しく、果樹としてだけでなく花木としても楽しめます。
食べる部分は果実の種子
アーモンドは、一般的な果物のように果肉を食べるものではありません。
果実の内部にある硬い殻を割り、その中の種子を利用します。
収穫した種子は、そのままではなく、十分に乾燥させてから加熱して食用にします。
乾燥した気候を好む
アーモンドは、日当たりがよく、乾燥した暖かな気候を好みます。
梅雨や秋雨の多い地域では、葉や果実が長時間ぬれ、病気が発生しやすくなります。
水はけと風通しを確保し、鉢植えでは長雨の際に軒下へ移動すると育てやすくなります。
多くの品種で受粉樹が必要
アーモンドの多くは、自分の花粉だけでは十分に結実しません。
開花時期の重なる異なる品種を近くへ植える必要があります。
自家結実性のある品種もありますが、別品種を組み合わせたほうが収穫量が安定しやすくなります。
開花が早く遅霜の影響を受けやすい
アーモンドは、早春に花を咲かせます。
開花後に強い霜へ当たると、雌しべや幼果が傷み、実がつかない場合があります。
冷気がたまりやすい低地を避け、鉢植えでは遅霜が予想される夜に軒下へ移動しましょう。
核果をつける
アーモンドの果実は、モモやスモモと同じ核果に分類されます。
外側の果肉は薄く、成熟すると乾燥して裂けます。
裂けた果皮の内側から硬い殻が現れ、その中に種子が入っています。
アーモンドとモモの違い
アーモンドとモモは、どちらもバラ科スモモ属の近縁種です。
花や葉、果実の形はよく似ています。
モモは果肉を食べますが、アーモンドは種子を食べます。
アーモンドの果肉は薄く、成熟すると乾燥して裂けます。モモの果肉は厚く、やわらかく熟します。
アーモンドは乾燥した気候を好み、モモよりも雨や湿気の多い環境を苦手とする傾向があります。
アーモンドの主な種類・品種
ノンパレル
ノンパレルは、世界的に広く栽培される代表的なアーモンド品種です。
殻が比較的薄く、種子の形が整っています。
自家結実性が弱いため、開花時期の合う受粉樹が必要です。
ミッション
ミッションは、濃い褐色の殻と香りのよい種子を持つ品種です。
樹勢が比較的強く、加工用にも利用されます。
ノンパレルなどの受粉樹として組み合わせられる場合があります。
カーメル
カーメルは、比較的大きく形のよい種子をつける品種です。
ノンパレルと開花時期が重なる場合があり、受粉樹として利用されます。
果実の成熟期や適応性は栽培環境によって異なります。
テキサス
テキサスは、比較的丈夫で家庭栽培にも利用される品種です。
花つきがよく、受粉樹を組み合わせることで収穫を期待できます。
苗木を購入する場合は、開花時期と受粉相性を確認しましょう。
ダベイ
ダベイは、自家結実性を持つ品種として流通することがあります。
一株でも結実を期待できますが、別品種を近くへ植えると収穫が安定する場合があります。
限られた場所で育てたい場合に向いています。
花アーモンド
花アーモンドは、花を観賞する目的で栽培されるアーモンド類です。
八重咲きや濃い桃色の花を咲かせる品種があります。
食用果実の収穫には向かない場合があるため、苗木の用途を確認しましょう。
アーモンドの育て方
日当たり
アーモンドは、日当たりのよい場所を好みます。
一日6時間以上日が当たる場所が理想です。
日照不足になると花芽が少なくなり、果実の成熟や種子の充実にも影響します。
建物や高木の陰にならない場所へ植えましょう。
風通し
風通しのよい場所で育てます。
枝葉が密集すると、縮葉病、せん孔細菌病、灰星病などが発生しやすくなります。
樹冠内部へ光と風が入るように、不要な枝を整理しましょう。
開花期に強風が当たると、花が傷み、受粉しにくくなる場合があります。風当たりの強すぎない場所が適しています。
用土
アーモンドは、水はけのよい土を好みます。
粘土質で水がたまる場所では、根腐れや樹勢低下が起こりやすくなります。
庭植えでは、植え付け場所を深く耕し、腐葉土や完熟堆肥、軽石などを混ぜましょう。
雨後に水がたまりやすい場所では、周囲より少し高く植えます。
鉢植えでは、果樹用培養土や、水はけを高めた赤玉土、腐葉土、軽石の配合土が適しています。
植え付け時期
アーモンドの植え付けは、落葉期の11月〜3月頃が適しています。
寒冷地では厳寒期を避け、春の芽吹き前に植え付けましょう。
暖地では秋から冬にも植えられます。
開花が早いため、春植えの場合は芽が動き始める前に作業します。
植え付け場所の選び方
日当たり、水はけ、風通しのよい場所を選びます。
アーモンドは成長すると樹高と横幅が大きくなります。建物、隣地、電線、通路から十分な距離を確保しましょう。
受粉樹を植える場合は、ハチなどが移動しやすい距離へ配置します。
冷気がたまりやすい窪地や低い場所は、遅霜の被害を受けやすいため避けましょう。
庭植えの方法
苗木の根鉢よりも広く、深い植え穴を掘ります。
掘り上げた土へ腐葉土や完熟堆肥を混ぜます。
接ぎ木苗の場合は、接ぎ木部分が土へ埋まらない高さで苗木を置きます。
土を戻して軽く押さえ、たっぷりと水を与えましょう。
若木は風で根が動かないように支柱を立て、幹をゆるく固定します。
鉢植えの方法
アーモンドは鉢植えでも育てられます。
小さな苗木には、8号〜10号程度の深鉢を用意します。成長に合わせて大型鉢へ植え替えましょう。
鉢底穴を鉢底ネットで覆い、鉢底石と培養土を入れます。
根鉢を大きく崩さずに植え付け、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。
鉢植えでは受粉樹も鉢で育て、開花期に近くへ置く方法があります。
水やり
基本の水やり
庭植えでは、植え付け後に根付くまで土を乾燥させないように水を与えます。
根付いた後は、通常の降雨だけでも育ちます。
アーモンドは乾燥に比較的強いため、常に土が湿る状態は避けましょう。
鉢植えでは、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで与えます。
春の水やり
春は開花、新芽の展開、幼果の生育が進む時期です。
開花期や結実直後に水切れすると、花や幼い実が落ちる場合があります。
鉢植えでは、土の表面を確認しながら乾燥させすぎないようにしましょう。
夏の水やり
夏は葉が茂り、果実も成熟へ向かうため、水を必要とします。
鉢植えでは、朝に土の状態を確認します。真夏は夕方にも確認が必要になる場合があります。
高温の日中を避け、朝か夕方の涼しい時間帯に水を与えましょう。
梅雨時期の水やり
梅雨は土が乾きにくくなります。
庭植えでは、基本的に水やりを控えます。
鉢植えは雨が当たり続けない軒下へ移動し、土が乾いてから水を与えましょう。
過湿が続くと、根腐れや病気の原因になります。
秋の水やり
秋は収穫と翌年の花芽形成が進む時期です。
収穫後も葉が残っている間は、極端に乾燥させないようにしましょう。
気温が下がるにつれて、水やりの回数を減らします。
冬の水やり
冬は落葉して休眠期に入ります。
庭植えでは、雨が長期間降らない場合を除き、水やりは必要ありません。
鉢植えでは、土が乾いてから暖かい日の午前中に水を与えます。
肥料
アーモンドは、花や果実をつけるために適度な肥料を必要とします。
庭植えでは、落葉後から冬に寒肥として、完熟堆肥や緩効性肥料を施します。
春の芽出し前と、収穫後に追肥する方法もあります。
鉢植えでは、春から初夏に緩効性肥料を与え、収穫後にも少量施しましょう。
窒素肥料を与えすぎると、新梢ばかりが伸び、花芽がつきにくくなります。
枝の伸びが強く、葉色が濃い場合は肥料を控えましょう。
アーモンドの花
アーモンドは、2月〜4月頃に白色や淡い桃色の花を咲かせます。
地域によっては桜より早く開花します。
花は前年に伸びた枝や短い枝につきます。
開花が早いため、遅霜によって花が傷みやすい点に注意が必要です。
花は美しく、実がならない年でも花木として楽しめます。
アーモンドの受粉
受粉樹が必要な理由
多くのアーモンドは、自分の花粉だけでは十分に結実しません。
開花時期の重なる異なる品種を近くへ植える必要があります。
同じ品種を2本植えても、受粉効果が期待できない場合があります。
受粉樹の選び方
育てたい品種と開花期が重なり、花粉の相性がよい品種を選びます。
苗木を購入するときは、受粉樹として適した品種を販売店で確認しましょう。
自家結実性品種でも、別品種を組み合わせると実つきが安定する場合があります。
人工授粉
開花期に低温や長雨が続く場合は、人工授粉を行います。
花粉が出ている別品種の花を筆や綿棒でなで、受粉させたい花の中心へ花粉をつけます。
晴れた日の午前中に行い、開花期間中に数回繰り返しましょう。
遅霜対策
開花中に遅霜が予想される場合、鉢植えは軒下へ移動します。
庭植えでは、不織布をかけて花を保護する方法があります。
日中は蒸れを防ぐため、不織布を外すか開放しましょう。
アーモンドの摘果
摘果が必要な理由
アーモンドは、枝の大きさに対して多くの果実をつける場合があります。
すべて残すと種子が十分に充実せず、枝が重みで垂れることがあります。
若木や鉢植えでは、樹が消耗して翌年の花芽が少なくなる場合もあります。
摘果の時期
自然に落ちる幼果が少なくなった5月〜6月頃に行います。
小さい実、形の悪い実、傷のある実、病害虫の被害がある実を取り除きます。
果実同士が密集している場合は、間隔を空けましょう。
若木の摘果
植え付けたばかりの若木は、根と枝を育てる時期です。
最初の数年間は、果実をすべて摘み取るか、数個だけ残しましょう。
幹や主枝が充実してから、少しずつ収穫量を増やします。
アーモンドの剪定
剪定が必要な理由
アーモンドは放置すると枝が上へ伸び、樹冠内部が密集します。
日当たりと風通しが悪くなると、花芽が少なくなり、病害虫も発生しやすくなります。
花芽をつける短い枝を残しながら、不要な枝を整理しましょう。
剪定時期
基本的な剪定は、落葉後の12月〜2月頃に行います。
寒冷地では厳寒期を避け、春の芽吹き前に行う方法もあります。
収穫後に徒長枝や混み合う枝を軽く整理することもできます。
若木の剪定
若木では、外側へバランスよく伸びる枝を3本〜4本程度選び、主枝として育てます。
樹の中央を開ける開心自然形に仕立てると、樹冠内部へ日光が入りやすくなります。
内側へ伸びる枝、競合する枝、狭い角度で立ち上がる枝を整理しましょう。
成木の剪定
成木では、枯れ枝、交差枝、内向枝、徒長枝などを取り除きます。
不要な枝を付け根から切る間引き剪定を中心にします。
枝先をすべて短く切ると、花芽が減り、徒長枝が増える場合があります。
樹高を下げる場合は、横方向へ伸びる枝の分岐部分まで戻して切りましょう。
短果枝を残す
アーモンドは、短い枝へ花芽をつけることがあります。
数cmから十数cm程度の短い枝は、翌年の花や果実につながる可能性があります。
枯れていない短果枝を、不要枝と間違えて切り落とさないようにしましょう。
剪定で取り除く枝
剪定では、次のような枝を取り除きます。
枯れた枝
病害虫の被害を受けた枝
内側へ向かって伸びる枝
ほかの枝と交差する枝
真上へ強く伸びる徒長枝
下向きに伸びる枝
細く弱い枝
樹冠内部を暗くする枝
主枝と競合する枝
株元や接ぎ木部分より下から伸びるひこばえ
通路や隣地へ伸びる枝
太い枝を一度に多く切らず、毎年少しずつ樹形を整えましょう。
アーモンドの果実
アーモンドの果実は、受粉後に緑色の小さな実として成長します。
初夏から夏にかけて大きくなり、成熟すると外側の果肉部分が乾燥して裂けます。
果肉の内側には硬い殻があり、その中に種子が入っています。
食用になる種子は、殻を割って取り出します。
品種によって、殻の硬さ、種子の大きさ、形、風味が異なります。
アーモンドの収穫
収穫時期
アーモンドの収穫時期は、8月〜10月頃です。
地域、品種、開花時期によって成熟時期が異なります。
外果皮が乾燥し、自然に裂れ始めた頃が収穫の目安です。
収穫の目安
果実の外側が緑色から黄褐色へ変化し、縦に裂け始めたら成熟しています。
殻が見える状態になったら、順次収穫しましょう。
未熟な実は外果皮が裂けず、種子も十分に充実していません。
収穫方法
果実を手で摘み取るか、果梗をハサミで切ります。
高い枝の果実は、枝を強く揺らさずに高枝切りばさみなどを利用しましょう。
落下した果実も、傷みや虫害がなければ早めに回収します。
収穫後の処理
収穫後は、外側の果肉部分を取り除きます。
硬い殻を風通しのよい日陰へ広げ、十分に乾燥させましょう。
乾燥が不十分なまま保存すると、カビが発生する場合があります。
殻の割り方
乾燥した殻は、ナッツクラッカーなどで割ります。
硬い道具を使う場合は、種子をつぶしたり手を傷つけたりしないように注意しましょう。
取り出した種子に異臭、変色、カビが見られる場合は利用しません。
食用にするときの注意
家庭で収穫したアーモンドは、品種が食用の甘味種であることを確認します。
生の種子を大量に食べず、十分に加熱して利用しましょう。
強い苦味や異臭がある種子は食用にしません。
アーモンドの利用方法
収穫したアーモンドは、乾燥後に加熱して利用します。
主な利用方法には、次のものがあります。
ローストアーモンド
菓子
パン
クッキー
ケーキ
タルト
グラノーラ
サラダのトッピング
アーモンドミルク
アーモンドバター
アーモンドプードル
料理の衣やソース
家庭で加工する場合は、食用品種であること、カビや異臭がないことを確認しましょう。
アーモンドが実をつけない原因
樹が若い
植え付けたばかりの苗木は、根や枝を育てることを優先します。
接ぎ木苗でも、植え付けから数年は花や果実が少ない場合があります。
若木のうちは樹形づくりを優先しましょう。
受粉樹がない
多くのアーモンドは、一株だけでは実がつきにくい性質があります。
開花時期の合う異なる品種を近くへ植えましょう。
同じ品種を2本植えても、受粉できない場合があります。
開花時期が合っていない
異なる品種を植えていても、花の咲く時期が重ならなければ受粉できません。
受粉樹を選ぶ場合は、開花時期と相性を確認しましょう。
遅霜で花が傷んだ
アーモンドは開花が早く、遅霜の影響を受けやすい果樹です。
花が咲いても雌しべが黒く変色している場合は、霜害が考えられます。
鉢植えは軒下へ移動し、庭植えでは不織布などで保護しましょう。
開花期の天候が悪い
低温、長雨、強風が続くと、ハチなどの活動が少なくなります。
花粉が雨で流れ、受粉しにくくなる場合もあります。
必要に応じて人工授粉を行いましょう。
日照不足
日当たりが悪いと、花芽がつきにくくなります。
枝葉は茂っているのに花が少ない場合は、周囲の建物や樹木による日陰を確認しましょう。
肥料が多すぎる
窒素肥料を与えすぎると、新梢ばかりが伸びます。
花芽が少なくなり、実つきも悪くなる場合があります。
枝の伸びが強く、葉色が濃い場合は肥料を控えましょう。
剪定で花芽を切っている
アーモンドは前年枝や短い枝へ花芽をつけます。
枝先や短果枝をすべて切り落とすと、翌春の花が少なくなります。
花芽の位置を確認しながら剪定しましょう。
アーモンドの実が落ちる原因
アーモンドは、受粉後に一部の花や幼果を自然に落とします。
樹が育てられる果実を選ぶ生理落果であり、すべてが異常ではありません。
実が落ちる主な原因には、次のようなものがあります。
受粉不良
遅霜
開花期の低温
水切れ
水の与えすぎ
日照不足
肥料不足
肥料の与えすぎ
実のつけすぎ
強風
病害虫
幼い実が多数落ちる場合は、受粉状況、天候、水分管理、樹勢を確認しましょう。
アーモンドの実が小さい原因
摘果が不足している
果実を多く残しすぎると、養分が分散します。
小さい実、傷のある実、密集している実を摘果しましょう。
日照不足
葉へ十分な日光が当たらないと、種子を充実させる養分が不足します。
枝葉を間引き、樹冠内部へ光を入れましょう。
水切れ
果実が大きくなる時期に水切れすると、種子の生育が止まる場合があります。
鉢植えや乾燥が続く庭植えでは、土の状態をこまめに確認しましょう。
肥料不足
肥料不足では、枝葉と果実の成長が弱くなります。
葉色や新梢の伸びを確認し、必要に応じて適量を追肥しましょう。
根詰まり
鉢植えで根詰まりすると、水分と養分を十分に吸収できません。
鉢底から根が出る、水切れが早い、新芽の伸びが悪い場合は植え替えを検討しましょう。
アーモンドの鉢植え管理
アーモンドは鉢植えでも花と実を楽しめます。
庭植えより樹高を抑えやすく、梅雨や遅霜の時期に移動できる利点があります。
鉢の選び方
深さと安定感のある鉢を選びます。
小さな苗木には8号〜10号程度の鉢を使い、成長に合わせて大型鉢へ植え替えましょう。
枝葉が広がるため、倒れにくい重さのある鉢が適しています。
置き場所
春から秋は、屋外の日当たりと風通しのよい場所へ置きます。
梅雨時期は雨が当たり続けない軒下へ移動すると、病気を防ぎやすくなります。
開花期に遅霜が予想される場合は、夜だけ保護できる場所へ移しましょう。
植え替え
鉢植えは、2年〜3年に1回を目安に植え替えます。
鉢底から根が出る、水切れが早い、水が染み込みにくい場合は根詰まりが考えられます。
植え替えは、落葉期の11月〜3月頃に行いましょう。
古い土を一部落とし、傷んだ根を取り除いて、ひと回り大きな鉢へ植え替えます。
鉢植えで実をならせるコツ
自家結実性品種を選ぶか、受粉可能な別品種をもう一鉢用意します。
開花期に鉢を近づけ、必要に応じて人工授粉を行いましょう。
日当たりを確保し、短果枝を切りすぎないように剪定します。
梅雨時期は長雨を避け、夏は水切れに注意しましょう。
アーモンドの夏越し
アーモンドは暑さに強く、日当たりのよい場所で夏越しできます。
高温そのものより、梅雨から夏の過湿に注意が必要です。
庭植えでは、水がたまらないように排水性を確保しましょう。
鉢植えは長雨の際に軒下へ移し、受け皿へ水をためないようにします。
果実が成熟する時期は、土を極端に乾燥させないことも大切です。
アーモンドの冬越し
アーモンドは冬に葉を落として休眠します。
成木は比較的寒さに強く、日本の多くの地域で屋外越冬できます。
植え付けたばかりの若木や寒冷地では、株元へ腐葉土、わら、バークチップなどを敷きましょう。
鉢植えは、風の当たりにくい軒下や建物の南側へ移動します。
暖かい室内へ入れる必要はありません。
開花前後の遅霜に注意し、必要に応じて花を保護しましょう。
アーモンドの増やし方
種まき
アーモンドは種から育てられます。
成熟した食用品種の種子をまくと発芽する場合があります。
種は一定期間低温へ当てた後、春に種まき用土へまきます。
実生苗は、親株と同じ性質や品質になるとは限りません。
開花や結実まで長い年月が必要です。
接ぎ木
品種の性質を維持し、早く花や実を楽しむ場合は接ぎ木を行います。
モモやスモモなどに近い台木へ、育てたい品種の枝や芽を接ぎます。
市販されているアーモンド苗の多くは接ぎ木苗です。
家庭で収穫を目指す場合は、品種名と受粉特性が明確な接ぎ木苗を選びましょう。
挿し木
アーモンドは挿し木での発根が難しい果樹です。
品種や条件によっては発根する場合がありますが、一般的には接ぎ木で増やします。
アーモンドに発生しやすい病気
縮葉病
縮葉病は、新しい葉が赤く変色し、縮れたり厚くなったりする病気です。
春先の低温と降雨が続くと発生しやすくなります。
被害葉を早めに取り除き、落ち葉も放置しないようにしましょう。
せん孔細菌病
せん孔細菌病は、葉に小さな褐色斑点が現れ、病斑部分が抜け落ちて穴が開く病気です。
枝や果実にも症状が現れる場合があります。
風雨によって広がりやすいため、被害枝葉を取り除き、風通しを改善しましょう。
灰星病
灰星病は、花や果実が褐色に腐敗し、灰色のカビが発生する病気です。
開花期や収穫期に雨が多いと発生しやすくなります。
傷んだ花や果実を早めに取り除きましょう。
黒星病
黒星病は、葉や果実に黒褐色の斑点が現れる病気です。
雨が多く、葉や果実が長時間ぬれる環境で発生しやすくなります。
被害葉や果実を取り除き、枝葉の風通しを確保しましょう。
胴枯病・枝枯病
幹や枝の一部が変色し、枝先から枯れ込むことがあります。
剪定傷、寒害、病原菌などが原因になる場合があります。
枯れた枝は健康な部分まで切り戻し、剪定道具を清潔に保ちましょう。
根腐れ
水はけの悪い土や水の与えすぎによって、根腐れを起こすことがあります。
葉が黄色くなる、新芽が伸びない、枝先が枯れるなどの症状が現れます。
水がたまる場所を避け、鉢植えでは受け皿の水を捨てましょう。
アーモンドにつきやすい害虫
アブラムシ
アブラムシは、新芽や若い葉へ集まり、樹液を吸います。
被害を受けた葉は縮れ、新しい枝の生育が悪くなる場合があります。
数が少ないうちに、水で洗い流すか手で取り除きましょう。
カイガラムシ
カイガラムシは、枝や幹へ付着して樹液を吸います。
数が増えると樹勢が低下し、すす病の原因になります。
少数であれば、ブラシや布でこすり落としましょう。
モモハモグリガ
モモハモグリガの幼虫は、葉の内部へ入り込んで食害します。
葉に白い筋状や斑状の食害跡が現れます。
被害葉が少ない場合は、取り除いて処分しましょう。
シンクイムシ類
シンクイムシ類の幼虫が、果実や新梢へ入り込む場合があります。
果実に穴や虫ふんが見られる場合は、被害が疑われます。
傷んだ果実や枝を早めに取り除きましょう。
カメムシ類
カメムシ類は、幼果や成熟した果実へ口を刺して汁を吸います。
被害を受けた実は変形し、種子の充実が悪くなる場合があります。
見つけたら捕殺し、ほかの果実も確認しましょう。
コスカシバ
コスカシバの幼虫は、幹や枝の内部を食害します。
樹皮から樹液や虫ふんが出ている場合は、被害が疑われます。
被害が進むと枝が枯れるため、早期発見が大切です。
農薬を使用する場合は、アーモンドまたは対象作物への登録、対象病害虫、希釈倍率、使用時期、使用回数、収穫前日数を確認します。
アーモンドを育てるときの注意点
受粉樹の組み合わせを確認する
多くの品種は、一株だけでは十分に実をつけません。
開花時期と受粉相性の合う異なる品種を植えましょう。
苗木を購入する前に、受粉樹の必要性を確認します。
遅霜に注意する
アーモンドは開花が早いため、遅霜によって花や幼果が傷むことがあります。
冷気がたまる場所を避け、鉢植えは開花期に移動できるようにしましょう。
長雨を避ける
雨や湿気が多いと、花の受粉不良や病気が起こりやすくなります。
鉢植えは梅雨や秋雨の時期に軒下へ移動します。
庭植えでは、枝を間引いて風通しを確保しましょう。
短果枝を切りすぎない
アーモンドは前年枝や短い枝へ花芽をつけます。
冬の剪定で短い枝をすべて切ると、翌春の花が減ります。
強く剪定しすぎない
強剪定を行うと、徒長枝が多く伸び、花芽が減る場合があります。
不要な枝を付け根から切る間引き剪定を中心にしましょう。
食用品種か確認する
観賞用の花アーモンドや、苦味種では食用に適さない場合があります。
収穫を目的とする場合は、食用の甘味種であることを確認しましょう。
生の種子を大量に食べない
家庭で収穫した種子は、十分に乾燥、加熱して利用します。
強い苦味、異臭、変色、カビがある場合は食用にしません。
アーモンドの育て方に関するよくある質問
アーモンドは一本だけでも実がなりますか?
多くの品種は、一株だけでは実がつきにくく、開花時期の合う異なる品種が必要です。
自家結実性品種では、一株でも収穫できる場合があります。
アーモンドは植えてから何年で実がなりますか?
接ぎ木苗では、植え付けから3年〜5年程度で実をつけ始める場合があります。
苗木の大きさ、品種、受粉環境によって異なります。
アーモンドは鉢植えでも育てられますか?
大型の鉢と日当たりのよい場所を用意すれば、鉢植えでも育てられます。
受粉樹、水切れ、根詰まり、長雨に注意しましょう。
アーモンドの剪定はいつ行いますか?
基本的な剪定は、落葉後の12月〜2月頃に行います。
枯れ枝、交差枝、内向枝、徒長枝を取り除き、短果枝を残しましょう。
アーモンドの花は咲くのに実がならないのはなぜですか?
受粉樹不足、開花時期のずれ、遅霜、長雨、低温、日照不足などが考えられます。
受粉相性を確認し、必要に応じて人工授粉を行いましょう。
アーモンドの実が落ちるのはなぜですか?
受粉不良、生理落果、遅霜、水切れ、実のつけすぎ、病害虫などが考えられます。
幼果が一部落ちることは自然な現象です。
アーモンドの収穫時期はいつですか?
一般的には8月〜10月頃です。
果実の外側が乾燥し、縦に裂けて殻が見え始めたら収穫適期です。
収穫したアーモンドはすぐ食べられますか?
収穫後は外果皮を取り除き、殻付きの状態で十分に乾燥させます。
食用の甘味種であることを確認し、種子は加熱して利用しましょう。
アーモンドは日本でも育てられますか?
日当たりと水はけのよい場所で育てられます。
梅雨や秋雨による過湿、開花期の遅霜、受粉樹の確保が主なポイントです。
アーモンドとモモは同じ植物ですか?
同じバラ科スモモ属の近縁種ですが、別の植物です。
モモは果肉を食べ、アーモンドは硬い殻の中にある種子を食べます。
まとめ
アーモンドは、早春に白色や淡い桃色の美しい花を咲かせ、秋に香ばしい種子を収穫できる落葉果樹です。
モモや桜に似た花を咲かせるため、果実だけでなく花木としても楽しめます。
日当たりと水はけのよい、乾燥した場所を好みます。日本では梅雨や秋雨の影響を受けやすいため、枝葉の風通しを確保し、鉢植えでは長雨を避けましょう。
多くの品種は自家結実性が弱く、開花時期の合う異なる品種を受粉樹として植える必要があります。苗木を購入するときは、品種名、開花時期、受粉相性を確認しましょう。
開花が早いため、遅霜によって花や幼果が傷みやすい点にも注意が必要です。
剪定は落葉期に行い、枯れ枝、交差枝、内向枝、徒長枝を取り除きます。前年枝や短果枝へ花芽をつけるため、枝先をすべて切り詰めないことが大切です。
果実の外側が乾燥して裂れ、硬い殻が見え始めたら収穫適期です。収穫後は外果皮を取り除き、殻付きの状態で十分に乾燥させましょう。
食用にする場合は、食用品種の甘味種であることを確認し、種子を十分に加熱して利用します。
受粉、遅霜、長雨への対策を行えば、日本の家庭でも春の花と秋の収穫を楽しめます。