スズメバチに刺されたらどうする?応急処置と救急車を呼ぶ症状を解説
スズメバチに刺された後、息苦しさ、喉や舌の腫れ、強いめまい、意識の異常などがある場合は、すぐに119番してください。傷口の手当より救急対応を優先します。
庭木の剪定や草刈り中にスズメバチに刺されたときは、まず追加で刺されない場所へ避難し、全身の状態を確認することが大切です。
この記事では、その場で行う応急処置、救急車を呼ぶ目安、避けたい対処方法を順に解説します。
まず確認したい、119番が必要な症状
刺された後に次のような症状が出た場合は、重いアレルギー反応であるアナフィラキシーの可能性があります。
息苦しい、ゼーゼーする、咳が続く。
喉が締め付けられる、声がかすれる、飲み込みにくい。
舌や唇、口の中が急に腫れる。
強いめまい、ふらつき、冷や汗がある。
顔色が悪く、ぐったりする。
意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が悪い。
激しい腹痛や繰り返す嘔吐がある。
全身のじんましんとともに、呼吸や意識、消化器の症状がある。
アナフィラキシーでは、じんましんが出ないこともあります。皮膚症状がないから大丈夫とは判断しないでください。
また、口や喉の中を刺された場合は、局所の腫れで呼吸が妨げられるおそれがあるため、直ちに119番で相談してください。
スズメバチに刺された直後の対処方法
1.追加で刺されない場所へ避難する
巣の近くで手当を始めると、さらに刺されるおそれがあります。剪定や草刈りを中止し、可能なら建物や車内など、ハチから身を守れる場所へ移動します。
ハチを手で払ったり、巣をたたいたり、種類を確認するために戻ったりしないでください。
ふらつきや息苦しさがある人を無理に歩かせず、周囲の人が避難を助けます。安全を確保した後は安静にしましょう。
2.全身症状を確認し、必要ならすぐ119番する
刺された場所の痛みや腫れだけでなく、呼吸、顔色、意識、吐き気などを確認します。
119番では、次の内容を分かる範囲で伝えてください。
スズメバチに刺されたこと。
現在地と、救急隊が来るための目印。
呼吸や意識など、現在の症状。
刺された時刻と、おおよその箇所数。
過去のハチ刺されによる重いアレルギー反応の有無。
処方された緊急薬を使用したかどうか。
情報をそろえるために、通報を遅らせる必要はありません。
3.処方されたアドレナリン製剤があれば、指示どおり使用する
過去にアナフィラキシーを起こした人などは、エピペンなどのアドレナリン製剤を処方されている場合があります。
処方時に説明された症状が出たら、ためらわず、医師から指示された方法で使用してください。エピペンは太ももの外側に使用する自己注射薬です。
薬を使用して症状が改善しても、119番による救急要請と医療機関での診察が必要です。 使用した時刻を記録し、救急隊に伝えましょう。
4.全身症状がなければ、刺された場所を洗う
流水で刺された場所をやさしく洗います。可能なら石けんも使い、皮膚の汚れを落としてください。
洗浄は傷口を清潔にするための処置です。すでに注入された毒を、流水だけで取り除けるわけではありません。
手指を刺された場合は、腫れが強くなる前に、外せる指輪や腕時計を外します。
5.布で包んだ保冷剤などで冷やす
保冷剤や氷を布で包み、刺された部分を冷やして痛みや腫れを和らげます。
冷やす目安は一回10〜20分程度とし、皮膚の状態を見ながら休みを挟みます。氷を直接当て続けたり、冷却のために受診を遅らせたりしないでください。
救急車を待つ間の姿勢
基本は横になり、立ち上がらない
アナフィラキシーが疑われる場合は、安全な場所で横になり、可能なら脚を少し高くします。急に立ったり歩いたりすると、状態が悪化することがあります。
「楽になったから」と歩かせたり、自分で車を運転させたりしないでください。
呼吸が苦しいときは上体を起こす
横になると呼吸がつらい場合は、脚を伸ばしたまま上体を起こすなど、呼吸しやすい姿勢を取ります。立たせないことが重要です。
吐いている場合は横向きにする
嘔吐している場合や、意識が低下していて普段どおりの呼吸がある場合は、吐いたものが喉に詰まらないよう横向きにします。
飲み込みにくさや意識の異常がある人には、水や飲み薬を無理に飲ませないでください。
反応がなく、普段どおりに呼吸していない場合
119番の指示に従い、胸骨圧迫を開始します。周囲の人にAEDを依頼し、到着したら音声案内に従って使用してください。
電話をスピーカーにすると、指示を受けながら対応できます。
アナフィラキシーとは?
短時間で全身に起こる重いアレルギー反応
ハチ毒をきっかけに、皮膚、呼吸器、循環器、消化器などに急速な症状が出る反応です。血圧低下などによって生命が危険な状態になると、アナフィラキシーショックと呼ばれます。
意識を失うまで待つ必要はありません。 息苦しさや喉の異常など、疑わしい症状の段階で救急対応が必要です。
一か所だけ刺されても起こることがある
刺された数が少なくても、重いアレルギー反応が起こる場合があります。局所の腫れの大きさだけで、重症度を判断することはできません。
「初めてだから安全」「二回目は必ず重症」は誤り
本人が初めてだと思っていても、過去に気づかず刺されている場合などがあり、重い反応を否定できません。
一方、二回目以降に必ず重症化するわけでもありません。過去の回数だけでなく、現在の症状を優先して判断します。
一度よくなっても再び症状が出ることがある
症状が改善した後に、再びアナフィラキシーの症状が現れる場合があります。
緊急薬で改善した場合も、自己判断で帰宅せず、医療機関で必要な観察を受けてください。「30分経ったから安全」といった時間だけの判断も避けましょう。
局所の痛みや腫れだけでも、早めに受診したい場合
次の場合は、全身症状がなくても早急に医療機関へ相談してください。
多数の箇所を刺された。
目や目の周囲を刺された。
過去にハチ刺されで重い全身症状が出たことがある。
腫れや痛みが強い、または急速に広がっている。
刺された後に体調が悪くなってきた。
子どもなどで、症状を十分に伝えられない。
多数の刺傷では、アレルギーとは別に、大量の毒による全身への影響が起こることがあります。最初に元気そうでも放置しないでください。
全身のじんましんが出た場合も、局所の虫刺されとは区別して速やかに医療機関へ相談し、症状が広がる、ほかの症状が加わる場合は119番してください。
やってはいけない対処方法
口で毒を吸い出す
十分な毒の除去は期待できず、傷口を汚す原因にもなります。口で吸い出すことは避けてください。
傷を切る、強く絞る、ひもで縛る
皮膚を切り開いたり、強く絞ったり、腕や脚をきつく縛ったりすると、組織や血流を傷めるおそれがあります。
毒を出すことに時間を使うより、全身症状の確認、救急要請、必要な緊急薬の使用を優先しましょう。
吸引器があれば安心と考える
ポイズンリムーバーなどの吸引器を持っていても、アナフィラキシーを防げるわけではありません。
吸引器を探したり、処置を繰り返したりして、119番やアドレナリン製剤の使用を遅らせないでください。
アンモニアや尿を塗る
ハチ毒を無害化する処置にはなりません。尿は傷口を汚すおそれもあるため使わないでください。
塗り薬や抗ヒスタミン薬だけで様子を見る
虫刺され用の薬は、局所のかゆみなどを和らげるために使うことがありますが、呼吸障害や血圧低下を伴うアナフィラキシーの救急治療の代わりにはなりません。
使用する場合は薬剤師や医師に相談し、製品の説明に従います。
スズメバチの針は抜く必要がある?
スズメバチは、通常、刺した後に針を皮膚へ残しません。同じ個体が繰り返し刺すこともあります。
針と毒の袋が残りやすいのはミツバチです。針が明らかに残っている場合は速やかに取り除きますが、見えない針を探して皮膚を掘ったり、処置に時間をかけたりしないでください。
ハチを捕まえて種類を確認する必要もありません。
庭仕事に備えてできること
過去に全身症状が出た人は、事前に医師へ相談する
ハチ刺され後に全身のじんましん、息苦しさ、めまいなどが出た経験がある場合は、アレルギーの専門医などへ相談します。
必要に応じて検査や緊急薬の処方を受け、使用する症状、使い方、使用後の対応を確認しておきましょう。
携帯電話と緊急薬をすぐ使える場所に置く
庭仕事や山林での作業では、携帯電話を手元に持ち、現在地を伝えられるようにします。
処方された緊急薬がある場合は、有効期限と保管条件を確認し、車内への放置を避けます。家族や作業仲間にも、保管場所と医師から指示された対応を共有しておくと役立ちます。
巣が疑われる場所では作業を始めない
ハチが同じ場所へ繰り返し出入りしている場合は、剪定や草刈りを中止します。
刺された後も巣の処理に戻らず、必要に応じて自治体や専門業者へ相談してください。
まとめ
スズメバチに刺されたときは、まず安全な場所へ避難し、呼吸や意識などの全身状態を確認します。息苦しさ、喉の腫れ、強いめまいなどがあれば、手当より119番と、処方されたアドレナリン製剤の使用を優先してください。
局所症状だけの場合は、洗浄と冷却を行い、その後の変化を見守ります。口で毒を吸う、強く絞る、尿を塗るといった方法は避けましょう。
「一か所だけ」「初めて」「少しよくなった」という理由だけで、安全とは判断しないことが大切です。