【庭用語】不要枝とは?種類と見分け方、庭木の剪定で切る枝・残す枝を解説
不要枝とは?種類と見分け方、庭木の剪定で切る枝・残す枝を解説
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庭木の剪定では、枝を短くする前に「どの枝を残すか」を考えることが大切です。その判断の目安になるのが、不要枝という考え方です。
不要枝には、枯れ枝や折れ枝のように整理を優先したいものから、徒長枝や内向き枝のように、目的によって残せるものまであります。名前に当てはまる枝を、すべて切ればよいわけではありません。
この記事では、不要枝の代表的な種類と見分け方、切るか残すかの判断、樹形を崩しにくい整理の手順を解説します。
不要枝とは
育成や管理の目的に対して、整理を検討する枝
不要枝とは、木の健全な生育、安全性、樹形、花や実の付き方などを考えたときに、剪定によって整理する候補となる枝です。
例えば、落下のおそれがある枯れ枝や、互いに擦れて傷をつくる枝、通路をふさぐ枝などが挙げられます。
ただし、生きている枝には、葉を支えて光合成を行うなどの役割があります。「不要」という言葉は、植物にとってまったく意味がないことを示すものではありません。
忌み枝との違い
「忌み枝」は、主に盆栽や庭木の整姿で、見た目の調和を崩す枝を指す言葉です。不要枝と重なる部分がありますが、特に観賞上の判断が含まれます。
盆栽では整理する枝でも、庭木の自然樹形では残すほうがよい場合があります。樹種本来の姿と、仕立てたい形を合わせて判断しましょう。
優先して確認したい枝
枯れ枝
すでに枯れて、生きた葉や芽を付けなくなった枝です。落下や折損のおそれがあるものは、優先して対応します。
ただし、冬の落葉樹は葉がないのが正常です。葉がないことだけで枯れ枝と判断せず、芽、樹皮、周囲の枝との違いなどを確認してください。
折れ枝・傷んだ枝
風や雪、接触などで折れたり、大きく裂けたりした枝です。途中まで裂けて残っている枝は、落下の危険があります。
高所の枝や太い枝は無理に引っ張らず、専門家に依頼しましょう。枝の傷が幹まで及んでいる場合は、切り取る範囲の判断も必要です。
病枝
病気によって枯れ込み、病斑、こぶなどが生じた枝です。
病枝の処理は、病気の種類によって切る位置や時期が異なります。見た目が悪い部分だけを切ればよいとは限らないため、原因を確認して対応します。
病枝を扱った道具や切り枝の処分方法も、病害に合わせて管理しましょう。
擦れ合う枝
枝同士が接触し、風で揺れるたびに擦れている状態です。樹皮が傷つく原因になるため、片方の枝を取り除くか、長さを調整します。
両方を切るのではなく、健康状態、枝の向き、今後の成長を見て、残す枝を選びましょう。
代表的な不要枝の種類と見分け方
徒長枝(とちょうし)
周囲の枝に比べて勢いよく長く伸び、節と節の間隔が広い枝です。強い剪定の後などに、上向きの枝がまとまって発生することがあります。
樹形を乱したり、内部を混み合わせたりする場合は整理します。一方、古い枝の更新や、枝が足りない場所の補充に利用できる場合もあります。
胴吹き枝(どうぶきえだ)
幹や太い枝の途中から、新たに伸びた枝です。
幹を見せたい仕立てでは整理の対象になりますが、傷んだ樹冠を回復させたり、将来の枝を育てたりするために残す場合があります。発生したものをすべて取り除くとは限りません。
ひこばえ
株元や根から伸びる新しい芽・枝です。「蘖」と書くこともあります。
一本立ちの樹形を保ちたい場合や、接ぎ木の台木から発生した場合は、整理が必要になることがあります。一方、株立ちをつくる場合や、古い幹を更新する場合には利用できます。
内向き枝(うちむきえだ)
樹冠の外側へ向かわず、幹や株の中心方向へ伸びる枝です。
内部が混み合う原因になりますが、中心側に伸びているだけで必ず切るわけではありません。周囲に空間があり、他の枝と干渉していなければ残せることもあります。
交差枝(こうさしえだ)
ほかの枝と交差するように伸びる枝です。接触している場合や、今後ぶつかる可能性が高い場合に整理を検討します。
正面から交差して見えても、前後に十分な間隔があることがあります。一方向から見ただけで判断せず、横からも確認しましょう。
平行枝(へいこうし)・重なり枝
近い位置で同じ方向へ伸び、上下などに重なっている枝です。
密集して光を遮る場合は、役割が重複する枝を整理します。ただし、十分な間隔があれば、どちらも樹冠を構成する枝として残せます。
逆さ枝(さかさえだ)
親枝の流れと反対方向へ戻るように伸びる枝です。
枝の流れを分かりにくくしたり、ほかの枝と絡んだりする場合に整理します。枝先の自然な曲がりまで、すべて取り除く必要はありません。
立ち枝(たちえだ)
横向きの枝などから、上へ立ち上がるように伸びる枝です。
横へ流れる枝ぶりを見せたい場合には整理候補となりますが、上向きの枝がすべて徒長枝というわけではありません。樹冠の上部をつくる枝として必要な場合もあります。
下がり枝(さがりえだ)
下向きに伸びる枝です。地面へ接触したり、通行を妨げたりする場合に整理を検討します。
枝垂れ性の樹種や品種では、下向きの枝そのものが観賞の中心です。伸びる方向だけで不要と判断しないことが大切です。
車枝(くるまえだ)
幹や枝のほぼ同じ位置から、車輪のように複数の枝が放射状に出ている状態です。
混み合いや局所的な太りを避けるために整理する場合があります。ただし、輪生状に枝を出すことが自然な樹種もあり、その性質を無視して取り除く必要はありません。
かんぬき枝
幹のほぼ同じ高さから、左右へ一直線に伸びる枝を指します。主に盆栽などで、単調な枝配置として整理の対象になります。
一般の庭木では、その形だけを理由に切る必要はありません。枝の健全性や樹種本来の枝の付き方を優先します。
突き枝(つきえだ)
観賞する正面へ突き出し、幹や枝ぶりを隠す枝です。
正面を決めて楽しむ盆栽や庭木で使われる考え方です。複数の方向から眺める庭木では、一方向だけの見え方を理由に切らないようにしましょう。
不要枝でも残したほうがよい場合
枝の更新に使える
徒長枝や胴吹き枝でも、位置がよければ将来の主な枝として育てられます。
古い枝が傷んでいる場合や、樹冠の一部が欠けている場合は、残した新しい枝が役立つことがあります。
花や実を付ける枝である
細い枝や短い枝に花芽を付ける木もあります。弱そうに見えるからといって整理すると、花や実を減らす場合があります。
果樹や花木では、不要枝の形だけでなく、花芽の位置や実を付ける枝の性質も確認しましょう。
幹や太枝を日差しから守っている
内側や下部の枝葉が、幹や太枝を強い日差しから守っていることがあります。
一度に取り除くと、それまで日陰だった部分が急に露出します。特に大きく透かす場合は、剪定後の光の当たり方まで考えます。
木が弱っていて、葉を残す必要がある
弱った木では、健康な葉を必要以上に減らさないことが大切です。
見た目を整える剪定よりも、根の状態、水分、病害虫などの原因への対応を優先します。
不要枝を整理する基本の手順
1.剪定の目的を決める
「通路を空ける」「擦れ合う枝を減らす」「花を残して形を整える」など、目的を具体的にします。
不要枝の名前を探して切るのではなく、解決したい問題から考えると、切りすぎを防ぎやすくなります。
2.残したい幹と主枝を確認する
木から離れ、全体の姿を見ます。中心となる幹や、樹形をつくる主な枝を先に確認しましょう。
株立ちでは幹ごとの役割も見ます。一本の枝だけを見て作業すると、全体のバランスを崩すことがあります。
3.枯れ枝・折れ枝などから確認する
安全性に関わる枝や、明らかに傷んだ枝を先に確認します。その後、擦れ合う枝や混み合う部分を検討します。
整理した後は、いったん離れて全体を見直します。少し切るだけで問題が解消することもあります。
4.片方を残す判断をする
交差枝や平行枝では、両方を切る必要がない場合が多くあります。
残す枝は、次の点を見て選びます。
健康で、大きな傷がないか
樹形に合う方向へ伸びているか
将来伸びる空間があるか
花や実を付ける役割があるか
切った場合に、大きな傷ができないか
太い枝を除去するより、もう一方の細枝を調整したほうが負担を抑えられる場合もあります。
5.必要な量で止める
不要枝に見える枝を一度にすべて取り除くと、枝葉が少なくなりすぎることがあります。
木の状態や樹種を踏まえ、必要なら数年に分けて整理しましょう。「まだ枝が残っている」こと自体は、剪定不足を意味しません。
切る位置と時期の注意点
枝の付け根を傷つけない
枝を元から取り除く場合は、付け根の膨らみである「枝の襟」を傷つけない位置で切ります。
幹に沿って平らに削るような切り方や、枝を長く切り残す方法は避けます。「付け根から切る」とは、幹まで削り込むことではありません。
枝の途中で一律に切りそろえない
枝先だけを繰り返し切ると、切った付近から枝が増えて、かえって混み合うことがあります。
枝ごと不要なら分岐部で整理し、長さの調整なら、適切な芽や側枝を残す位置で切り戻します。
内部の小枝を取りすぎない
幹や主枝を見せようとして、内側の小枝をすべて取り除くことは避けましょう。
枝先だけに葉が残る姿になると、葉の配置や枝の荷重が偏ります。自然な樹形を保つには、内部の枝葉にも役割があることを理解しておく必要があります。
生きた枝は樹種に合う適期に整理する
枯れ枝や危険な折れ枝は、安全確保を優先します。一方、生きた枝を大きく整理する場合は、樹種に合う剪定適期を選びます。
花木は花芽形成の時期、常緑樹は寒さ、針葉樹は古い枝から芽が出る性質などにも注意してください。
不要枝についてよくある質問
不要枝は見つけ次第、すべて切るべきですか?
いいえ。枝の役割と剪定の目的を確認して判断します。危険な枝を除き、太い生枝の処理や大量の剪定は、時期と木の状態を考えて行います。
徒長枝は残すと木が弱りますか?
残しただけで必ず弱るわけではありません。混み合いや樹形の乱れにつながる場合は整理しますが、更新用の枝として利用できることもあります。
下枝は早めにすべて取ったほうがよいですか?
下枝には葉を支え、若木の成長を助ける役割もあります。通行の妨げなどがなければ、すべて急いで取り除く必要はありません。
幹下の空間を確保する場合も、成長に合わせて段階的に整理します。
不要枝を切れば病害虫を防げますか?
混み合いを減らすことが管理に役立つ場合はありますが、剪定だけで病害虫を防げるわけではありません。
切りすぎによる樹勢低下や、大きな傷をつくることにも注意が必要です。
どの枝を切るか迷ったらどうすればよいですか?
すぐに切らず、枝の根元から先端まで追って、役割を確認します。写真を撮り、残したい樹形を考える方法もあります。
太枝や主幹に関わる判断、高所の作業は、造園業者や樹木の専門家に相談しましょう。
まとめ
不要枝は、庭木の安全性、生育、樹形、花付きなどを考える際に、整理を検討する枝です。枯れ枝や擦れ合う枝は優先して確認しますが、徒長枝、内向き枝、下がり枝などは、役割によって残せます。
大切なのは、不要枝の名前に当てはめて切ることではなく、残したい木の姿と枝の働きを考えることです。全体を見ながら必要な枝だけを整理し、切りすぎを防ぎましょう。