花の色にはどんな種類がある?色別の割合と、地域・気候・土壌による違い
花の色にはどんな種類がある?色別の割合と、地域・気候・土壌による違い
画像:AI作成
花には白、黄、橙、赤、桃、紫、青、緑など、さまざまな色があります。では、どの色の花が多いのでしょうか。また、地域や気候、土壌が変わると花色も変わるのでしょうか。植物学の研究をもとに、花色の種類と分布、色が決まる仕組みを解説します。
花にはどのような色がある?
花の色を人の目で大きく分けると、白・クリーム色、黄、橙、赤、桃、紫、青、緑などがあります。褐色や、黒に近い濃い紫色の花もあります。さらに、花弁の縁だけ色が違うもの、斑点や筋が入るもの、開花後に色が変わるものもあり、実際の花色は単色の分類だけでは表しきれません。
花色をつくる主な要素は色素です。アントシアニン類は赤・桃・紫・青など、カロテノイド類は黄・橙などに関わります。一部の植物群では、ベタレイン類も赤や黄をつくります。緑色には葉緑素が関わります。同じ系統の色素を持つ花でも、色素の量や組み合わせ、花弁の細胞内の状態によって、見える色は変わります。花色の進化に関する総説
なお、ここでいう色は主に人間の目に見える色です。人には同じ白や黄に見える花でも、紫外線を感じる昆虫には違う模様として見える場合があります。花色を調べる方法によって、分類結果も変わり得るのです。台湾の花色研究
花の色別の割合は?調査例から見る分布
「世界中の花の何%が白いか」を示す、共通の確定値はありません。調査する地域、野生種と園芸品種の扱い、色の分け方によって割合が変わるためです。また、「植物の種数」を数えるのか、「実際に咲いている花の数」を数えるのかでも答えは異なります。
一つの目安として、台湾で調べられた開花植物727種の花色分布を、人の目に見える主な色ごとに示します。
白:約45% — この調査で最も多い色です。
黄:約18% — 白に次いで多く見られました。
桃:約13%
紫:約11%
緑:約4%
青:約3%
赤:約3%
橙・その他:約3%
この調査では白と黄を合わせると約6割を占め、青や赤はそれぞれ約3%でした。ただし、これは台湾で調べた727種の割合であり、世界全体の割合ではありません。たとえば青い花についても、「世界の花の3%しかない」と読み替えることはできません。割合を比較するときは、対象となる場所・植物・分類方法を確認する必要があります。(台湾の花色研究)
地域によって花色の分布は違う?
地域差はあります。ある地域にどの色の花が多いかは、まずそこに生育する植物の種類によって変わります。気温や降水量、生育できる標高、森林か開けた場所かといった環境条件が違えば、植物群の構成も違ってきます。花を訪れる昆虫や鳥などの送粉者も、花色の進化に関わります。
台湾の727種を対象にした研究では、低標高の植物群は中・高標高の植物群よりも、花色の多様性が高いという結果が得られました。ただし、これは台湾で調べた植物群についての結果です。「標高が高い場所では必ず花色が少なくなる」という普遍的な法則を示すものではありません。(台湾の花色研究)
地域差を考える際には、色の違う種が多いことと、同じ種の花が場所によって色を変えることを区別すると分かりやすくなります。前者は地域の植物相の違い、後者は品種の性質や生育条件などによる変化です。実際の景色には、この両方が反映されています。
気温・日光・水分などの環境は花色に影響する?
影響する場合があります。花の色素がどの程度つくられるかは、植物が持つ遺伝的な性質を土台として、気温や光などの条件にも左右されます。そのため、同じ種類の植物でも、育つ環境によって花色の濃淡が変わることがあります。
気温と花色に関する研究では、気温の違いに伴う花色の変化が複数の植物で報告されています。ただし、その変化の方向は種によって異なります。「寒いほど必ず濃い色になる」「日当たりがよければ必ず赤くなる」といった一律の決まりはありません。水分条件も含め、複数の要因が重なって色素の生成や花の状態に作用します。(気温と花色に関する総説)
土壌の酸性度で花の色は変わる?
土壌の影響を説明する代表例は、青や桃色に咲くアジサイの一部の品種です。酸性の土では、土壌中のアルミニウムを植物が利用しやすくなります。花がアルミニウムを多く取り込むと青みが強くなり、利用しにくい条件では桃色に近づきます。土壌の酸性度に加え、アルミニウムの量やリンの量も関係します。(テネシー大学の園芸資料)
ここで注意したいのは、土壌のpHが花弁を直接青く染めるわけではないことです。pHがアルミニウムの利用しやすさを変え、それが花色に影響します。また、変化できる色の範囲には品種ごとの限界があり、すべてのアジサイが青と桃色の間で変化するわけではありません。まして、土を酸性にすればあらゆる花が青くなる、ということもありません。
まとめ
花には白・黄・桃・紫・青・赤など多くの色があります。台湾の727種を対象にした調査では、白が約45%で最も多く、黄が約18%、青と赤はそれぞれ約3%でした。ただし、この数値は調査対象に限った種数の割合です。
花色は色素と植物の遺伝的な性質を基本に決まり、地域の植物相、気温、日光、水分、土壌などの影響も受けます。花色の統計を見るときは「どこの、どの植物を、どう数えた割合か」を確認すると、その数字の意味を正しく理解できます。