サフランの育て方|秋に咲く花と香辛料の収穫、球根を育てるポイント
サフランは、秋に淡い紫色の花を咲かせる球根植物です。花の中央から伸びる赤い雌しべの先端を乾燥させたものが、料理に香りと黄金色を添える香辛料「サフラン」になります。
花の観賞と収穫を楽しめる一方、翌年も咲かせるには、花後の葉を育てて球根を充実させることが大切です。また、名前や花姿が似た有毒植物のイヌサフランとは、明確に区別する必要があります。
この記事では、サフランの特徴と育て方、収穫・保存のポイントを紹介します。
サフランの基本情報
植物名:サフラン
漢字名:番紅花、蕃紅花
学名:Crocus sativus
英名:Saffron crocus
科名:アヤメ科
属名:クロッカス属(サフラン属)
原産・栽培の背景:地中海周辺から西アジアで古くから栽培され、起源には研究上の議論がある
生活形:球根性の多年草
草丈:開花時はおよそ10~20cm。葉はその後さらに伸びる
開花時期:10~11月ごろ
花色:淡い紫色
植え付け時期:一般的な土植えでは8~9月ごろ
日照:日なた
耐寒性:比較的強いが、強い凍結や過湿には注意
主な用途:花壇、鉢植え、香辛料
一般に「球根」と呼ばれる部分は、植物学的には茎が肥大した「球茎」です。栽培時期は地域や管理方法によって前後します。
サフランの特徴
秋に咲くクロッカスの仲間
サフランは、春の花壇で見かけるクロッカスと同じ属の植物ですが、秋に開花します。
淡い紫色の花には筋状の模様が入り、中央に黄色い雄しべと、鮮やかな赤い雌しべの先端が見えます。低い位置で咲くため、鉢植えや花壇の手前に植えると観察しやすくなります。
香辛料になるのは赤い柱頭
香辛料として利用するのは、雌しべの先端にある赤い「柱頭」です。一つの花には、先端が三つに分かれた柱頭があります。
花びら全体や黄色い雄しべを乾燥させたものではありません。採れる量が少なく、収穫にも手間がかかるため、高価な香辛料として知られています。
秋から春に育ち、夏は休眠する
サフランは、秋に花や葉を出し、冬から春にかけて葉を伸ばします。その葉で光合成を行い、翌年に向けて新しい球茎を育てます。
春の終わりごろに葉が黄変すると休眠へ向かい、夏は地上部がなくなります。夏に葉がないことは、必ずしも枯死を意味しません。
サフランの品種と球根の選び方
一般には種名で販売される
サフランは、チューリップなどのように、多数の園芸品種名で選ぶことが一般的な植物ではありません。通常は「サフラン」「Crocus sativus」の名前で球根が流通します。
産地や生産者による系統の違いはありますが、香辛料の商品名や品質区分が、そのまま植物の品種名を表すわけではありません。
充実した健康な球根を選ぶ
開花には、球根に十分な養分が蓄えられていることが重要です。
手に持ったときにしっかりしている
極端にしなびていない
軟らかく腐った部分がない
カビや大きな傷がない
開花を期待できる大きさとして販売されている
食用の柱頭を収穫したい場合は、種類が確実で、食用利用について確認できる販売元から購入しましょう。
サフランの育て方
日当たりと置き場所
葉が育つ秋から春は、よく日が当たる場所で管理します。光が不足すると球根が十分に太らず、翌年の花が少なくなることがあります。
庭植えでは、冬も日が当たり、雨のあとに水がたまらない場所を選びます。夏に頻繁な水やりが必要な草花とは、植え場所を分けると管理しやすくなります。
用土と植え付け
水はけのよい用土を使います。鉢植えでは、球根用培養土や排水性のよい草花用培養土が利用できます。
一般的な土植えでは、休眠中の晩夏から初秋に植え付けます。芽の出る側を上にし、深さや間隔は球根の大きさと販売元の案内に合わせます。
極端な浅植えや密植は避け、球根が増える余地を確保しましょう。植え付け時には、ほかの球根と混同しないようラベルを付けておきます。
庭植えの水やり
根や葉が活動する時期は、降雨を基本に管理します。晴天が続いて土の内部まで乾く場合は、水を補います。
夏の休眠中は、過湿を避けることが重要です。長雨で水がたまる場所では、球根が腐る原因になります。
鉢植えの水やり
秋から春の生育期は、土の表面が乾いたら内部の湿り具合も確認し、必要に応じて用土全体を湿らせます。
葉が枯れて休眠に入ったら水やりを控え、雨の当たりにくい風通しのよい場所で乾燥気味に管理します。受け皿に水をため続けないようにしましょう。
肥料
植え付け時は、用土の肥料分に応じて適量の元肥を施します。その後は、葉が活動している時期に、球根植物に使える肥料を表示どおりに補います。
肥料を多く与えれば、その年の花が増えるわけではありません。特に、休眠中や根が傷んでいる状態での追肥は避けます。
翌年も花を咲かせるための管理
花後の葉を切らない
花が終わっても、緑の葉は残します。細長い葉が広がって邪魔に感じても、途中で切ったり、強く束ねたりしないようにしましょう。
翌年の開花を支えるのは、花後から春にかけての生育です。葉は自然に黄色く枯れてから整理します。
球根が混み合ったら分ける
サフランは、球根が分かれることで増えます。植えたまま何年もたつと、球根が混み合い、一つ一つが小さくなることがあります。
葉が枯れて休眠に入ったら掘り上げ、健康な球根を分けます。小さな球根は、開花できる大きさになるまで育成が必要です。
掘り上げた球根は蒸らさない
掘り上げた球根は土を落とし、風通しのよい場所で乾かします。その後は、直射日光や高温多湿を避けて保管します。
湿ったまま密閉したり、厚く積み重ねたりすると、腐敗が広がる原因になります。
土も水も使わずに花を咲かせられる?
充実した球根は、蓄えた養分で開花する
サフランは、十分に育った球根であれば、土に植えずに置いた状態でも開花することがあります。
大分県竹田市では、室内で開花・収穫させたあと、畑に植えて球根を育てる栽培方法が知られています。
花後まで放置すると翌年につながらない
土や水なしで咲けるのは、球根に蓄えがあるためです。その状態のまま、毎年花を咲かせ続けられるわけではありません。
花後は適切な時期に土へ植え、日光と水分を与えて葉を育てます。土に植えない開花方法は、球根を育てる工程とは分けて考えることが大切です。
サフランの収穫と保存
開花した花から赤い柱頭を採る
食用として管理した株の花が開いたら、傷みのないうちに、赤い柱頭を清潔なピンセットなどで摘み取ります。
黄色い雄しべや花びらを混ぜず、採った柱頭は清潔な容器や紙の上へ置きます。採取時に花をよく観察すると、香辛料になる部分が分かります。
十分に乾燥させる
採った柱頭は重ならないように広げ、清潔で風通しのよい場所などで十分に乾燥させます。
湿り気が残ったまま密閉すると、カビや品質低下の原因になります。家庭で加熱乾燥する場合も、焦がしたり香りを飛ばしたりしないように注意します。
光・湿気・熱を避けて保存する
乾燥後は、小さな密閉容器などに入れ、光や湿気、熱を避けて保存します。収穫日を書いておくと管理しやすくなります。
自家栽培では少量ずつ収穫し、状態を確認しながら使うとよいでしょう。
サフランの料理での楽しみ方
色と香りを水分へ移して使う
サフランは、少量を水やぬるま湯などに浸し、色と香りを引き出してから料理に加える方法があります。浸した液も一緒に使います。
サフランライス
パエリア
リゾット
魚介のスープ
パンや菓子の香り付け
多く入れすぎると風味のバランスを崩すため、料理のレシピに沿って少量から使いましょう。
食用にする株は栽培履歴を確認する
観賞用として育てられた花が、そのまま食用に適しているとは限りません。農薬を使用する場合は、食用として収穫するサフランに適用があるか確認します。
花や球根の来歴が分からない場合は、収穫して食べることを避けてください。
イヌサフランとの違いと注意点
イヌサフランは別の有毒植物
イヌサフランは、コルチカムとも呼ばれるイヌサフラン科の植物です。秋に淡い紫色の花を咲かせますが、サフランとは別の仲間です。
イヌサフランには強い毒性があり、花・葉・球根などを食べてはいけません。誤食による重い中毒や死亡例もあります。
花色や名前だけで判断しない
参考になる違いとして、サフランの雄しべは3本、イヌサフランの雄しべは6本です。また、サフランには目立つ赤い柱頭があります。
ただし、一つの特徴だけを頼りに、種類不明の花を食用と判断することは避けましょう。確実にCrocus sativusとして入手し、ほかの球根と分けて管理した株を使います。
サフランの栽培でよくある疑問
葉だけで花が咲かないのはなぜですか?
球根が小さい、前年の葉を早く切った、日照不足、球根の混み合いなどが考えられます。
まずは葉が出ている期間に十分な光を確保し、球根を育てましょう。小さな球根は、その年に開花しないことがあります。
種から増やせますか?
栽培されるサフランは三倍体で、通常は種子を作りません。一般には球根を分けて増やします。
「サフランの種」として販売されるものは、別の植物でないか、学名や内容を慎重に確認する必要があります。
植えっぱなしでも育ちますか?
水はけがよく、夏に過湿にならない場所では、植えたまま育てられる場合があります。
ただし、球根が混み合ったときや、花数が減ったときは、休眠期に掘り上げて分けると管理しやすくなります。
まとめ
サフランは、秋の花と香辛料の収穫を楽しめる球根植物です。翌年も咲かせるには、花後の葉を春まで育て、夏の休眠中は過湿を避けることが大切です。
料理に使う場合は、種類と栽培履歴が確かな株から赤い柱頭を収穫します。有毒なイヌサフランと混同せず、観賞から収穫までの過程を楽しみましょう。