ゴマ(胡麻)の育て方|種まきから収穫・乾燥、代表品種まで解説
ゴマの育て方|種まきから収穫・乾燥、代表品種まで解説
ゴマは、香ばしい種子を料理に利用する一年草です。夏には白や淡い桃色の花を咲かせ、その後にできるさやの中で、小さな種子が育ちます。
日当たりと水はけのよい場所を好み、家庭菜園や大型プランターでも栽培できます。収穫したゴマを自分でいり、香りを楽しめることも魅力です。
栽培では、十分に暖かくなってから種をまくことと、さやが開いて種子が落ちる前に収穫することが大切です。この記事では、ゴマの特徴や代表品種、育て方、収穫後の乾燥・保存方法まで紹介します。
ゴマの基本情報
和名:ゴマ(胡麻)
学名:Sesamum indicum
科名:ゴマ科
属名:ゴマ属
分類:一年草
主な利用部位:種子
草丈:おおむね60〜150cm程度。品種や栽培条件によって異なる
花色:白、淡い桃色など
主な種まき時期:5〜6月ごろ
主な収穫時期:8〜10月ごろ
好む環境:日当たりと水はけのよい場所
増やし方:種まき
種まきと収穫の時期は、地域や品種によって変わります。寒冷地では、暖かい期間内に成熟する品種を選ぶことが大切です。
ゴマの特徴と魅力
小さな種子を収穫して楽しむ作物
普段食べているゴマは、果実の中にできる種子です。細長い果実は「蒴果(さくか)」と呼ばれ、一般的にはさやと表現されます。
成熟して乾燥するとさやが開き、中の種子がこぼれます。家庭栽培では、育てる作業に加えて、乾燥、脱粒、ごみの選別まで体験できます。
夏の花も観賞できる
ゴマは、葉の付け根に筒状の花を咲かせます。花は茎の下のほうから上へと順に咲き、開花後にはさやが育ちます。
上のほうで花が咲いている間に、下のさやでは種子の成熟が進みます。この成熟時期のずれが、収穫適期を判断するときの重要なポイントです。
白・黒・金は種皮の色による分類
白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマという呼び方は、主に種皮の色による分類です。それぞれが一つの品種を指すわけではありません。
白ゴマ:淡い色合いで、ごまあえやたれ、菓子などに使いやすい
黒ゴマ:黒い種皮が特徴で、ごま塩や黒ゴマペーストなどに利用される
金ゴマ:黄褐色から黄金色の種皮をもち、料理の仕上げなどに使われる
香りや味は、色だけでなく、品種、鮮度、いり方によっても変わります。
ゴマの代表的な品種
品種名が表示された種子のほか、「白ごま」「黒ごま」といった名称で販売される栽培用種子もあります。家庭菜園では、地域に合う栽培時期と入手しやすさも確認して選びましょう。
まるひめ
白い種皮をもつ白ゴマ品種で、セサミンやセサモリンの含量を高める目的で育成されました。淡い色を生かしたごまあえやたれなどに利用できます。栽培するときは、購入する種子の案内で地域ごとの適期を確認しましょう。
まるえもん
黒い種皮が特徴の黒ゴマ品種です。セサミン含量などに着目して育成され、ごま塩や菓子など、黒い色を生かす用途に使えます。成熟しても粒の色だけでは収穫時期を判断せず、下部のさやの黄変や裂け始めを観察します。
ごまぞう
褐色の種皮をもち、セサミンやセサモリンを多く含む特徴がある品種です。白・黒・金とは異なる粒色も楽しめます。「にしきまる」より成熟が遅いため、暖かい期間が短い地域では、栽培期間を確保できるか確認しましょう。
にしきまる
やや赤みのある黄褐色の種皮をもつ金ゴマ品種です。在来品種「真瀬金」より分枝が多く、収量がやや多い特徴があります。「ごまぞう」より早く成熟し、草丈も低めですが、風の強い場所では倒伏対策を行いましょう。
ゴマの栽培時期と環境
十分に暖かくなってから種をまく
ゴマは高温を好み、低温期の種まきでは発芽や生育が不安定になります。中間地では5〜6月ごろを目安に、遅霜の心配がなくなり、土が暖まってからまきます。
早まきで生育を早めようとするより、適温になってからまくほうが苗をそろえやすくなります。種袋に地域別の栽培暦がある場合は、その案内を優先してください。
日当たりと風通しを確保する
よく日の当たる場所で育てると、茎葉がしっかり育ち、開花や結実につながります。
日陰では茎が細く伸び、倒れやすくなることがあります。ほかの野菜に覆われないよう、周囲の作物の草丈も考えて植える場所を決めましょう。
過湿を避ける
ゴマは、生育が進むと比較的乾燥に耐えますが、水が停滞する環境は苦手です。雨のあとに水がたまり続ける場所では、根が傷みやすくなります。
水はけの悪い畑では高畝にし、畝の間から水が流れ出るように整えます。特に梅雨時は、排水状態を確認しましょう。
ゴマの土づくり
排水のよい土を準備する
種が小さいため、種をまく部分の土は細かく整えます。大きな土の塊や石が多いと、種が深い隙間へ落ちたり、発芽がそろわなかったりします。
堆肥を使う場合は完熟したものを選び、種まき前に土へ均一に混ぜておきましょう。
石灰は土の状態に合わせる
酸性に傾いた土では、必要に応じて苦土石灰などで調整します。ただし、毎回同じ量を加えると、土の状態によっては入れすぎになります。
市販の野菜用培養土を使う場合は、通常、最初から石灰を追加する必要はありません。畑では過去の施用状況や酸度を確認して判断します。
元肥は適量を均一に施す
元肥は肥料の表示量を基準にし、土全体へよく混ぜます。種のすぐ下に濃い肥料が集まらないようにしましょう。
窒素肥料を与えすぎると、茎葉が茂りすぎて倒れやすくなることがあります。肥料を多く与えることより、適量と排水の確保を重視します。
ゴマの種まきと間引き
栽培用の種子を直まきする
ゴマは、育てる場所に直接種をまく方法が基本です。食用のいりゴマは発芽しないため、栽培用として販売されている種子を使います。
種まき前に土を湿らせる
株間15〜20cm程度を目安に、浅いくぼみをつくる
一か所に数粒ずつ種をまく
種が隠れる程度に薄く土をかける
土を軽く押さえ、やさしく水を与える
枝が広がる品種では、株間を広めに取ります。種まきの間隔や深さは、品種ごとの案内があればそちらを優先してください。
発芽までは乾かしすぎない
ゴマは乾燥に比較的強い作物ですが、発芽前の種や小さな苗には適度な水分が必要です。
表土の状態を確認し、乾きそうなときに細かな水流で水を与えます。強く水をかけると種が流れるため、静かに水やりしましょう。
間引いて丈夫な株を残す
発芽後は、混み合う部分を数回に分けて間引きます。生育のよい株を残し、最終的には一か所一本にします。
密植したままでは、光や養分を取り合って茎が細くなります。残す株の根を動かさないよう、周囲の土を押さえて間引くと安心です。
ゴマの水やり・追肥・支柱立て
水やりは生育段階に合わせる
地植えでは、苗が育ったあとは降雨を基本に管理します。ただし、長く雨が降らず土が強く乾燥する場合は、水を補いましょう。
花が咲いてさやが育つ時期にも、極端な水切れは避けます。乾燥に強いことと、水が不要であることは同じではありません。
追肥は株の様子を見ながら行う
追肥は、最終の間引き後などを目安に、葉色や生育を確認して施します。
すでに葉が濃く、大きく茂っている場合は、追加を控える判断も必要です。肥料は茎に直接触れない位置へ施し、表土と浅く混ぜます。
土寄せと支柱で倒伏を防ぐ
草丈が高くなると、強風や雨で株が倒れることがあります。株元に軽く土を寄せ、必要に応じて支柱で支えましょう。
複数株を列で育てる場合は、列の両側に支柱を立て、ひもで支える方法も使えます。茎を強く締め付けず、成長に合わせて調整してください。
生育初期は除草をこまめに行う
苗が小さいうちは、雑草に覆われると生育が遅れやすくなります。雑草が小さい段階で取り除きましょう。
株元を深く掘ると根を傷めるため、除草は浅く行います。
ゴマのプランター栽培
深さと安定性のある容器を使う
ゴマはプランターでも育てられますが、地上部が大きくなるため、小鉢より大型の容器が適しています。
容器:深さ30cm程度以上を目安にした大型プランター
用土:水はけのよい野菜用培養土
株間:15〜20cm程度を基本に、品種に合わせて調整
置き場所:よく日が当たり、強風を避けられる場所
支え:草丈が伸びたら支柱を設置する
容器の幅に対して株数を増やしすぎないことが大切です。少数株では収穫量も限られるため、まずは花と収穫の過程を楽しむつもりで始めるとよいでしょう。
水切れと水のためすぎに注意する
プランターでは土の量が限られ、夏は乾きやすくなります。表面が乾いたら土の状態を確認し、必要なときに鉢底から流れるまで水を与えます。
受け皿にたまった水は捨て、根が常に水につかる状態を避けましょう。
ゴマの病害虫と生育トラブル
葉を食べる害虫を見つける
葉にはイモムシ類が発生することがあります。葉の食べ跡やふんを見つけたら、葉裏や茎の周囲を確認してください。
害虫は少ないうちに取り除き、葉を大きく失わないように管理します。
さやにつくカメムシ類に注意する
種子が育つ時期にカメムシ類が吸汁すると、実入りが悪くなることがあります。開花後は、葉だけでなくさやも観察しましょう。
薬剤を使う場合は、ゴマと対象害虫への適用を確認し、収穫前の使用時期や回数を守って使用します。
しおれは土の湿り具合も確認する
しおれの原因には、水切れだけでなく、過湿による根傷みや病気もあります。
土が湿っているのに回復しない場合は、水を追加し続けず、排水状態や株元を確認してください。病気が出た場所では連作を避け、収穫後の残さを片付けます。
ゴマの収穫時期と方法
下のさやが黄変し、裂け始めたら収穫する
ゴマは下部のさやから成熟するため、すべてのさやが茶色になるまで待つと、先に熟した種子がこぼれてしまいます。
下のさやが黄色くなり、一部が裂け始めたころが収穫の目安です。葉の黄変も参考になりますが、さやの状態を中心に判断しましょう。
株を揺らさずに刈り取る
収穫適期になったら、雨の降っていない日に株元を切って刈り取ります。
成熟したさやは揺れると種子が落ちるため、静かに扱います。移動の際はシートや大きな容器で受けると、こぼれた種子を回収しやすくなります。
乾燥場所は収穫前に用意する
収穫後には、雨が当たらず風通しのよい場所で株を乾燥させます。先に干し場所と種子を受けるシートを準備しておくと、作業がスムーズです。
束を大きくしすぎると内部が乾きにくくなるため、少量ずつまとめましょう。
ゴマの乾燥・脱粒・選別
株を立てて乾燥させる
刈り取った株は、穂先を上にして立てかけるなどして乾燥させます。下には清潔なシートを敷き、自然に落ちる種子も受け止めます。
乾燥中は雨や夜露を避け、さやが十分に乾いて開くまで待ちます。必要な日数は天候や束の大きさによって変わります。
乾いたさやから種子を取り出す
さやが乾いたら、大きな容器やシートの上で株を逆さにし、軽く揺すったりたたいたりして種子を落とします。この作業を「脱粒」といいます。
強くたたきすぎると茎葉の破片も多く混じるため、様子を見ながら行いましょう。
ごみを取り除き、種子を仕上げ乾燥する
集めた種子には、さやや葉の破片が混ざっています。目の合うふるいや弱い風を使い、少しずつ取り除きます。
選別後も種子を薄く広げ、十分に乾燥させます。湿り気が残ったまま密閉すると、保存中のカビや品質低下につながります。
ゴマの保存方法と食べ方
乾燥させて密閉保存する
十分に乾いたゴマは、清潔で乾燥した容器へ入れ、直射日光や高温多湿を避けて保存します。
冷蔵庫で保存する場合も、容器内の結露を避けるため、小分けにして出し入れを少なくすると扱いやすくなります。
使う分だけいると香りを楽しめる
いりゴマにすると、香ばしさが引き立ちます。乾いたフライパンや鍋に少量ずつ入れ、弱火から中火で動かしながら加熱しましょう。
香りが立ち、粒が軽くはじけ始めたら焦げないように注意します。火を止めたあとも余熱で加熱が進むため、別の器へ移して冷まします。
すりゴマは少量ずつつくる
ゴマは、すりつぶすと香りが広がります。食べる直前に必要な分をすると、風味を楽しみやすくなります。
ごまあえ:すったゴマに調味料を加え、ゆでた野菜とあえる
ごま塩:いったゴマと塩を混ぜ、ご飯に添える
たれ:すりゴマをしょうゆやみそなどと合わせる
菓子:クッキーや団子、パンなどに加える
仕上げ:炒め物や汁物に振りかける
収穫したゴマは、色やいり加減による風味の違いを比べて楽しめます。
まとめ
ゴマは、夏の日差しを受けて育ち、花から種子の収穫まで楽しめる作物です。栽培に加えて、収穫後の乾燥と選別も、おいしく利用するための大切な工程になります。
土が十分に暖まってから種をまく
日当たりと水はけのよい場所で育てる
発芽までは乾燥を防ぎ、生育後は過湿を避ける
間引きと支柱立てで丈夫な株に育てる
下のさやが黄変し、裂け始めたら刈り取る
種子を十分に乾燥させてから保存する
収穫時期を見逃さず、こぼれる種子を丁寧に集めれば、自家製のいりゴマを楽しめます。育てやすい品種と少数株から始め、香ばしい収穫を目指してみましょう。