キキョウの育て方|特徴や代表的な品種、花後の切り戻しと冬越しを解説
キキョウは、星形に開く花と、風船のようにふくらむつぼみが特徴の宿根草です。秋の七草の一つとして知られていますが、実際には初夏から咲き始め、夏の庭にも涼しげな彩りを添えます。
適した場所で育てると、冬に地上部が枯れた後も根が生き残り、翌春に再び芽を出します。花後の手入れによって、二番花を楽しめる場合もあります。
この記事では、キキョウの特徴や代表的な品種、植え付け、水やり、切り戻し、冬越しのポイントを解説します。
キキョウの基本情報
植物名:キキョウ
漢字名:桔梗
学名:Platycodon grandiflorus
科名:キキョウ科
属名:キキョウ属
分類:多年草・宿根草
原産地:日本、中国、朝鮮半島などの東アジア
草丈:15〜100cm程度。品種や栽培条件によって異なる
開花時期:主に6〜9月ごろ。品種や手入れによって前後する
花色:青紫色、白色、桃色など
耐寒性:強い
耐暑性:比較的強いが、蒸れや根の過湿に注意
主な用途:花壇、鉢植え、寄せ植え、切り花
キキョウの特徴
星形の花と、ふくらんだつぼみ
一般的なキキョウは、花の先端が5つに分かれ、星のような形に開きます。
開花前のつぼみは、内部に空気を含んだようにふくらみます。この姿から、英語では「バルーンフラワー」と呼ばれます。
花だけでなく、つぼみから開花へ移る過程も観賞の楽しみです。つぼみを押して割ると傷むため、自然に開く様子を見守りましょう。
秋の七草だが、初夏から咲く
キキョウは秋の七草の一つですが、開花が秋だけに限られるわけではありません。初夏に咲き始め、夏に多くの花をつける株もあります。
古くからの季節感や文化と結びついた植物であり、秋の七草という名前だけで開花時期を判断しないことが大切です。
冬は地上部が枯れる宿根草
秋から冬にかけて葉や茎が枯れても、地下の根と芽が生きていれば翌春に再び生育します。
冬に地上部がなくなっただけで、枯死したと判断して抜かないようにしましょう。植えた場所にラベルを付けておくと、休眠中の株を誤って掘り返すことを防げます。
太い根を持ち、頻繁な移植は好まない
キキョウは太い根を発達させます。根を大きく傷めると回復に時間がかかるため、植え付け後に何度も場所を変える管理には向きません。
庭植えでは、日当たりや周囲の植物との間隔を考え、落ち着いて育てられる場所を選びます。
キキョウの代表的な品種・系統
アストラシリーズ
草丈が低くまとまりやすく、鉢植えや花壇の前方に使いやすいシリーズです。青紫色、白色、桃色などがあり、二重咲きのタイプもあります。コンパクトな株で花を楽しみたい場合に向き、狭い場所にも取り入れやすい系統です。
センチメンタル ブルー
青紫色の花を咲かせる矮性品種です。一般的な高性のキキョウより低くまとまり、鉢植えや花壇の縁取りに適しています。花の涼しげな色合いを生かし、白花や明るい葉色の植物と組み合わせる楽しみ方もできます。
さみだれ系統
比較的早い時期から開花し、切り花にも利用される系統です。茎を伸ばして咲く姿に、キキョウらしいすっきりとした美しさがあります。鉢向けの矮性品種と同じ大きさには収まらないため、草丈を確認して配置します。
小町
つぼみのようなふくらみを残し、花が通常のキキョウのように大きく開かない袋咲きの品種です。独特の花姿をじっくり観賞する楽しみがあります。星形の花を期待して購入すると印象が異なるため、咲き方を確認して選びましょう。
キキョウの育て方
日当たりと置き場所
日当たりと風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると、茎が間延びしたり、花つきが悪くなったりすることがあります。
一方、鉢植えでは真夏の強い西日や照り返しで根鉢が高温になり、水切れを起こしやすくなります。葉が傷みやすい場所では、午後の強い日差しを避けるなど調整しましょう。
用土と土づくり
水はけがよく、適度に水分を保てる土が適しています。
地植えでは、雨の後に長く水がたまる場所を避けます。土が締まっている場合は植え付け前にほぐし、必要に応じて完熟腐葉土などを混ぜましょう。
鉢植えには、市販の草花用培養土などが使えます。根が伸びる空間を確保できる、適度な深さのある鉢を選ぶと管理しやすくなります。
植え付け
植え付けは、春の芽出し前後や、暑さが落ち着いた秋などが適しています。ただし、寒冷地では根付く前に厳しい寒さを迎えないようにします。
開花株を植える場合は、根鉢を大きく崩さずに扱いましょう。
根元を深く埋めすぎない
太い根を無理に折り曲げない
成長後の株幅を考えて間隔を取る
植え付け後は十分に水を与える
高性品種は、周囲の植物を日陰にしない位置へ配置します。
水やり
鉢植えでは、土の表面が乾いてきたら鉢底から流れるまで水を与えます。受け皿の水はためたままにしません。
地植えは、根付いた後は降雨を基本にできますが、植え付け直後や乾燥が長く続く時期には補水します。
冬の休眠中も根は生きています。鉢植えは水やりの回数を減らしながら、根鉢を完全に乾かしきらないように管理しましょう。
肥料
植え付け時に、用土の肥料分を確認して元肥を施します。鉢植えでは、生育期に緩効性肥料や液体肥料を表示に従って与えます。
肥料が多すぎると茎が伸びすぎ、倒れやすくなることがあります。特に窒素分の与えすぎには注意しましょう。
夏の暑さや根の傷みで弱っている株に、回復を期待して多量の肥料を与えることは避けます。
支柱
高性品種や、風の強い場所で育てる株は、茎が倒れる前に支柱を設置します。
茎が曲がってから無理に起こすと折れる場合があります。成長に合わせて、ひもでゆるく支えましょう。
キキョウの花後の手入れと切り戻し
花がらを取り除く
種子を採らない場合は、咲き終わった花を、ふくらみ始めた子房ごと取り除きます。
まだつぼみが残っている枝では、枝全体を切らず、終わった花だけを整理します。花がらを摘む際は、隣のつぼみを傷めないようにしましょう。
一番花の後に切り戻すと、二番花を楽しめることがある
初夏から夏の一番花が終わった後、元気な株を切り戻すと、脇芽が伸びて再び花をつける場合があります。
切る位置は草丈や品種に合わせ、下部に健全な葉と芽を残します。高性の株では茎の途中まで切り戻せますが、低い品種を同じ感覚で切ると、葉をほとんど失うことがあります。
つぼみが多く残る枝は急いで切らない
葉と芽を残して切る
水切れや病害で弱った株は強く切らない
切り戻し後も日当たりと水分を確保する
切り戻せば必ず二番花が咲くわけではありません。作業時期、株の充実度、気候によって結果は変わります。
秋遅くは無理に再開花させない
秋になって生育が鈍ってきた株では、再開花を狙った強い切り戻しを控えます。
緑の葉は、翌年の生育に使う養分を根へ蓄える働きをしています。花が終わったからとすぐに地際まで刈り取らず、自然に黄変して枯れるまで残しましょう。
夏越しと冬越し
夏は水切れと蒸れの両方に注意する
キキョウは夏にも咲きますが、過湿で根が傷んだ状態や、強い水切れを繰り返す状態では弱ってしまいます。
葉がしおれている場合は、まず土の湿り具合を確認します。土が湿っているのにしおれるときは、水を追加する前に根の傷みや蒸れを疑いましょう。
冬は休眠株として管理する
地上部が十分に枯れたら、枯れた茎を整理します。株元の芽を傷つけないように作業しましょう。
耐寒性はありますが、小鉢は凍結や乾燥の影響を受けやすくなります。寒冷地では、強い寒風を避けるなど、栽培環境に応じた保護を行います。
冬に葉がないからと、水やりを完全に止めないことも大切です。
植え替えと増やし方
植え替えは芽出し前を目安にする
鉢植えで根詰まりが見られる場合は、春の芽出し前を目安に植え替えます。地域によって時期は異なるため、芽の動きを見て判断します。
根は折れやすいため、必要以上に崩したり、無理に引き裂いたりしないようにしましょう。地植えで順調に育っている株は、毎年掘り上げる必要はありません。
種まき
キキョウは種子から育てられます。春など、発芽に適した温度になる時期にまきます。
種子が小さいため、土を厚くかぶせず、種袋の説明に合わせて管理します。発芽までは乾燥させないようにし、根が大きく絡む前に鉢上げします。
実生では、親株と同じ花色や咲き方になるとは限りません。
株分け
十分に育った株は、芽と根のつながりを確認して分けられる場合があります。ただし、キキョウは根を傷めやすいため、細かく分けすぎないことが重要です。
芽が少ない株や弱った株を、無理に株分けすることは避けましょう。
注意したい病害虫と生育トラブル
アブラムシ
新芽やつぼみに発生することがあります。芽が変形したり、べたつきが出たりした場合は、茎先や葉裏を確認します。
少数のうちに対処し、薬剤を使う場合は、キキョウや対象害虫への適用を確認して表示に従います。
ハダニ・アザミウマ
葉の細かな色抜けや花の傷みが見られる場合は、ハダニやアザミウマなども確認します。
見た目の症状だけで原因を決めつけず、葉裏や花の内部を観察しましょう。
ナメクジなどによる新芽の食害
春のやわらかな芽が食べられると、生育に影響します。芽が出ないと思っていたら、伸び始めた部分が食害されている場合もあります。
鉢の下や株元を確認し、落ち葉や不要な物がたまりすぎないように管理します。
根腐れ・ネコブセンチュウ
過湿による根の傷みのほか、ネコブセンチュウの被害で生育が悪くなる場合があります。
水や肥料を与えても回復せず、株が小さくなる、葉色が悪いといった状態が続く場合は、植え替え時などに根を確認します。根の異常がある土を、ほかの鉢へ安易に使い回さないようにしましょう。
キキョウが咲かないときに確認したいこと
花が少ない場合は、次の点を確認します。
日当たり:周囲の植物に覆われていないか
株の状態:若すぎる株や、植え替え直後ではないか
肥料:窒素分が多すぎないか
水分:水切れや過湿を繰り返していないか
根:根詰まりや傷みがないか
切り戻し:つぼみや花をつける部分を切り続けていないか
花が咲かないからと、すぐに肥料を増やすのではなく、生育環境から見直しましょう。
キキョウを庭で楽しむポイント
草丈に合う場所へ配置する
アストラシリーズなどの矮性タイプは、鉢植えや花壇の前方で楽しめます。高性タイプは、花壇の中ほどや後方で、茎の伸びる姿を生かすとよいでしょう。
オミナエシなどの黄色い花と合わせると、青紫色の花が引き立ちます。寄せ植えでは、日照や水分の好みが近い植物を選びます。
自生株ではなく、栽培された苗を選ぶ
キキョウは園芸店でよく見かけますが、野生の自生地は減少しています。
庭で育てる場合は、適切に生産された苗や種子を利用し、野山の株は掘り取らずに観察して楽しみましょう。
まとめ
キキョウは、星形の花と風船状のつぼみが美しい宿根草です。秋の七草として知られていますが、初夏から夏にも花を楽しめます。
育てる際は、日当たりと水はけを確保し、太い根を傷めないように扱うことが大切です。一番花の後に葉と芽を残して切り戻すと、二番花が咲く場合もあります。
冬に地上部が枯れても、根が生きていれば翌春に芽吹きます。休眠中も適切に管理し、毎年の開花につなげましょう。