リコリスの育て方|秋に咲く赤・白・黄色の花と球根の植え付け・分球を解説
リコリスの育て方|秋に突然咲く色鮮やかな花と球根の植え付け・増やし方を解説
リコリスは、夏の終わりから秋にかけて、地面から花茎を伸ばして鮮やかな花を咲かせる球根植物です。
赤い花を咲かせるヒガンバナがよく知られています。リコリス属には、白、黄色、ピンク、オレンジ、淡い青紫色などの花を咲かせる種類もあります。
葉が見えない状態で突然花茎を伸ばす姿が特徴です。花が終わった後に葉を出す種類が多く、花と葉を同時に見られないことから「葉見ず花見ず」と表現されます。
一度植えると毎年花を咲かせ、子球を増やしながら群生します。暑さや寒さに比較的強く、適した場所では植えたまま育てられます。
球根を掘り上げたり、植え替えたりした直後は花が咲かないことがあります。根が落ち着くまで数年かかる場合があるため、植え付け場所を決めたら頻繁に動かさないことが大切です。
この記事では、リコリスの特徴、ヒガンバナとの違い、主な種類、球根の植え付け、水やり、肥料、花後の管理、植え替え、分球、夏越し、冬越し、花が咲かない原因、病害虫、枯れる原因まで詳しく解説します。
リコリスの基本情報
和名:リコリス
別名:ヒガンバナ類、彼岸花類
学名:Lycoris
科名:ヒガンバナ科
属名:ヒガンバナ属
分類:多年草、球根植物
原産地:日本、中国、朝鮮半島、東南アジアなど
草丈:30〜70cmほど
開花期:7月〜10月頃
花色:赤、白、黄色、ピンク、オレンジ、クリーム色、淡い青紫色など
植え付け時期:6月〜8月頃
植え替え時期:5月〜8月頃
分球時期:5月〜8月頃
成長速度:普通
耐寒性:普通〜強い
耐暑性:強い
栽培難易度:初心者向き
注意点:球根や植物全体に有毒成分を含む
リコリスとは?
リコリスは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属に分類される球根植物の総称です。
日本、中国、朝鮮半島などの東アジアを中心に分布しています。日本の田畑のあぜ道や墓地、河川敷などで見られるヒガンバナも、リコリス属の一種です。
地下に球根を作り、季節になると葉のない状態から花茎を伸ばします。花茎の先端に複数の花が放射状に付き、繊細で華やかな花姿を作ります。
花弁が大きく反り返る種類、花弁の縁が波打つ種類、雄しべが長く突き出す種類などがあります。
園芸品種も多く、赤いヒガンバナとは異なる柔らかな色合いの花を楽しめます。
リコリスの名前の由来
「リコリス」は、属名のLycorisをカタカナで表した名称です。
Lycorisという名前は、ギリシャ神話や古代ローマに登場する女性の名前に由来するとされています。
日本では赤い花を咲かせる種類が秋の彼岸頃に開花するため、ヒガンバナ(彼岸花)と呼ばれます。
ヒガンバナには、マンジュシャゲ(曼珠沙華)、ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)など、多くの別名があります。
リコリスの特徴
葉のない状態で花を咲かせる
リコリスは、地上に葉が見えない状態から花茎を伸ばします。
花茎は短期間で急速に成長し、先端に複数の花を咲かせます。
何もなかった場所から突然花が現れたように見えるため、英語ではサプライズリリーやマジックリリーと呼ばれる種類もあります。
花後に葉を伸ばす
多くのリコリスは、花が終わった後に葉を伸ばします。
秋に葉を出して冬から春まで育つ種類と、春に葉を出して初夏に枯れる種類があります。
葉が緑色の間に光合成を行い、球根へ養分を蓄えます。
葉を早く切ると球根が充実せず、翌年の花つきが悪くなります。
花と葉が同時に出ない
多くの種類では、開花期に葉がありません。
花が終わってから葉が伸びるか、葉が枯れて休眠した後に花を咲かせます。
花と葉が互いに出会わないように見える性質から、「葉見ず花見ず」と呼ばれます。
放射状に花を咲かせる
花茎の先端に複数のつぼみが付き、外側へ向かって放射状に開花します。
花弁が反り返り、長い雄しべと雌しべが突き出す種類もあります。
一株でも個性的ですが、複数の球根をまとめて植えると、群生した美しい景観を作れます。
花色が豊富
リコリスには、次のような花色があります。
赤
白
黄色
ピンク
オレンジ
クリーム色
淡い青紫色
複色
ヒガンバナの赤色が代表的ですが、園芸品種には淡く上品な色合いもあります。
植えたまま毎年育てられる
リコリスは丈夫な球根植物です。
水はけのよい場所へ植えれば、毎年掘り上げる必要はありません。
子球を増やしながら徐々に株が広がり、数年後にはまとまった花を咲かせます。
植え替えを嫌う
リコリスは、植え替え後に花が咲かなくなることがあります。
球根が新しい環境へ根を張り、開花できる状態になるまで、1〜3年ほどかかる場合があります。
頻繁な植え替えを避け、長期間育てられる場所を選びましょう。
有毒成分を含む
リコリスの球根、葉、花などには、有毒なアルカロイドが含まれています。
特に球根には毒性成分が多く含まれます。
食用植物と間違えて口にしないように注意が必要です。植え付けや分球の作業後は、手をよく洗いましょう。
子どもやペットが球根を掘り返す可能性がある場所への植え付けにも注意します。
リコリスとヒガンバナの違い
リコリスは属全体の名称
リコリスは、ヒガンバナ属に分類される植物全体を示す名称です。
ヒガンバナは、リコリス属に含まれる一つの種類です。
すべてのヒガンバナはリコリスですが、すべてのリコリスがヒガンバナではありません。
ヒガンバナは赤花の代表種
一般的なヒガンバナは、鮮やかな赤い花を咲かせます。
細い花弁が大きく反り返り、長い雄しべが突き出します。
秋の彼岸頃に開花するため、ヒガンバナと呼ばれます。
リコリスには多くの花色がある
リコリス属には、赤以外にも白、黄色、ピンク、オレンジ、クリーム色などの花を咲かせる種類があります。
園芸店で「リコリス」と表示される球根は、ヒガンバナ以外の種類や交配品種であることも少なくありません。
リコリスとナツズイセンの違い
ナツズイセン(夏水仙)もリコリス属の植物です。
淡いピンク色の花を夏に咲かせます。
スイセンの名前が付いていますが、スイセン属ではありません。
葉は春に伸び、初夏までに枯れます。葉がなくなった夏に、太い花茎を伸ばして花を咲かせます。
一般的なヒガンバナは花後に葉を伸ばしますが、ナツズイセンは開花前に葉が枯れる点が異なります。
リコリスとネリネの違い
リコリスとネリネは、どちらもヒガンバナ科の球根植物です。
花姿がよく似ていますが、異なる属に分類されます。
リコリスは東アジアを中心に分布し、夏から秋に開花します。
ネリネは南アフリカ原産で、秋から冬に開花する種類が中心です。
ネリネの花弁には光沢があり、日光を受けるときらきら輝くことがあります。
リコリスは花と葉が同時に出ない種類が多く、ネリネは花と葉が同時期に見られる種類もあります。
リコリスの主な種類
ヒガンバナ
ヒガンバナ(彼岸花)は、日本各地で見られる代表的なリコリスです。
学名はLycoris radiataです。
9月頃に鮮やかな赤い花を咲かせます。細い花弁が大きく反り返り、長い雄しべが放射状に広がります。
花後に葉を伸ばし、冬から春にかけて光合成を行います。初夏までに葉が枯れ、夏は休眠します。
シロバナマンジュシャゲ
シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)は、白色から淡いクリーム色の花を咲かせます。
花弁に淡いピンク色や黄色が混じる場合もあります。
赤いヒガンバナより柔らかな印象があり、和風の庭や明るい半日陰の植栽に向きます。
ショウキズイセン
ショウキズイセン(鍾馗水仙)は、鮮やかな黄色い花を咲かせるリコリスです。
学名はLycoris traubiiなどとされています。
幅のある花弁が大きく反り返り、秋の庭を明るく彩ります。
比較的温暖な地域で育てやすい種類です。
ナツズイセン
ナツズイセン(夏水仙)は、淡いピンク色の大きな花を咲かせます。
学名はLycoris squamigeraです。
春に葉を伸ばし、初夏に葉が枯れた後、夏に花茎を伸ばします。
花色が優しく、洋風の庭にも合わせやすい種類です。
キツネノカミソリ
キツネノカミソリ(狐の剃刀)は、日本の山野に自生するリコリスです。
学名はLycoris sanguineaです。
夏にオレンジ色の花を咲かせます。花弁の反り返りが比較的少なく、ヒガンバナよりすっきりとした花形です。
葉は早春に伸び、開花前に枯れます。
オオキツネノカミソリ
オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)は、キツネノカミソリより大型です。
花弁が広く、雄しべが花弁より長く突き出します。
山地の林床などに群生し、夏にオレンジ色の花を咲かせます。
リコリス・スプレンゲリ
リコリス・スプレンゲリは、ピンク色の花弁の先に青紫色が入る種類です。
独特の花色から、園芸植物として人気があります。
花弁はヒガンバナほど強く反り返らず、柔らかな印象です。
リコリス・インカルナータ
リコリス・インカルナータは、淡いピンク色の花弁に濃いピンク色の筋が入ります。
縞模様のような花色が特徴です。
花茎は比較的高く伸び、夏から秋に華やかな花を咲かせます。
園芸交配種
リコリスには、複数の原種を交配した園芸品種があります。
白、黄色、ピンク、オレンジ、紫がかった色など、豊富な花色を楽しめます。
種類によって葉の出る時期や耐寒性が異なるため、購入時に品種ラベルを確認しましょう。
リコリスの球根の選び方
大きく充実した球根を選ぶ
球根は、大きく重みのあるものを選びます。
大きな球根ほど、植え付け後に花を咲かせる可能性が高くなります。
小さな子球は、開花できる大きさになるまで数年かかることがあります。
硬く締まった球根を選ぶ
健康な球根は、触ると硬く締まっています。
柔らかい部分がある球根や、水分が染み出している球根は腐敗している可能性があります。
根が付いた球根を選ぶ
リコリスは根が乾燥すると、植え付け後の生育が遅れることがあります。
根付き球根が流通している場合は、太く健康な根が残っているものを選びます。
根を切り詰めたり、強く乾燥させたりしないようにします。
かびや傷を確認する
次のような球根は避けます。
柔らかく腐っている
黒く変色している
かびが広がっている
不快なにおいがする
大きく傷付いている
極端に乾燥して軽い
表面の薄皮が一部剥がれている程度であれば、問題なく育つ場合があります。
リコリスの育て方
日当たり
リコリスは、日当たりのよい場所から明るい半日陰を好みます。
秋から春に葉を伸ばす種類は、冬の日光を十分に受けられる場所が適しています。
落葉樹の下は、冬から春には日が当たり、夏は木陰になるため、リコリスに適した環境です。
日照不足が続くと球根が太らず、花が咲きにくくなります。
種類による日照の違い
ヒガンバナやショウキズイセンは、日当たりから明るい半日陰で育てられます。
キツネノカミソリなど林床に自生する種類は、明るい半日陰を好みます。
強い西日が長時間当たり、土が極端に乾燥する場所は避けましょう。
置き場所
鉢植えは、葉が出ている時期に日当たりと風通しのよい屋外へ置きます。
夏に休眠する種類は、葉が枯れた後に明るい日陰へ移せます。
開花直前に花茎が伸び始めたら、風の強い場所を避けます。
風通し
風通しの悪い場所では、葉に病気が発生したり、球根が腐ったりすることがあります。
株同士の間隔を確保し、落ち葉や枯れ葉を長期間放置しないようにします。
リコリスの用土
リコリスは、水はけと保水性を備えた土を好みます。
鉢植えでは、市販の草花用培養土や球根植物用培養土を使用できます。
水持ちがよすぎる場合は、軽石小粒やパーライトを加えます。
土を配合する場合は、次の割合が目安です。
赤玉土小粒6
腐葉土3
軽石小粒またはパーライト1
地植えでは、植え付け前に腐葉土や完熟堆肥を混ぜます。
粘土質で水がたまりやすい場所では、軽石や川砂を加え、周囲より少し高く土を盛ります。
休眠期に水がたまり続けると、球根腐敗の原因になります。
リコリスの球根の植え付け
植え付け時期
リコリスの植え付けは、一般に6月〜8月頃が適しています。
種類によって葉が枯れる時期や開花時期が異なるため、購入した球根のラベルも確認します。
流通している球根は乾燥しやすいため、購入後は長期間放置せず、早めに植え付けます。
植え付け場所を慎重に選ぶ
リコリスは植え替えを嫌います。
一度植えたら、数年間動かさずに育てられる場所を選びます。
花壇の縁、落葉樹の下、庭石の周囲、傾斜地などへ植えると、群生した花を楽しめます。
植え付けの深さ
球根の上部が地表付近になる深さへ植えます。
球根の上へ2〜5cmほど土がかかる深さが目安です。
深く植えすぎると花が咲きにくくなる場合があります。
寒冷地では、球根が凍結しないように少し深めに植えます。
球根の向き
球根の細く尖った部分を上へ、根が付いている平らな部分を下へ向けます。
根を折ったり、無理に広げたりしないようにします。
長い根は、植え穴の中へ自然に収めましょう。
地植えの植え付け方法
土を20〜30cmほどの深さまで耕します。
腐葉土や完熟堆肥を混ぜ、水はけを整えます。
球根の尖った部分を上へ向け、10〜20cmほどの間隔で植えます。
自然な群生を作る場合は、等間隔に並べず、数球ずつまとめて配置すると自然に見えます。
土を戻し、植え付け後は十分に水を与えます。
鉢植えの植え付け方法
深さのある鉢を使用します。
6〜7号鉢に3〜5球程度が目安です。
鉢底へ鉢底ネットと鉢底石を入れ、培養土を加えます。
球根同士が触れないように配置し、上部へ2〜3cmほど土をかぶせます。
植え付け後は、鉢底から水が流れるまで与えます。
植え付け直後に花が咲かないことがある
リコリスは、植え付けや植え替えによって根が傷むと、開花しないことがあります。
植え付けた年に咲かなくても、葉を育てて球根を充実させれば、翌年以降に咲く可能性があります。
すぐに掘り返さず、数年間は同じ場所で管理しましょう。
リコリスの水やり
水やりの基本
鉢植えでは、葉が出ている生育期に、土の表面が乾いたら十分に水を与えます。
土が常に湿った状態では、根や球根が腐りやすくなります。
土の乾き具合を確認してから水やりを行いましょう。
植え付け直後の水やり
球根を植え付けた後は、鉢底から水が流れるまで十分に与えます。
地植えでも、根が土になじむように水を与えます。
その後は土が乾いてから水を与え、過湿を避けます。
花茎が伸びる時期の水やり
夏の終わりから秋に花茎が伸び始めたら、水切れに注意します。
鉢植えでは、花茎が急速に伸びる時期に水分を多く使います。
土の表面が乾いたら、株元へ水を与えます。
開花中の水やり
開花中も、土の表面が乾いたら水を与えます。
花へ強く水をかけると、花弁が傷むことがあります。
株元の土へ静かに水を注ぎましょう。
葉が出ている時期の水やり
葉が緑色の間は、球根が養分を蓄える生育期です。
土の表面が乾いたら十分に水を与えます。
葉が出ている時期に水切れを繰り返すと、球根が太らず、翌年の花つきが悪くなります。
休眠期の水やり
葉が枯れて休眠に入ったら、水やりを減らします。
地植えでは、基本的に降雨だけで管理できます。
鉢植えは、土を完全に乾燥させ続けない程度に管理します。高温期に水を与えすぎると、球根が腐りやすくなります。
地植えの水やり
地植えでは、植え付け直後から根付くまで水を与えます。
根付いた後は、基本的に降雨だけで育てられます。
生育期に雨が少なく、土が強く乾燥している場合は、朝に水を与えます。
リコリスの肥料
元肥
植え付け時に、緩効性肥料を少量土へ混ぜます。
肥料が球根や根へ直接触れないようにします。
肥料入り培養土を使用する場合は、追加の元肥を控えましょう。
葉が出た後の肥料
葉が伸び始めたら、緩効性肥料を少量与えます。
葉が緑色の間に養分を吸収し、球根を太らせます。
液体肥料を使用する場合は、規定濃度に薄め、2〜3週間に1回程度与えます。
花後の肥料
花後に葉を出す種類は、葉が伸び始めてから肥料を与えます。
開花直後に肥料を大量に与える必要はありません。
葉の生育に合わせて、少量ずつ施します。
春に葉を出す種類の肥料
ナツズイセンやキツネノカミソリなどは、春に葉を伸ばします。
葉が展開したら緩効性肥料を与え、葉が黄色くなり始めるまで管理します。
肥料の与えすぎに注意する
リコリスは、多量の肥料を必要としません。
窒素肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂り、花つきが悪くなる場合があります。
肥料焼けによって根や球根が傷むこともあるため、少量を守りましょう。
休眠期は肥料を与えない
葉が完全に枯れた休眠期には、肥料を与えません。
休眠中は養分をほとんど吸収できず、土に残った肥料が球根を傷める場合があります。
リコリスの花
開花時期
リコリスの開花時期は、種類によって異なります。
早い種類は7月頃から咲き始め、ヒガンバナは9月頃、遅い園芸品種は10月頃まで開花します。
複数の種類を植えると、夏から秋まで長期間花を楽しめます。
短期間で花茎を伸ばす
リコリスは、花芽が地上へ現れてから短期間で花茎を伸ばします。
数日間で30〜60cmほどの高さまで伸び、先端につぼみを付けます。
急に成長するため、花茎が出る場所を踏まないように注意しましょう。
花の寿命
一つの花は数日から1週間ほど楽しめます。
一つの花茎には複数の花が付き、順番に開くため、花茎全体では1〜2週間ほど観賞できます。
気温が高い場合や強い雨に当たった場合は、花が早く傷むことがあります。
花を長く楽しむ方法
リコリスの花を長く楽しむには、次の管理が大切です。
花茎が伸びる時期の水切れを防ぐ
強風を避ける
開花中の強い雨を避ける
花へ水をかけない
株元を踏み固めない
植え替えを繰り返さない
葉が出ている時期に十分な日光を当てる
葉を早く切らない
鉢植えは、つぼみが開き始めたら明るい軒下へ移すと、花をきれいに保ちやすくなります。
リコリスの花がら摘み
咲き終わった花茎を切る
花がすべて咲き終わったら、花茎を株元から切り取ります。
種を採らない場合は、実が育つ前に切ることで球根の消耗を抑えられます。
葉を切らない
花後に葉が伸びてきた場合は、葉を切らないようにします。
葉は球根へ養分を蓄えるために必要です。
見栄えが悪くても、自然に黄色くなるまで残しましょう。
種を採る場合
結実する種類では、花後に種子ができることがあります。
種を採りたい花茎だけを残し、実が成熟するまで待ちます。
種から育てると開花まで数年以上かかるため、家庭では分球で増やす方法が一般的です。
リコリスの花後の管理
花茎だけを切る
花が終わったら、枯れた花茎を株元から切ります。
葉が出ている場合は残します。
葉を十分に育てる
リコリスは、葉が出ている時期に翌年の開花に必要な養分を蓄えます。
日当たりのよい場所で育て、土の表面が乾いたら水を与えます。
緩効性肥料を少量施すと、球根の充実を助けます。
葉が自然に枯れるまで待つ
葉が黄色くなり、完全に枯れるまで切り取らないようにします。
緑色の葉を早く切ると、翌年に花が咲かない原因になります。
完全に枯れた葉は、株元から取り除けます。
休眠期は過湿を避ける
葉が枯れた後は休眠期です。
地植えでは、水はけがよければ特別な管理は必要ありません。
鉢植えは、長雨の当たらない明るい日陰へ移し、水やりを控えます。
リコリスの花が咲かない原因
植え付けや植え替えをしたばかり
リコリスは、植え付けや植え替えの後に花が咲かないことがあります。
根が落ち着き、球根が開花できる状態になるまで1〜3年ほどかかる場合があります。
すぐに掘り返さず、葉を育てながら待ちましょう。
葉を早く切った
葉が緑色のうちに切ると、球根へ養分を蓄えられません。
翌年の花芽が育たず、葉だけが出ることがあります。
葉が自然に枯れるまで残します。
日照不足
葉が出ている時期の日照が不足すると、球根が十分に太りません。
花が咲かない場合は、冬から春の日当たりを確認します。
落葉樹の下など、葉の生育期に日光が当たる場所が適しています。
球根が小さい
分球したばかりの小さな球根は、開花できる大きさに達していません。
数年間葉を育て、球根を太らせる必要があります。
植え付けが深すぎる
球根を深く植えすぎると、花が咲きにくくなる場合があります。
球根の上へ2〜5cmほど土がかかる深さを目安にします。
球根が密集している
長年植えたままにすると、子球が増えて過度に密集することがあります。
葉や花の数が減った場合は、休眠期に掘り上げて分球します。
ただし、植え替え直後は一時的に花が減る可能性があります。
肥料不足
やせた土や長期間植え替えていない鉢では、養分が不足することがあります。
葉が出ている時期に、緩効性肥料を少量与えます。
肥料の与えすぎ
窒素肥料を多く与えると、葉ばかりが茂り、花つきが悪くなることがあります。
肥料は控えめにし、リン酸とカリを含む草花用肥料を使用します。
水切れ
葉が出ている生育期に水切れを繰り返すと、球根が太りません。
鉢植えは土の表面が乾いたら十分に水を与えます。
過湿による根腐れ
土が常に湿っていると、根や球根が腐ります。
球根が傷むと、花茎や葉を伸ばせなくなります。
水はけのよい土を使用し、休眠期は水やりを控えましょう。
リコリスの植え替え
植え替え時期
植え替えは、葉が枯れて休眠している時期に行います。
一般的には5月〜8月頃が適期です。
種類によって葉が枯れる時期が異なるため、株の状態を確認して作業します。
植え替え頻度
地植えでは、5年以上植えたまま育てられます。
花数が減った場合や、球根が過度に密集した場合に植え替えます。
鉢植えは、3〜4年に一度を目安に植え替えます。
植え替えを頻繁に行わない
リコリスは植え替えを嫌います。
毎年掘り上げる必要はありません。
開花している株は、できるだけ同じ場所で長期間育てましょう。
植え替え方法
葉が完全に枯れたら、枯れ葉を取り除きます。
球根を傷つけないように、株元から離れた位置へスコップを入れます。
土ごと球根を持ち上げ、根を強く乾燥させないようにします。
子球を分ける場合は、自然に分かれる部分だけを外します。
新しい場所へ植え、十分に水を与えます。
リコリスの増やし方
分球
リコリスは、分球で増やす方法が一般的です。
親球の周囲にできた子球を分け、別の場所へ植え付けます。
作業は葉が枯れた休眠期に行います。
子球の分け方
掘り上げた球根の土を軽く落とします。
親球と子球が自然に分かれる部分を、手で静かに外します。
無理に引き裂くと球根や根が傷みます。
傷口ができた場合は、風通しのよい日陰で短時間乾かしてから植え付けます。
子球が開花するまで
小さな子球は、植え付けた翌年に花を咲かせないことがあります。
葉を数年間育て、球根が十分な大きさになると開花します。
日当たり、水やり、肥料を適切に管理しましょう。
種まき
種子ができる種類は、種まきで増やせます。
採取した種は乾燥させすぎず、早めにまきます。
発芽や成長に時間がかかり、開花まで5年以上かかる場合があります。
園芸品種から採取した種は、親株と同じ花色にならないこともあります。
リコリスの夏越し
夏に休眠する種類が多い
ヒガンバナなど、多くのリコリスは夏に葉が枯れ、球根の状態で休眠します。
地上部がなくても、球根は土の中で生きています。
花壇を掘り返したり、別の植物を植える際に球根を傷つけたりしないように注意します。
夏の水やり
地植えは、基本的に降雨だけで管理できます。
鉢植えは、葉が枯れたら水やりを減らします。
土が長期間湿り続けると球根が腐るため、長雨の当たらない場所へ移します。
完全に乾燥させる管理が適さない種類もあるため、土が極端に乾き続ける場合は少量の水を与えます。
夏の置き場所
鉢植えは、風通しのよい明るい日陰や軒下へ置きます。
強い西日で鉢土が高温になりすぎる場所は避けます。
地植えでは、落葉樹の下や半日陰になる場所が適しています。
夏の肥料
休眠中は肥料を与えません。
花茎や葉が動き始めてから肥料を再開します。
球根を掘り上げる必要はない
リコリスは、毎年球根を掘り上げる必要がありません。
植えたままのほうが根が安定し、花を咲かせやすくなります。
植え替えや分球が必要な場合だけ、休眠期に掘り上げます。
リコリスの冬越し
種類によって冬の姿が異なる
ヒガンバナなどは、秋から春に葉を伸ばした状態で冬を越します。
ナツズイセンやキツネノカミソリなどは、冬に地上部がない状態で休眠します。
種類に応じた生育サイクルを理解することが大切です。
地植えの冬越し
耐寒性のある種類は、屋外で冬越しできます。
寒冷地では、球根が凍結しないように株元へ腐葉土、落ち葉、バークチップなどを敷きます。
寒さに弱い種類は、鉢植えにして凍結しない場所で管理します。
鉢植えの冬越し
葉が出ている種類は、日当たりのよい屋外や軒下へ置きます。
強い霜や土の凍結が予想される場合は、無加温の明るい場所へ移します。
暖房の効いた室内は、生育リズムを乱すことがあるため避けます。
冬の水やり
葉が出ている鉢植えは、土の表面が乾いたら水を与えます。
晴れた日の午前中に水やりを行い、夕方や夜は避けます。
休眠している鉢は、水やりを控えめにします。
リコリスの病気
球根腐敗病
球根腐敗病では、球根が柔らかくなり、褐色や黒色に変色します。
水はけの悪い土、過湿、球根の傷などが原因になります。
腐敗が進んだ球根は回復が難しいため、健康な球根から離して処分します。
灰色かび病
灰色かび病は、花や葉に灰色のかびが発生する病気です。
長雨、低温多湿、枯れた花の放置などで発生しやすくなります。
発病した花や葉を早めに取り除き、株の風通しを改善します。
葉枯病
葉枯病では、葉に褐色の斑点が現れ、症状が進むと葉が枯れます。
葉が密集した環境や、葉が長時間ぬれた状態で発生しやすくなります。
水やりでは葉へ水をかけず、株元へ与えます。
軟腐病
軟腐病を発症すると、球根や株元が水っぽく腐り、不快なにおいを発することがあります。
高温多湿や傷付いた球根で発生しやすくなります。
発病した球根は取り除き、同じ場所での過湿を防ぎます。
リコリスの害虫
ハマオモトヨトウ
ハマオモトヨトウの幼虫は、ヒガンバナ科植物の葉を食害します。
葉の内部や株元へ入り込み、短期間で葉を食べ尽くすことがあります。
葉に穴や食べかすが見られた場合は、葉の付け根や株元を確認します。
アブラムシ
アブラムシは、柔らかい花茎、つぼみ、葉へ寄生します。
植物の汁を吸い、花や葉の変形を引き起こします。
発生初期に取り除き、周囲の風通しを改善します。
ナメクジ
ナメクジは、夜間に新芽や花を食害します。
鉢の下、落ち葉、石の陰などへ隠れます。
花茎や花弁に食害跡がある場合は、夜間に確認しましょう。
カタツムリ
カタツムリも、柔らかい葉や花を食害します。
梅雨時期や湿度の高い場所で発生しやすくなります。
落ち葉や雑草を取り除き、隠れ場所を減らします。
リコリスが枯れる原因
過湿による球根腐敗
リコリスが枯れる主な原因の一つが、過湿による球根腐敗です。
水はけの悪い土や、水の与えすぎによって球根が腐ります。
土が湿っているのに葉や花茎がしおれる場合は、球根の傷みが疑われます。
植え付け直後の乾燥
植え付け直後に土を強く乾燥させると、根が十分に伸びません。
根付き球根は、根を乾かさないように植え付けます。
植え付け後は十分に水を与え、土が極端に乾かないようにします。
葉を早く切った
葉が緑色の間に切ると、球根へ養分を蓄えられません。
球根が年々小さくなり、花が咲かなくなったり、株が弱ったりします。
葉が自然に黄色くなるまで残しましょう。
日照不足
葉の生育期に日光が不足すると、球根が充実しません。
花が咲かないだけでなく、葉も細く弱くなることがあります。
種類に合った日当たりや明るい半日陰で育てます。
深植え
球根を深く植えすぎると、生育や開花が悪くなる場合があります。
球根の上へ2〜5cmほど土がかかる深さを目安にします。
植え替えによる根傷み
リコリスは植え替えを嫌います。
掘り上げる際に根を大きく傷つけると、葉や花を出さなくなることがあります。
必要のない植え替えは避け、作業後は球根を乾燥させずに植え付けます。
肥料の与えすぎ
肥料を多く与えると、根や球根が傷みます。
窒素分が多すぎる場合は、葉ばかりが育ち、花が咲かなくなることもあります。
肥料は葉が出ている時期に少量与えます。
強い寒さ
耐寒性は種類によって異なります。
寒さに弱い種類を寒冷地で地植えすると、球根が凍結して枯れる場合があります。
購入時に耐寒性を確認し、必要に応じて鉢植えで管理します。
病害虫
球根腐敗病、軟腐病、ハマオモトヨトウ、ナメクジなどの被害が広がると、株が弱ります。
葉、花、株元を定期的に確認し、早い段階で対処しましょう。
リコリスを庭や鉢植えで楽しむ方法
複数の球根をまとめて植える
リコリスは、一球ずつ離して植えるより、複数の球根をまとめて植えると華やかになります。
5〜10球ほどを自然な間隔で配置すると、開花時にまとまりが生まれます。
子球が増えると、年々群生が広がります。
落葉樹の下へ植える
落葉樹の下は、冬から春に日光が当たり、夏は木陰になります。
秋から春に葉を伸ばし、夏に休眠するヒガンバナなどに適しています。
根元が過度に乾燥しないように管理しましょう。
花壇の縁へ植える
花壇の縁や園路沿いへ植えると、秋に花の帯を作れます。
休眠中は地上部がなくなるため、植えた位置が分かるように目印を付けておくと安心です。
和風の庭へ植える
赤いヒガンバナや白いシロバナマンジュシャゲは、石、コケ、シダ、落葉樹などとよく合います。
自然な群生を作ると、秋らしい落ち着いた景観になります。
洋風の庭へ植える
ピンク色のナツズイセン、黄色いショウキズイセン、淡い色の園芸品種は、洋風の花壇にも合わせられます。
グラス類や宿根草の間へ植えると、突然伸びる花茎が景観のアクセントになります。
鉢植えで育てる
深さのある鉢へ複数の球根をまとめて植えます。
開花期に玄関やテラスへ移動でき、寒さに弱い種類も管理しやすくなります。
植え替えを嫌うため、数年間植えたまま育てられる大きさの鉢を選びましょう。
切り花として楽しむ
つぼみが色づき、一部が開き始めた頃に花茎を切ります。
朝の涼しい時間帯に、清潔なハサミを使用します。
長い花茎を生かし、背の高い花瓶へ飾ると美しい姿を楽しめます。
切り口や植物の汁に触れた後は、手をよく洗いましょう。
リコリスの毒性
リコリスの球根、葉、花、茎には、有毒なアルカロイドが含まれています。
球根はノビル、ニンニク、タマネギなどと間違えないように注意が必要です。
誤って口にすると、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などを起こす可能性があります。
次の点に注意して扱いましょう。
球根や葉を食べない
食用植物と同じ場所へ保管しない
作業後は手を洗う
傷のある手では手袋を使用する
子どもやペットが掘り返す場所を避ける
切り花を食品の近くへ置かない
球根を野菜として譲らない
毒性があるからといって、触れただけで必ず中毒を起こすわけではありません。口に入れないことが重要です。
リコリスの花言葉
リコリス全体やヒガンバナの代表的な花言葉には、「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「悲しい思い出」などがあります。
花と葉が同時に見られない性質や、墓地や彼岸の時期と結び付いた文化的な印象から、別れを連想させる花言葉もあります。
花色によって異なる花言葉が紹介されることもあります。
赤色:情熱、独立、再会
白色:また会う日を楽しみに
黄色:追想、深い思いやり
ピンク色:快い楽しさ
オレンジ色:妖艶
花言葉の内容は、資料や地域によって異なる場合があります。
まとめ
リコリスは、夏から秋にかけて葉のない地面から花茎を伸ばし、赤、白、黄色、ピンク、オレンジなどの鮮やかな花を咲かせる球根植物です。
ヒガンバナはリコリス属の代表的な一種です。リコリス属には、シロバナマンジュシャゲ、ショウキズイセン、ナツズイセン、キツネノカミソリなど、多くの種類があります。
花と葉が同時に見られない種類が多く、「葉見ず花見ず」と呼ばれます。花後または春に伸びる葉は、球根へ養分を蓄える重要な役割を持ちます。
日当たりのよい場所から明るい半日陰を好み、水はけのよい土でよく育ちます。落葉樹の下は、葉の生育期に日が当たり、夏の休眠期には木陰になるため、適した植え付け場所です。
球根は6月〜8月頃に植え付けます。球根の上へ2〜5cmほど土がかかる深さを目安にし、根を乾燥させないようにします。
リコリスは植え替えを嫌い、植え付け直後は花が咲かないことがあります。一度植えたら頻繁に掘り返さず、同じ場所で数年間育てることが大切です。
花後は花茎だけを切り、葉を残します。葉が自然に枯れるまで日光、水、肥料を与え、翌年の開花に必要な養分を球根へ蓄えさせます。
休眠期は水やりを控え、過湿による球根腐敗を防ぎます。数年に一度分球すれば、株を増やしながら美しい群生を楽しめます。