シュンギク(春菊)の育て方|種まき・間引き・摘み取り収穫・とう立ち対策まで解説
シュンギクの育て方|種まき・間引き・摘み取り収穫・とう立ち対策まで解説
シュンギクは、独特の香りとやわらかな葉を楽しめるキク科の葉物野菜です。鍋料理やおひたし、ごま和えなどに利用でき、若い葉はサラダにも向いています。
家庭菜園では、畑だけでなくプランターでも栽培できます。摘み取り向けの品種を選べば、伸びてくるわき芽を繰り返し収穫できるのも魅力です。
育てるときのポイントは、種にかける土を薄くすること、混み合った苗を間引くこと、茎葉がやわらかいうちに収穫することです。この記事では、シュンギクの基本情報から種まき、日常管理、収穫までを紹介します。
シュンギクの基本情報
植物名:シュンギク
漢字表記:春菊
別名:キクナ
学名:Glebionis coronaria
科名:キク科
属名:シュンギク属
原産地:地中海沿岸
分類:一年草
主に食べる部分:葉、やわらかい茎
生育適温:15〜20℃程度
種まき時期:春・秋が中心
収穫時期:種まきからおよそ1〜2か月後が目安
日照条件:日当たりのよい場所
主な栽培方法:畑、プランター
主な用途:鍋料理、おひたし、和え物、天ぷら、サラダ
種まきや収穫の時期は、地域、品種、気温によって変わります。種袋に記載された作型を確認しましょう。
シュンギクの特徴
香りのある葉を若いうちに収穫する野菜
シュンギクは、葉や茎に特有の香りがあります。育ちすぎると茎が硬くなるため、大きさだけを追わず、やわらかいうちに収穫することが大切です。
間引いた若い苗も、きれいに洗って料理に利用できます。
春になると花を咲かせる
「春菊」という名前は、春に菊に似た花を咲かせることに由来するとされています。
葉物野菜として収穫する場合は、花茎が伸びる「とう立ち」が進む前に収穫します。花を楽しみたい場合は、一部の株を残して育てる方法もあります。
収穫方法に合う品種を選べる
シュンギクには、株ごと収穫する栽培に向くタイプと、わき芽を繰り返し摘み取る栽培に向くタイプがあります。
食べる量や栽培スペースに合わせて選びましょう。
シュンギクの種類と品種の選び方
中葉種
葉の切れ込みが比較的深く、家庭菜園でもよく育てられるタイプです。
中葉種には、主に次のような草姿があります。
摘み取り型:茎が伸び、主茎やわき芽を順次収穫する栽培に向く
株張り型:株元から枝が出て広がり、株ごとの収穫に向く
「中葉種ならすべて同じ収穫方法」と考えず、品種の説明を確認してください。
大葉種
葉が大きく、切れ込みが浅いタイプです。一般に葉がやわらかく、香りや苦味が比較的穏やかな傾向があります。
品種や収穫する大きさによって食味は変わりますが、サラダや和え物に使いたい場合の候補になります。
初めてなら秋まき向けの品種から始める
春まきは気温の上昇とともにとう立ちしやすく、収穫を急ぐ必要があります。
初めて育てる場合は、暑さが落ち着いてからまける秋まき向けの品種が取り組みやすいでしょう。
シュンギクの種まき時期
春まき
温暖地では、3〜5月ごろが一つの目安です。寒冷地では、地温が上がってからまきます。
春は生育が進みやすい一方、遅くまくほど高温やとう立ちの影響を受けやすくなります。適期にまき、若どりを心がけましょう。
秋まき
温暖地では、9〜10月ごろが目安です。残暑が厳しいときは、種まき後の乾燥や高温に注意します。
まくのが遅すぎると、十分に育つ前に寒くなります。寒冷地では、暖地より早めの種まきを基本にしてください。
少量ずつ時期をずらしてまく
一度に大量にまくと、食べ頃が重なります。
株ごと収穫する場合は、適期の範囲で1〜2週間ほどずらして少量ずつまくと、収穫を分散しやすくなります。
シュンギクに適した環境と土づくり
日当たりと風通しを確保する
よく日の当たる場所で育てます。日照が不足すると、茎が細く伸びたり、生育が遅れたりします。
プランターは、建物やほかの植物の陰になりすぎない場所へ置きましょう。
水はけと保水性のよい土を使う
乾燥しすぎず、余分な水が抜ける土が適しています。
プランターでは、元肥入りの野菜用培養土を使うと準備しやすくなります。元肥が入っている場合は、植え付け時に肥料を重ねて多く加えないようにしてください。
畑は種をまきやすい状態に整える
畑では、完熟堆肥や元肥を適量混ぜ、土の大きな塊を崩して表面を平らにします。
酸度の調整が必要な場合は、土の状態に合わせて行います。毎回同じ量の石灰を加えるのではなく、可能であれば土壌酸度を確認しましょう。
シュンギクの種まき方法
種にかける土は薄くする
シュンギクの種は、発芽に光があるとよい性質を持っています。深く埋めると発芽しにくくなるため、覆土はごく薄くします。
一方、表面が乾くと発芽がそろいにくくなります。薄い覆土と乾燥防止を両立させることがポイントです。
すじまきの手順
土を平らにし、あらかじめ湿らせる
深さ5mm程度の浅いまき溝を作る
種を重なりすぎないようにまく
ごく薄く土をかける
手のひらなどで軽く押さえる
細かな水流でやさしく水を与える
条間は15〜20cm程度を目安にし、品種や容器の幅に合わせて調整します。
発芽するまでは表土を乾かさない
発芽前は、土の表面の乾き具合をこまめに確認します。
勢いの強い水をかけると種が流れるため、細かな穴のジョウロなどを使いましょう。乾燥防止のために資材を利用する場合も、発芽後は蒸れや日照不足に注意します。
シュンギクの間引き
混み合った苗を段階的に減らす
芽が密集したままだと、光や養分を奪い合い、細く弱い株になりやすくなります。
本葉が出始めたら、次の苗を優先して間引きます。
極端に小さい苗
茎が細く倒れている苗
葉の形や色に異常がある苗
隣の苗と重なっている苗
最終的な株間は収穫方法で変える
目安となる株間は次のとおりです。
若どり・株ごとの収穫:5〜10cm程度
摘み取り収穫:10〜15cm程度
大きく広がる品種:種袋の指定に合わせて広めにする
残す株の根を傷めそうな場合は、不要な苗を地際で切り取ります。
間引き菜も収穫として楽しむ
やわらかな間引き菜は、サラダや汁物などに利用できます。
土をよく洗い落とし、収穫後は早めに使いましょう。
シュンギクの水やりと追肥
プランターは土の乾きを見て水を与える
土の表面が乾いてきたら、鉢底から流れるまで水を与えます。
発芽直後の苗は根が浅いため、乾燥に注意してください。受け皿に水をためたままにすることは避けます。
畑では天候に合わせて調整する
根付いたあとは降雨を利用しながら管理しますが、晴天が続いて土が乾く場合は水やりが必要です。
乾燥が続くと生育が鈍り、茎葉が硬くなりやすくなります。
摘み取り栽培は肥料切れに注意する
元肥入りの土で短期間に株ごと収穫する場合は、追肥が少なくて済むこともあります。
繰り返し摘み取る場合は、生育を見ながら少量ずつ追肥します。肥料の量と間隔は製品表示を守り、葉や茎に粒状肥料を付着させないようにしましょう。
シュンギクの収穫方法
株ごと収穫する方法
草丈が20〜25cm程度になり、葉が十分に育ったら収穫します。品種や用途によっては、さらに小さいうちの収穫も可能です。
株元を切り取るか、株ごと抜き取り、土を落として利用します。
摘み取り収穫する方法
摘み取り型は、草丈が25〜30cm程度になったら、株元に葉を4〜5枚ほど残して上部を切り取ります。
葉の付け根から伸びてくるわき芽を育て、次の収穫につなげましょう。
わき芽にも葉を残して収穫する
伸びたわき芽を収穫するときも、枝の付け根側に葉を残します。
葉をすべて取り去ったり、株元まで深く切ったりすると、その後の生育が悪くなります。株の勢いを見ながら収穫量を調整してください。
シュンギクのとう立ち対策
とう立ちは花を咲かせるための変化
日が長くなり、気温が上がると花茎が伸びやすくなります。とう立ちが進むと、茎が硬くなり、葉物野菜としての食味が落ちてきます。
葉の収穫を優先する場合は、つぼみが目立つ前に収穫を進めましょう。
適期にまき、収穫を遅らせない
春まきは種袋の適期を守る
生育した株を長く畑に置かない
春は若どりを心がける
必要に応じて、とう立ちの遅い品種を選ぶ
つぼみを摘むだけで、いつまでもやわらかい葉を収穫できるわけではありません。
シュンギクのプランター栽培
排水穴のある容器を使う
深さ20cm程度以上のプランターが一つの目安になります。
容器の大きさに対して株を残しすぎず、収穫方法に合う株間を確保しましょう。
密植と肥料の与えすぎを避ける
プランターでは、限られた土に多くの株を残すと生育がそろいにくくなります。
株数を増やすことより、間引きで一株ずつに光が届く状態を作ることが大切です。
寒い時期は必要に応じて保温する
強い霜や凍結で葉が傷む場合は、不織布やトンネル資材で保護します。
晴れた日は内部が暖まりすぎることがあるため、温度と蒸れを確認してください。
シュンギクの病害虫対策
アブラムシや葉を食べる幼虫を確認する
葉裏や新芽を定期的に観察します。葉に穴が開いている場合は、幼虫や食害の跡がないか調べましょう。
防虫ネットを使う場合は、種まき直後から隙間なく設置し、内部に虫が入り込んでいないかも確認します。
葉に白い筋が出たらハモグリバエ類を疑う
葉の内部に白い曲がった筋が見られる場合は、ハモグリバエ類の幼虫による被害が考えられます。
被害が少ないうちに該当する葉を取り除き、広がりを確認しましょう。
過湿と混み合いを防ぐ
病気を防ぐため、適切な間引きで風通しを確保します。
農薬を使う場合は、シュンギクと対象の病害虫に適用がある製品を選び、使用回数や収穫前日数を守ってください。
シュンギクがうまく育たない原因
芽が出ない
主に次の点を確認します。
種を深く埋めていないか
種まき後に土が乾いていないか
気温や地温が適しているか
古い種を使っていないか
強い水流で種が流れていないか
発芽しない場所へ何度も追加でまく前に、種まき条件を見直しましょう。
苗が細く伸びる
日照不足や密植が考えられます。明るさを確保し、混み合った部分を間引きます。
肥料を増やすだけでは改善しない場合があります。
葉が黄色くなる
肥料不足だけでなく、根の過湿や日照不足、古い葉の老化なども考えられます。
どの葉から変色しているか、土が湿ったままになっていないかを確認してください。
茎が硬くなる
収穫の遅れや乾燥、とう立ちなどが原因になります。
次の栽培では、若いうちから収穫し、水分を安定させることを心がけましょう。
シュンギクの食べ方と保存方法
やわらかな葉はサラダにも使える
収穫した若い葉は、よく洗ってサラダに利用できます。香りが気になる場合は、ほかの葉物や豆腐などと組み合わせると食べやすくなります。
加熱しすぎず香りを楽しむ
鍋料理
おひたし
ごま和え
卵とじ
天ぷら
炒め物
太めの茎と葉では火の通り方が異なるため、茎を先に入れると仕上がりをそろえやすくなります。
乾燥を防いで冷蔵する
傷んだ葉を取り除き、軽く湿らせたキッチンペーパーなどで包んで袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
収穫後は鮮度が落ちやすいため、早めに使い切りましょう。多く収穫したときは、さっとゆでて水気を絞り、小分けにして冷凍できます。
まとめ
シュンギクは、プランターでも育てられ、若い葉やわき芽を収穫できる葉物野菜です。種まきでは覆土を薄くし、発芽まで乾燥させないことが大切になります。
春と秋の適期に種をまく
混み合った苗を間引く
水切れと過湿を防ぐ
摘み取り型は葉を残して収穫する
とう立ちする前に、やわらかな茎葉を収穫する
初めてなら、気温が穏やかになる秋から始めると取り組みやすいでしょう。料理に使う分を少しずつ収穫し、採れたての香りを楽しんでください。