ナシ(梨)を庭で育てる方法|受粉・摘果・袋かけ・実がならない原因を紹介
ナシの育て方|みずみずしい実を収穫する果樹の特徴・剪定・受粉のコツを解説
ナシは、シャリシャリとした食感とみずみずしい甘みを楽しめる落葉果樹です。日本では古くから親しまれている果物で、幸水、豊水、新高、二十世紀などの品種がよく知られています。春には白い花を咲かせ、夏から秋にかけて果実を収穫できます。
家庭でナシを育てる場合は、日当たり、受粉、剪定、摘果、袋かけ、病害虫対策が大切です。ナシは花が咲いても、受粉がうまくいかないと実がつきにくい果樹です。品種によっては1本だけでは実つきが悪いため、相性のよい別品種を近くに植えると収穫しやすくなります。
ナシは庭植えでも鉢植えでも育てられますが、庭植えでは大きく育ちます。家庭では、若木のうちから樹高を抑え、収穫や剪定をしやすい樹形に整えることが大切です。果実を大きく育てるには、摘果や袋かけも重要になります。
この記事では、ナシの特徴、主な品種、育て方、水やり、肥料、剪定、受粉、摘果、袋かけ、実がならない原因、収穫、鉢植え管理、病害虫、庭に植えるときの注意点まで詳しく解説します。
ナシの基本情報
和名:ナシ(梨)
別名:日本ナシ、和梨、アリノミ
学名:Pyrus pyrifolia
科名:バラ科
属名:ナシ属
分類:落葉小高木、果樹
原産地:日本、中国、朝鮮半島周辺
樹高:3m〜6mほど
開花期:4月頃
花色:白
収穫期:8月〜11月頃。品種により異なる
実の色:黄褐色、赤褐色、黄緑色など
植え付け時期:11月〜3月頃
植え替え時期:鉢植えは11月〜3月頃
成長速度:普通
耐寒性:強い
耐暑性:強い
栽培難易度:中級者向き。受粉、剪定、摘果、袋かけ、病害虫対策がポイント
ナシとは?
ナシは、バラ科ナシ属に分類される落葉果樹です。日本で一般的に「ナシ」と呼ばれるものは、日本ナシを指すことが多く、丸い果実とシャリシャリした食感が特徴です。果汁が多く、夏から秋の果物として親しまれています。
ナシには、日本ナシ、西洋ナシ、中国ナシなどがあります。日本ナシは果肉がみずみずしく、収穫後すぐに食べられる品種が多い点が特徴です。西洋ナシは収穫後に追熟させて、香りとやわらかな食感を楽しみます。
家庭でナシを育てる場合は、花が咲いたあとに受粉させ、実を間引き、袋かけで病害虫や傷を防ぐ管理が必要です。少し手間はかかりますが、自宅で収穫したナシの甘みとみずみずしさは大きな魅力です。
ナシの特徴
みずみずしい果実を楽しめる
ナシの魅力は、果汁の多さとシャリシャリした食感です。
完熟した果実はみずみずしく、冷やして食べると爽やかな甘みを楽しめます。品種によって甘み、酸味、香り、食感が異なります。
春に白い花を咲かせる
ナシは4月頃に白い花を咲かせます。
花は清楚で美しく、果樹としてだけでなく春の花木としても楽しめます。花が咲く時期に低温や雨が続くと、受粉がうまくいかないことがあります。
受粉樹が必要な品種が多い
ナシは、品種によって1本だけでは実つきが悪いことがあります。
実を安定して収穫するには、開花期が合う別品種を近くに植えるとよいでしょう。家庭では、人工授粉を行うと実つきが安定しやすくなります。
摘果が大切
ナシは実をつけすぎると、一つひとつの果実が小さくなります。
大きく形のよい実を育てるには、早めに摘果して残す実を選びます。家庭栽培でも、摘果は品質を左右する大切な作業です。
病害虫対策が必要
ナシは黒星病、赤星病、シンクイムシ、カメムシなどに注意が必要です。
果実をきれいに育てるには、枝を混ませない剪定、落ち葉や被害果の片付け、袋かけなどの管理が役立ちます。
ナシの主な品種
幸水
幸水は、日本ナシの代表的な品種です。
果汁が多く、甘みが強く、酸味は控えめです。収穫時期は比較的早く、夏の終わり頃から楽しめる品種として人気があります。
豊水
豊水は、甘みと酸味のバランスがよい品種です。
果汁が多く、濃い味わいを楽しめます。幸水よりやや遅い時期に収穫されることが多く、家庭果樹としても人気があります。
新高
新高は、大玉になりやすい品種です。
果実が大きく、食べごたえがあります。収穫時期は秋頃で、贈答用にも使われることがあります。大きな実を育てるには、摘果と肥培管理が大切です。
二十世紀
二十世紀は、黄緑色の果皮が特徴の青ナシです。
果汁が多く、爽やかな甘みと酸味があります。赤ナシとは違った見た目と風味を楽しめます。
あきづき
あきづきは、甘みが強く、果汁の多い品種です。
幸水、豊水、新高などのよさを受け継ぐ品種として扱われることがあります。家庭で甘いナシを収穫したい場合にも候補になります。
新興
新興は、秋に収穫できる晩生品種です。
貯蔵性が比較的あり、長く楽しみやすいナシとして知られます。収穫時期を遅らせたい場合に向いています。
長十郎
長十郎は、昔から親しまれてきた赤ナシ品種です。
果肉はややしっかりしており、独特の風味があります。近年は流通量が減っていますが、昔ながらのナシとして根強い人気があります。
ナシの育て方
日当たり
ナシは日当たりのよい場所を好みます。
日照不足では花つきや実つきが悪くなり、果実の甘みも出にくくなります。庭に植える場合は、一日を通してよく日が当たる場所を選びましょう。
半日陰でも育つことはありますが、収穫を目的にするなら日なたが基本です。建物の陰や大きな木の下では、枝が間延びし、実つきが悪くなりやすくなります。
風通し
ナシは風通しのよい場所で育てます。
枝葉が混み合うと、黒星病、赤星病、うどんこ病などが発生しやすくなります。剪定で枝を整理し、木の内側まで光と風が入るようにしましょう。
用土
ナシは、水はけと保水性のある肥沃な土を好みます。
水がたまりやすい場所では根が傷みやすくなります。庭植えでは、植え付け時に腐葉土や完熟堆肥を混ぜ、根が張りやすい土に整えます。
乾燥しすぎる土もよくありません。水はけを確保しながら、ある程度の保水性もある土が向いています。
植え付け時期
ナシの植え付けは、落葉期の11月〜3月頃が適しています。
寒冷地では厳寒期を避け、春先に植えると安心です。暖地では晩秋から冬に植えると、春から根が動きやすくなります。
植え付け方法
植え穴は根鉢より大きめに掘ります。
掘り上げた土に腐葉土や完熟堆肥を混ぜ、苗を植え付けます。接ぎ木苗の場合は、接ぎ木部分が土に埋まらないように注意します。
植え付け後はたっぷり水を与え、支柱を立てて風で揺れないように固定します。受粉樹を植える場合は、開花期が合う品種を近くに配置しましょう。
水やり
地植えの水やり
地植えのナシは、根づいた後は基本的に雨水で育ちます。
ただし、植え付け直後や夏に乾燥が続く時期は水やりが必要です。果実が大きくなる時期に強く乾燥すると、実の肥大や落果に影響することがあります。
鉢植えの水やり
鉢植えでは、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
鉢底から水が流れるまで与え、受け皿の水は捨てます。鉢植えは地植えより乾きやすいため、春から秋は水切れに注意しましょう。
春の水やり
春は開花、新芽、幼果の時期です。
鉢植えや植え付け直後の若木では、水切れに注意します。花の時期や実がつき始める時期に乾燥しすぎると、落花や落果につながることがあります。
夏の水やり
夏は果実が大きくなる時期です。
鉢植えでは朝にしっかり水を与えます。乾きが早い場合は夕方にも確認します。地植えでも雨が少ない期間が続く場合は、株元に水を与えましょう。
冬の水やり
冬は落葉し、休眠期になります。
地植えでは基本的に水やりは必要ありません。鉢植えでは、土が乾きすぎない程度に控えめに水を与えます。
肥料
ナシは、花と実をつけるために適度な肥料が必要です。
地植えでは、冬に寒肥として完熟堆肥や有機質肥料を与えます。春の芽出し前、果実が大きくなる時期、収穫後にも株の状態を見ながら追肥します。
鉢植えでは、春と収穫後、秋に緩効性肥料を少量与えます。肥料切れすると枝の伸びや実の肥大が悪くなります。
ただし、肥料を与えすぎると枝葉ばかり伸び、花芽がつきにくくなることがあります。特に窒素分の多い肥料を与えすぎると徒長枝が増えるため、適量を守りましょう。
ナシの剪定
剪定が必要な理由
ナシは、剪定で樹形を整え、日当たりと風通しを確保します。
枝が混み合うと、木の内側に光が入らず、花や実が少なくなります。病害虫も発生しやすくなるため、毎年の剪定が大切です。
剪定時期
ナシの剪定は、落葉期の12月〜2月頃が基本です。
葉が落ちると枝の状態が見やすくなります。寒冷地では厳寒期を避け、春先に行うと安心です。
剪定方法
枯れ枝、交差枝、内向き枝、下向き枝、混み合った枝を切ります。
すべての枝を短く切るより、不要な枝を根元から間引く剪定が基本です。木の内側まで光が入るように枝を整理します。
短果枝を大切にする
ナシは、短い枝に花芽をつけることがあります。
短果枝を切りすぎると、花や実が減る原因になります。剪定時は、花芽がつく枝を残しながら、混み合った枝を整理しましょう。
徒長枝の処理
上に強く伸びる徒長枝は、樹形を乱しやすい枝です。
不要な徒長枝は根元から切ります。将来の枝として使えるものは、角度を調整して樹形に組み込むこともできます。
樹高を抑える
ナシは放任すると高くなります。
高くなりすぎると、剪定、摘果、袋かけ、収穫、病害虫確認が難しくなります。若木のうちから低めに仕立て、家庭で管理しやすい高さを目指しましょう。
ナシの受粉
受粉樹があると実つきが安定する
ナシは、1本だけでは実つきが悪い品種が多くあります。
相性のよい別品種を近くに植えると、受粉しやすくなります。花は咲くのに実が少ない場合は、受粉不足の可能性があります。
開花期を合わせる
受粉樹は、開花期が合うことが重要です。
別品種を植えても、花の時期がずれていると受粉できません。苗を選ぶときは、収穫したい品種と開花期が合う受粉樹を確認しましょう。
人工授粉
家庭栽培では、人工授粉を行うと実つきが安定しやすくなります。
開花期の晴れた日に、別品種の花粉を筆や綿棒で取り、実をつけたい花の中心につけます。虫が少ない庭や、開花期に雨が続く年にも効果があります。
1本で育てたい場合
1本だけ植える場合は、自家結実性がある品種を選ぶとよいでしょう。
ただし、自家結実性がある品種でも、別品種が近くにあるほうが実つきが安定することがあります。確実に収穫したい場合は、受粉環境を整えることが大切です。
ナシの摘果
摘果が必要な理由
ナシは、実をつけすぎると果実が小さくなります。
枝への負担も大きくなり、木が疲れることがあります。大きく形のよい果実を育てるには、摘果が大切です。
摘果の時期
摘果は、実がふくらみ始めた頃に行います。
自然落果が落ち着いたあと、小さい実、形の悪い実、傷のある実、密集している実を取り除きます。
摘果の目安
果実同士が触れ合わないように間隔を空けます。
枝に実が多くつきすぎている場合は、残したい実に養分が回るように間引きます。大玉品種では、特に摘果が重要です。
摘果しないとどうなる?
摘果しないと、実が小さくなりやすくなります。
枝が重みで下がったり、折れたりすることもあります。翌年の花つきに影響する場合もあるため、実が多い年は早めに調整しましょう。
ナシの袋かけ
袋かけが必要な理由
ナシは、果実をきれいに育てるために袋かけを行うことがあります。
袋かけをすると、シンクイムシ、カメムシ、鳥害、傷、病気の被害を減らしやすくなります。家庭栽培でも、きれいな果実を収穫したい場合に有効です。
袋かけの時期
袋かけは、摘果後に行います。
残す実を決めたら、果実用の袋をかけます。果実が小さいうちに袋をかけることで、害虫や傷から守りやすくなります。
袋かけの方法
果実を傷つけないように、袋で包みます。
袋の口を枝や果柄にしっかり固定し、雨や風で外れないようにします。袋の中に水がたまらないよう、果実用の袋を使うと安心です。
袋かけをしない栽培
袋かけをしなくてもナシは育てられます。
ただし、果実に傷や虫害が出やすくなります。家庭で少量を楽しむ場合でも、きれいな実を収穫したいなら袋かけを検討しましょう。
ナシの収穫
収穫時期
ナシの収穫時期は、8月〜11月頃です。
品種によって異なります。幸水は比較的早く、豊水はそのあと、新高や新興などは秋に収穫されることが多くあります。
収穫の目安
果実が品種らしい大きさになり、果皮の色が変化した頃が収穫の目安です。
赤ナシでは果皮が黄褐色から赤褐色になり、青ナシでは黄緑色がやや抜けて明るくなります。果実を軽く持ち上げるようにして、果柄が外れやすくなったら収穫できます。
収穫方法
果実を手で持ち、少し持ち上げるようにして収穫します。
無理に引っ張ると枝や果実を傷めます。ナシは傷がつくと傷みやすいため、丁寧に扱いましょう。
収穫後の保存
ナシは乾燥しないように保存します。
新聞紙や袋に包み、冷蔵庫で保存すると日持ちしやすくなります。品種によって保存性が異なるため、早生品種は早めに食べ、晩生品種は保存しながら楽しむとよいでしょう。
ナシの利用方法
ナシは生食が中心ですが、加工にも使えます。
生食
コンポート
ジャム
シャーベット
スムージー
サラダ
肉料理の下味
焼き菓子
タルト
果実酒
すりおろしたナシは、肉をやわらかくする下味にも使われることがあります。
ナシの実がならない原因
木が若い
植え付けて間もないナシは、実がならないことがあります。
まずは根と枝を育てる時期です。数年かけて木が充実すると、花や実が安定しやすくなります。
受粉樹がない
ナシは、品種によって1本だけでは実つきが悪くなります。
花は咲くのに実が少ない場合は、受粉不足の可能性があります。相性のよい別品種を近くに植えるか、人工授粉を行いましょう。
開花期に雨や低温が続いた
開花期に雨や低温が続くと、虫の活動が少なくなり、受粉がうまくいかないことがあります。
家庭では人工授粉を行うことで、天候による受粉不足を補いやすくなります。
日当たりが悪い
日照不足では花芽がつきにくくなります。
枝葉は伸びても、花や実が少ない場合があります。実を収穫したい場合は、日当たりのよい場所で育てましょう。
剪定で花芽を切っている
ナシは短果枝に花芽をつけることがあります。
剪定で短果枝を切りすぎると、花や実が減ります。毎年強く刈り込んでいる場合は、剪定方法を見直しましょう。
肥料が多すぎる
肥料が多すぎると、枝葉ばかり伸びることがあります。
特に窒素分が多いと徒長枝が増え、花芽がつきにくくなります。枝が強く伸びるのに花が少ない場合は、肥料の量を控えましょう。
摘果不足で木が疲れている
前年に実をつけすぎると、木が疲れて翌年の花つきが悪くなることがあります。
実が多い年は摘果を行い、木の負担を減らしましょう。毎年安定して収穫するには、実の数を調整することが大切です。
病害虫で樹勢が落ちている
アブラムシ、カイガラムシ、シンクイムシ、黒星病、赤星病などで木が弱ると、実つきが悪くなります。
葉、枝、幹、果実を定期的に確認し、早めに対処しましょう。
ナシの鉢植え管理
ナシは鉢植えでも育てられます。
庭が狭い場合や、樹高を抑えたい場合は鉢植えが便利です。ただし、地植えに比べて水切れや根詰まりが起こりやすく、実をならせるにはこまめな管理が必要です。
鉢の選び方
深さと安定感のある鉢を選びます。
果樹用の大きめの鉢が向いています。枝葉や果実がつくと上部が重くなるため、倒れにくい鉢を使いましょう。
置き場所
鉢植えのナシは、日当たりのよい場所に置きます。
春から秋は屋外の日なたで管理します。日照不足では花や実が少なくなります。夏は水切れしやすいため、鉢の乾き具合をこまめに確認しましょう。
植え替え
鉢植えでは、2〜3年に1回を目安に植え替えます。
根詰まりすると水や養分を吸いにくくなり、枝の伸びや実つきが悪くなります。植え替えは落葉期に行い、古い土と傷んだ根を整理します。
鉢植えで実をならせるコツ
鉢植えで実をならせるには、日当たり、水やり、肥料、剪定、受粉が大切です。
受粉が必要な品種では、別品種の鉢を近くに置くと実つきが安定しやすくなります。開花期には人工授粉を行い、実が多くついた場合は摘果して木の負担を減らしましょう。
ナシの増やし方
接ぎ木苗が一般的
ナシは、家庭では品種名がわかる接ぎ木苗を購入して育てるのが一般的です。
種から育てると親と同じ性質になるとは限らず、実がなるまで時間もかかります。収穫を目的にする場合は、品種苗を選ぶと安心です。
種まき
食べたナシの種をまいて育てることもできます。
ただし、種から育てた木は実の品質が安定しにくく、収穫まで長い年数がかかります。観察や育てる楽しみとして行う方法です。
接ぎ木
品種の性質を維持するため、ナシは接ぎ木で増やされます。
家庭で行うにはやや難しい作業です。確実に収穫したい場合は、信頼できる苗木を購入しましょう。
ナシの病害虫
アブラムシ
春の新芽にアブラムシが発生することがあります。
吸汁によって葉が縮れたり、すす病の原因になったりします。少数なら水で洗い流すか、手で取り除きます。
カイガラムシ
枝や幹にカイガラムシがつくことがあります。
吸汁によって樹勢が落ち、すす病を引き起こすことがあります。見つけたら歯ブラシやヘラでこすり落とします。
ハダニ
高温乾燥期にはハダニが発生することがあります。
葉が白くかすれる場合は、葉裏を確認します。葉裏への水かけや風通しの改善が予防になります。
シンクイムシ
果実に幼虫が入ることがあります。
実に穴があく、果実が傷む、落果する場合は注意が必要です。被害果は早めに取り除き、庭に放置しないようにします。
カメムシ
カメムシは果実を吸汁します。
吸汁された果実はへこむ、変形する、硬くなる、品質が落ちるなどの被害が出ることがあります。果実が大きくなる時期から収穫期に注意しましょう。
黒星病
葉や果実に黒っぽい斑点が出る病気です。
ナシで特に注意したい病気のひとつです。雨が多い時期や風通しの悪い環境で発生しやすくなります。落ち葉や被害果を片付け、枝を混ませないようにしましょう。
赤星病
葉に橙色の斑点が出る病気です。
ビャクシン類を中間宿主とする病気として知られます。周辺環境によって発生しやすさが変わります。発生した葉は取り除き、風通しを改善します。
うどんこ病
葉に白い粉をふいたような症状が出ることがあります。
風通しが悪い場所や、枝が混み合った環境で出やすくなります。被害葉を取り除き、剪定で環境を改善しましょう。
胴枯病
枝や幹に病斑が出て、枝枯れを起こすことがあります。
剪定の切り口や傷口から病原菌が入る場合があります。枯れ枝や病気の枝は早めに切り取り、切り口を清潔に管理します。
ナシが枯れる原因
水はけの悪さ
ナシは過湿を嫌います。
水はけの悪い土では根が傷み、葉がしおれる、枝が枯れる、成長が止まるなどの症状が出ることがあります。植え付け前に排水性を確認しましょう。
強剪定のしすぎ
太い枝を一度に多く切ると、樹勢が乱れることがあります。
大きな切り口から病気が入る場合もあります。樹形を小さくしたい場合は、数年かけて段階的に剪定しましょう。
病害虫の放置
アブラムシ、カイガラムシ、シンクイムシ、黒星病、赤星病などを放置すると木が弱ります。
葉、枝、幹、果実を定期的に確認し、早めに対処しましょう。
日照不足
日当たりが悪い場所では、樹勢が落ちます。
枝が間延びし、花や実も少なくなります。ナシは日なたで育てるのが基本です。
乾燥しすぎ
植え付け直後や鉢植えでは、水切れで弱ることがあります。
特に春から夏は水をよく使います。鉢植えでは土の乾き具合をこまめに確認しましょう。
夏の蒸れ
高温多湿の環境では、病気が出やすくなります。
枝が混み合っていると風通しが悪くなり、株が弱ることがあります。剪定で枝を整理し、湿気がこもりにくい環境を作りましょう。
ナシを庭に植えるときの注意点
受粉樹を考える
ナシは受粉樹が必要な品種が多くあります。
実をしっかり収穫したい場合は、開花期が合う別品種を近くに植えると安心です。庭が狭い場合は、鉢植えで受粉樹を用意する方法もあります。
将来の大きさを考える
ナシは庭植えにすると大きく育ちます。
小さな苗でも数年で枝を広げます。建物、隣地境界、駐車場、通路、配管の近くに植える場合は、将来の枝張りを考えましょう。
収穫しやすい高さに保つ
高くなりすぎると、剪定、摘果、袋かけ、収穫が難しくなります。
家庭では、若木のうちから低めに仕立て、脚立なしでも管理しやすい高さを目指しましょう。
病害虫対策を前提にする
ナシは黒星病、赤星病、シンクイムシ、カメムシなどに注意が必要です。
葉や果実の状態をこまめに確認し、落ち葉や被害果を片付けます。枝を混ませない管理も病害虫予防につながります。
袋かけ作業のしやすさを考える
きれいな果実を収穫したい場合は、袋かけを行います。
高すぎる場所や枝が混みすぎた場所では、袋かけが大変になります。作業しやすい高さと枝の配置を意識して剪定しましょう。
ナシは初心者におすすめ?
ナシは魅力的な果樹ですが、完全な初心者向けというより、果樹栽培に少し慣れてきた方向きです。
理由は、受粉樹、人工授粉、剪定、摘果、袋かけ、病害虫対策が必要になるためです。苗を植えるだけで毎年簡単に収穫できる果樹ではありません。
初心者が育てる場合は、次のポイントを意識しましょう。
日当たりのよい場所に植える
水はけと保水性のある土で育てる
受粉樹が必要か確認する
開花期が合う別品種を用意する
若木のうちから低く仕立てる
冬に剪定する
短果枝を切りすぎない
実が多い年は摘果する
きれいな実を育てたい場合は袋かけする
黒星病や赤星病に注意する
ナシと相性のよい植物
ナシは春の花と夏から秋の果実を楽しめる落葉果樹です。足元には、剪定、摘果、袋かけ、収穫作業を邪魔しにくい植物を合わせると管理しやすくなります。
相性のよい植物には、次のようなものがあります。
クリスマスローズ
スイセン
ムスカリ
チューリップ
アジュガ
ヒューケラ
ヤブラン
タマリュウ
フッキソウ
ギボウシ
ツワブキ
シュウメイギク
ユキヤナギ
コデマリ
ジンチョウゲ
ブルーベリー
ジューンベリー
グミ
キンカン
フェイジョア
ナシの足元は、剪定、摘果、袋かけ、収穫の作業スペースになります。密植しすぎると作業しにくくなるため、脚立や収穫かごを使いやすい空間を残しておくと管理しやすくなります。
まとめ|ナシは受粉と摘果で実の品質が変わる果樹
ナシは、みずみずしい果実とシャリシャリした食感を楽しめる落葉果樹です。幸水、豊水、新高、二十世紀など多くの品種があり、夏から秋にかけて収穫できます。春には白い花も楽しめるため、庭木としての魅力もあります。
育て方の基本は、日当たりと風通しのよい場所に植えることです。水はけと保水性のある土を好み、根づいた後の地植えでは水やりの手間は少なくなります。鉢植えでは、水切れと根詰まりに注意します。
実を安定して収穫するには、受粉環境が大切です。ナシは1本だけでは実つきが悪い品種が多いため、開花期が合う別品種を近くに植えると安心です。開花期に虫が少ない場合や雨が続く年は、人工授粉も有効です。
剪定は落葉期に行います。短果枝に花芽をつけることがあるため、実をつける枝を切りすぎないように注意します。枝が混み合うと病害虫が出やすくなるため、不要な枝を間引き、木の内側まで光と風が入るように整えましょう。
大きく形のよい果実を育てるには、摘果が重要です。きれいな果実を収穫したい場合は、摘果後に袋かけを行うと、虫害や傷を減らしやすくなります。
病害虫では、アブラムシ、カイガラムシ、シンクイムシ、カメムシ、黒星病、赤星病、うどんこ病などに注意します。落ち葉や被害果を片付け、枝を混ませない管理が予防につながります。
ナシは少し手間のかかる果樹ですが、受粉、剪定、摘果、袋かけを押さえれば、家庭でも収穫を楽しめます。みずみずしい果実を庭で収穫したい方におすすめの果樹です。