インゲンマメ(隠元豆)の育て方|品種選び・種まき・支柱・収穫方法まで解説
インゲンマメの育て方|品種選び・種まき・支柱・収穫方法まで解説
インゲンマメは、やわらかな莢を食べるサヤインゲンや、成熟した豆を利用する金時豆などを含むマメ科の野菜です。家庭菜園では、若い莢を次々と収穫する栽培が人気で、プランターでも育てられます。
育てるときは、つるあり・つるなしの違いを理解し、栽培スペースに合う品種を選ぶことが大切です。適期に種をまき、開花後の水切れを防ぎながら、莢がやわらかいうちに収穫しましょう。
この記事では、サヤインゲンとしての栽培を中心に、代表的な品種、種まき、支柱の立て方、収穫までを紹介します。
インゲンマメの基本情報
植物名:インゲンマメ
漢字表記:隠元豆
別名:サヤインゲン、サンドマメ
学名:Phaseolus vulgaris
科名:マメ科
属名:インゲンマメ属
原産地:中南米
分類:一年草
主に食べる部分:若い莢、成熟した種子
花の色:白色、淡い紫色など
生育適温:15〜25℃程度
種まき時期:春〜夏。地域や品種によって異なる
日照条件:日当たりのよい場所
土壌条件:水はけのよい土
主な栽培方法:畑、プランター
主な用途:和え物、炒め物、煮物、天ぷら、煮豆
若い莢を食べたい場合は莢用品種を、乾燥豆を収穫したい場合は子実用品種を選びます。食べる部分に合わせた品種選びが、食味と収穫のしやすさにつながります。
インゲンマメの特徴
つるありとつるなしがある
インゲンマメには、長いつるを伸ばすタイプと、比較的低い草丈で育つタイプがあります。
つるあり:支柱やネットが必要で、比較的長く収穫を続けやすい
つるなし:高い棚が不要で、種まきから収穫までが比較的短い
ただし、つるなしでも品種によっては大きく育ち、倒伏防止の支えが必要です。
莢の形や食感にも違いがある
莢の断面が丸いもの、やや平たいもの、幅広く平たいものがあります。
細い丸莢は和え物や付け合わせに、肉厚な平莢は煮物や炒め物などに使いやすく、料理に合わせて選ぶ楽しみがあります。
スジなし品種でも収穫適期を守る
現在はスジが出にくい品種が多くありますが、乾燥や高温、収穫の遅れによって硬さやスジが目立つ場合があります。
「スジなし」という表示でも、莢を長く付けたままにせず、若いうちに収穫しましょう。
インゲンマメの代表的な品種
さつきみどり2号
濃緑色の丸莢が特徴のつるなし品種です。莢は長さ13〜14cm程度で、肉厚ながらスジが出にくく、風味も良好。草丈は比較的コンパクトで、高い支柱を設置しにくい家庭菜園やプランター栽培にも取り入れやすい品種です。
恋みどり
非常に濃い緑色の莢を付ける、つるなしの早生品種です。莢は長さ14cm程度の丸莢で、形や色つやがそろいやすいのが特徴。適期栽培では比較的早く収穫でき、限られた期間で育てたい場合や、時期をずらした栽培に向きます。
ケンタッキー101
長さ21〜23cm程度の丸平莢を付けるつるあり品種です。比較的低い位置から莢が付き、収穫後半まで実りやすいのが特徴。草勢が強く、スジの出にくい莢を収穫できます。丈夫な支柱を用意し、長めに収穫を楽しみたい人に向きます。
モロッコ
幅広く肉厚な平莢を付けるつるあり品種です。加熱するとやわらかく、甘味と独特の食感を楽しめます。草勢が強く、支柱やネットに誘引して栽培します。煮物や炒め物など、莢の厚みを生かした料理に使いたい場合に適しています。
サクサク王子
歯切れのよい食感が特徴の、つるなしタイプの商品名で、品種名は「三郷VB2」です。一般的なつるなし種より株が大きくなるため、短い支柱などで支えます。若い莢を加熱して使い、収穫を遅らせず食感のよい時期に摘み取りましょう。
インゲンマメの種まき時期
春まきは遅霜の心配がなくなってから
インゲンマメは寒さに弱いため、地温が上がり、遅霜の心配がなくなってからまきます。
温暖地では4〜5月ごろが目安ですが、寒冷地では遅めになります。早まきする場合は保温が必要になるため、初めてなら無理に時期を早めない方が管理しやすいでしょう。
夏まきは秋の収穫から逆算する
つるなし品種では、夏にまいて秋に収穫する栽培もできます。
ただし、暑い時期の発芽管理と、寒くなる前に収穫できるかの確認が必要です。地域別の種まき適期を守りましょう。
つるなしは少量ずつ時期をずらす
つるなし品種は収穫が比較的短期間に集中します。
適期の範囲で種まきを10〜14日程度ずらすと、一度に収穫が重なるのを避けやすくなります。
インゲンマメに適した環境と土づくり
日当たりと風通しを確保する
花や莢を育てるため、よく日の当たる場所を選びます。
つるあり品種では、葉が大きく広がるため、隣の野菜を日陰にしない配置を考えましょう。
過湿になりにくい土で育てる
水が長くたまる場所では、発芽不良や根の傷みが起こりやすくなります。
畑では排水が悪ければ高畝にし、プランターでは排水穴から水が抜けることを確認してください。
肥料の与えすぎを避ける
インゲンマメは根粒菌と共生しますが、必ず無肥料で育つわけではありません。土に残っている養分を考えながら元肥を調整します。
窒素が多すぎると茎葉が茂り、花や莢の付き方に影響する場合があります。
連作を避ける
同じ場所でマメ科の作物を続けて育てると、土壌病害などの問題が起こりやすくなります。
畑では数年間隔を空け、ほかの科の野菜と組み合わせて輪作しましょう。プランターでは新しい用土を使う方法が取り入れやすくなります。
インゲンマメの種まき方法
種を長時間水に浸さない
インゲンマメの種は、通常、水に浸けずにまきます。
急な吸水で種が傷んだり、長時間の浸水で酸素不足になったりする場合があるためです。あらかじめ土を適度に湿らせておきましょう。
直接まく方法が基本
土を整えて適度に湿らせる
品種に合う株間でまき穴を作る
1か所に2〜3粒ずつまく
深さ2〜3cm程度を目安に土をかける
軽く押さえて種と土を密着させる
土の乾きに応じて、やさしく水を与える
株間はつるなしで約30cm、つるありで30〜40cm程度を一つの目安にし、種袋の指定を優先します。
発芽前の水の与えすぎに注意する
種まき後の土を常に水浸しにすると、種が腐る原因になります。
乾燥を防ぎながら、余分な水が抜ける状態を保ちましょう。
鳥害が心配なら保護する
種や発芽直後の苗が鳥に食べられる場合があります。
防鳥ネットなどで保護するほか、ポットで育苗してから植える方法もあります。移植する場合は苗を大きくしすぎず、根鉢を崩さないようにしてください。
インゲンマメの間引きと土寄せ
本葉が出たら苗を整理する
本葉が展開したら、弱い苗や傷んだ苗を取り除き、品種の説明に合わせた本数を残します。
残す苗の根を傷めそうなときは、不要な苗を地際で切り取ります。
株元へ軽く土を寄せる
除草と合わせて株元へ軽く土を寄せると、倒れにくくなります。
根を傷めないよう浅く作業し、葉や生長点を埋めないようにしましょう。
インゲンマメの支柱と誘引
つるありは早めに支柱を立てる
つるが伸び始める前に、2m程度の高さを確保できる支柱やネットを設置します。
合掌式やあんどん式など、栽培場所に合う形を選び、風で倒れないように固定してください。
つるの先をやさしく導く
つるが支柱を見つけられない場合は、先端を支柱やネットへ導きます。
強く曲げたり、ひもで締め付けたりせず、自然に巻き付けるように補助しましょう。
つるなしも必要に応じて支える
つるなしでも、莢が増えたり風を受けたりすると倒れる場合があります。
短い支柱や周囲を囲むひもで支え、莢が地面に触れ続けないようにします。
インゲンマメの水やりと追肥
鉢植えは土が乾いたら十分に与える
土の表面が乾いたら、鉢底から流れるまで水を与えます。受け皿の水は捨てましょう。
生育が進むほど乾きやすくなるため、暑い日は朝と夕方に状態を確認します。
開花から莢の生育期は水切れに注意する
この時期に極端な乾燥が続くと、花が落ちたり、莢が十分に伸びなかったりします。
畑でも雨が少ないときは補水し、敷きわらなどで土の乾燥を和らげる方法があります。
追肥は収穫期間と株の勢いで調整する
短期間で収穫を終えるつるなしと、長く収穫するつるありでは、必要な追肥が異なります。
元肥の量や葉色、生育を確認し、肥料の製品表示に従って少量ずつ与えます。根が傷んでいる株に追加施肥をしても、改善しないことがあります。
インゲンマメの花が落ちる・莢が付かない原因
高温の影響
開花期に高温が続くと、花が落ちたり、莢付きが悪くなったりする場合があります。
つるありでも極端な高温には影響を受けるため、品種ごとの適期を守りましょう。
乾燥や過湿
水切れだけでなく、過湿による根の傷みでも生育が乱れます。
しおれている場合は、土が乾いているか湿っているかを確認してから対処してください。
肥料過多や日照不足
葉ばかり大きく育つ場合は、窒素過多も考えられます。暗い場所では、花や莢に十分な養分を送れないことがあります。
肥料を追加する前に、光と土の状態を見直しましょう。
人工授粉は通常不要
インゲンマメは主に自家受粉するため、家庭菜園でも通常は人工授粉を必要としません。
莢が付かない場合は、受粉作業よりも温度、水分、日照などを確認します。
インゲンマメの収穫方法
豆のふくらみが目立つ前に収穫する
サヤインゲンは、莢が品種に合う長さになり、内部の豆が大きくふくらむ前が収穫の目安です。
莢の適切な長さは品種によって違うため、一律に判断しないようにしましょう。
収穫期はこまめに観察する
莢は短期間で大きくなります。
収穫が始まったら、できれば毎日確認し、葉の陰に隠れた莢も見落とさないようにします。
ハサミでやさしく切り取る
莢を支え、果柄をハサミで切ります。
引っ張ると枝や花を傷めることがあるため、株を揺さぶらないように収穫してください。
乾燥豆用は十分に成熟させる
子実用品種を育てる場合は、莢が成熟して乾いてから収穫します。
収穫後は雨を避けて乾燥させ、豆を取り出して選別します。若莢を収穫する栽培とは、収穫時期が異なります。
インゲンマメの病害虫対策
アブラムシやハダニ類を確認する
葉裏や新芽に害虫がいないか、定期的に観察します。
葉のかすれ、べたつき、縮れなどが見られたら、原因を確認しましょう。
葉や莢を食べる幼虫に注意する
葉に穴が開く、莢に食害がある場合は、株の内側や葉裏も確認します。
早めに見つけて取り除き、被害の拡大を防ぎます。
泥はねと蒸れを減らす
敷きわらやマルチで泥はねを抑え、葉が混み合いすぎないようにします。
病気が疑われる葉や莢は放置せず、農薬を使う場合はサヤインゲンへの適用と使用時期を確認してください。乾燥豆用では、適用作物の区分が異なる場合にも注意します。
インゲンマメの食べ方と保存方法
サヤインゲンは加熱して食べる
収穫した莢は洗い、必要に応じて両端やスジを取り除きます。
サラダに使う場合も、生のままではなく、ゆでる・蒸すなどして十分に加熱してください。
ごま和え
おひたし
肉巻き
炒め物
天ぷら
煮物
乾燥豆も十分に加熱する
乾燥インゲンマメは、生や加熱不十分な状態で食べないようにします。
水で戻したあと、豆に合った調理方法で十分に加熱し、中心までやわらかくなったことを確認してください。
乾燥を防いで冷蔵する
サヤインゲンは水気を取り、袋や保存容器に入れて冷蔵します。
収穫後は早めに使うと、風味と食感を楽しめます。多く採れた場合は、加熱して水気を取り、小分け冷凍すると便利です。
まとめ
インゲンマメは、つるあり・つるなしを選べるため、畑でもプランターでも栽培しやすい野菜です。収穫期間と設置できる支柱の高さを考え、用途に合う品種を選びましょう。
遅霜を避け、地域と品種の適期にまく
種を長時間水に浸さない
日当たりと排水を確保する
つるありは早めに支柱やネットを設置する
開花後の水切れと肥料過多を防ぐ
莢がやわらかいうちにこまめに収穫する
収穫した莢や豆は十分に加熱して食べる
初めてなら、コンパクトなつるなし品種から始める方法もあります。採れたての莢を料理に使い、品種ごとの食感や風味の違いを楽しんでください。