ツタウルシとは?葉の見分け方やかぶれの原因、庭で見つけたときの対処方法を解説
ツタウルシは、樹木や岩をはい上がるウルシ科の落葉つる性植物です。秋には鮮やかに紅葉し、森の景色を彩ります。
一方で、樹液に含まれる成分によって強いかぶれを起こすことがあります。紅葉を採ったり、木に絡むつるを引きはがしたりする際には注意が必要です。
この記事では、ツタウルシの特徴や似た植物との違い、触れてしまった場合の対応、庭や敷地での管理について紹介します。
ツタウルシの基本情報
植物名:ツタウルシ
漢字名:蔦漆
学名:Toxicodendron orientale
科名:ウルシ科
属名:ウルシ属
分類:落葉つる性木本
国内分布:北海道、本州、四国、九州
主な生育場所:山地の林内、林縁、岩場など
開花時期:5~6月頃。地域や標高によって異なる
花色:黄緑色
葉の特徴:三枚の小葉からなる三出複葉
つるの特徴:付着根で樹木や岩にはい上がる
注意点:樹液の成分によって接触皮膚炎を起こす
学名は、資料によってToxicodendron radicansの亜種として扱われる場合もあります。
ツタウルシの特徴
三枚の小葉が一組になる
ツタウルシを見分ける重要な特徴が「三出複葉」です。
一本の葉柄の先に三枚の小葉がつき、その全体で一枚の葉になります。中央の小葉は左右よりやや大きく、短い柄が見られることがあります。
葉の縁は滑らかなものもあれば、若い株などで鋸歯が見られるものもあります。葉の縁だけで判断しないことが大切です。
根で樹木や岩に付着する
ツタウルシは、つるから出す付着根を使って、樹木の幹や岩などをはい上がります。太く育ったつるでは、細かな根が毛のように見えることがあります。
木に付着していても、宿主から養分を吸い取る寄生植物ではありません。地面に伸ばした根から水や養分を吸い、樹木を支えとして利用しています。
小さな花と淡い色の果実をつける
初夏頃に、黄緑色の小さな花を咲かせます。雌雄異株で、果実をつけるのは雌株です。
果実は小さく丸く、成熟すると淡い黄白色などになります。葉ほど目立ちませんが、植物の特徴を知る手がかりになります。
ただし、見分けるために実や枝を手に取る必要はありません。
秋の紅葉が美しい
秋には葉が赤や橙、黄色に変わります。ほかの樹木の幹を背景に、つるに沿って紅葉が広がる姿が特徴的です。
美しい葉を見つけても、摘んだり押し葉にしたりせず、触れない距離から観察しましょう。
似た植物との見分け方
ツタとの違い
ツタはブドウ科の植物で、ナツヅタとも呼ばれます。ツタウルシと同じように樹木や壁をはい、秋に紅葉するため混同されやすい植物です。
ツタウルシ:三枚の小葉からなる複葉を持ち、付着根ではい上がる。
ツタ:成長した枝では、切れ込みのある一枚の葉が多く、巻きひげの先の吸盤で付着する。
注意したいのは、ツタにも若い時期などに三出複葉が見られることです。「葉が三枚なら必ずツタウルシ」とは断定できません。
葉の形に加え、付着の仕方や株全体を確認します。分からない場合は触れずに扱いましょう。
ウルシ・ヤマウルシとの違い
ウルシやヤマウルシは、自立して育つ樹木です。葉には複数の小葉が羽状に並びます。
ツタウルシはつる性で、基本的に三枚の小葉が一組になる点が大きな違いです。
いずれもかぶれの原因になるため、確認のために葉をちぎったり、樹液を出したりしないでください。
フユヅタとの違い
フユヅタはウコギ科の常緑つる性植物で、冬にも葉が残ります。一般に一枚の葉に切れ込みが入り、ツタウルシの三出複葉とは異なります。
ただし、複数のつる植物が同じ幹に絡んでいることもあります。安全な植物だと思ってつかんだつるが、別の植物につながっている場合もあるため注意しましょう。
ツタウルシでかぶれるのはなぜ?
ウルシオールが原因になる
ツタウルシの樹液には、ウルシオールと呼ばれる成分が含まれます。皮膚に付着すると、アレルギー性の接触皮膚炎を起こすことがあります。
主な症状には、次のようなものがあります。
強いかゆみ。
赤みや腫れ。
小さなぶつぶつ。
水ぶくれ。
触れた跡に沿った線状の発疹。
反応の強さには個人差があります。以前に触れて平気だったからといって、今回も症状が出ないとは限りません。
症状は時間がたってから現れることがある
かぶれは、触れた直後に出るとは限りません。数時間から数日後に現れることがあり、初めて反応する場合などは、さらに時間がかかることもあります。
その場で異常がなくても、接触した可能性があれば早めに洗い流すことが大切です。
服や道具から間接的に付着することもある
植物に直接触れていなくても、樹液がついた衣服、手袋、靴、剪定道具などを介して皮膚に付着する場合があります。
作業中に汚れた手袋で顔や首を触ることも、かぶれにつながります。
なお、水ぶくれの液そのものが、ウルシオールによるかぶれを人へうつすわけではありません。皮膚や物に残った成分による再接触と区別しましょう。
触れてしまった場合の対処方法
できるだけ早く石けんと流水で洗う
触れた可能性がある部分は、できるだけ早く石けんと十分な流水で洗います。強くこすらず、洗浄後はよくすすいでください。
指の間や爪の周囲も確認します。水がすぐに使えない場所では、不用意に顔やほかの部分へ触れず、洗える場所へ移動しましょう。
衣服や道具も確認する
植物に触れた衣服は脱ぎ、ほかの物への付着を避けて洗濯します。道具や靴なども、皮膚へ成分を移さないように扱いながら洗浄します。
洗う際も素手で汚れた部分を触らず、片付けまで含めて接触を防ぐことが重要です。
症状が強い場合は皮膚科へ相談する
赤みやかゆみが強い、広い範囲に発疹がある、水ぶくれが多い場合は、皮膚科へ相談してください。
特に、目の周囲や顔が強く腫れる場合、症状が悪化する場合は、早めの診察が必要です。
呼吸が苦しい、飲み込みにくいなどの症状があれば、直ちに救急対応を求めてください。
水ぶくれをつぶさない
かゆくても掻き壊さず、水ぶくれを無理につぶさないようにします。清潔な冷たいタオルなどで冷やすと、かゆみを和らげられる場合があります。
症状を悪化させるような民間療法は避け、必要な治療について医療機関へ相談しましょう。
庭や敷地で見つけたときの対応
まず触れずに範囲を確認する
庭木やフェンス、物置の周囲などで見つけた場合は、すぐに引き抜かず、どこから伸びているかを離れて確認します。
子どもやペットが近づく場所なら、一時的に立ち入りを避けられるようにします。植物の種類が分からない場合は、葉とつるの付着部分を撮影し、専門家へ確認するとよいでしょう。
大きなつるを無理に引きはがさない
高い木まで伸びたつるを引くと、頭上の枯れ枝が落ちたり、つるや葉が顔へ触れたりするおそれがあります。
太いつる、広範囲に繁茂した株、高所の株は、造園業者などへツタウルシであることを伝えて相談するのが確実です。
刈払機などで細かく飛散させない
ツタウルシを無造作に刈ると、細かな植物片や樹液が周囲へ飛び散る可能性があります。
普通の雑草と同じ感覚で刈払機をかけたり、粉砕機へ入れたりしないようにしましょう。除去では、飛散と皮膚への接触を抑える方法を選ぶ必要があります。
除去後も再生を確認する
地上部を切っても、根元などから再び芽が出ることがあります。一度切っただけで処理が完了したと判断せず、その後の生育を確認します。
除草剤を使う場合は、使用場所や対象に適用のある製品を選び、ラベルに従います。近くの庭木や植栽を傷めるおそれがあるため、薬剤を選ばず根元へまくような使い方は避けてください。
落ち葉や枯れたつるにも注意
枯れたから安全とは限らない
落葉した枝や枯れたつるにも、かぶれの原因成分が残ることがあります。
冬のつるの整理や落ち葉掃除でも、素手で触らないことが大切です。採ったつるをリースや工作に使うのも避けましょう。
燃やして処分しない
ウルシオールを含む植物を燃やすと、煙や粒子を吸い込んで、呼吸器などに障害を起こすおそれがあります。
ツタウルシの枝葉を、焚き火や家庭での焼却によって処分してはいけません。
処分方法は自治体の案内を確認し、回収時に人が不用意に触れないように扱います。
自然観察で気をつけたいこと
紅葉を採集しない
鮮やかな葉は目を引きますが、ツタウルシは触れずに楽しむ植物です。
押し葉や飾りにするために採ると、持ち帰った袋や衣服、机などにも成分を移すおそれがあります。写真やスケッチで記録しましょう。
木の幹に手をつく前に確認する
山道で体を支えるために木の幹へ手をついたり、木に絡むつるをつかんだりすると、気づかず触れてしまうことがあります。
葉だけでなく、幹に付着したつるにも目を向けてください。落葉期は葉による確認ができないため、特に慎重に行動しましょう。
見ただけでかぶれるわけではない
かぶれは、原因成分が皮膚などへ届くことで起こります。単に離れた場所から眺めただけで、必ず症状が出るわけではありません。
ただし、衣服や道具からの間接接触、作業で飛散した植物片、燃焼時の煙など、接触に気づきにくい場合があります。観察では距離を保ち、枝葉を動かさないことが大切です。
まとめ
ツタウルシは、三枚の小葉からなる葉と、付着根ではい上がる性質を持つ落葉つる性植物です。秋の紅葉は美しいものの、樹液に含まれるウルシオールによって強いかぶれを起こすことがあります。
見分ける際は、葉の数だけでなく、付着の仕方や株全体を確認しましょう。分からない植物には触れず、接触した可能性があれば早めに石けんと流水で洗います。
庭で見つけた場合は、無理な引きはがしや飛散を伴う作業を避け、必要に応じて専門業者へ相談してください。生きた葉だけでなく、枯れたつるや落ち葉にも注意し、燃やさずに適切に処分することが大切です。