シシトウの育て方|植え付けから収穫まで、辛い実ができる理由も解説
シシトウは、やわらかい果実とほのかな苦味が特徴の夏野菜です。焼き物や炒め物、天ぷらなどに使いやすく、家庭菜園でも夏から秋まで繰り返し収穫を楽しめます。
育てる際は、暖かくなってから植え付け、水切れや肥料切れを防ぐことが大切です。また、普段は辛味の少ない野菜ですが、ときどき辛い実ができることがあります。
この記事では、シシトウの特徴と代表的な品種、プランターでも育てられる栽培方法、収穫の目安や辛味が出る理由を解説します。
シシトウの基本情報
植物名:シシトウ
正式な呼び名:シシトウガラシ
漢字名:獅子唐辛子
学名:Capsicum annuumの栽培品種群
科・属:ナス科トウガラシ属
分類:日本では通常、一年草として栽培する果菜
原種の原産地:熱帯アメリカ
草丈:おおむね50~100cm
花色:白
植え付け時期:温暖地では主に4月下旬~5月
収穫時期:主に6~10月
利用部位:未熟な果実
日照:日なた
用途:家庭菜園、プランター栽培
栽培時期は地域や気温によって異なります。寒冷地では、遅霜の心配がなくなってから植え付けましょう。
シシトウの特徴
トウガラシの仲間の甘味種
シシトウは、ピーマンや辛いトウガラシと同じ仲間です。一般には辛味が少ない「甘味種」に分類されます。
ここでいう甘味種は、果物のように強く甘いという意味ではなく、辛味種に対して辛味が少ないタイプを指します。
実の先端が獅子の口に似ている
名前は、果実の先端にあるくぼみやしわを、獅子の口に見立てたことに由来します。
一般的なシシトウは小さな果実を付け、果肉がやわらかいうちに収穫します。未熟な緑色の実が食用として親しまれていますが、株に残すと赤く成熟します。
一株でも実がなり、長期間収穫できる
シシトウは通常、一株でも結実します。雄株と雌株をそろえる必要はありません。
気温や株の状態がよければ次々に花を咲かせるため、少数株でも繰り返し収穫を楽しめます。ただし、実を付け続ける株を支えるため、水分と養分の管理が欠かせません。
シシトウの代表的な品種と関連する甘トウガラシ
シシトウには小果の品種のほか、大きな実を楽しむタイプもあります。また、伏見甘長などは同じ甘トウガラシの仲間ですが、一般的な小果のシシトウとは果形や食感が異なります。
ししとう
果実の先端がくぼむ、一般的な小果タイプです。果肉がやわらかく、焼き物や天ぷらなどに使いやすいのが特徴です。株を元気に保ちながら、小さめの実をこまめに収穫すると、長期間楽しめます。
でかししとう
果実が20cmほどにもなる大型タイプです。やわらかい果肉と甘味が特徴で、辛くなりにくい性質があります。一般的なシシトウより食べ応えがあり、焼き物や炒め物など、実の大きさを生かす料理に向いています。
伏見甘長
京都の伝統野菜として知られる、細長い甘トウガラシです。枝分かれしやすく、多くの実を収穫できます。小果のシシトウとは形が異なりますが、育て方はよく似ており、焼き物や煮物などに利用できます。
甘とう美人
万願寺トウガラシタイプの交配品種です。大きな実と食べ応えのある果肉を楽しめます。小果のシシトウとは別タイプとして選ぶとよいでしょう。盛夏や株が弱ったときなどには、辛味果が出る場合があります。
シシトウの育て方
日当たりと置き場所
日当たりと風通しのよい場所で育てます。日照不足では枝が間延びし、花や実が付きにくくなります。
暖かさを好みますが、真夏の極端な高温や乾燥は負担になります。とくに鉢植えでは、照り返しで鉢が熱くなる場所や、強風で土が急激に乾く場所に注意しましょう。
土づくりと連作対策
水はけがよく、適度な保水性のある土を用意します。
庭や畑では、完熟堆肥などを土の状態に応じて混ぜ、元肥を施します。石灰資材は土の酸度に合わせて使い、必要以上に加えないようにしてください。
ナス、トマト、ピーマンなどのナス科野菜を続けて育てた場所では、連作による生育不良や土壌病害に注意が必要です。植える場所を替えるか、新しい培養土を使った鉢栽培を検討しましょう。
プランターは十分な土量を確保する
鉢植えでは、一株当たり15~20L程度以上の土が入る、深さのある容器を目安にします。小さすぎる鉢は水切れや根詰まりを起こしやすくなります。
市販の野菜用培養土を使うと、土づくりの手間を減らせます。元肥入りの場合は、植え付け時に肥料を重ねて入れすぎないようにしましょう。
種まきと苗の植え付け
初めてなら苗から育てる
シシトウは種からも育てられますが、発芽や育苗に暖かさが必要で、植え付けまで時間もかかります。家庭菜園では苗を購入する方法が取り組みやすいでしょう。
苗は、次の点を確認して選びます。
茎が太く、節の間が詰まっている
葉色がよく、病斑や害虫がない
根詰まりで極端に弱っていない
一番花のつぼみが見えるか、開花し始めている
種まきから始める場合は、種袋の適期と発芽温度を確認し、育苗中の保温と日照を確保してください。
植え付けを急がない
苗が店頭に並んでいても、夜間の冷え込みが強い時期は植え付けを急がないようにします。
温暖地では4月下旬~5月が目安ですが、日付よりも遅霜の有無と気温を優先します。寒い時期に無理に植えると、根付きが悪くなることがあります。
根鉢を崩しすぎずに植える
植え付け前に苗へ水を与え、根鉢をできるだけ保ったまま植えます。
株間は40~50cm程度を目安にする
根鉢の表面が周囲の土と同じ高さになるように植える
植え付け後は十分に水やりする
仮支柱を立て、茎を緩く固定する
品種ごとの推奨株間がある場合は、その表示を優先してください。
支柱立てと整枝
実が増える前に支柱を立てる
枝が広がり、実が多く付くと、風や重みで枝が折れることがあります。株の生長に合わせて支柱を追加し、主な枝を支えましょう。
ひもは茎を締め付けず、少し余裕を持たせて結びます。
一番花より下のわき芽を整理する
一番花が付く分岐より下のわき芽は、株の状態を見ながら取り除きます。上部は主枝と勢いのよい側枝を合わせ、3本程度を基本に育てる方法があります。
家庭栽培では、すべての枝を細かく切り詰める必要はありません。内側へ伸びる枝や混み合う部分を軽く整理し、光と風が通る状態にします。
葉を取りすぎると果実が強い日差しにさらされるため、真夏の強い剪定は避けましょう。
水やりと追肥
水切れを繰り返さない
鉢植えは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで水を与えます。夏は朝に確認し、夕方も乾いている場合は必要に応じて追加します。
庭植えは降雨を基本にしますが、晴天が続いて土が乾く場合は十分に水やりします。敷きわらなどのマルチングは、乾燥や地温の急変を和らげるのに役立ちます。
一方、根が常に水浸しになる環境も好みません。土の湿り具合を見て調整してください。
収穫が始まったら定期的に追肥する
実を収穫し続けるためには、肥料切れを防ぐことが大切です。収穫開始ごろから、肥料の持続期間に合わせて追肥します。
粒状肥料では2週間程度ごとがひとつの目安ですが、製品の表示と株の状態を優先しましょう。
葉が薄くなり、枝の伸びや実の肥大が鈍る場合は養分不足も考えられます。ただし、水切れや根傷みでも似た症状が出るため、肥料だけで解決しようとしないことが大切です。
シシトウの収穫時期と方法
若くやわらかいうちに収穫する
一般的な小果タイプは、果実が4~7cmほどになったころが収穫の目安です。大型品種や甘長タイプは、品種ごとの適期に合わせます。
大きくしすぎると皮や種が硬くなり、株への負担も増えます。最初の実はやや小さめで収穫し、株の生長を優先するとよいでしょう。
ハサミで切り取る
果実を引っ張ると枝を傷めるため、ヘタの上をハサミで切って収穫します。
実が付き始めたらこまめに見回り、取り残しを防ぎましょう。枝葉の内側にも実が隠れていることがあります。
シシトウに辛い実ができるのはなぜ?
辛味成分が多くなる実がある
シシトウは通常、辛味成分のカプサイシン類をほとんど含みませんが、実によって多く含む場合があります。
乾燥や高温、株の衰えなどが辛味果の発生に関わるため、水切れや肥料切れを避け、株を健全に保つ管理が大切です。また、種子の少ない実や、受粉せずに育った実では、カプサイシンが多いことが知られています。
ただし、栽培管理を整えればすべての品種で辛味果を完全になくせる、というわけではありません。
見た目だけでは辛さを判断できない
「曲がった実は辛い」「先が尖っていると辛い」といった見分け方では、確実な判断はできません。外見やにおいだけで辛味の有無を見抜くことは難しいとされています。
辛味が苦手な場合は、辛味の出にくさを特徴とする品種を選び、一般的なシシトウには辛い実が混じる可能性があると理解しておきましょう。
病害虫とよくあるトラブル
アブラムシ・アザミウマ・ハダニ
新芽、花、葉裏を観察します。葉が縮れる、かすれたように変色する、実に傷が付く場合は、害虫の有無を確認してください。
少ないうちに対処し、薬剤を使う場合はシシトウに適用があること、使用回数と収穫前日数を確認します。ピーマンと同じ仲間でも、農薬の適用表示を自己判断で読み替えないようにしましょう。
葉のモザイク症状や生育不良
葉に濃淡のまだら模様が出たり、株が著しく萎縮したりする場合は、ウイルス病なども疑われます。
害虫対策に加え、病気が疑われる株を触った手や道具で、ほかの株を続けて扱わないようにします。
花が落ちる・実が大きくならない
高温や低温、日照不足、乾燥、養分不足などが原因になります。たくさん実を付けた株では、収穫の遅れによって負担が増していることもあります。
実を早めに収穫し、水分と肥料、日照を順に見直しましょう。
収穫したシシトウの楽しみ方
シシトウは、短時間の加熱で香りと食感を楽しめます。
フライパンやグリルで焼き、塩やしょうゆを添える
肉やじゃこと炒める
天ぷらにする
煮びたしや甘辛煮にする
丸ごと加熱する場合は、実に小さな切り込みや穴を入れると、加熱中の破裂を防ぎやすくなります。油で調理する際は、洗った後の水気をよく拭き取ってください。
保存する場合は、水分を拭き取り、乾燥を防ぐように袋などへ入れて冷蔵庫の野菜室で保管し、早めに使いましょう。
まとめ
シシトウは、少数株でも夏から秋まで収穫を楽しめる野菜です。十分に暖かくなってから植え、水切れや肥料切れを防ぎながら、若い実をこまめに収穫しましょう。
ときどき辛い実ができる性質があり、見た目だけでは確実に判断できません。品種の特徴を理解し、株を健全に保つ管理を続けることが、おいしい実を長く楽しむポイントです。