ラッカセイ(落花生)の育て方|種まきから土寄せ、収穫・乾燥まで詳しく解説
ラッカセイの育て方|種まきから土寄せ、収穫・乾燥まで詳しく解説
ラッカセイは、香ばしい風味と豆の甘みを楽しめるマメ科の野菜です。ピーナッツとして親しまれ、煎って食べるほか、収穫したてを殻ごとゆでると、やわらかな食感と豊かな味わいを楽しめます。
栽培の特徴は、地上で花を咲かせた後、土の中に莢を作ることです。株の周囲の土をやわらかく保ち、実が育つ場所を確保することが収穫につながります。
この記事では、代表的な品種や種まき、土寄せ、水やり、収穫時期の見極め、保存方法まで紹介します。
ラッカセイの基本情報
植物名:ラッカセイ
漢字表記:落花生
別名:ピーナッツ、南京豆
学名:Arachis hypogaea
科名:マメ科
属名:ラッカセイ属
原産地:南アメリカ
生育型:一年草
主な利用部位:地下にできる莢の中の種子
種まき時期の目安:5〜6月
収穫時期の目安:9〜11月
好む環境:日当たりがよく、水はけのよい場所
栽培時期は地域や品種によって変わります。寒冷地では、収穫までの期間を確保できる品種と作型を選びましょう。
ラッカセイの特徴
花が咲いた後、土の中に莢ができる
ラッカセイは黄色い花を咲かせます。受精すると、子房の基部にある「子房柄」と呼ばれる部分が伸び、先端を地中へ入れます。その先にある子房が土の中で膨らみ、莢になります。
花そのものが土に潜って実になるわけではありません。子房柄が入りやすいよう、株の周囲にやわらかな土が必要です。
根粒菌と共生するマメ科の作物
根には根粒菌が共生し、空気中の窒素を利用できる形に変えて植物へ供給します。そのため、窒素肥料を多く与えすぎないことが大切です。
肥料が多すぎると茎葉ばかりが茂り、実の付き方や充実に影響することがあります。ただし、どのような土でも無肥料で十分に育つとは限りません。土の状態に合わせて調整しましょう。
採れたてのゆで落花生を楽しめる
乾燥した落花生とは異なる味わいを楽しめるのが、収穫直後のゆで落花生です。水分を含んだ豆はやわらかく、ほくほくした食感があります。
家庭菜園なら、掘り上げてすぐに調理できます。煎り豆用とゆで豆用では適した品種や収穫のタイミングが異なるため、食べ方を考えて品種を選びましょう。
ラッカセイの代表的な品種
千葉半立
煎り落花生にしたときの、濃厚なコクと独特の風味が魅力の代表品種です。株は横に広がり、成熟は遅めなので、十分な栽培期間とスペースが必要です。収量の多さより、香りや食味を重視したい場合に向いています。
Qなっつ(千葉P114号)
千葉県で育成された、煎り落花生向けの品種です。「Qなっつ」は愛称で、品種名は千葉P114号。はっきりした甘みを楽しめるのが特徴です。千葉半立との食べ比べにも向き、家庭で乾燥・焙煎して味わいたい場合の候補になります。
おおまさりネオ
大きな莢と、やわらかく甘みのある豆が特徴の、ゆで落花生向け品種です。従来のおおまさりより株がコンパクトで、収穫しやすい性質があります。大粒の豆を充実させるため、開花後から実が育つ時期の乾燥に注意します。
ラッカセイの栽培スケジュール
温暖地から中間地では、次の流れが基本です。
4〜5月:土づくりと畝の準備
5〜6月:種まき、または苗の植え付け
6〜7月:除草、開花開始、土寄せ
7〜9月:莢の形成と肥大、乾燥対策
9〜11月:試し掘り、収穫
収穫後:ゆでて食べる、または乾燥して保存
種まきが早すぎると、低温で発芽が遅れたり、種が腐ったりすることがあります。遅霜の心配がなく、土が十分に暖かくなってからまきましょう。
ラッカセイの育て方
日当たりと水はけのよい場所を選ぶ
十分に日が当たり、水がたまりにくい場所を選びます。日照不足では茎葉が弱々しくなり、莢の充実も悪くなりがちです。
株が横に広がるため、隣の作物に覆われない配置にします。同じ場所での連作は避け、ほかの作物と順番に育てる輪作を取り入れましょう。
細かく、やわらかな土に整える
根が伸びるだけでなく、子房柄が土に入るためにも土づくりが重要です。植え付け前によく耕し、大きな石や硬い土の塊を取り除きます。
完熟堆肥を適量混ぜ、肥料は窒素過多にならないよう控えめに施します。
ラッカセイの莢の発達にはカルシウムも関係します。ただし、石灰を多く入れればよいわけではありません。土壌酸度と使用する資材の説明に合わせて調整しましょう。
栽培用の種をまく
種まきには、加熱していない栽培用の種を使います。殻付きの種を使う場合は、外側の硬い殻を外し、豆の薄皮は付けたままにします。
種まきの手順は次のとおりです。
株間30〜45cm程度を目安に、まく位置を決める。
1か所に2粒程度、種を横向きに置く。
深さ2〜3cm程度になるように土をかぶせる。
土を軽く押さえ、乾いていれば水を与える。
発芽までは鳥に掘り返されないように保護する。
株間や残す苗の数は品種によって異なります。大きく広がる品種では、種袋の説明に合わせて間隔を広く取りましょう。
発芽直後は鳥害に注意する
発芽前後の種や子葉は、鳥に食べられることがあります。防虫ネットや不織布などで保護し、苗が十分に育ったら外します。
覆いを使う場合は、内部が高温になったり、苗が押さえられたりしないように確認してください。
苗から育てる場合は若苗を植える
ポットで育苗してから植える方法もあります。苗が老化して根が回りすぎる前に植え付けましょう。
根鉢を大きく崩さず、深植えを避けて植えます。植え付け直後は水を与え、その後は土の乾き具合を見て管理します。
ラッカセイの土寄せとマルチの管理
花が咲き始めたら土寄せする
花が咲き始めたころに、株の周囲を浅くほぐし、やわらかな土を株元から枝の下へ広く寄せます。
目的は、子房柄が入りやすい土を用意することです。茎の根元だけを高く盛るのではなく、枝が広がる範囲の地表を整えます。
作業前に雑草を取り除く
根を傷めないよう浅く耕す
土が硬い塊のまま残らないようにする
枝や葉を厚く埋めない
子房柄が土に入った後は深く耕さない
土に入った子房柄は莢につながっています。後から株を持ち上げたり、枝を大きく動かしたりしないようにしましょう。
一般的なポリマルチは適期に取り除く
春の保温や除草にポリマルチを使う場合は、子房柄が地中に入り始める前に、株の周囲の土を露出させます。
家庭菜園では、開花開始ごろを目安にマルチを外し、除草と土寄せを行うと管理しやすくなります。子房柄が入り込んだ後に無理に引き抜くと、傷めるおそれがあります。
専用の穴あきマルチなどを利用する栽培方法もありますが、初めての場合は地表の状態を確認しやすい方法を選びましょう。
ラッカセイの水やりと追肥
開花後から莢が育つ時期は乾燥を防ぐ
地植えでは降雨を基本にしますが、晴天が続いて土が乾くときは水を補います。特に開花後から莢が育つ時期の水不足は、実の入りが悪くなる原因になります。
表面だけを軽くぬらすのではなく、必要なときは土にしみ込むように与えましょう。一方で、水がたまり続ける状態は避けます。
追肥は控えめに、生育を見て判断する
元肥が適切に入っていれば、追肥を多く必要としない場合もあります。葉色や生育を確認し、必要なときに少量ずつ施します。
葉色が濃く、枝葉が十分に広がっている株へ窒素肥料を重ねるのは避けましょう。追肥が必要な場合は、土寄せの時期に合わせると作業しやすくなります。
ラッカセイのプランター栽培
深さだけでなく土の表面積を確保する
ラッカセイは株の周囲に実を付けるため、細く深い鉢より、横幅のある容器が向いています。深さ25〜30cm程度以上の大型プランターを目安に、株が広がる余裕を確保します。
小さな容器に株を詰め込まない
土寄せ用の培養土を残しておく
日当たりと風通しのよい場所に置く
枝先が容器の外へ大きくはみ出さないようにする
夏は土の乾きをこまめに確認する
小型の容器では収穫量が限られます。品種の草姿と、購入した苗の栽培説明に合わせて株数を決めましょう。
子房柄が届く場所に土を用意する
枝が容器の外へ伸びると、その下の子房柄が土に届かず、実ができにくくなります。
枝を無理に折り曲げるのではなく、初めから十分な広さを確保することが大切です。支柱で株を高く持ち上げる仕立て方は適していません。
ラッカセイの病害虫と栽培中のトラブル
花は咲くのに実が少ない
子房柄が土に入れていない、開花後に乾燥した、収穫が早すぎるといった原因が考えられます。
次の点を確認しましょう。
株の下に硬い土やマルチが残っていないか
枝の下まで土があるか
莢が育つ時期に水切れしていないか
品種に合った栽培期間を確保できたか
株元が傷んで急にしおれる
白絹病などの病気で株元が傷むことがあります。水はけを改善し、傷んだ株や残さを放置しないようにします。
連作を避け、健康な種や苗を使うことも基本的な対策です。
葉や地下の莢が食べられる
葉を食べる幼虫や、地下の莢を傷めるコガネムシ類の幼虫などに注意します。葉の食害を見つけたら、葉裏と株の周囲を確認しましょう。
農薬を使用する場合は、ラッカセイと対象の病害虫に登録がある製品を選び、収穫前日数や使用回数を守ります。
ラッカセイの収穫時期と方法
葉の色だけでなく試し掘りで確認する
収穫時期は、品種や種まき時期、ゆで豆用か乾燥用かによって変わります。下葉が黄変するころが一つの目安ですが、病気や乾燥でも葉は黄色くなります。
適期が近づいたら試し掘りをし、莢と豆の状態を確認しましょう。
莢の表面に網目がはっきり出ている
莢の中で豆が十分に育っている
品種ごとの収穫目安に達している
ゆで豆用は、乾燥用より早めに収穫する場合があります。種袋の目安と実際の豆の入りを合わせて判断してください。
土をほぐして株ごと掘り上げる
晴れて土が扱いやすい日に収穫します。株元から少し離れた位置へスコップなどを入れ、根と莢の周囲の土をほぐします。
茎だけを強く引くと、莢が土中に残ることがあります。株を下から持ち上げるように掘り、取り残しがないか確認しましょう。
収穫が遅れすぎると莢が外れやすくなるため、すべての豆が同じ大きさになるまで待つ必要はありません。
ラッカセイの食べ方と保存方法
ゆで落花生は収穫後なるべく早く調理する
ゆで豆用は、収穫後に乾燥させず、土をよく洗い落として殻ごと塩ゆでします。
ゆで時間は品種や粒の大きさで異なります。大粒品種は時間がかかるため、途中で一つ取り出し、中心まで好みのやわらかさになっているか確認しましょう。
「生落花生」は未加熱・未乾燥の状態を指します。収穫したものは、ゆでるなどして調理して楽しみます。
乾燥用は莢の中まで十分に乾かす
煎り落花生にする場合は、収穫後に土を落とし、風通しのよい場所で乾燥させます。雨や夜露を避け、莢が重なって蒸れないように広げましょう。
外側が乾いていても、中の豆には水分が残っていることがあります。乾燥期間は天候によって変わるため、日数だけで判断しないことが大切です。
十分に乾燥させた後、食べる分を煎って仕上げます。
湿気を避けて保存する
乾燥した落花生は、湿気を防いで冷暗所や冷蔵庫で保存します。まだ湿っているものを密閉すると、カビの原因になります。
ゆでた落花生は長く常温に置かず、冷蔵して早めに食べ切ります。食べ切れない分は小分け冷凍すると便利です。カビや異臭があるものは食べないようにしましょう。
まとめ
ラッカセイ栽培では、花が咲いた後に子房柄が土へ入る性質を理解することが大切です。株の周囲にやわらかな土を用意し、莢が育つ時期の乾燥を防ぐと、収穫につながります。
土が十分に暖かくなってから種をまく
日当たりと排水性のよい場所で育てる
窒素肥料を与えすぎない
開花開始ごろに除草と土寄せを行う
子房柄が土に入った後は株を動かさない
試し掘りで実の入りを確認して収穫する
家庭菜園では、採れたてのゆで落花生を味わえるのも魅力です。食べ方に合った品種を選び、土の中から莢を掘り出す楽しみを体験してみてください。