マルチングとは?庭木への効果と材料の選び方、正しい敷き方を解説
庭木の根元にバークチップや落ち葉などを敷き、土の表面を覆う作業を「マルチング」といいます。土の乾燥や温度変化を抑え、雑草を生えにくくするなど、庭の管理に役立つ方法です。
ただし、厚く敷きすぎたり、幹に密着させたりすると、かえって植物の生育を妨げることがあります。
この記事では、庭木への利用を中心に、マルチングの効果、材料の特徴、敷く厚さや範囲、施工後の管理について解説します。
マルチングとは
マルチングとは、植物の周囲の地表を、さまざまな材料で覆うことです。覆うための材料は「マルチ材」と呼ばれます。
庭木では、樹皮を加工したバークチップ、木材を砕いたウッドチップ、腐葉土などが使われます。家庭菜園で畝を覆うポリエチレンフィルムも、マルチングの一種です。
基本情報は次のとおりです。
作業名:マルチング
対象:庭木、花木、草花、野菜、鉢植えなど
主な目的:乾燥の軽減、地温変化の緩和、雑草の抑制、泥はねの軽減
代表的な材料:バークチップ、ウッドチップ、腐葉土、落ち葉、わら、砂利、各種シート
庭木での基本:幹から離し、根が広がる地表に適度な厚さで敷く
材料によって効果は異なるため、見た目だけでなく、植物と管理目的に合わせて選びましょう。
庭木にマルチングする効果
土の乾燥を抑える
地表を覆うことで、日差しや風による土からの水分蒸発を抑えます。
特に、植え付け直後や移植後の庭木は、根がまだ周囲へ十分に伸びていません。根鉢の急な乾燥を抑える補助として、マルチングが役立ちます。
ただし、水やりが不要になるわけではありません。マルチの下の土を確認し、乾いたときには十分に水を与えます。
地温の急な変化を和らげる
バークや落ち葉などの有機質のマルチ材は、土に直射日光が当たるのを防ぎ、夏の地温上昇を緩和します。
冬には土の温度変化を穏やかにし、凍結と融解の繰り返しによる影響を軽減する助けになります。ただし、枝葉を含めた木全体の防寒を代替できるものではありません。
雑草を生えにくくする
土に届く光を減らし、雑草の発芽や生育を抑えます。
特に、種子から発芽する小さな一年草の雑草に効果が期待できます。一方、地下茎や太い根から再生する多年草は、マルチを突き抜けて伸びる場合があります。
マルチングは除草の回数を減らす方法であり、雑草を完全になくす方法ではありません。
泥はねや表土の流出を軽減する
雨滴が直接土に当たるのを防ぎ、泥はねや表面の土の流出を抑えます。
土からの泥はねが感染に関わる病気では、予防の一助になることもあります。ただし、すべての病気を防ぐ効果があるわけではありません。
有機質の材料は土づくりにもつながる
落ち葉や木質チップなどは、時間とともに分解され、有機物として土に戻ります。
ただし、分解速度や養分量は材料ごとに異なります。マルチングと施肥は役割が違うため、敷くだけで必要な肥料をすべて補えるとは限りません。
マルチング材の種類と選び方
バークチップ
樹皮を砕いた材料で、自然な見た目に仕上がります。比較的分解が遅く、庭木や花木の周囲に使いやすい素材です。
粒が大きいものは長持ちしやすい一方、薄く敷くと隙間ができやすくなります。傾斜地や水が流れ込む場所では、移動や流出にも注意しましょう。
ウッドチップ
幹や枝などを砕いた材料です。広い範囲を覆いやすく、雑木風の庭や樹木の植栽帯によく合います。
新しい木質チップでも、庭木の地表に敷く用途では利用できます。ただし、土の中に大量に混ぜ込むと、分解過程で植物が利用できる窒素が一時的に減ることがあるため、表面に敷く使い方を基本にします。
塗装材や防腐処理材など、由来の分からない建築廃材のチップは避けましょう。
腐葉土・落ち葉
腐葉土は地表を覆いながら土になじみやすく、落ち葉は庭で発生する材料を活用できる利点があります。
大きな葉をそのまま厚く重ねると、密着して水や空気が通りにくい層になる場合があります。必要に応じて細かくし、固まらないように敷きます。
病気が目立つ落ち葉や、害虫が付いた材料を、そのまま同じ植物の根元へ戻すことは避けましょう。
わら
軽くて扱いやすく、家庭菜園や一時的な乾燥・寒さ対策に利用されます。
風で飛びやすいため、固定方法を考える必要があります。庭木の根元では、景観や管理のしやすさに合わせて選びましょう。
砂利・砕石
分解されず、長期間見た目を保ちやすい材料です。乾燥を好む植物の植栽や、装飾を兼ねた地表の被覆に利用されます。
ただし、日なたでは石が熱を持つことがあります。保温・保冷の働きは木質チップなどと同じではなく、暑さや乾燥に弱い植物の周囲では慎重に選びます。
防草シート・フィルム
防草シートは雑草の抑制に、農業用フィルムは地温や水分の調整などに利用されます。
透水性のある防草シートと、水を通さないフィルムでは性質が異なります。庭木の根元を不透水性のフィルムで広く覆うと、雨水が届きにくくなる場合があります。
樹木の周囲では、幹の成長を妨げない開口部を確保し、将来の撤去や交換も考えて施工します。
庭木にはどの材料が向いている?
一般的な庭木では、バークチップやウッドチップなど、水と空気を通す有機質の材料が選択肢になります。
目的別の目安は次のとおりです。
乾燥や地温上昇を抑えたい:バークチップ、ウッドチップ、落ち葉など
自然な景観にしたい:樹皮や枝由来のチップ
土への有機物補給も考えたい:腐葉土、落ち葉など
乾燥を好む植物を装飾したい:環境に合った砂利や砕石
雑草対策を重視したい:事前除草と適切な厚さのマルチを組み合わせる
湿り気が多い庭では、保湿効果を強めすぎないよう、材料や厚さを調整します。
マルチングを行う時期
春は夏の乾燥対策に
土が適度に湿り、冷え込みが緩んだころに敷くと、夏に向けた乾燥対策になります。
寒い地域で地温がまだ低い時期に厚く敷くと、土が温まるのを遅らせることがあります。気温だけでなく、地面の状態も見て判断しましょう。
秋は冬に向けた根元の保護に
秋に敷くと、冬の乾燥や土の急な温度変化を和らげる助けになります。
すでにマルチがある場所では、毎年同じ量を追加せず、残っている厚さを確認してから補充します。
植え付け・移植後にも使える
植え付け後に十分な水を与えてから、根元を埋めないように敷きます。
移植直後は根鉢の状態を観察できることが重要です。根鉢の表面を厚く覆い隠さず、水が内部まで届いているか確認しやすい状態にしましょう。
庭木への正しいマルチングの手順
1.雑草を取り除く
先に生えている雑草を除去します。特に多年草は、残った地下茎や根から再生することがあるため、可能な範囲で取り除きます。
ただし、庭木の根を傷めるほど深く掘り返すことは避けましょう。
2.土の乾湿を確認する
土が乾いていれば、先に水を与えます。乾き切った土に厚く敷くと、小雨では下まで水が届かず、乾燥が続く場合があります。
水がたまっている場所では、マルチングより先に排水の状態を見直します。
3.幹の周囲を空ける
幹にマルチ材を密着させず、根元の広がりが見えるようにします。
庭木では、幹からおおむね10〜15cm程度離すことを一つの目安に、木の大きさや根張りに合わせて調整します。低木や草花でも、茎や株の中心を埋めないようにします。
4.厚く盛らず、広く均一に敷く
庭木に木質チップを使う場合は、厚さ5〜8cm程度を一つの目安とします。ただし、細かく締まりやすい材料や、水はけの悪い場所では薄めに調整します。
幹の近くだけを山形にするのではなく、可能な範囲で根が広がる地表へ均一に敷きます。枝先の真下まで広く覆えると、雑草や芝との競合を減らす助けになります。
5.水が下まで届くか確認する
施工後は、実際の水やりや雨で、マルチの下の土が湿っているか確認します。
表面のチップだけがぬれていても、土まで水が届いているとは限りません。マルチを少しよけて確認しましょう。
必要なマルチ材の量の計算方法
使用量は、敷く面積と厚さから概算できます。
必要量〈L〉=面積〈㎡〉×厚さ〈cm〉×10
例えば、2㎡の範囲に厚さ5cmで敷く場合は、約100Lが目安です。
粒の大きさや施工後の沈み込みによって必要量は変わります。根元を空ける部分や、すでに残っているマルチの量も考慮しましょう。
マルチングで避けたい失敗
幹に寄せて山盛りにする
幹の周囲を火山のように盛り上げる敷き方は避けます。
樹皮が湿った状態になりやすく、根元の傷みや害虫などの異常も確認しにくくなります。マルチは幹を覆うのではなく、土の表面を覆うものです。
古いマルチの上に追加し続ける
毎年厚く積み重ねると、根元が徐々に埋まり、水や空気の通りにも影響します。
補充する前に厚さを測り、固まった部分や幹に寄った部分を整えましょう。
水やりをしなくなる
マルチングは蒸発を抑えますが、水を供給するものではありません。
特に植え付け直後、鉢植え、夏の高温期は、マルチの下の土を確認して管理します。
雑草の種や地下茎を持ち込む
種子の付いた刈り草や、地下茎を含む土を材料として使うと、雑草を増やす原因になります。
庭から出たものを利用するときも、材料の状態を確認しましょう。生の刈り草を厚く積むと、発熱したり固まったりすることもあります。
マルチング後の管理
厚さと根元の状態を定期的に見る
有機質の材料は分解や沈み込みによって薄くなります。春や秋などに点検し、必要な分だけ補充します。
風や雨で幹に寄っていないか、根元が隠れていないかも確認してください。
生えた雑草は小さいうちに抜く
マルチの上に飛んできた種子が発芽することがあります。落ち葉や土がたまるほど、雑草が根付く場所も増えます。
小さいうちに抜くと、少ない手間で管理できます。
白い菌糸やキノコは状態を見て判断する
木質チップには、分解に関わる菌の白い菌糸やキノコが現れることがあります。それだけで庭木が病気になったとは限りません。
一方、幹や根元からキノコが出ている場合や、木の衰弱を伴う場合は、単なるチップの分解と決め付けず確認します。
マルチングに関するよくある疑問
防草シートの上にチップを敷いたほうがよいですか?
必須ではありません。庭木の根元では、有機質マルチを直接土に敷く方法も一般的です。
シートを使うと、分解したチップや落ち葉がその上にたまり、そこから雑草が生えることがあります。土の手入れや撤去のしやすさまで考えて選びましょう。
鉢植えにも使えますか?
使えますが、庭植えと同じ厚さで敷く必要はありません。鉢の大きさや植物に合わせて薄く敷き、土の乾き具合を確認できる部分を残します。
過湿を嫌う植物や、もともと乾きにくい鉢では、保湿しすぎないように注意します。
古いマルチは毎回取り除きますか?
健全に分解が進んでいる有機質マルチなら、毎回すべて撤去する必要はありません。
厚すぎる部分、固く層になった部分、汚染や病害虫の問題がある材料などは、状態に応じて取り除きます。
まとめ
マルチングは、土の乾燥や急な温度変化を和らげ、雑草や泥はねを減らす管理方法です。庭木では、バークチップやウッドチップなどの有機質材料が使いやすい選択肢になります。
大切なのは、幹から離し、厚く盛らず、適度な厚さで広く敷くことです。施工後も水やりを省略せず、マルチの下の土と根元の状態を確認しましょう。