つる植物の除草方法|クズ・ノウゼンカズラ・ヘクソカズラ・ヤブガラシの取り除き方と再発対策
つる植物の除草方法|クズ・ノウゼンカズラ・ヘクソカズラ・ヤブガラシの取り除き方と再発対策
庭木や生垣、フェンスに絡みつくつる植物は、短期間で広がり、周囲の植物を覆ってしまうことがあります。絡みついたつるを引っ張るだけでは、庭木の枝や樹皮を傷めたり、フェンスを変形させたりするおそれがあります。
また、クズやヤブガラシなどは、地上のつるを取り除いても地下部が生き残り、再び芽を伸ばします。除草では、「絡みついたつるの撤去」と「再生を抑える地下部の管理」を組み合わせることが大切です。
この記事では、代表的なつる植物の特徴に合わせた除草方法と、庭木や建物を傷めにくい作業手順を詳しく解説します。
つる植物の除草が難しい理由
周囲の植物や構造物に絡みつく
つる植物は、自分の茎を巻きつけたり、巻きひげや付着根を利用したりして伸びます。枝葉の間に入り込むと、取り除きたいつると残したい植物が複雑に絡み合います。
強く引っ張ると、つるだけでなく庭木の枝まで折れる場合があります。つるが何本も絡んでいる場所では、一本を引くことで離れた枝や枯れ枝が動くこともあり、慎重な作業が必要です。
地下部に養分を蓄えている
今回取り上げる植物はいずれも多年生で、地下部などに蓄えた養分を使って再生します。
地上部を切った直後はすっきりしても、しばらくすると同じ場所や少し離れた場所から芽が出ることがあります。一度の刈り取りで終わらせず、新しい芽を継続して管理することが重要です。
株元が一か所とは限らない
広がったつるが地面に接して発根したり、地下部が横方向に伸びたりすると、発生場所が増えます。目立つ株元を一つ取り除いただけでは、ほかの場所から伸びているつるが残る場合があります。
除草するときは、葉が茂っている場所だけでなく、地面からつるが立ち上がっている位置を確認しましょう。
植物別の特徴と除草のポイント
クズ|太い根だけでなく、芽を出す株元を確認する
クズはマメ科のつる性多年草で、漢字では「葛」と書きます。葉は通常3枚の小葉からなり、茎をほかの植物に巻きつけて伸びます。地面をはう茎は、節から発根して新たな生育拠点をつくることがあります。
除草では、つると根がつながる株元の、芽を出す部分を取り除くことが重要です。太い貯蔵根をすべて深く掘り尽くすことだけが目的ではありません。
木に登ったつるを地際付近で切り、地上部と地下部を切り離す。
株元周辺を掘り、芽を出す部分を確認して取り除く。
地面をはうつるをたどり、節から発根した場所も確認する。
掘り取れない場所は、再生する芽を繰り返し刈り取る。
大きく育った株は養分の蓄えが多く、数回の刈り取りでは衰えないことがあります。生育期を通じて管理し、翌年以降も再生を確認します。
ノウゼンカズラ|親株を残すかどうかで対処を変える
ノウゼンカズラはノウゼンカズラ科の落葉性つる植物で、漢字では「凌霄花」と書きます。茎から出る付着根で壁や樹木などにつかまり、夏に華やかな花を咲かせます。
観賞用に植えられますが、根から出る芽である「ひこばえ」が周囲に発生し、管理範囲を超えて広がることがあります。
親株を残す場合は、不要な芽だけを継続して除去します。 地下で親株とつながっている可能性があるため、ひこばえへの除草剤処理は親株にも影響するおそれがあります。
親株を残す場合は、不要な芽を小さいうちに除去する。
全体を撤去する場合は、幹を切ったあとも周囲の芽を点検する。
掘り取りでは、残った根から再生する可能性を考慮する。
壁に付着した茎は、一気に引き剥がさず、小分けにして外す。
根をむやみに切り刻むと、残った根から芽が出ることがあります。地下部を完全に取り除けない場所では、再生した芽への対応を続けます。
ヘクソカズラ|細いつるを切り分け、株元までたどる
ヘクソカズラはアカネ科のつる性多年草で、漢字では「屁糞葛」と書きます。葉や茎を傷つけると特有のにおいがあり、中心が赤紫色の小さな花を咲かせます。
細いつるが生垣の内部まで入り込みやすく、引っ張ると途中で切れて株元が残りがちです。葉のある部分だけを取り除くのではなく、地面までたどって発生位置を確認します。
つるを短く切り分け、庭木の枝から少しずつ外す。
株元の土をほぐし、根をできるだけ取り除く。
太く木質化した株元は、無理に引き抜かず掘り取る。
実がついているつるは、種を落とさないよう回収する。
小さい株のうちに対処すると、作業量を抑えやすくなります。生垣の表面だけでなく、内側や根元も点検しましょう。
ヤブガラシ|地上のつると地下に広がる部分を管理する
ヤブガラシはブドウ科のつる性多年草で、漢字では「藪枯らし」と書きます。通常5枚の小葉からなる葉をつけ、巻きひげで周囲の植物やフェンスにつかまります。
地下茎などの地下部が広がり、地上部を取り除いても再生しやすい植物です。地下部の断片が残ると再生する場合があるため、掘り取り後の回収も大切です。
巻きひげを切り、周囲の枝からつるを外す。
株元周辺を掘り、横に伸びる地下部を可能な範囲で回収する。
土を細かく耕して、地下部の断片を広げないようにする。
新しい芽が周囲にも出ていないか、広い範囲を確認する。
花にはハチなどの昆虫が集まります。開花中の茂みに手を入れる前に、虫の動きや巣の有無を確認してください。
除草作業に適した時期
春から初夏|若いつるのうちに取り除く
新芽が伸び始めた時期は、つるがまだ柔らかく、絡み方も比較的単純です。株元を見つけやすいため、早めの除草に適しています。
前年につる植物が発生した場所は、春から定期的に見回りましょう。庭木の上まで伸びてから撤去するより、小さな芽の段階で取り除くほうが負担を減らせます。
夏|伸び直したつるを繰り返し管理する
夏はつるが急速に伸び、短期間で周囲を覆うことがあります。地上部を繰り返し取り除き、葉で養分を蓄え直す機会を減らします。
生育が旺盛な場所では、まず2〜4週間程度を目安に点検し、伸び方に応じて間隔を短くします。これは一律の刈り取り周期ではなく、再び茂る前に対応するための見回りの目安です。
秋から冬|残ったつると発生場所を整理する
秋は、実が落ちる前の回収や、翌年に向けた株元の確認に適しています。落葉後は、絡み合った茎の位置が見やすくなります。
ただし、葉が枯れたり落ちたりしても、地下部まで枯れたとは限りません。 冬に撤去した場所も、翌春の芽吹きを確認しましょう。
つる植物を取り除く基本の作業手順
1.残す植物と危険な場所を確認する
作業前に、つるが絡んでいる範囲と、残したい植物の枝を確認します。株元が複数ある場合は、目印をつけておくと取り残しを防ぎやすくなります。
長袖、長ズボン、手袋、保護眼鏡を着用する。
茂みの中に針金、支柱、石などがないか確認する。
ハチの巣や、折れかかった枝がないか確認する。
正体の分からないつるは、素手で触らず識別する。
隣地から伸びている場合は、発生元の所有者と管理を相談する。
高所や電線付近のつるは、自分で引き落とさず、専門業者や設備の管理者に相談します。
2.株元を探し、つるを切り離す
手作業で撤去する場合は、つるを地面までたどり、株元付近で切断します。さらに少し上でも切って短い区間を取り除くと、切り離したことを確認しやすくなります。
複数の株から伸びている場合は、それぞれのつながりを確認します。一本切っただけで、茂み全体が枯れるとは限りません。
なお、除草剤を使う計画がある場合は、先に使用方法を確認してください。葉から吸収させる製品では、処理前に葉をすべて切り落とすと使用できなくなる場合があります。
3.絡んだつるを短く切り分ける
つるは、外しやすい長さに切り分けてから取り除きます。枝に巻きついている部分は、巻きつき方を確かめながら、無理のない範囲でほどきます。
巻きひげでつかまっている部分は、巻きひげを切ると外しやすくなります。庭木の細い枝に強く食い込んでいる場合は、つるを数か所切り、引っ張らずに取り除きましょう。
つるをまとめて引きずり下ろす作業は、枝折れや落下物の原因になります。
4.高い場所のつるは無理に引き下ろさない
高木に登ったつるは、根元で切ったあと、上部をその場で枯らす方法があります。地上から無理に引くより、庭木を傷めにくい場合があります。
ただし、枯れたつるもすぐに軽くなるわけではなく、枝に絡んだまま残ったり、後から落下したりします。人が通る場所、建物の上、枯れ枝を巻き込んだ場所では、専門業者による撤去を検討します。
5.株元と地下部を処理する
地上部を整理したら、株元の周囲を移植ごてやスコップで少しずつ掘ります。土をほぐし、地下部の伸び方を確かめながら回収しましょう。
庭木の根が多い場所では、つる植物の地下部を追いかけて深く掘ることで、残したい木まで傷めることがあります。配管や埋設物がある場所も、無理な掘り取りは避けます。
掘り取れる部分は回収し、掘り取れない部分は再生した芽を繰り返し除去するという組み合わせが現実的です。
6.取り除いたつるや根を回収する
切ったつるを湿った地面に放置すると、植物によっては節から発根する場合があります。地下部の断片や実も、発生源を残す原因になります。
生きたつるや地下部を、花壇や空き地に放置しない。
実のついた部分は、落とさないよう袋などにまとめる。
乾かす場合は、土に接しない場所で管理する。
処分方法は、自治体の分別ルールに従う。
一般的な家庭の堆肥づくりでは、種や再生力のある部分が残ることがあるため、そのまま混ぜ込まないほうが確実です。
場所別に注意したい除草のポイント
庭木や生垣に絡んでいる場合
庭木の枝とつるを見分けながら、外側から少しずつ作業します。つるを取りやすくするために、庭木まで大きく切り詰める必要はありません。
長期間覆われていた葉は、つるを外したあとに強い日差しへさらされます。特に真夏は、急な環境変化による葉焼けや乾燥にも注意し、同時に庭木の葉を大きく減らす剪定は控えましょう。
フェンスに絡んでいる場合
網目や支柱に巻きついたつるは、区切って切り離します。古いフェンスでは、つるを引く力で支柱や網が破損することがあります。
金属や針金が隠れている場所に、刈払機の刃を入れないようにしてください。
外壁や塀に付着している場合
ノウゼンカズラなどの付着根は、壁面に強く残る場合があります。生きた太いつるを一気に剥がすと、塗膜や傷んだ外壁材が一緒に剥がれるおそれがあります。
まず茎を切り分け、付着状態と壁面の傷みを確認します。枯らしてから外す方法でも必ず傷を防げるわけではないため、外壁の補修が必要な場合は建物側の専門業者に相談します。
再発を抑える管理方法
新しい芽を茂らせない
地下部が残った場合は、新芽を見つけ次第取り除きます。葉を十分に広げさせず、養分を補充する機会を減らすことで、徐々に勢いを抑えます。
発生場所に目印をつけ、作業日と再生状況を記録すると管理しやすくなります。大きなクズや広く定着したつる植物では、複数年の対応が必要になることもあります。
防草シートは地下部の処理と組み合わせる
植栽のない場所では、地上部を撤去し、株元を処理したあとに遮光性のある防草シートを敷く方法があります。
ただし、既に勢いよく広がっているつる植物を、シートだけで確実に枯らせるとは限りません。端部、継ぎ目、固定ピンの周囲などから芽が出ることがあります。
庭木の株元まで無理に覆ったり、根元に土や資材を盛ったりせず、植栽の生育に配慮して施工します。薄い敷きわらやウッドチップだけでは、定着したつる植物の再生を抑えきれないことがあります。
周囲からの侵入も確認する
フェンスの外側や隣接する空き地に発生源があると、庭の中だけを除草しても再び侵入します。
境界付近のつるを定期的に確認し、必要に応じて所有者や管理者と対応を相談します。他人の土地にある株への薬剤処理や掘り取りは、無断で行わないようにしましょう。
除草剤を使う場合の考え方
庭木や花壇に使用できる登録と方法を確認する
地下部まで作用する除草剤が選択肢になる場合もありますが、製品によって使用できる場所、対象雑草、処理方法が異なります。
庭木や花、芝生などの栽培・管理に使用する場合は、農薬登録があり、その用途に適合する製品を選びます。「農薬として使用することができない」と表示された製品は、植栽管理には使用できません。
使用前には、次の項目を確認してください。
使用場所や対象植物に適用があるか。
対象雑草と使用時期が合っているか。
希釈倍率、使用量、使用回数はどう指定されているか。
散布、塗布など、予定する処理方法が認められているか。
周囲の樹木や草花への注意事項は何か。
葉への処理と切り口への処理を混同しない
葉から吸収させる製品では、必要な葉を残し、使用前後の刈り取り時期も製品の指示に従います。処理直後に刈り取ると、十分に作用しない場合があります。
切り口への塗布や注入は、その対象と方法が認められた製品でのみ行います。散布用の製品を自己判断で原液塗布したり、幹に穴を開けて注ぎ込んだりしないでください。
残したい植物への影響を防ぐ
庭木に絡んだつるへ、そのまま除草剤を吹きかけると、庭木の葉にもかかります。薬液が飛散する高所への散布は避け、必要に応じてつるを植栽から離して管理します。
また、ノウゼンカズラのひこばえなど、残したい親株と地下でつながっている芽への処理は特に注意が必要です。周囲への影響を避けにくい場所では、手作業と継続的な刈り取りを優先します。
つる植物の除草でよくある疑問
根元で切れば、そのまま枯れますか?
切断した先のつるは、ほかに発根した場所や生きた株とのつながりがなければ枯れていきます。ただし、地面に残った株元や地下部まで枯れるとは限りません。地上部の撤去後も、新しい芽を確認する必要があります。
すべての根を掘り取らなければいけませんか?
植物によって再生する部位が異なります。クズでは芽を出す株元や発根した節の処理が重要で、太い貯蔵根をすべて掘り尽くす必要があるとは限りません。
一方、根や地下茎から再生する植物では、残った地下部への継続的な対応が必要です。庭木や設備を傷めてまで掘り続けず、再生芽の除去を組み合わせます。
塩をまけば再発を防げますか?
庭での塩の使用は避けましょう。つる植物だけでなく、残したい庭木や草花にも影響し、土壌環境を悪化させるおそれがあります。株元の処理、再生芽の除去、適切な資材や登録農薬による管理を選びます。
まとめ
つる植物の除草では、絡んだつるを外す作業と、地下部からの再生を抑える管理を組み合わせることが大切です。
クズは、芽を出す株元と、地面に接して発根した節を確認する。
ノウゼンカズラは、親株を残すかどうかを決め、周囲のひこばえを管理する。
ヘクソカズラは、細いつるを切り分け、株元までたどって取り除く。
ヤブガラシは、地下に広がった部分の回収と再生芽の除去を続ける。
絡んだつるを強く引っ張らず、小分けにして外す。
一度の撤去で終わらせず、翌年以降も発生場所を点検する。
つるが大きく広がる前に対処すると、庭木への負担も作業量も減らせます。無理に一度で取り切ろうとせず、植物の再生の仕方に合わせて、継続して管理しましょう。