針葉樹の剪定|適した時期・切り方とマツやコニファーを枯らさないポイント
針葉樹の剪定|適した時期・切り方とマツやコニファーを枯らさないポイント
マツやスギ、ヒノキ、コニファーなどの針葉樹は、独特の葉姿や整った樹形が魅力です。庭のシンボルツリーや生垣、和風庭園の仕立て木など、さまざまな用途で親しまれています。
剪定で特に大切なのは、多くの針葉樹は、葉のなくなった古い枝から芽吹きにくいという性質を理解することです。伸びすぎた部分を一度に深く切ると、枝が枯れたり、葉のない部分が残ったりすることがあります。
この記事では、針葉樹の剪定時期と基本的な切り方をはじめ、マツの手入れ、コニファーの刈り込み、切りすぎを防ぐ方法を解説します。
針葉樹の剪定で知っておきたい特徴
葉のない古い部分まで切ると回復しにくい
マツやヒノキ類、ビャクシン類などでは、葉や芽のない古い枝から、新しい枝が出にくい傾向があります。
外側の緑の部分を越えて深く切り込むと、内側の葉がない枝が露出し、そのまま緑が戻らない場合があります。
剪定前に枝の内側を確認し、切った後も生きた葉や芽が残るかを判断しましょう。
芽吹きやすさには樹種による違いがある
すべての針葉樹が同じ性質ではありません。イチイなどは、比較的古い部分からも芽吹きやすく、刈り込みや樹形の修正に対応しやすい種類です。
一方、同じヒノキ科でも回復力には差があり、樹齢や樹勢によっても反応が変わります。「針葉樹だからこの切り方」と一律に考えないことが大切です。
針葉樹にも落葉する種類がある
針葉樹の多くは常緑ですが、カラマツ、メタセコイア、ラクウショウなどは落葉します。
針葉樹という分類だけで剪定時期を決めず、常緑か落葉か、どのように芽がつくかも確認しましょう。
針葉樹を剪定する目的
枯れ枝や傷んだ枝を取り除く
枯れ枝、折れ枝、病害虫で傷んだ枝などを確認し、必要に応じて取り除きます。
ただし、針葉樹では古い葉が内側から茶色くなって落ちることもあります。内側の一部が褐色だからといって、枝全体が枯れているとは限りません。
大きくなりすぎる前に整える
多くの針葉樹は、大きく育った後に急激に縮める管理が苦手です。若いうちから伸びを確認し、必要な範囲で少しずつ整えると、緑のある姿を保ちやすくなります。
ただし、自然樹形で十分に収まる木は、毎年切る必要はありません。
混み合いを軽く調整する
枝が過密な場合は、枯れ枝や不要な小枝を選んで減らします。風通しを確保しつつ、内部の生きた枝葉を残すことが重要です。
内側をすべて空にすると、将来の切り戻しに利用できる枝も失われます。
針葉樹の剪定に適した時期
樹種と作業内容に合わせて決める
針葉樹には、すべてに共通する一つの剪定適期はありません。細枝の整理、新芽の調整、生垣の刈り込みでは、適した時期も異なります。
日本の温暖な地域では、春の生育開始前後や、新しく伸びた枝が落ち着く初夏などに手入れを行う種類が多くあります。秋に軽く整える場合もありますが、寒冷地では作業を遅らせない配慮が必要です。
真夏の強剪定と厳寒期の大切りを避ける
高温・乾燥が厳しい時期に枝葉を大量に取り除くと、残った葉や幹が急に強い日差しにさらされます。
また、冬の寒さが厳しい地域では、切った後の傷みも考慮します。極端な気象条件の時期に、大がかりな剪定を予定しないようにしましょう。
枯れ枝や危険な枝は状況に応じて対処する
折れかけた枝など、落下のおそれがあるものは、通常の剪定適期を待てない場合があります。
高所の枝や裂けた太枝は自分で処理せず、専門業者に状態を確認してもらいましょう。
代表的な針葉樹の剪定ポイント
マツ類
自然樹形で育てる場合は、枯れ枝や支障枝の整理を中心にします。和風庭園の仕立て木では、春から初夏のみどり摘み、秋から初冬の古葉整理など、特有の手入れを行います。
クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツでは伸び方や回復力が異なるため、同じ強さで扱わないようにします。
ヒノキ類・サワラ類・ビャクシン類
葉が残る範囲で、新しく伸びた部分を軽く整えるのが基本です。深く切り込んで古い枝だけになると、その部分に葉が戻りにくくなります。
葉のない内部を露出させないよう、少し切っては全体を確認します。
モミ類・トウヒ類
主幹を中心とした円錐形の自然樹形が魅力です。基本的には枯れ枝や傷んだ枝の整理にとどめ、中心の幹をむやみに切らないようにします。
枝を短くする場合も、樹種に応じて生きた芽や横枝を確認します。マツのみどり摘みを、そのまま当てはめることはできません。
イチイ
針葉樹の中では古い部分から芽吹きやすく、生垣や形を整えた庭木に利用されます。
ただし、強く切ればすぐに元どおりになるわけではありません。大きな形の変更は樹勢を確認し、必要に応じて段階的に行います。
マツの剪定と手入れ
みどり摘みとは?
春に枝先から伸びる、まだ葉が十分に開いていない新芽を「みどり」と呼びます。その長さや数を調整する作業が、みどり摘みです。
日本の平地ではおおむね4月下旬〜6月ごろが目安になりますが、種類や地域によって時期は変わります。月だけでなく、新芽の伸び具合を見て判断しましょう。
すべての芽を同じ長さにそろえるのではなく、強い芽と弱い芽のバランスを見ます。弱い枝まで強く摘むと、枝が衰えることがあります。
みどり摘みと芽切りは異なる
芽切りは、伸びた新梢を切り取り、その後に出る芽を利用する技法です。主に樹勢のあるクロマツなどで行われます。
新芽の伸長を調整するみどり摘みと、同じ作業ではありません。ゴヨウマツや弱った株へ、クロマツと同じ芽切りを行うのは避けます。
もみあげ・古葉取りとは?
秋から初冬などに古い葉を整理し、枝の混み具合を調整する作業です。地域や職人によって呼び方や作業範囲に違いがあります。
葉を減らすと内部が見えやすくなりますが、葉は木の生育を支える大切な部分です。芽や枝を傷めず、必要な葉を十分に残しましょう。
コニファーの刈り込み方法
「コニファー」は一種類の植物ではない
コニファーは針葉樹の総称ですが、園芸では特に、洋風の庭で使われる観賞用針葉樹を指すことがよくあります。
ゴールドクレスト、ニオイヒバ類、ビャクシン類など、性質の違う植物が含まれます。購入時の名前やラベルを確認してから剪定方法を決めましょう。
緑の葉が残る範囲で少しずつ切る
刈り込む前に、外側の葉を軽く分け、緑の層がどのくらいあるかを確認します。
枯れ枝や折れた枝を整理する。
飛び出した新しい枝を少しずつ切る。
切った後も緑の葉が残っているか確認する。
ときどき離れて、全体の形を見る。
「前年と同じ幅まで戻す」ことを優先し、葉のない部分まで切り込まないようにしてください。
生垣は下部にも光が届く形にする
上部が広く、下部が狭い形では、下の枝が日陰になって葉を失いやすくなります。
生垣は上部をやや狭く、下部を広めに整えると、全体に光が届きやすくなります。ただし、すでに下部が裸になっている場合は、形を直すだけで緑が戻るとは限りません。
ハサミを使ってはいけないわけではない
「針葉樹は金属のハサミに触れると枯れる」と説明されることがありますが、一律にハサミが使えないわけではありません。
葉を途中で切ると切断面が褐変し、目立つことはあります。細かな仕上がりを重視する場合は、葉をまとめて切るより、小枝の分岐を選んで切る方法が向いています。
枝を切る位置と注意点
付け根を傷つけずに枝を取り除く
枝を一本取り除く際は、幹や親枝との境にある付け根のふくらみを傷めないよう、その外側で切ります。
幹の表面に沿って深く削る切り方や、長い切り残しは避けましょう。
主幹の先端を安易に切らない
円錐形の針葉樹は、主幹の先端が樹形をつくっています。高さを抑えるために切ると、複数の枝が上へ伸び、姿が大きく変わることがあります。
一定の高さに管理する生垣と、自然樹形を楽しむ一本立ちの木では考え方が異なります。将来の姿を確認せず、主幹を途中で切ることは避けましょう。
太枝や高所作業は専門業者へ
針葉樹は高木になるものが多く、上部の作業では落下や転落の危険があります。
地上から安全に扱えない枝、建物や電線の近くの枝、重量のある太枝は、専門業者に依頼してください。
剪定で避けたい失敗
大きくなってから一度に縮める
葉のある部分が外側に限られている木では、大幅に縮めると裸の枝だけになることがあります。
数年に分ければ必ず小さくできるわけでもありません。残せる葉や枝がない場合は、植え替えや樹木の更新も含めて検討します。
内側の小枝をすべて取り除く
内側の生きた枝は、将来の樹形調整に利用できる場合があります。外側の枝先だけに葉を残すような剪定は避けましょう。
弱っている木を強く切る
葉色が悪い、枝枯れが多いなどの症状がある場合は、剪定の前に原因を確認します。
根の傷み、乾燥、過湿、病害虫などが関係していることがあり、強い剪定によってさらに衰えるおそれがあります。
剪定後の管理
切った枝葉は、樹冠の内部や株元に大量に残さず片づけます。道具についた樹脂や汚れも落とし、次の作業に備えましょう。
健康な木を軽く剪定しただけなら、直後に多量の肥料を与える必要はありません。鉢植えでは枝葉が減った分、土の乾きが遅くなることがあるため、水やりを調整します。
その後は、次の点を確認します。
残した葉が急に褐変していないか。
切り戻した枝の先が枯れ込んでいないか。
株の片側だけ葉が減っていないか。
新芽が適度に伸びているか。
葉のない部分ができた場合も、肥料を増やせば回復するとは限りません。樹種の芽吹く性質と、残っている枝の状態を見て判断します。
まとめ
針葉樹の剪定では、多くの種類が葉のない古い枝から芽吹きにくいことを理解するのが基本です。大きくなってから深く切るより、必要に応じて新しい伸びを少しずつ整えるほうが、美しい姿を保ちやすくなります。
マツのみどり摘みや古葉整理、コニファーの刈り込み、モミやトウヒの自然樹形を生かした管理は、それぞれ異なる作業です。
樹種と目的を確認し、切った後に残る葉や芽を見ながら、その木に合った剪定を行いましょう。