【庭用語】徒長枝とは?見分け方・発生する原因・切る枝と残す枝の判断を解説
徒長枝とは?見分け方・発生する原因・切る枝と残す枝の判断を解説
庭木や果樹から、ほかの枝より勢いよく長く伸びた枝が出ることがあります。このような枝を「徒長枝(とちょうし)」と呼びます。
樹形を乱したり、内部を暗くしたりするため、剪定では取り除く候補になります。ただし、徒長枝は必ず切るべき枝とは限りません。 古い枝の更新や、失われた枝葉の回復に役立つ場合もあります。
この記事では、徒長枝の特徴と発生する原因、切る枝と残す枝の判断、剪定方法、発生を増やさない管理について解説します。
徒長枝とは?
勢いが強く、長く伸びた枝
徒長枝は、周囲の枝に比べて勢いよく伸長した枝です。庭木や果樹では、幹や太い枝から上向きに伸びるものがよく見られます。
枝と葉の成長が活発な一方、花芽がつきにくいこともあり、果樹では実をつける枝とのバランスを考えて管理します。
ただし、長さだけで徒長枝と決まるわけではありません。樹種、樹齢、周囲の枝との違いを合わせて判断します。
苗の「徒長」とは意味合いが異なる
野菜苗や観葉植物では、日照不足などによって茎が細長く伸びることも「徒長」と呼びます。
一方、樹木の徒長枝は、強い剪定などをきっかけに、太く勢いよく伸びる場合があります。徒長枝が出たからといって、日照不足が原因とは限りません。
徒長枝の見分け方
周囲の枝より伸びが目立つ
次のような特徴が判断の手がかりになります。
周囲の枝より長く、勢いよく伸びている。
節と節の間が長い。
上向きにまっすぐ伸びるものが多い。
幹や太枝、強く切った場所の近くから出る。
葉が大きく、枝の伸長が旺盛なことがある。
若い段階では花芽が少ないことがある。
すべての特徴が必ずそろうわけではありません。一つの特徴だけで判断しないようにしましょう。
上向きの枝がすべて徒長枝ではない
木の中心となる主幹の先端や、若木の骨格をつくる枝も上向きに伸びます。
これらを徒長枝と考えて切ると、樹形をつくる重要な部分を失うことがあります。まず、木全体の中でその枝が果たしている役割を確認してください。
徒長枝・胴吹き枝・ひこばえの違い
徒長枝は主に伸び方を表す言葉
徒長枝は、枝の勢いと伸長の特徴に注目した呼び方です。
胴吹き枝は幹などから直接出る枝
幹や太い枝の途中から出る若い枝を、胴吹き枝と呼びます。通常は休んでいた芽が動き出すことなどによって発生します。
胴吹き枝が勢いよく伸びれば、徒長枝として扱われることもあります。
ひこばえは根元や根から出る芽・枝
株元や根から伸びる若い芽や枝を、ひこばえと呼びます。
株立ちを更新するために利用できることもありますが、接ぎ木した植物で接ぎ木部分より下から出たものは、台木の枝である可能性があります。
これらの呼び方は、完全に別々の性質を示すものではなく、発生位置と伸び方によって重なる場合があります。
徒長枝が発生する主な原因
強い剪定による反応
枝葉を大量に切り落とすと、木は失った葉を補うように新しい枝を伸ばすことがあります。
枝先を切ることで芽の伸びを抑えていた働きが変わり、残った芽や休眠していた芽が動き出すこともあります。その結果、切り口の周囲から複数の強い枝が発生します。
枝葉の損傷や環境ストレス
強風で枝が折れた後や、病害虫などで樹冠が傷んだ後にも、勢いのある枝が出ることがあります。
根の損傷、土の踏み固め、乾燥などが関係する場合もあるため、徒長枝が多い木を単純に「元気すぎる木」と判断しないことが大切です。
窒素肥料の与えすぎ
窒素が多すぎると、枝葉の成長に偏る場合があります。
果樹では、枝がよく伸びる一方で花芽がつきにくくなることもあります。庭木の近くへ施した芝生や花壇用の肥料が影響する場合もあります。
樹種や若木本来の生育特性
もともと枝が勢いよく伸びる樹種や、成長中の若木では、長い新梢が出やすくなります。
異常な反応とは限らないため、過去の剪定や施肥、木の年齢も振り返って判断しましょう。
徒長枝を放置するとどうなる?
枝が混み合い、内部が暗くなる
同じ場所から多くの徒長枝が伸びると、葉が重なって内部へ光が届きにくくなります。果樹では、実をつける枝の充実や果実の着色に影響する場合があります。
樹形や管理高さが変わる
上向きの枝が大きくなると、樹高が上がり、通路や建物へ枝がかかることがあります。
細いうちなら小さな切り口で整理できる枝も、太くなれば作業量と木への負担が増えます。
将来の枝のつき方に注意が必要になる
切り口の周囲などから発生した枝は、付け根の状態や親枝の腐朽によって、将来の強度に問題が生じることがあります。
すべての徒長枝が折れやすいわけではありませんが、大きな骨格枝として残す場合は、発生位置や付け根を慎重に確認します。
切る徒長枝・残せる徒長枝の判断
取り除く候補になる枝
ほかの枝とこすれ合う枝。
内部を過度に暗くしている枝。
同じ場所に密集して競合する枝。
通路や建物に支障が出る枝。
今後の樹形に利用しにくい枝。
不要であることが明確なら、太くなる前に整理すると管理しやすくなります。
古い枝の更新に利用できる枝
位置や向きがよければ、古くなった枝や傷んだ枝に代わる枝として育てられる場合があります。
ただし、太い枝を切った後に出た芽なら何でも使えるわけではありません。付け根が健全で、周囲の枝との配置もよいものを選びます。
葉を補うために一時的に残す枝
強剪定や枝枯れの後では、新しく出た枝の葉が光合成を行い、木の回復を助けている場合があります。
すべてを一度に取り除かず、必要な枝葉を残しながら段階的に整理する考え方も重要です。
徒長枝を剪定する時期
小さな不要芽は生育期に整理できる
利用しないことが明確な芽は、まだ小さいうちに取り除くと、後の作業を減らせます。
ただし、弱った木から出た回復用の枝や、将来利用する芽まで一律に除去しないようにします。
落葉樹は冬の剪定と生育期の調整を使い分ける
落葉期は枝の配置が見やすくなりますが、冬に強く切りすぎると、翌春に再び強い枝が出ることがあります。
夏の軽い整理が役立つ場合もありますが、真夏の高温・乾燥時に多くの葉を落とす作業は避けます。樹種や樹勢に合わせて調整しましょう。
常緑樹・花木・果樹は個別に判断する
常緑樹では寒さや新芽の時期、花木では花芽のつき方、果樹では収穫や枝の更新を考える必要があります。
「徒長枝は何月に切る」と一律には決められません。対象の樹種と剪定の目的を確認してください。
徒長枝の切り方
不要な枝は付け根から整理する
残す必要がない枝は、枝の付け根の組織を傷めない位置で取り除きます。
親枝へ深く切り込んだり、長い切り残しをつくったりしないようにします。柔らかい芽を整理するときも、樹皮を裂かないよう丁寧に作業しましょう。
先端だけを繰り返し切らない
長いからと途中で短くするだけでは、その下の芽から複数の枝が伸び、さらに混み合うことがあります。
使わない枝:付け根から取り除く。
利用する枝:目的に合う芽や横枝を残して整える。
枝を残すのか除去するのかを決めてから切ることが大切です。
多発した場合は一度に全部取らない
強剪定後に徒長枝が大量に出た木では、位置のよい枝や適度な勢いの枝を残し、過密な部分から整理します。
除去する量は樹種と樹勢に合わせます。内部が急に空になるほど透かすと、幹や太枝が強い日差しにさらされることもあります。
果樹で徒長枝を利用する方法
誘引して枝の角度を変える
リンゴやナシなどでは、位置のよい枝を誘引し、上向きから斜め方向へ導くことで、伸長の勢いを調整できる場合があります。
枝が充実して花芽をつけるようになることもありますが、樹種や枝の状態によって反応は異なります。
無理に曲げて付け根を裂かず、結束材が食い込まないよう定期的に確認しましょう。
実をつける枝になるまで育てる
徒長枝にその年すぐ実がつかなくても、数年後に利用できる場合があります。
「今は実がないから不要」と決めず、古い枝との入れ替えを考えます。一方、すべての徒長枝を残すと過密になるため、配置のよいものを選びます。
徒長枝を増やしすぎない管理
強剪定と再剪定の繰り返しを避ける
大きく切る、徒長枝が出る、また大きく切るという管理は、枝の混雑を繰り返す原因になります。
枝の分岐を利用して自然につなぎ、必要以上に葉や芽を減らさない剪定を心がけましょう。
肥料と生育環境を見直す
肥料の量だけでなく、根元の踏み固め、排水、乾燥、工事による根の損傷なども確認します。
徒長枝を抑えるために、意図的に水を切ったり根を傷めたりすることは避けてください。
植える場所に合う樹種を選ぶ
本来大きく育つ木を狭い場所で抑え続けると、強い剪定が必要になりがちです。
毎年大量の枝を切らなければ管理できない場合は、仕立て方の変更や、樹種の更新も含めて検討します。
まとめ
徒長枝は、周囲より勢いよく長く伸びた枝で、強剪定や樹種の性質、施肥、損傷などをきっかけに発生します。
大切なのは、長い枝をすべて切るのではなく、その枝を今後利用できるか判断することです。混み合う枝は整理し、更新や回復に役立つ枝は必要に応じて残します。
剪定後も発生を繰り返す場合は、枝だけを見るのではなく、剪定の強さや生育環境まで見直しましょう。