猫草とは?種類と育て方、猫に与える際の注意点を解説
猫草は、猫がかじるために育てられる若い草の総称です。特定の植物の名前ではなく、エンバクやコムギなど、主にイネ科植物の若葉が使われます。
園芸店やペットショップでは、育った状態の鉢植えのほか、種や栽培キットも販売されています。室内の明るい場所で育てられるため、小さなスペースで始めやすい植物です。
ただし、猫草は猫に必須の食べ物ではありません。育てる際は清潔さを保ち、猫の好みや体調を見ながら利用しましょう。
猫草の基本情報
名称:猫草
読み方:ねこくさ
別名・販売名:ペットグラス、キャットグラス
植物としての位置づけ:猫がかじるために育てる若い草の総称
主な植物:エンバク、コムギ、オオムギ、ライムギなど
科名:主にイネ科
利用する部分:柔らかい若葉
栽培場所:室内の明るい窓辺など
栽培時期:室温や光を確保できれば通年
利用開始の目安:葉が伸びそろい、根付いてから。日数は植物や製品によって異なる
主な用途:猫が草をかじる行動を楽しむための栽培
猫草として販売されるものでも、中に使われている植物が同じとは限りません。種袋や商品の表示を確認しましょう。
猫草の特徴
穀物の若葉を利用する
猫草には、成長すると穂をつける穀物がよく使われます。ただし、猫草として利用するのは、穂が出る前の柔らかな若葉です。
小さな容器に種をまき、葉がそろったところで猫に提供します。穀物として大きく育てる栽培とは、目的も管理期間も異なります。
短期間で育てて交換する
猫草は、同じ鉢を何年も維持する観葉植物のような育て方には向きません。
葉を食べられたり、根が混み合ったりすると、徐々に状態が悪くなります。再び葉が伸びる場合もありますが、黄変やカビが見られるものは無理に延命せず、新しく育て直すほうが管理しやすくなります。
猫によって好みが異なる
よくかじる猫もいれば、においを確認するだけの猫、まったく興味を示さない猫もいます。
食べないからといって異常とは限りません。口へ押し込んだり、食事に混ぜて無理に食べさせたりする必要はありません。
猫草に使われる代表的な植物
猫草は品種名ではないため、ここでは主に使われる植物を種類別に紹介します。
エンバク〈燕麦〉
日本で猫草としてよく使われるイネ科の植物です。オーツ麦とも呼ばれ、柔らかな若葉を利用します。猫草専用の種や栽培キットが選びやすく、初めて育てる場合にも取り入れやすい種類です。
コムギ〈小麦〉
細長い緑の若葉を楽しめる種類で、ウィートグラスとも呼ばれます。猫草用として販売されるものを選び、葉が柔らかいうちに利用します。人向けの加工食品用の麦粒とは、発芽性や用途を区別しましょう。
オオムギ〈大麦〉
猫草や混合種子に使われるイネ科植物です。若葉の時期に利用し、穂が出るまで育てる必要はありません。成長した穂には硬い芒ができるものがあるため、古くなった株は更新して管理します。
ライムギ〈ライ麦〉
海外の猫草製品などで利用される穀物です。若い葉をかじる用途で育てます。「ライグラス」と名前が似ていますが別の植物なので、種を購入するときは猫草用であることと、植物名を確認しましょう。
猫が猫草を食べる理由
理由は一つに決まっていない
猫が草を食べる理由には、食感や味を好む、探索行動の一つとしてかじるなど、いくつかの可能性が考えられています。
「必ず毛玉を吐くため」「栄養が不足しているから」と、一つの理由だけで説明できるわけではありません。
毛玉対策としての効果を過信しない
猫草を食べた後に吐くことはありますが、猫草は毛玉を確実に排出させる治療法ではありません。吐かせる目的で、たくさん食べさせるのは避けましょう。
毛玉が気になる場合は、まずブラッシングなどの日常管理を行います。繰り返し吐く、食欲が落ちるなどの変化があれば、猫草で対処しようとせず獣医師に相談してください。
食事の代わりにはならない
適切な総合栄養食を食べている猫にとって、猫草は必須ではありません。主食の代わりにしたり、不足する栄養を補えると考えて大量に与えたりしないようにしましょう。
猫草の育て方
猫草用の種を選ぶ
猫が直接かじる用途に適した、猫草用の種を選びます。
同じエンバクでも、緑肥用や一般の農業用種子には薬剤処理されたものがあります。色だけで判断せず、用途と処理の表示を確認してください。
容器と用土を準備する
土で育てる場合は、清潔な容器と猫草用の培養土が扱いやすくなります。
容器:猫が引っ張っても倒れにくく、安定感のあるものを選ぶ。
排水:底穴のある鉢は受け皿を使い、たまった水を捨てる。
用土:猫草用として販売されるものを使うと管理しやすい。
置き場所:危険な観葉植物や薬品から離す。
紙製の培地などを使った栽培キットもあります。底穴のない製品では、特に水量を守ることが大切です。
種をまく
種の量や覆土の厚さは、製品の説明に従います。一般的には、用土を湿らせて種を均一にまき、薄く土をかぶせます。
種を何層にも重ねると蒸れやすくなるため、密集させすぎないようにしましょう。浸水が必要かどうかも、種袋やキットの説明を優先します。
発芽前後は、猫が掘り返したり、種や培地を口にしたりしない場所で育てます。
日当たりと温度
発芽後は、明るく風通しのよい場所に置きます。光が足りないと葉が細長く伸び、倒れやすくなります。
一方、夏の窓辺は高温になりやすいため、強い直射日光で容器が熱くなる場所を避けます。冬は窓際の夜間の冷え込みにも注意しましょう。
水やり
発芽までは、種や培地を極端に乾かさないようにします。ただし、常に水につかった状態にすると、種の腐敗やカビの原因になります。
芽が出た後も、培地の湿り具合を見ながら水を与えます。葉がしおれていても、培地が十分に湿っている場合は、むやみに水を追加しないでください。
肥料
若葉を短期間で利用する猫草は、通常、追加の肥料を与えずに育てられます。栽培キットは説明書の方法に従いましょう。
葉が黄色くなったときも、すぐに肥料不足と判断せず、水の過不足や光不足、株の老化を確認します。
猫に与えるタイミングと方法
葉がそろい、根付いてから置く
葉が伸びそろい、猫が軽く引っ張っても株ごと抜けにくくなった頃が利用の目安です。
日数は気温や植物の種類によって変わるため、「種まきから何日」と決めつけず、実際の生育状態を確認しましょう。
最初は見守りながら利用する
初めて与えるときは、猫がどのようにかじるか観察します。
一度に大量に食べさせない。
種や土、培地まで口にしていないか確認する。
鉢を倒す場合は、安定した容器に入れる。
むせたり、吐いたりする場合は、いったん片付ける。
興味を示さない場合は無理に勧めない。
子猫や療養中の猫など、食事管理が必要な場合は、導入前に獣医師へ確認すると安心です。
頻繁な嘔吐は見過ごさない
猫草を食べた後だからといって、繰り返す嘔吐を正常な反応として扱わないことが大切です。
何度も吐く、元気や食欲がない、水も吐いてしまう、血が混じる場合は、早めに動物病院へ連絡してください。
長持ちさせる管理と交換の目安
利用時以外も光を確保する
猫が食べる場所が暗い場合は、利用するときだけ置き、普段は明るい場所で管理する方法があります。
冷暖房の風が直接当たる場所や、風通しの悪い棚の中は避けましょう。
複数の鉢をずらして育てる
継続して使うなら、種まきの時期をずらして二鉢ほど育てると、傷んだ鉢を交換しやすくなります。
一度に大量に育てるより、猫が食べる量に合わせて少量ずつ更新するほうが無駄を抑えられます。
傷んだものは交換する
次のような状態になったら、猫に触れさせず、新しく育て直しましょう。
葉の黄変や枯れ込みが目立つ。
カビが広がっている。
酸っぱい臭いや腐敗臭がする。
培地がぬめり、種や株元が腐っている。
虫が多く発生している。
カビが生えたものは、見える部分だけを取り除いて使い続けないようにします。
猫草栽培でよくあるトラブル
芽が出ない
低温、高温、種の乾燥、水の与えすぎ、古い種などが原因として考えられます。
説明書の発芽日数は目安です。発芽が遅いからといって水を増やし続けず、温度と培地の状態を確認しましょう。
白いふわふわしたものが見える
発芽した根の周囲に見える白い毛は、根毛である場合があります。一方、種や培地の表面へ不規則に広がるものは、カビの可能性があります。
見た目だけでは区別が難しいこともあります。判断できない場合や異臭がある場合は、猫に与えず交換してください。
葉が細く伸びて倒れる
光不足や過密、高温などが原因になります。明るい場所へ移し、次の種まきでは種の量を調整します。
急に強い日差しへ出すと傷むことがあるため、置き場所は徐々に変えましょう。
キャットニップや庭の草との違い
キャットニップは別の植物
キャットニップは、香りに猫が反応するシソ科のハーブです。猫草として利用するイネ科の若葉とは、植物の種類も楽しみ方も異なります。
名前に「キャット」がついていても、同じ用途で扱わないようにしましょう。
庭の草を何でも与えてよいわけではない
庭や道端の草は、種類の取り違えや、除草剤・農薬などの付着が分からないことがあります。
猫草には、猫がかじる用途に適した種や製品を使い、自分で管理したものを用意するほうが確実です。また、猫草を置いても、ほかの植物をかじらなくなるとは限りません。猫に有害な植物は引き続き手の届かない場所で管理します。
まとめ
猫草は、エンバクやコムギなどの柔らかな若葉を、猫がかじるために育てたものです。明るい場所と適度な水分があれば、小さな容器でも栽培できます。
管理のポイントは、猫草用の種を選ぶこと、水を与えすぎないこと、傷んだら新しく交換することです。猫に必須の食べ物ではなく、毛玉を吐かせる治療法でもありません。猫の好みと体調を見ながら、無理なく取り入れましょう。