ハーブティーによく使われる植物10選|香り・味の違いと育てて楽しむポイント
植物の葉や花、果実などをお湯で抽出するハーブティー。清涼感のあるミント、甘い香りのカモミール、鮮やかな赤色のハイビスカスなど、使う植物によって香りや味が変わります。
市販のお茶を飲み比べるだけでなく、鉢や庭で育てたハーブを収穫する楽しみもあります。
この記事では、ハーブティーによく使われる代表的な植物を10種類紹介します。香りや使う部位、家庭で育てる際のポイントを参考に、お気に入りを探してみてください。
ハーブティーとは?
ハーブティーは、植物の葉、花、果実、根などを使った飲み物です。
緑茶や紅茶がチャノキの葉から作られるのに対し、ハーブティーにはさまざまな植物が利用されます。ひとつの植物だけで楽しむ「シングル」と、複数を組み合わせた「ブレンド」があります。
今回紹介する植物を単独で使うお茶は、基本的にカフェインを含みません。ただし、紅茶や緑茶、マテなどを加えた商品にはカフェインが含まれるため、原材料を確認しましょう。
1.ジャーマンカモミール|リンゴを思わせる甘い香り
白い花びらと黄色い中心部を持つ、キク科の一年草です。カモミールティーには、主にジャーマンカモミールの花が使われます。
学名:Matricaria chamomilla
使う部位:花
香り・味:リンゴを思わせる甘い香りと、穏やかな草花の風味
向いている楽しみ方:単独のお茶、ミルクを加える飲み方
香りは甘くても、砂糖を入れたような甘さがあるわけではありません。好みに応じて少量のはちみつなどを加えて楽しめます。
栽培では日当たりと風通しを確保し、開いた花を順次収穫します。高温多湿で蒸れやすいため、株が混み合わないようにしましょう。
同じカモミールの名を持つローマンカモミールは別種で、一般に苦味が強めです。
2.ペパーミント|すっきりした清涼感
メントールを感じる香りが特徴の、シソ科の多年草です。口に含んだときの爽快感があり、すっきりした飲み心地を好む方に向いています。
学名:Mentha × piperita
使う部位:葉
香り・味:強めの清涼感と、シャープなミントの香り
向いている楽しみ方:単独のお茶、レモン系ハーブとのブレンド
生葉でも乾燥葉でも使えます。初めは薄めにいれ、香りの強さを調整すると飲みやすくなります。
地下茎で広がりやすいため、庭へ直接植えるより鉢植えが管理しやすい植物です。鉢底から根が地面へ伸び出していないかも確認しましょう。
3.スペアミント|やわらかなミントの香り
ペパーミントより清涼感が穏やかで、甘い印象の香りを楽しめるミントです。強いメントール感が苦手な方にも、比較的取り入れやすいでしょう。
学名:Mentha spicata
使う部位:葉
香り・味:やわらかく甘い印象の香り、穏やかな清涼感
向いている楽しみ方:生葉のお茶、レモングラスなどとのブレンド
若く傷みのない葉を使うと、爽やかな香りを楽しめます。
栽培ではペパーミントと同様に、広がりすぎに注意します。複数のミントを育てる場合は、種類ごとに鉢を分けておくと、収穫時に混同しにくくなります。
4.レモンバーム|穏やかなレモンの香り
レモンバームは、葉にレモンのような香りがあるシソ科の多年草です。別名の「メリッサ」でも知られています。
学名:Melissa officinalis
使う部位:葉
香り・味:穏やかなレモン香と、やさしい草の風味
向いている楽しみ方:生葉のお茶、カモミールやミントとのブレンド
レモンのように強い酸味がある植物ではなく、主に香りを楽しみます。生葉は収穫後に香りが失われやすいため、摘んだら早めに使いましょう。
日なたから明るい半日陰で育てられます。夏の強い日差しと乾燥で葉が傷む場合は、午後の日差しが和らぐ場所へ移します。こぼれ種で増やしたくない場合は、花後に種を付けさせないようにします。
5.レモングラス|鮮やかで爽快なレモン香
細長い葉を茂らせるイネ科の多年草です。料理では株元の部分も使いますが、ハーブティーには葉もよく利用されます。
学名:Cymbopogon citratus
使う部位:葉、茎の基部
香り・味:はっきりしたレモンの香りと、爽やかな草の風味
向いている楽しみ方:単独のお茶、ミントやショウガとのブレンド
葉を短く切ってから抽出すると扱いやすくなります。葉の縁で手を傷つけることがあるため、収穫時は手袋を使うとよいでしょう。
暖かさと日光を好み、寒さや霜には弱い植物です。寒い地域では鉢植えにし、冬は明るく凍らない場所で管理します。
6.レモンバーベナ|華やかで上品なレモンの香り
レモンバーベナは、細長い葉を付けるクマツヅラ科の低木です。「ベルベーヌ」や「コウスイボク」の名前でも知られています。
学名:Aloysia citrodora
使う部位:葉
香り・味:華やかなレモン香と、すっきりした風味
向いている楽しみ方:単独のお茶、レモンバームとのブレンド
レモン系ハーブの中でも香りに存在感があり、少量から試すと好みの濃さを見つけやすくなります。
日当たりと水はけのよい場所で育てます。寒い時期は落葉することがあり、霜の強い地域では鉢を保護できる場所へ移します。一般的な花壇用のバーベナとは別の植物です。
7.ハイビスカス〔ローゼル〕|赤い色と爽やかな酸味
ハーブティーの「ハイビスカス」は、主にローゼルというアオイ科の植物から作られます。利用するのは花びらではなく、花後に発達する赤い萼や副萼です。
学名:Hibiscus sabdariffa
使う部位:萼・副萼
香り・味:はっきりした酸味と、鮮やかな赤い水色
向いている楽しみ方:アイスティー、ローズヒップとのブレンド
酸味が強いと感じたら薄めに抽出するか、ほかのハーブと組み合わせます。
ローゼルは暖かさを好み、比較的大きく育ちます。日本では秋に収穫を迎えることが多く、寒い地域では成熟前に気温が下がる場合があります。
鉢花として一般的な観賞用ハイビスカスを、そのまま代用しないようにしましょう。
8.ローズヒップ(イヌバラ)|バラの実を楽しむお茶
ローズヒップは特定の一品種の名前ではなく、バラの実として扱われる部分の総称です。ハーブティーには、ドッグローズなどの実が利用されます。
代表的な植物:ドッグローズ〔Rosa canina〕など
使う部位:実の外側の肉質部分
香り・味:穏やかな果実味と酸味
向いている楽しみ方:ハイビスカスとのブレンド
市販のローズヒップティーの鮮やかな赤色や強い酸味は、配合されたハイビスカスによる場合があります。ローズヒップ単独のお茶とは、色や味が異なります。
自宅で収穫する場合は、食用利用できる種類と栽培履歴を確認し、内部の種や細かな毛を丁寧に取り除きます。初めてなら、飲用に加工された市販品が扱いやすいでしょう。
9.ルイボス|穏やかな風味で日常のお茶に
ルイボスは、南アフリカ原産のマメ科の低木です。細い針状の葉と若い枝が、お茶の原料になります。
学名:Aspalathus linearis
使う部位:葉、若い枝
香り・味:ほのかに甘い印象と、木や干し草を思わせる香り
向いている楽しみ方:日常のお茶、ミルクを加える飲み方
一般的な赤褐色のお茶は、製造中に酸化させたものです。酸化を抑えて作る「グリーンルイボス」もあり、風味が異なります。
原産地の気候や土壌に適応した植物で、日本の家庭で安定して栽培・製茶するには工夫が必要です。飲み比べを楽しみたい場合は、市販の茶葉から始めるとよいでしょう。
10.ラベンダー|少量で広がる花の香り
ラベンダーはシソ科の低木で、花の香りがハーブティーのブレンドにも利用されます。
代表的な植物:Lavandula angustifolia
使う部位:花、つぼみ
香り・味:華やかで強い花の香り。濃くすると苦味を感じやすい
向いている楽しみ方:カモミールなどへの少量のブレンド
香りが強いため、最初は少量を加える程度がおすすめです。
栽培では日当たりと風通しを確保し、高温多湿を避けます。ラベンダーには多くの種類があるので、飲用には食用・ハーブティー用として確認できるものを使いましょう。ポプリ用の花や精油は、お茶の材料として代用できません。
好みに合わせたハーブティーの選び方
香りや味を基準にすると、お気に入りを見つけやすくなります。
すっきりした清涼感が好き:ペパーミント、スペアミント
レモンの香りが好き:レモンバーム、レモングラス、レモンバーベナ
甘い印象の香りが好き:ジャーマンカモミール、ルイボス
酸味を楽しみたい:ハイビスカス、ローズヒップとのブレンド
花の香りを加えたい:少量のラベンダー
初めは単独で味わい、それぞれの香りを知ってからブレンドすると、組み合わせを考えやすくなります。
育てたハーブをお茶にするポイント
食用に使える植物と部位を確認する
名前や香りが似ているだけで、同じように飲用できるとは限りません。植物名だけでなく、学名と使える部位を確認しましょう。
また、観賞用の苗や切り花には、食用を前提としない薬剤が使われている場合があります。食用栽培向けの苗や種を選び、栽培中も使用する薬剤の適用と収穫前の条件を守ります。
収穫したら清潔に扱う
傷みやカビ、虫の付いていない部分を収穫し、必要に応じて流水で洗って水気を切ります。
乾燥させる場合は、少量ずつ薄く広げ、風通しのよい場所で十分に乾かします。湿り気が残ったまま密閉すると、カビの原因になります。
蒸らすときはふたをする
温めたポットにハーブを入れ、沸かした湯を注ぎ、ふたをして香りを閉じ込めます。
葉や花のお茶は数分の蒸らし時間から試せますが、使う量や時間は植物と加工状態によって異なります。市販品はパッケージの説明に従い、自家栽培のものは薄めから調整しましょう。
抽出後は茶こしなどで植物片を取り除きます。
安心して楽しむために
ハーブティーは、香りや味を楽しむ飲み物として取り入れましょう。「眠れる」「病気が治る」といった効果が、どの植物でも確実に得られるわけではありません。
カモミールなどでアレルギーが起こる場合もあります。妊娠・授乳中、服薬中、持病がある方や子どもに使う場合は、植物ごとの注意事項を確認し、必要に応じて医師や薬剤師へ相談してください。
また、精油や濃縮エキスは通常のお茶とは濃度も性質も異なります。飲用の代わりとして自己判断で加えないようにしましょう。
まとめ
ハーブティーには、葉を使うミントやレモンバーム、花を使うカモミール、萼を使うローゼルなど、さまざまな植物が利用されています。
家庭で育てて楽しむなら、鉢植えのミントやレモンバームなどから始めると、収穫から抽出までを体験しやすくなります。植物と利用部位を正しく選び、香りや酸味の違いを味わいながら、自分に合う一杯を探してみてください。